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Chapter 1.
Rethinking Clinical Science
and Practice
Process-Based Therapy勉強会
2022年3月23日
菅原 大地(筑波大学)
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自己紹介
自己紹介
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◼ 名前:菅原 大地
◼ 学歴:金沢大学→筑波大学(修・博)
◼ 専門:
sugawara@human.tsukuba.ac.jp
臨床心理学
感情
心理学
ポジティブ
心理学
テーラーメイドCBTアプリ
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◼ 個別アカウント管理
◼ 30個程度のワーク(今後も増やす予定)
◼ サンプリング調の効果測定
◼ ネットワーク分析+機械学習
PBTを学ぶきっかけ
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9th World Congress of Behavioural and Cognitive Therapies(2019)
PBTを学ぶきっかけ
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紹介論文書いても
いいですか?
いいよ
青い本以外に
お勧めありますか?
これらだよ
+論文多数
本が出る前にPBTを
学べますか?
オンライン研修
があるよ
もっと学ぶには
どうすればいいですか?
ACBS(Association for Contextual Behavioral Science)にPBT
のWGがあるから入ったら?
PBTを実践するために
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プロセス変数
◼ 信念 などなど
◼ アクセプタンス などなど
◼ 反すう などなど
◼ 自己効力感 などなど
◼ 価値 などなど
◼ コーピング などなど
治療技法
◼ 随伴性マネジメント
◼ 刺激統制法
◼ 行動活性化
◼ 認知再構成法
◼ 注意訓練
◼ マインドフルネス などなど
学ばなくてはいけないことがいっぱい
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第1章の要約
第1章の要約
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◼ PBTは心理療法の治療効果を高めるための考え方であり,
新しいセラピーや技法ではない
◼ 診断とプロトコルベースから,個人とプロセスベースへ
We believe that what we are seeing is the end of an era—
and the beginning of a new one.
It’s time for something fundamentally different.
If you are ready to begin, so are we.
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ビルとサラ
ビルとサラのやりとり
ビル
失恋によって
落ち込む日々
サラ
新米セラピスト
CBTが専門
構造化されたCBT
上手く治療
ができた!
さすがCBT!
BDI ↓
自分が望んでい
るものには近づ
けていない
孤立感,孤独感
12週後
「精神疾患」をターゲットにする難しさ
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◼ Covid-19 = 明確なバイオマーカーが存在する
→ゆえにワクチン接種による予防ができる
◼ 精神疾患 = 明確なバイオマーカーは存在しない
→それにも関わらず,遺伝子や脳神経回路の異常を
前提とした診断とその治療法が提唱されてきた
※精神疾患の理論に基づいていたDSMやICDも,次第に生物,心理,
発達的なプロセスの機能不全によって説明するようになっていった
CBTの発展と失ったもの
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良かったこと
◼ 薬物療法と同様の効果がみとめられる
◼ 有名な精神医学系の雑誌にも研究が掲載される
◼ 様々な疾患・治療に関するメタ分析が増える
悪かったこと
◼ 理論・メカニズムが軽視され,疾患ベースの介入となり,
治療の効果も高まっていない
◼ 心理療法・ケアを利用する人の割合も減っている
DSM→RDoC(Research Domain Criteria)
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RDoCがもたらした変化は何か?
