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ジュニアのためのプレゼンテーション2014
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倉敷中央病院の研修医向けにした、論文執筆や学会発表のルールの説明用スライドです。
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ジュニアのためのプレゼンテーション2014
1.
ジュニアのための プレゼンテーションルール 救命救急センター・総合診療科・人材開発センター 福岡敏雄 2014.7.2
2.
プレゼンテーションルール • 著者・共著者・謝辞など • 題名 •
図表 • 本文の組立 • 引用文献 参考文献 • 引用と著作権 • ケースレポートと、因果関係の立証 • COIについて 2014/07/02 プレゼンテーションルール 2
3.
倉中年報執筆を念頭に 著者、題名、図表、組立、引用
4.
著者・共著者・謝辞 • 著者は、その研究を計画し、実施し、まとめ、発表・ 論文にまとめた人 筆頭著者は、特に役割が大きい 人 学会発表では、発表者が筆頭著者となる • ポイント:共著者に挙げるからには、その発表・論文 の内容を理解してもらう必要がある。 •
単に、アドバイスをもらった、などは、謝辞でよい • 「Authorship」は厳しく問われるようになってきてい て、それぞれの著者が、その論文に関して何を行 なったか役割を明記することを要求する雑誌も増え てきている 2014/07/02 プレゼンテーションルール 4
5.
題名 • 題名は、コンパクトに内容がわかるようにする • ○○の1例 ××の研究 ⇒
内容がよくわから ない • 明らかになったこと、言いたいこと、研究した こと、がわかるような題名に • 英文題名のときに「A case of ・・・・」というの は避ける 症例報告なので、A case of を削 除してもかまわない 2014/07/02 プレゼンテーションルール 5
6.
図表 • なるべく厳選する • 白黒印刷で耐えられるように、考えて作る •
図表を引用する場合:最小限にする 本文中 に引用文献として明記する さらに表にも「×× ら <書誌情報> 図△より」と明記する な るべく改変しない。改変した場合にはどこをど う変えたかを明記する 2014/07/02 プレゼンテーションルール 6
7.
本文の組立 • 倉中年報への執筆は研修修了の必要条件 • 正式な症例報告ではなく、「短報」でよい。 •
症例報告 – はじめに – 本文 – 考察 • 内科認定医を考えているのであれば、申請用の症例レポー トを意識して短報の内容にまとめればよい。 • 最近は、コンパクトな論文・症例報告ほど掲載されやすい傾 向にある。長い論文は、出版社から敬遠される。 2014/07/02 プレゼンテーションルール 7
8.
引用文献 • 引用する場合、必ずその元となった文献を示 す – ×他の論文などに引用されている内容を参考に、 引用する⇒必ず、原著にあたるべし! – ×教科書・総説などから、だらだら引用する • 書誌情報は雑誌の投稿規程に沿ってまとめ る •
必ず! ルールに従って、正確に記すこと 2014/07/02 プレゼンテーションルール 8
9.
倉敷中央病院年報投稿規定 学術業績・年報のサイトから入手可 2014/07/02 プレゼンテーションルール 9
10.
文献 • 1) 山口健太郎,
中川 悟, 薮崎 裕ほか: Paclitaxel+low-dose FP術前化学療法が奏効し原発巣が消失した進行胃癌の1例. 癌と化学療法2006;33(8):1163-1166. – 著者名 3名まで そのあとは省略し、邦文なら「ほか」英文なら「et.al」 – 書誌情報は、著者名: 論題. 雑誌名 発表年; 巻(号): 開始ページー終了 ページ • 2) Mitchell PL, Goldstein D, Michael M, et al: Addition of gabapentin to a modified FOLFOX regimen does not reduce oxaliplatin-induced neurotoxicity. Clin Colorectal Cancer 2006;6(2):146-151. – 英文も同様 雑誌名は省略形式で Medlineなどのデータベースで採用 されているものを用いる 邦文雑誌も一部で省略形式をとる場合がある • 書誌情報で重要なのは、「巻とページ(vol., page)」、号(no.)は 省略してもよい 2014/07/02 プレゼンテーションルール 10
11.
単行本 • 1) 相原道子,
池澤善郎: 薬疹. 中川秀巳編: 皮膚科疾患(看 護のための最新医学講座19).第1版, 中山書店, 東京, 2001, pp 61-67. – 著者名: 引用した章の題名. 本の編者: 本の題名(シリーズの名称). 版数, 出版社, 出版地, 発行年, pp 開始ページ-終了ページ • 2) Sasako M: Surgical management of gastric cancer: the Japanese experience. In: ed by Daly JM, et al: Management of Upper Gastrointestinal Cancer. WB Saunders, London, 1999, pp 107-122. – 英文も同様 • 単行本の場合、出版地(国名ではなく、都市名)を忘れずに。 出版社の所在地を確認。また、ページ数の前に「pp」をつけ る点にも注意。 2014/07/02 プレゼンテーションルール 11
12.
