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IA+CMSにより、コンテンツの制作・管理・配信はこう変わる
- 2. 自己紹介(CMS関連の知識・経験)
1. Webコンテンツ制作・管理を15年
制作・開発・マーケティング (1995~)
2. コンサルタントではなく実践者
事業会社でCMSを企画・導入 (2005~2008)
3. 運用改善の標準化と推進
楽天でアクセス解析・ABテスト (2008~)
文部科学省CMSアドバイザー委員
© 2009 Makoto Shimizu 2 / 51
- 7. A. 複雑化するコミュニケーション
なぜIA+CMSが必要なのか?
2. 企業(組織)の視点:管理コストが増加
• 発行物の種類や量が増えている
• コンテンツや機能も複雑化
• 納期短縮、見切り発車後の変更が多い
• 人が増え、事務や誤解も増える
• 原稿や指示書が見つからない
• すれ違いで手戻り
© 2009 Makoto Shimizu 7 / 51
- 8. A. 複雑化するコミュニケーション
参考文献:
コンテンツマネジメントパーフェクトガイド〔基本・計画編〕
Chapter 8. CMSが必要となる時期を把握する
コンテンツが多すぎる 寄稿者が多すぎる
コンテンツの項目 多様な執筆者
コンテンツタイプ 複雑な情報源
変更が多すぎる 発行物が多すぎる
コンテンツの処理量 コンテンツのチャネル
デザインの修正 パーソナライゼーション
図8-1 CMSが必要か否かを判断するために考えること
参考文献:コンテンツマネッジメントパーフェクトガイド〔基本・計画編〕、p.171
© 2009 Makoto Shimizu 8 / 51
- 11. B. コンテンツを管理するために
そもそも「コンテンツ」とは?
1. 人から人へ伝えるための情報
2. 8割は非定型・非構造型
3. 変化し続ける生物
相手や時期、見せ方によって意味が変化
編集を加え続ける必要がある
4. バリエーションやバージョンの派生物が多い
特徴を踏まえた管理(取り扱い)が必要
参考文献:コンテンツマネッジメントパーフェクトガイド〔基本・計画編〕、 p.40 データ・情報・コンテンツを定義する
© 2009 Makoto Shimizu 11 / 51
- 13. B. コンテンツを管理するために
「コンテンツ」を管理するための考え方
1. コンテンツのライフサイクルを管理する
収集 管理 発行
Web
執筆
制作 変換 他のシステム
統合 CMS
取得
印刷物(DTP)
参考文献:コンテンツマネッジメントパーフェクトガイド〔基本・計画編〕、 p.139
© 2009 Makoto Shimizu 13 / 51
- 15. B. コンテンツを管理するために
同時に情報の整理も必要
情報アーキテクチャ=IA
知識やデータの組織化を意味し、「情報をわかり
やすく伝え」「受け手が情報を探しやすくする」た
めの表現技術である。 (Wikipedia)
IAの構成要素
コンテクスト
分類・組織化
ラベリング(用語)
コンテンツ ユーザー ナビゲーション
検索
参考文献:Web情報アーキテクチャ、 p.24 参考文献:Web情報アーキテクチャ、 p.46
© 2009 Makoto Shimizu 15 / 51
- 16. B. コンテンツを管理するために
IAの方法論(ツール)
調査
ヒューリスティック調査/エキスパートレビュー
認知ウォークスルー
ユーザビリティ テスト
設計
ペルソナ/シナリオ
コンセプト モデル/コンセプトダイアグラム
カード ソート
コンテンツ インベントリ User ExperienceやHCD
サイトマップ (Human-Centered Design)
プロトタイピング において重要な役割を果たす
ワイヤフレーム
© 2009 Makoto Shimizu 16 / 51
- 17. B. コンテンツを管理するために
IAの設計による効果
1. コンテキスト + コンテンツ + ユーザー
2. 検索 + ボキャブラリ + ナビゲーション
把握・コントロールできるようになる
見つけやすく、伝わるようになる
情報が増えても管理が破たんしない
変化・変更に強くなる
© 2009 Makoto Shimizu 17 / 51
- 19. C. 制作・管理・発行はこう変わる
制作はこう変わる 制作 管理 発行
Before
発行物やチームにより異なるプロセス
• 制作アプリケーションの種類・バージョン・フ
ォーマット・作り方が異なる
最終アウトプットに特化した制作方法
• 納期が早い印刷物の制作がWebより先行
• 画像は色域が狭いCMYKで編集してしまう
R C
G B > M Y
© 2009 Makoto Shimizu 19 / 51
- 20. C. 制作・管理・発行はこう変わる
制作はこう変わる 制作 管理 発行
After
作る(素材)と使う(組版・配信)を区別
汎用的な素材を作り、集め、変換し保管
R
G B
制作
企画 執筆 編集 承認
変換
統合 CMS
取得
