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匠Methodで目指す
「ビジネスエンジニアリング」
後編 解説付き
株式会社 匠 BusinessPlace
代表取締役社長 萩本順三
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匠Methodモデル理解のポイント
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価値とは?
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・価値にはカタチがあるのか?
触れるもの?
見えるもの?
感じるもの、こと?
説明できる事?
・欲しい理由
なぜ人はモノをほしくなるのか?
・買いたくなる理由
人がモノを買いたいと思う理由。
高くても買いたくなる理由。
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【解説】
さて、ここから匠Methodを理解するためのポイントを解説しましょう。
まずは、匠Methodの中で「価値」をどのように捉えているのか説明します。
匠Methodで価値を対象とした見える化を行う必要性に気が付いた時に、
まず「価値とは何か?」という事を考えました。
価値は形として存在するもの?
感性で感じるもの?
なぜ人は価値を感じて、対象をほしいと思うのでしょう?
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価値のカタチ
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これほしい?
デザイン
・革新的、カッコいいライン、可愛い曲線
斬新なカタチ、元気になるカタチ
○ 全体的印象
・美しい、可愛い、綺麗、COOL!
・安心・安全、壊れない
○ 機能的印象
・多機能、使い易い、COOL!、新しい
楽しい
○ 価格
・安くて買いたい、高くて良さそう
○ 流行
・誰もが欲しがる、皆が持っている
○ 差別化
・自分だけのカタチや色
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【解説】
たとえば、自動車をほしいと思う場合
デザイン、全体的印象、機能的印象、などなど人によってグッとくるものが異
なるでしょうね。
また、流行っているから欲しい、流行らないニッチなものが欲しいと様々です。
それをここではこのような図として書いてみました。
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エンジニアリングと価値
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これほしい?
差別化 流行
デザイン
全体的印象
機能的印象
価格
デザイン形状に
構造を合わせる
楽しさ
使いやすさ
早い、強い
壊れにくい
多彩な機能、魅力的な機能
コストダウン
品質
バグがない
感覚的に使いやすい
感動的な機能性
ビジネス
価値
価値の実現
エンジニアリング
(外の価値)
(内なる活動)
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【解説】
先の図を、匠Methodでよく使用する「外の価値」、「内なる活動」に分けてみ
ました。
「外の価値」とは、外側つまりはビジネス価値のように、外側(顧客等)誰かに
提供する価値の事です。
「内なる活動」とは、「外の価値」を実現する際に必要とされる活動・行為の事
で、つまりは価値の実現(How)です。
匠Methodの考え方として、かならず「外の価値」を明確にして「内なる活動」
を洗練化させる事を常とします。
「内なる活動」、価値の実現こそ、これまでのエンジニアリングを発揮する領域
でしょうね。
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【解説】
また、「外の価値」も「内なる活動」と同様な課題が存在しています。
それは暗黙知の状態という事です。
暗黙知の状態は気づきにくいという特徴があります。
「内なる活動」が暗黙知として気づいていない状態では、
・仕事ができる
・学んだ事、応用が利かない
・人に価値を説明できない
という事象が見られます。このような場合、人に説明できないために自分の価値を理解してもらえな
い。せっかく良い仕事していても、周りに認めてもらえず成果が理解されないなどといった問題があり
ます。
同様に、 「外の価値」が暗黙知として気づいていない状態では、下記の事象だけが見られ、その原因
までは理解できないものです。属人的に成功している場合は、次の成功する可能性が低いという事も
言えるかもしれません。
・成功している事実(属人性)
・失敗する原因不明(属人性)
また、このような状況では、お客様からお褒めいただいてから気が付くという控えめな日本固有の特
徴が出すぎてしまい、強化すべき点を意識して強化する事ができず勿体ない状態であり、ビジネスス
ピードを減速させます。
つまりは、 「内なる活動」と同様のテーマが「外の価値」にも存在しており、それをよりよい方向へ誘う
には新たなエンジニアリング的手法が必要とされていると考えました。
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欲しくなる魅力はどこにある?
• 実は身近な所に存在する!