インターネットなど • なるべく、インターネット情報の引用は避ける – なぜ? 動的で再現性に不安がある 情報の質管理が不 十分である –
例外:政府機関・企業などの年報・アナウンス・ポジション ペーパーなど⇒インターネット上でしか容易に入手できな い 質は保証され、内容も定まっている • 引用する場合には:ホームページの名称、URLとア クセス年月日を明記する – 1) 著者の皆様へ ― 著作物の利用にあたって[internet]. http://www.medbooks.or.jp/forauthor/ [accessed 2007-11-22] 2014/07/02 プレゼンテーションルール 12
13.
引用と著作権 • すべての著作物には「著作権」がある • その一部を、「引用」という形で利用すること は認められている – 著作権法第32条第1項 公表された著作物は、 引用して利用することができる。この場合におい て、その引用は、公正な慣行に合致するものであ り、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的 上正当な範囲内で行なわれるものでなければな らない。 2014/07/02
プレゼンテーションルール 13
14.
引用と認められるためには・・・ • 以下の4つの要素をすべて満たしている必要がある – 引用を行う「必然性」
– 文書に於いて、本文と比べ、引用部分が従属しているという 「主従関係」 – 引用部分とそれ以外の部分の「明確な区別」 – 引用元の著作者名など「出典の明示」 • 無意味なもの、だらだらと長いもの、自分の文章とご ちゃごちゃにしたもの・勝手に改変したもの、出典を明 記しないもの はルール違反! 2014/07/02 プレゼンテーションルール 14
15.
ちょっと一般的な話へ 因果関係の論証 利益相反の問題
16.
ケースレポートと因果関係の立証 • ケースレポートは、因果関係を立証する力は ほとんどない – 例外:全例死んでいた症例が、この治療で生存で きた まれな疾患・病態が、ある明白な要因と同 時に見られた • したがって、ケースレポートから治療効果やリ スクファクターを論じるためには、必ず引用が 必要になる 2014/07/02
プレゼンテーションルール 16
17.
論理構造に厳密に • 論拠→結論へ – 確かな論拠に基づき、正しい論理構造で、結論 を述べる • 医学研究では「帰納的」論証方法をとる – 帰納:推理・思考の手続きの一つ。個個の具体 的な事柄から、一般的な命題や法則を導き出す こと。 – 演繹:普遍的命題から特殊命題を導き出すこと。 一般的に、組み立てた理論によって、特殊な課 題を説明すること。 2014/07/02
プレゼンテーションルール 17
18.
プレゼンテーションルール 18 数字があればもう安心 (道田泰司ら「クリティカル進化論」p 98
北大路書房1999年)� 2014/07/02
19.
確かな論拠と、正しい論理� • 臨床で陥りやすいあやまち – 前後即因果のあやまち –
あいまいな評価による事後解釈 – 平均への回帰を治療効果と勘違いする • さまざまな思い込みや見落としによるバイアス – 選択バイアス – 評価バイアス – 脱落バイアス • 虚偽の研究報告� 2014/07/02 プレゼンテーションルール 19
20.
前後即因果のあやまち� • 時間的前後関係にある二つの事柄を結び つけてしまうこと。時間的前後関係が因果 関係を保証するものではない。 – post
hoc, ergo propter hoc. (ラテン語) : after this, therefore because of this. – post-hoc: 後付けの(「こじつけ」という、かなり悪 い意味が含まれる)� 2014/07/02 プレゼンテーションルール 20
21.
前後即因果のあやまちの例� • ある少数民族が、日食のたびに太鼓をたたき祈 りをささげていた。探検家が、「どうしてそのよう なことをしているのか」とたずねると、「こうすると 必ず日食は終わる。太鼓の音が太陽を呼び戻 すのだ。今まで一度の失敗もない。」と答えた。 彼らは、過去の事実から固く信じていた。 – この思いこみが誤ったものだと気づかせ るためには、どのようにすればよいだろう。� 2014/07/02 プレゼンテーションルール
21
22.
あいまいな評価による事後解釈� 2014/07/02 プレゼンテーションルール 22 治療前�治療後� 効いた!!� 効かない!!�
23.
平均への回帰� 2014/07/02 プレゼンテーションルール 23 平均値� 測定値� 薬を開始した 良くなってきたから 効いている
24.
トピック:ロンリのちから 新しい高校講座 各10分 各番組ホームペー ジから閲覧可能 2014/07/02 プレゼンテーションルール 24
25.