参考文献:コンテンツマネッジメントパーフェクトガイド〔基本・計画編〕、p.140
© 2009 Makoto Shimizu 20 / 51
- 21. C. 制作・管理・発行はこう変わる
管理はこう変わる 制作 管理 発行
Before
素材が共有されずに二重投資
• ファイルサーバーが満タンになりDVD保存
• InDesignで画像を抽出しWebチームへ
• 退職により関連ファイルがPCから消滅
© 2009 Makoto Shimizu 21 / 51
- 22. C. 制作・管理・発行はこう変わる
管理はこう変わる 制作 管理 発行
After
保証された内容と質と網羅性
• 内容を説明するメタデータ
使いやすい適度な粒度
• 制作者にとってのユーザビリティ CMS
誰がどこで使っているか検索可能
• 影響範囲を把握した上で変更/削除
基準に基づき廃棄される
• 契約切れ画像や低価値ファイルはノイズ
参考文献:コンテンツマネッジメントパーフェクトガイド〔基本・計画編〕、p.189
© 2009 Makoto Shimizu 22 / 51
- 23. C. 制作・管理・発行はこう変わる
発行はこう変わる 制作 管理 発行
Before
発行物ごとに並行、変更は手でコピーし反映
• 一貫性を保てない、コピペや変換で質劣化
製品カタログ(冬) 製品カタログ(春)
簡易版 簡易版
点字 点字
会報誌A 会報誌A 会報誌A 会報誌A
DM DM DM DM
© 2009 Makoto Shimizu 23 / 51
- 24. C. 制作・管理・発行はこう変わる
発行はこう変わる 制作 管理 発行
After
更新を他のシステムへ自動配信
レイアウト(組版)を一部自動化
• 変更も適用
Web
担当
他のシステム
CMS 担当
印刷物(DTP)
担当
参考文献:コンテンツマネッジメントパーフェクトガイド〔基本・計画編〕、p.247
© 2009 Makoto Shimizu 24 / 51
- 25. C. 制作・管理・発行はこう変わる
変わる結果
収集 管理 発行
R
Web
執筆 G B
制作 変換 他のシステム
統合 CMS
取得
印刷物(DTP)
把握・コントロールできるようになる
メッセージの一貫性が向上する
無駄なコストが削減される
多様な発行物に対応できる
© 2009 Makoto Shimizu 25 / 51
- 26. ただし…
現実は理想通りにはならない
作り方や考え方を変える必要がある
• 減るものもあれば増えるものもある
変革には大きな投資が必要
• 現場の草の根改善には限界がある
日本ならではの事情
© 2009 Makoto Shimizu 26 / 51
- 27. ISOもHCDのプロセスを改善の反復と定義
コンテンツ管理も同じ
利用状況の
把握と明示
ユーザーと組
要求に対する 要求事項を満
織の要求事項
設計の評価 たす
の明示
設計による解
決策の作成 試行錯誤と柔軟な
ISO13407 インタラクティブシステムの人間中心設計過程
対応が必要
How?
© 2009 Makoto Shimizu 27 / 51
- 33. D. 実践事例:楽天
ビジネスの拡大を見越して7年前に導入
1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年
33
© 2009 Makoto Shimizu 33 / 51
- 34. 更新件数(単位:件)
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
45,000
2002/04
2002/06
2002/08
2002/10
2002/12
2003/02
2003/04
2003/06
2003/08
2003/10
2003/12
2004/02
2004/04
D. 実践事例:楽天
2004/06
2004/08
2004/10
2004/12
2005/02
2005/04
2005/06
2005/08
2005/10
2005/12
2006/02
2006/04
2006/06
2006/08
2006/10
3,008,459 のファイル
2006/12
2007/02
2007/04
© 2009 Makoto Shimizu
2007/06
2007/08
8,060 のテンプレート
2007/10
2007/12
2008/02
2008/04
2008/06
650 人の社内ユーザー
2008/08
2008/10
2008/12
2009/02
2009/04
2009/06
0
2,064 のワークフロー(日平均)
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
9,000
テンプレート登録累計数(単位:件)
増え続けるコンテンツの管理を支えるCMS
34
34 / 51
- 35. D. 実践事例:楽天
短期の改善サイクル反復が可能に
常に実験・検証を行っている
Web解析やA/Bテストにより定量的に評価
変更は改善として奨励する文化