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消費者
これほしい
プロジェクトのメンバー
「これやりたい」 魅力的な
リーダー
魅力的な
プロジェクト
システム開発のユーザ
「これ欲しい」
企業
「あの企業に入りたい」
システム
要求
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【解説】
価値だ!、価値だ!というと引いてしまう方もいるかもしれません。
しかし価値はどこにでも存在しているものなのですよ。
というか、価値を意識するという事は、どこにでも良い結果をもたらすのです。
実際に、価値を匠Methodに導入してからというもの、チームメンバーの目の色が変化していく
のが手に取るように分かるので僕自身驚きました。
これは、価値を感じるためには、組織、会社という枠組みを外した外側から物事の本質を見抜く力に
つながり、それがパワーとなるのかと思います。
価値を表現する事は恥ずかしいという事はありません。その価値は何なのか、誰に対するものなの
か、常に問う自分を持ちましょう。そのような考え方で「価値分析モデル」は作られています。
価値分析モデルは、実は匠Thinkという要求開発シンキングの下記の言葉に対する演習から生まれ
ました。
「目的だけでは足りない、目的の価値を問え」
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ビジネス価値を描いてから作るということ
あなたにも関係する。
=>自分の意識改革
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個人としての価値
自分の能力をブランディングできていますか?
部門としての価値
皆さんは、部門のブランディングができていますか?
会社としての価値
会社の強みを外に
ブランディングができていますか?
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【解説】
このような考え方で生まれた匠Methodのモデルは、小(自分)、中(部門、製品)、大(企業、社会)と
いうように、小さな課題から大きな課題まで同じ方法で使えるものとして考えました。
本質的に素晴らしい本物であれば、大小変わりなく使える本質を元にしているという事が僕の信念に
あります。
ですので、会社の価値を考える人は、部門も自分自身の価値も考える力が備わるべきという考えが
あります。
そこに匠Methodの価値分析モデルの本質があります。価値分析モデルに登場するステークホルダに
は、会社もあれば、社長もいるでしょう。また、自分たちチームも存在しているでしょう?
それらの価値を考える事こそ、この価値を描く訓練となり、そのうち組織や会社を超えた次元で物事
を見たり、少しスコープを絞って部門で考えたり、あるいはもっとスコープを絞り自分も存在するチー
ムの価値を考える。
そんな事を繰り返す事で、頭が元々潜在的に持っていたクリエイティブ思考に切り替わるのです。
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ビジネス価値を描いてから作る
=>エンジニアリング改革
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価値の実現
エンジニアリング
ビジネス
価値
(外の価値)
(内なる活動)
オーナ(戦略的視点)
業務・営業
(業務問題解決の視点)
IT担当
(IT活用の視点)
ビジネス価値を描く活動
(要求開発・こたつモデル)
・価値を描くことでブランド形成、プロモーションを
早期に実施可能となる
・価値を描くことで内部活動は洗練化・最適化できる
・価値を描くことで作りの目標となる
・価値を描いて公表する事で、内部の明確なミッション
となる
効果
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【解説】
匠Methodは個人のテーマでも活用できるようになっています。たとえば自分自身のキャリア開発の目
標定義などです。
しかし、一般的な使い方としては、ビジネス企画です。
ビジネス企画チームは、図のように要求開発のこたつモデルを形成します。
こたつモデルとは、オーナー、業務(または営業)担当、IT担当という役割を持つ人たちをチームに入
れて、その3つの役割でプロジェクトを進めるという考えです。オーナーは、そのビジネス企画を行う
企業の役員またはビジネスプロダクトのオーナーです。
コタツモデルを僕が考えた時は、3つの視点を重視しました。
1つは、オーナーの戦略的視点です。この視点は、中長期的な価値を追い求める傾向にあります。
2つめは、業務問題解決の視点です。この視点は、現在の価値を追い求める傾向にあります。
この2つの視点で、将来の価値を「ビジョン、コンセプト、戦略」として描き、そのうえで現在の価値(現
在やるべき事)を考えるようにするのです。
そして3つめは、IT活用の視点です。これは今のビジネスITが絡まない事が少ないため、価値を描く
際にその手段としてIT活用をイメージする事を同時に行うわけです。これを匠Thinkでは「結果イメー
ジの予測」という言葉で表現しています。
コタツモデルのチームは、3つの役割を持つ人たちを集めるという考えの前に、3つの視点を1人が持
つべきという事をチーム全体に浸透させる事を重視しています。
中長期的な価値と現在の価値を両方持つというのは、実は、僕がIT企業に飛び込んだ際に考えてい
た自分戦略なのです。匠Thinkの言葉にも「現在の価値と将来の価値を考える」という言葉で、この事
の重要性を表しています。また匠Method for Productのユーザコンセンサスモデルも実はこの発想に
より作成されたものなのです。
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心地よい価値の表現=>共感 事例
価値デザインモデル
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匠BPの場合
ビジョン
コンセプト
言葉
意味 ストーリー
デザイン
オノ作りをITに変えた現代の匠
を創出する。
匠BPのビジネスの仕組みを
・匠メソッドで証明
・雑誌等で説明
IT業界をより価値を生み出す業界に変革し、日本企
業(ユーザ企業)を強くする。
現代の匠とは、
・職人気質を取り戻すこと
・ITをビジネスに繋げる道筋を知っている事
「匠」という漢字のオノ作り
をITで表現する
英字と漢字を融合したロゴ
(世界初かな?)