利益相反 Conflict of Interest •
利益相反は最近特に重視されている • COIとは:責任ある地位に就いている者の個 人的な利益と当該責任との間に生じる衝突 – 文部科学省科学技術・学術審議会『利益相反ワ ーキング・グループ報告書』 2002年11月 • 医学研究においては、「医師・医学研究者と しての社会的責務と、資金や援助を受けた 私的企業・団体の利益とが相容れない状態」 2014/07/02 プレゼンテーションルール 25
26.
具体例 • 原子力発電所の開発メーカーや電力会社 から資金提供を受けている研究者が、原 子力発電所の安全性に関する報告書を作 成した • 社会的立場:専門家としての知識や経験を 公正中立な判断に活かす •
企業から資金提供を受けた立場:資金提供 を受けた会社にとって不利益な報告はしない 2014/07/02 プレゼンテーションルール 26
27.
私たちに求められていること • 企業から便宜・援助・資金を受ける場合には、利 益相反の状態に陥らないように注意する • 自らの研究や発表にあたっては、それに関連する 私企業から受けた便宜・援助・資金については必 要に応じて開示し、利益相反の有無の判断材料 を読み手に提供する •
ポイント:実際には、企業からの資金提供で成り立 っている医療行為や研究は多数存在する。その 情報を提示した上で、受け手・社会に判断を委ね るという姿勢が重要 2014/07/02 プレゼンテーションルール 27
28.
COIについての詳細 • 学会のホームページなどで確認 • 厚労省や文科省にも基準が示されている 2014/07/02
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当院年報投稿にあたっての注意 • 投稿者は、論文内容に影響を及ぼす可能 性のある利益相反関係の有無を、当院の「 セーフ・ハーバー・ルール」に準じて判断し、 タイトルページ及び本文の最後に明記する こと。 • 利益相反関係がある場合には、関係する 企業・団体名も明記する。 2014/07/02
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セーフハーバールール 2010.4.1 当院利益相反管理委員会制定 • 職員等が臨床研究を行う場合において、次の要 件を満たすときは、当該行為は、利益相反に該当 しない行為とみなされる –
経済的利益(個人金銭的利益)が 1 年間1 企業等当た り累積で、100 万円以下、または、公開株時価総額 500 万円以下、未公開株エクイティのシェアとして5%以下 のとき • 職員等が企業等から得る経済的利益の算出範囲 – 職員等本人並びに生計を一にする配偶者および一親 等の者(両親および子ども)とする。 • 基準は学会・雑誌によって異なるので注意! 2014/07/02 プレゼンテーションルール 30
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COI 記載例 • 1)
本研究は○○○○の資金提供を受けた。 • 2) ○○○○の検討にあたっては、○○○○か ら測定装置の提供を受けた。 • 3) 本研究は○○○○研究会の研究費助 成により行われた。 • 4) 利益相反関係:なし。 2014/07/02 プレゼンテーションルール 31
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年報と症例発表会の期日 • 年報締切:現J2 10月末 – 早めの相談・提出を! 研修修了要件の一つ •
症例発表会 現J1 – 発表日 2015年4月4日(土)予定 – 抄録締切 2015年3月13日(金)予定 • ⇒お手本は、教育研修部のホームページに前年度 の抄録が掲載済み – 1年目の研修診療科が多彩になったので、内容も 多彩になった。内科、小児科、産婦人科、外科、 救急、何でもOK 2014/07/02 プレゼンテーションルール 32
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症例発表会の症例決定の注意点 • 症例を決めたら、指導してくれる上級医と 診療科が決まるはず – ⇒早めに、教育研修部と当該診療科の主任部 長に届けること。 – なぜ? 特定の診療科に過重な負担がかから ないようにするため – 目標:診療科で3-4例を上限とする 2014/07/02 プレゼンテーションルール
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プレゼンテーションルール • 著者・共著者・謝辞など:理由ある著者のリストであ ること ちゃんと相談して進めること • 題名:わかったこと、言いたいことを念頭に •
図表:厳選する 白黒での印刷を念頭に • 本文の組立:項目を意識して • 引用文献 参考文献:書誌情報・形式にこだわる • 引用と著作権:ルールに従って引用する • 因果関係の立証:自分のやったことの妥当性を意識 して考察を書く • COI:ルールに従って、管理・開示する 2014/07/02 プレゼンテーションルール 34
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科学研究一般についてのルール 科学者としての責任について • 「科学者をめざす君たちへ―研究者の責任 ある行動とは」米国科学アカデミー編 化学同人社 • “On
being a scientist” National Academy Press 無料でPDFダウンロード可能 2014/07/02 プレゼンテーションルール 35