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◼ DSM/ICD=臨床家の評価や症状の報告
◼ RDoC=生物学的・行動的な評価
→これらは潜在疾患モデルが正しい,という前提で成り立つ
→もし潜在疾患モデルが成り立たなければRDoCがもたらす
変化は小さい
◼ RDoCの枠組みにそっても,個人の複雑さとそれに合わせた
治療法が開発されていない
PBTとは
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◼ PBTは,新しい心理療法ではなく,エビデンスに基づいた
心理療法の新しいモデル
◼ プロセスの変化を理解し,それをターゲットとする
◼ 何を行っているか(content)より,どのように機能(function)する
かに着目する
◼ オリエンテーション(行動療法,精神力動療法)に縛られない
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◼ 人は「診断カテゴリーそのもの(例:うつ病)」ではなく,
それぞれの物語や歴史,目標がある
→実践家は,人々の苦しみに対して,わざわざ診断名や
ラベルを付ける必要はない
→治療のために必要となるのは,心理的,生物・生理学的,
社会文化的に起こる変化のプロセスに適応可能なモデルを
示すことである
PBTの根底にある考え方
プロセスに基づく利点
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◼ 個人に合わせ,多様な問題を解決可能である
→学派やオリエンテーションにこだわる必要はなくなる
→クライエントのニーズと,変化のプロセスに焦点を
当てることによって,ある個人 (idiographic)にも,
その人以外(nomothetic)にも適応可能な統合的なアプローチ
を開発することができる
PBTの理論的枠組み
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◼ PBTの理論的枠組み
×「何療法が効果的なのか?」
〇「どのように心理療法は作用しているのか?」
◼ PBTの目標
機能分析,複雑ネットワークアプローチ,これまで研究
されてきたプロセス変数の知見を活かす
→個人の目標や変化,治療の段階に合わせて,
どのプロセスをターゲットにすればよいか,
どのようにすれば最も効果的であるかを把握する
プロセスに基づいた機能分析
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◼ プロセスに基づいた機能分析(process-based functional analysis)
PBTでは,文脈や特定の行動の有用性を考慮するために,
機能分析を応用する(→第3章)
→そのために治療的手続きと治療的プロセスを区別する
◼ 治療的手続き(Therapeutic procedures)
セラピストがクライエントの治療目標に到達するための技法
◼ 治療的プロセス(Therapeutic processes)
クライエントが治療目標に到達するための,生物・心理・社会的
変化の根底にある一連の変化
拡張進化メタモデルの導入
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◼ 臨床家によって,オリエンテーション,考え方や捉え方,
好きな治療戦略も異なる
・PBTはそのような多様性を制限するものではない
・オリエンテーションに関わらず,いかなるエビデンスに
基づくプロセスの変化を扱える介入の観点が必要
→Extended Evolutionary Meta-Model (EEMM)
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考察・発展的な議論
考察(雑感も含む)
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◼ Learning PBTを読んだり研修等に参加して思うこと
・PBTの普及にかけている熱い情熱とこれまでの反省
(世代性?)
・認知行動療法の枠組みを超えて,心理療法を統合する,
あるいは各療法の架け橋となる考え方
・何かを学ぶ・習得するというよりも,これまでの
臨床心理学研究や実践を振り返ることに意義がある
(ような気がする・・・)
考察(雑感も含む)
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◼ PBTの新しさの根底にあるもの
• ビルとサラの例を見ても,海外(アメリカ)と日本では
心理職者の教育制度や社会から求められているものが
異なっている
・テーラーメイド的に介入することが効果的であることは
良く分かる
→オリエンテーションに縛られない枠組みを打ち出した
ことがPBTの新しさ?
発展的な議論
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◼ PBTがもたらす変化は?
・集団→個人
・平均→変化のプロセス
・効果の有無・効果の大きさ→効果の予測・最大化
・モデルの検証→ネットワーク分析
研究の方向性の変化はイメージしやすいが,
実践に対してはどこまでインパクトを与えるのだろうか?
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・菅原大地・増山晃大・福井晴那・能渡綾菜・水野雅之・松本昇 (2020). Process-Based
Therapy―認知行動療法の新たな展開― 精神医学, 62(11), 1539-1547
・Hofmann, S. G. & Hayes, S. C. (2020). Beyond the DSM: Toward a process-based alternative for
diagnosis and mental health treatment. Oakland, CA: Context Press / New Harbinger Publications.
・Hayes, S.C. & Hofmann, S.G. (2021). Third-wave” cognitive and behavioral therapies and the
emergence of a process-based approach to intervention in psychiatry. World Psychiatry, 20(3),
363-375. https://doi.org/10.1002/wps.20884
・Hayes, S. C., Hofmann, S. G., Stanton, C. E., Carpenter, J. K.,Sanford, B.T.,Curtiss, J. E.,Ciarrochic, J.
(2019). The role of the individual in the coming era of process-based therapy. Behaviour Research and
Therapy, 117, 40-53. DOI: 10.1016/j.brat.2018.10.005
・Paul, G. L. (1969). Behavior modification research: design and tactics. In C.M.Franks (Ed.),
Behavior therapy: Appraisal and status (pp. 29–62). McGraw-Hill.
参考文献

Learning Process-Based Therapy_Chapter 1 (Book Club Japan).pdf