※匠Method ビジネスエクスペリエンスより(2012.4)
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【解説】
この図は、匠Methodのモデル「価値デザインモデル」のベースとなったものです。
これは僕が価値形成を行う際に、「心地のよい価値」をデザインする時に使用してきたものです。
匠Methodのモデルに採用された価値デザインモデルは、コンセプトを3つの文章で構成しますが、そ
れ以外はこの図と同じです。
ビジョン…プロジェクトのビジョン、夢、向かうべき方向性
コンセプト…3つのコンセプト(コンセプトとはビジョンを達成するために重要とする思想や機構)
言葉…全体感を一言で説明するキャッチフレーズ
意味…ここで表現したいプロジェクトの価値の全体的説明
ストーリー…なぜ必要なのか、あるいは、価値獲得までの道のりをシナリオとして表現
デザイン…ここで表現したいプロジェクトの価値をデザインとして表現
(例) 匠BusinessPlaceの企業価値
ビジョン、言葉、意味、デザイン、ストーリーの全体に統一感がある
これにより「心地よい価値」を演出するのです。
ちなみに、実際のストーリーは企業秘(^^。匠メソッドで証明といった形で省略して書いています。
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価値の表現(価値デザインモデル)
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~心地よい価値の表現=>共感~
自動車メーカーの場合(BMW)
ビジョン
コンセプト
言葉
意味 ストーリー
デザイン
駆け抜ける喜び
メカニズム(エンジニアリング)
・シャーシ、ハンドリング、エンジンのバランス
・エンジンオブザイヤーを毎回獲得
・乗り味の最後の味付けは職人が担当
ECOを目指しつつ、走る楽しさを失わない
単なる移動体ではなく
走ることに喜びを感じる
知的かつスポーティなデザイン
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【解説】
この図は、自動車メーカーBMWの例ですが、これはあくまで僕が勝手に書いたものです。
ここで、ストーリーは、エンジニアリングの方向性を示しました。
価値と、その価値を獲得するためのストーリーがセットとなり、実際の価値形成を行いブランディング
に繋げているという例です。
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価値の表現(ストーリーの重要性)
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ストーリーストーリー
人が魅力を感じるモノにはストーリーがある。
もの
価格
機能性
見た目
デザイン
企業のストーリー
(アップル)
創造者のストーリー
(ジョブズの生きざま)
製品のストーリー
(製品の成長・コンセプト)
製品の活用ストーリー
(ライフサイクルにおける活用)
表層的価値 深層的価値
一見してわかる
いつの間にか人の
心に忍び込む
価値の
持続性
長い短い
※匠Method ビジネスエクスペリエンスより(2012.4)
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【解説】
ここではiPhoneを使って価値の「表層的価値」と「深層的価値」を説明しています。
この考えは僕が価値を追いかけていくうちに見えてきたものです。
ここで、「深層的価値」は、実際に目に見えるものではなく、ストーリーとして頭にインプットされている
という事実を理解しました。そしてストーリーは。いつの間にか人の心に偲び込み、価値の持続性は
「表層的価値」より長いと思うのです。
このストーリーを作りだすというのは、製品開発にも企業にもとても重要な事ではないでしょうか?
