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新興国の可能性 バングラデシュ 庄子明大氏
- 9. + ー
膨らみ続ける市場(人口ボーナス期)
労働人口の豊富さ(平均年齢25歳)
労働賃金の安さ
安定した経済成長
親日的な雰囲気
伸び白が大きい(未開発面多い)
テロ等治安の悪化
独裁的な政治運営(カントリーリスク)
年々上がる各種コスト(インフレ)
イスラム文化、商慣行など西洋文化と
のギャップ
飛行機の直行便がない(距離の壁)
Editor's Notes
- 今日は新興国の可能性ということで、私が現在住んでいるバングラデシュという国についてご紹介させていただきます。
願わくば、今日の話で皆さんに潜在的な新しい選択肢を持ってもらえると嬉しいな、という野望を持っています。
さて、バングラデシュという国を知っていますか?(挙手)
ちなみに私は皆さんにこの国で得た知見を伝えますが、皆さんからはこの国がどのように見えているかを教えてもらいに来ています。プレゼン後で構わないので、忌憚なきご意見、ご指摘をお願いしますね。
- バングラデシュ、ここです。この緑の小さい国。
地球儀で見ると北海道と大きさが変わらないように見えますが、北海道の1.7倍くらいの面積です。
ちなみに北海道の人口は?(約550万人) バングラは約1億6千万人です。人口密度は都市国家、島嶼国家を除くとぶっちぎりの1位です。日本の3倍くらい、韓国の2倍ってところです。
分かりづらいのであれば北海道で言うと15倍です。
- 国の形はこんな感じで、ベンガル湾に面していて、インドに9割くらい国境を接しています。
ヒマラヤ山脈から流れてくる水が海へ出る辺りで、国全土がデルタ地帯のような感じです。川がたくさんあって、インドのガンジス川って有名な川がありますが、バングラに流れてきておりパドマ川と名前が変わります。
もともとの成り立ちを大雑把に言うとムガル帝国、英国領インド、インド、パキスタン、そしてバングラデシュ、というように国が変わっています。
パキスタンからの独立は西パキスタンと独立戦争を経て1971年です。この時は大変厳しい内戦と国の疲弊による飢餓で300万人もの方々が亡くなったようです。これは日本の第二次世界大戦時とほぼ同じ犠牲者数です。
その当時の人口が6〜7千万人でしたから、これも日本の第二次世界大戦時とあまり変わらないですね。
- 経済状態ですが、図1のように一人あたりのGDPは日本の30分の一くらいですが、図2のように毎年6〜7%の経済成長をしています。
世界銀行が発行した2017年版ビジネスのしやすさランキングでは190カ国中176位 です。
- ハーバード大のデービットブルーム先生が言うような人口ボーナス期が経済成長と密接に関わるならば、バングラデシュはこれからの環境はかなり良い方向といえるのでしょうね。
タイとかはここで先進国に入っておかないと中進国の罠に引っかかりますね。
- とは言え、カントリーリスクも当然ありまして、こんな写真のようなのはさすがにありませんが、昨今のイスラム原理主義系排外主義によるテロも頻発しています。
ただ、ここで勘違いして欲しくないのは、イスラム教をことさら危険視してはいけない、ということです。
世界には70数億もの人が住んでいますが、イスラム教徒は16億とか20億人とか言われています。世界の4〜5人に一人はムスリムなんです。
彼ら自身もよく言いますが、人口3億人のアメリカがどれだけ事件を起こしているか、と。ま、ここに入り込んでいくと別な話になっていくので、今日は割愛します。私はそっちの専門家ではないので。
- これは昨年7月1日にISILが起こしたと見られるテロ事件で、日本人も7名犠牲になったことから日本でも大きく報道されました。
犠牲になった方々は我々の関係であったこと、事件が起こったレストラン含めて、私たちにとってあまりに身近で、忘れようのない悲惨な出来事でした。
事件以降、我々関係者は一度もダッカでレストランには行っていません。リスクをとにかく減らすため、露出を減らすよう厳しい指示が今も出続けています。
外を車以外で移動するのも禁止です。スモークを貼った車で極力移動も少なくして目立たないようにしています。この行動規範はすべての日本人という訳ではなく、我々の例になります。
- 結局物事には必ずプラスマイナスの面があって、これもざっと挙げるとこんな感じでしょうか。
プラスはとにかく若くて、戦争で46年前の戦争で男性がずいぶん亡くなってしまったので、若い人が多いってことです。ベトナムとかも同じですね。
戦争から46年後と言えば、日本はもうバブルが崩壊する頃ですけど、それまで爆発的に高度成長しましたからね。平和ならほぼ必ず成長していくのではないでしょうか。
一方、マイナス面はまず治安。これが悪いとFDI(外国直接投資)どころか国内からの投資も冷え込みます。そりゃ誰が考えてもリスク高いですもんね。
独裁は、シンガポールやマレーシアは開発独裁で成功したと言われており、国が一丸となって進む良い面もありますが、急に法律や政策を変えたりするので大変です。
例えば自動車は以前200%の関税だったのが300%に変わったこともありました。
- そこがブルーオーシャンなのかレッドオーシャンなのかは自分たちの関わり方次第。
そこで起こせるイノベーションは技術革新でも良いし、売る相手を変える、買う相手を変える、ちょっとやり方を変えるだけでも起こしうる。
但し、但しです。もちろんバングラデシュ、今日は例えばということで私の関わっている国を出しているわけですが、それがモンゴルでもルワンダでもグワテマラでもいいのですが
今や世界で行けないところは殆ど無い中、秘境だから未開発ってわけじゃないのです。参入障壁はたぶん皆さんの予想以上です。
最近の治安悪化前までは多くの企業や学生がバングラにも来ていました。視察やスタディツアーとか。皆さん口を揃えて「いい国ですね〜」って言ってくれます。
でも、実際はそんな簡単じゃないんです。人も企業も行政も、もちろん警察も裁判所も簡単に信用できません。それでも攻めていければ先行者利益が待っています。
そして儲けだしたらすぐに大きな後発組がやってきます。それにも負けないビジネスモデルじゃなければすぐに淘汰されていくわけです。