楽天にとってCMSは不可欠の「インフラ」
役割の明確化により容易な更新を実現
大量の配信を管理
35
/ 51
- 36. D. 実践事例:B2C
B2C企業のマーケティング用コンテンツ管理
サイトとコンテンツの増加で管理に限界
積極的なメディア展開のための先行投資
コンテンツをライブラリ化し、効率よく活用したい
効率・効果
投資するほど
er
Aft
有効活用できる
Before
コンテンツの量
© 2009 Makoto Shimizu 36 / 51
- 37. D. 実践事例:B2C
コンテンツのマルチユースが多い
大量の印刷物とWebサイトを管理
新製品は企画段階からコンテンツ制作を開始
大量の変更で更新漏れが発生
シングルソースのためにCMSを導入
ドキュメント管理とWebのCMSを併用
自動フォーマット変換やXML出力を導入
社内ポータルでコンテンツの再利用を促進
担当A 担当B 担当C
© 2009 Makoto Shimizu 37 / 51
- 38. D. 実践事例:B2C
画像や原稿、企画書なども管理が必要
関連ファイルが無いと再利用しにくい
使える部品を検索できることが重要
ソースドキュメント コンポーネント 複合ドキュメント
• 取材スクリプト • テキスト部品 • HTML
• レイヤー付画像 • 画像部品 • 印刷用PDF/X
• 企画書 • テンプレート
CMS
© 2009 Makoto Shimizu 38 / 51
- 39. D. 実践事例:B2C
予想以上に大規模なプロジェクトに
5年かけて段階的に導入
1. 制作・管理・発行プロセスを標準化
2. コンテンツを整理・構造化
3. 最後にシステム(CMS)を導入
2004 2005 2006 2007 2008
標準化 DAM
コンテンツの整理・構造化
制作・管理プロセスの構築
CMS導入
DM WCM
© 2009 Makoto Shimizu 39 / 51
- 41. D. 実践事例:B2C
各種システムを連携
CMSを中心にコンテンツを収集・管理・発行
検索・閲覧・入手
社内ポータル Web
DAM 信
配 API
他の
抽出・加工 Web システム
DM WCM
カタログ
DB
分散したリポジトリ 自動組版
手作業DTP
© 2009 Makoto Shimizu 41 / 51
- 43. D. 実践事例:官公庁
10万ページ以上のアーカイブサイト
既存の更新はほとんどない
毎週数百ページを追加
数年ごとにリニューアルを試みるが、上層階層
のみで断念→何世代ものデザインが混在
CMSでサイトをコントロールできる状態に
コンテンツと管理プロセスの整理を優先
既存コンテンツの移行は不可能と割り切った
管理業務が増えたため、専任チームを常駐
© 2009 Makoto Shimizu 43 / 51
- 44. D. 実践事例:官公庁
小さく始めて大きく育てる
未体験の業務プロセスは要件定義できない
想像ベースのRFPには限界がある
使ってみて分かることが多い
最初から変更を想定しておく
フェーズ分けして導入
例 • 管理対象を徐々に広げていく
• ワークフローは後から導入
• CMS導入後、毎月システムを改修
© 2009 Makoto Shimizu 44 / 51
- 45. D. 実践事例:官公庁
引越(リニューアル)は育てるチャンス
引越先の収納能力に合わせて量を調節する
不要なものは捨てる/アーカイブ化(退避)
引越日という締め切り(時間の制約)がある
ある程度割り切る大胆さが必要
次の引越しに先送りも
終わった後は整理されてキレイに
忘れていた不要物を捨てられる
価値あるモノは発掘されて利用促進
© 2009 Makoto Shimizu 45 / 51
- 51. E. 今後に向けた提言
コンテンツとノウハウを貯めて勝つ
蓄積こそが圧倒的な優位性につながる
工夫と改善を繰り返し、ノウハウを貯める
コンテンツを貯めて最大活用する
効果・効率
つ
圧倒的な
勝
て
優位性
め
貯
惰性で継続 頭打ち=
相対的に下落
時間
© 2009 Makoto Shimizu 51 / 51
- 53. (参考)オンラインで読める記事
ロフトワーク WebEXP.jp
『CMSとIA〜デジタル時代を生き抜く情報整理術』
1. CMSとIAの接点:溢れる情報を整理しよう
http://www.webexp.jp/feature/200811/20081125_cmsia1.html
2. コンテンツ管理の本質:リポジトリとは
http://www.webexp.jp/feature/200902/20090203_cmsia2_1.html
3. 音楽ファイル(MP3)をCMS流に管理しよう
http://www.webexp.jp/feature/200906/20090627_cmsia3_1.html
『CMS選定の表ワザ・裏ワザ』
ロフトワーク諏訪社長×楽天 清水氏のメール対談
http://www.webexp.jp/feature/200911/20091104_ascii1.html
© 2009 Makoto Shimizu / 51