それ以外に、プロジェクトリーダがプロジェクトの魅力作り(チームの内外に向けて)を行う際にも重要
なものです。
しかし、深層的価値は疎かにしがちです。
深層的価値は、ストーリーとして表現します。ストーリーには色々ありますが、ひとつだけ特殊なもの
としては、利用(活用)シーンです。(詳細は割愛しますが、このストーリーの開発が次の匠Methodの
テーマとしています)
このストーリーの部分を、価値デザインモデルのストーリーの参考してください。
以上が価値デザインモデルの説明です。
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【解説】
この領域を発見し、そこにいる何らかの役割を持つステークホルダを洗い出すのが、ステークホルダ
モデルなのです。ステークホルダモデルは割愛します。
この図は、領域の一例です。
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価値分析モデル
• 価値分析モデルは次のようにステークホルダの価値とプロジェクトの目的(言い変えるとプロジ
ェクトの戦略)を表すものです。次ページよりモデルの説明を行います。
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【解説】
次は匠Methodのモデル「価値分析モデル」の説明です。
「価値分析モデル」は「価値デザインモデル」と同様に、価値をデザインするためのモデルであり、ビ
ジネス企画のスタートラインで行うモデルです。
「価値分析モデル」は、先ほど挙げた「ステークホルダモデル」というプロジェクトに深く関わるステーク
ホルダ(利害関係者)をモデル図にした後に行いますが、これは割愛します。
「価値分析モデル」は、プロジェクトが成功し目的が達成した際に、ステークホルダが、どのような嬉し
い事言葉を発するかを一生懸命考えて記述するものです。また、その記述の中に一部「嬉しい状態
を作りだす仕組み」を記述します。魅力的な言葉を開発するという感覚が必要です。
嬉しい言葉はかならず「嬉しい」といった感情の表現を行ってください。これはプレゼン資料解説の前
編で書いたように、嬉しい、良かった、などといった感情の表現を行う事で、参加者や価値分析モデ
ルを見た人が自然とポジティブ思考になったり、クリエィティブ思考になるからです。なかなか表現が
見つからない場合は「嬉しい」を連発してもかまいません。また、本当にステークホルダがこんな言葉
を発するだろうかと考える事ができやすくなります。
記述方法の詳細は省略しますが、価値表現は戦略的視点を入れましょう。嬉しい言葉に「△△によっ
て○○が効率化できるようになり楽になって嬉しい」と書くのではなく、「 △△によって○○が効率化
できるようになり、本来の拡販業務に集中できて嬉しい」と書くのです。
また、目的にはプロジェクトで達成すべき目的を記述します。これは最初から考えていた事を書いてく
ださい。そして初めに書いた価値の文章と目的を色・記号等で繋げます。すると、目的があるのに価
値の記述がないとか、価値の記述があるのに目的がないなどの発見があるでしょう。
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価値分析モデルの効果
① プロジェクトゴールの効果
プロジェクトが達成すべきゴールを価値表現(ステークホルダの嬉しい言葉)で行うため
に、何がゴールなのか事前に合意形成できる。
② プロジェクトの道しるべとなる
プロジェクト進行中に価値分析モデルを読み直す事で、価値を達成するための課題に取り組んでい
ることを確認する事ができる。
③ プロジェクト評価
プロジェクトがカットオーバーされた後、本当にステークホルダに書かれた価値の言葉を言って
いただける状態であるかどうかでプロジェクトを評価できる。
④ 目的(戦略)の検証
価値分析モデルは、価値からプロジェクト目的を導き出すために、プロジェクト目的が価値によ
り検証できている。つまりは、手段的なプロジェクト目的で進まない。
⑤ 価値とプロジェクト目的の関係付け
価値とプロジェクト目的の対応付けができているため、プロジェクトのそもそもの目的に繋げら
れていないといった価値主導の落とし穴を回避できる。
⑥ 参加者が価値に目覚める
コタツメンバーがステークホルダの価値を考えているうちに、価値に目覚める。参加者が価値に
ついて議論をしたり考える時間が増え、クリエィティブな視点を以前より多く持つ事につながる。
⑦ ステークホルダの巻き込み
実際にステークホルダをプロジェクトの有用性を理解してもらう際に、価値として作成した文章を
活用する。
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32. Copyright (C) 2014 Takumi Business Place Corporation All Rights Reserved.
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【解説】
「価値分析モデル」をプロジェクトで使ってみると、様々な効果を検証できました。
僕の思っていた数倍の効果が見られました。
プレゼン資料解説の前編でも書きましたが、 「価値分析モデル」は、匠Thinkの「目的だけでは足りな
い、価値を問え」という言葉の演習から生まれたものです。当初は目的から考えて、ステークホルダ
の価値に繋げましたが、匠Methodのモデルになってから、ステークホルダ=>価値の記述=>目的
の順に作成するようになりました。
おそらくやればやるほど効果を実感できるモデルだと確信しています。
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価値分析モデル
• 価値分析モデルの作法
① 価値分析のステークホルダは、外部(赤)と内部(青)で色分けすると良いでし
ょう。更に外部を直接のお客様(赤)とパートナー (黄色)に分類するのも良
い方法です。
② 価値の言葉と目的(プロジェクト)を色で対応付けします。もし白黒印刷を前提
とするならば記号を付けて対応付けしてください。
ステークホルダ
価値
(嬉しい言葉)
目的
(プロジェクト戦略)
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【解説】
「価値分析モデル」の書き方の作法を少しだけご紹介します。
ちなみに、モデリングツールはastahがお勧めです。
http://astah.change-vision.com/ja/
ただし、価値の記述などはコメントを使っています。それで十分です。
これは僕が平鍋さんとお友達だから言っているわけではありません(^^
本当に使える便利で、フリーでも使えるツールだからです。モデリングツールを使うと、その再編集や
再利用時に非常に効果的です。また、編集機能でパワーポイントなどにも簡単に貼り付けできます。
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要求開発4象限(切れた世界をつなぐ)
ビジネス
戦略
戦略・要求 オペレーション
ビ
ジ
ネ
ス 表(価値) 裏(実現)
システム要求
シ
ス
テ
ム
表(価値)
裏(実現)
システム開発
表(価値) 裏(実現)
What How
What
How
What How
業務
オペレーション
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【解説】
次は要求分析ツリーを説明します。
その前に、匠Methodのベースとなる要求開発方法論の要求開発4象限についてお話しします。
要求開発4象限は、僕が2006年ごろに要求開発のベースを考えていく際に、経営者にも開発者に
も要求開発を端的にわかり易く説明する図として考え出したものです。
この図は、ビジネス企画の領域として「ビジネス戦略」、「業務オペレーション」、「システム要求」があ
り、その下位にはシステム開発があります。
ここで表しているのは、戦略側から「Howの手さぐり」と「Howの突き上げ(イノベーション)」や「Howの
チューニング(試行錯誤)」などという匠Thinkの言葉で説明している行為によってはじめて価値形成
が可能となるという事です。
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壁を壊して、合意形成の場を形成する
戦略的
視点
技術活用の
視点
業務の
視点
ビジネスにとって
価値のある
要求・要件
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こたつモデル
トップ&プロダクトオーナー
業務部門開発部門
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【解説】
この図は、こたつモデルを示しています。
このこたつモデルのメンバー(または視点)で、先に挙げた4象限の「戦略」、「業務オペレーション」、
「システム要求」の姿を「Howの手さぐり」「Howからの突き上げ」により見える化します。
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要求の構造的な階層化(要求分析ツリー)
要求を上位・中位・下位で関係付けて見える化
できる枠組みがある。
学生サービス
の重点拡充
新サービスビジネスモデル
の早期確立
標準業務モデル
の確立
業務支援
システム構築
業務要求 IT要求
○○による
業務システム構築
商品管理の○○を
××に改善する
○○視点での
使いやすさ重視安心品質の確保
業務負担の
軽減
利用代理店IDが
増大することを
見込したID管理
利用代理店IDが
増大することを
見込したID管理
システム開発費
維持費の削減
戦略要求
ビジネス
戦略
ビジネス
オペレーション
戦略・要求 オペレーション
ビ
ジ
ネ
ス 表(価値) 裏(実現)
システム要求
シ
ス
テ
ム
表(価値)
裏(実現)
システム設計
表(価値) 裏(実現)
What How
What
How
What How
要求分析ツリー
要求開発4象限
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【解説】
ここでようやく要求分析ツリーがでてきました。
このこたつモデルのメンバーで、戦略要求、業務要求、IT要求を導き出します。
要求分析ツリーは、要求開発方法論で生み出されたモデルです。
発案者は山岸さんであり、元々の僕の作成した要求開発方法論v0.6のトップダウン分析とボトムアッ
プ分析をくっつけたような構造になっていますが、非常に素晴らしいモデルとなっています。
要求分析ツリーは、匠Methodのオリジナルではありませんが、匠Methodでは、要求分析ツリーの要
求エリアを「戦略要求」「業務要求」「 IT要求」の3つに分類し、活用する目的をプロジェクト戦略に絞り
込みをしました。
また、要求分析ツリーの戦略要求や業務要求、IT要求の要素を、価値分析モデルや価値デザインモ
デル等から導き出すという価値=>要求(戦略、業務、IT)トレーサブルな世界を作りだしました。
それにより、下記のような効果が匠Netメンバー(匠Methodライセンシー企業)からでています
・プロジェクト要求の絞り込みが戦略から見て行えるので非常にやり易く、要求の爆発が防げる
・業務要求やIT要求は、そもそも何のために必要かという意味が、戦略や価値という次元で説明可能
・上層部門にIT予算を通す際に、説得力が増す。
・本来実現すべき要求の検証が上位層で可能となるために、システム化効果が明らかに高い
・要求分析ツリーで、ツリー上の枝ぶりをStep1,Step2<Step3といった風に分類でき、プロダクトのロー
ドマップを視覚化できた。
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点の要求
要求定義の改善1
価値
戦略要求
業務要求
IT基本要求
システム
要求
上位要求への階層的表現
と合意形成
上位What-Why
ここから
下はリアル
な要求イメージ
表現だけにする
これまでの要求分析・要件定義は点の
要求を詳細化しているにすぎなかった
のではないでしょうか?それでは、
要求は定まらず要求爆発が起こります。
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【解説】
ここでこれまでの要求定義の問題を振り返ってみます。
これまでの要求定義は「点の要求」を多大なドキュメントとコストを使って詳細化してきたのではないで
しょうか?
それよりももっと上位にある業務要求や戦略要求そしてその価値を匠Methodを通して見える化する
ことで、要求があまり変わらないという現象が生まれてきました。
「要求は変化する」これは事実です。しかし、「要求が変化している」という現象の中には、上位要求を
デザインせずに、進めてしまっているという大きな問題があるのです。
要求工学の将来はここにあると考えています。
この図は、要求の構造を階層としてとらえている見える化であり、これがまさに価値モデル(価値デザ
インモデルと価値分析モデル)と要求モデル(要求分析ツリー)の組み合わせなのです。
点の要求から階層的要求へ!
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面の要求
(プロセスの要求)
要求定義の改善2
業務要求
IT基本要求
システム
要求
面の要求(業務変更、新業務からの要求)
業務変更
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【解説】
もうひとつ要求の構造として重要となるのが、「面の要求」です。
IT要求の上位要求としての業務要求は、業務の流れで形成されており、業務要求の検証は業務プロ
セスで捉えるべきという事です。そのために、匠Method for Service(ビジネス企画メソッド)では、ビジ
ネスコンテキストフローという最もレベルの高いフロー(バリューチェーン的)を記述して、そこに要求
分析ツリーの業務要求との関係性を確認したり、要求分析ツリーの業務要求を業務の流れの検証と
して、ビジネスコンテキストフローを活用しています。
この2つの要求表現が重要であり、点の要求の詳細化は、すべて作ってみようですよ(^^
つまりは、IT化ができやすくなった今、文書化するより動くもので要求の価値を証明した方が、どれだ
け効率的でわかり易いか考えてみましょう。
昔で言うと「プログラムのロジックをフロー化していた時代」が点の要求表現であり、現在では、それ
はプログラムして検証するといったアプロ―チに変化しているという事実から学ぶべきなのです。
点の要求から、階層と面の要求へシフトせよ!
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匠には誰もがなれるわけではない
匠を目指そうとするものだけに、その権利は与えられる
hagimoto@takumi-businessplace.co.jp
www.takumi-businessplace.co.jp