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経営戦略入門
競争戦略 (3)
製品サービスのライフサイクルが及ぼす影響
0. 製品サービスのライフサイクルとは
• 製品サービスにも「一生」があり、時間の経過と共に変化
• いつでも「一本調子」というわけにはいかない
• 一定の予測できるパターンの存在
• 予測に基づく競争戦略の策定(カスタマイズ)
• 製品ライフサイクルの典型
• 導入期、成長期、成熟期、衰退期
• ステージにあわせた競争戦略策定、実施
1-1. 導入期
• 新製品(サービス)を市場に導入し始めた時期
• 顧客は限定的
• 新しいもの、珍しいもの、自分のライフスタイルをかえるこ
とに積極的な「イノベーター」
• 売上高は小さい
• 利益もマイナスか小さい
• 競争はほとんどない
1-2. 導入期の目標と施策
• 競争戦略の目標は「市場の拡大」
• 他社とも共同して市場を大きくする
• 市場が拡大しない理由とは??
• 製品(サービス)の存在を顧客が認知していない
• 顧客に供給する体制が整っていない
• 生産およびサービス提供体制の不足
• 不良品の多さ (歩留まりの低さ)
• 流通経路の整備不足
• 製品(サービス)の価格が高い
1-3. 導入期、ネットワーク外部性
• ネットワーク外部性
• 「製品(サービス)の価値が使用
している顧客の数によって決ま
る」現象
• 「普及していないことが普及を妨
げる」現象の発生
• 直接的ネットワーク外部性
• ユーザ数が影響を及ぼす場合
• 間接的ネットワーク外部性
• 補完財が影響を及ぼす場合
• 家庭用ゲーム機の事例
• 顧客を積極的に増やす施策例
• 非常に低い価格設定
• イノベーターに限定した「特価」
の提示
• 無償の試供品、β版、テスター
などの配布
• 補完財を充実させる施策
• 補完財企業への資金的援助
• 補完財企業に対する「未来のシナ
リオ」の提示
• 補完財企業の先行投資の促進
• 自社による補完財の提供
2-1. 成長期
• 製品(サービス)が認知され、顧客が急速に増える時期
• 顧客は一部の顧客から大衆へ
• 早期大衆
• 比較的新しいものを好む大衆(マス)
• オピニオンリーダー
• 社交性があって、周囲の人達に影響を及ぼす顧客
• 売上高、利益共に急速に増加
• 売上と利益を目指して多くの企業が参入し、競争が激化
2-2. 成長期の施策
• 急速に増える売上と利益を狙って、多数の企業が参入
• 市場拡大の「仲間」だった企業も「ライバル」に変化
• 競合企業への対応が重要
• 主要な競合企業よりも速く成長することを目指す
• 市場の成長と自社(ブランド)の成長を区別
• 成熟期を見越したポジション取り (布石を打つ)
• 成長期は生産設備、シェルフスペースが自然に増える
• 「成熟期に入ってからのシェア争いは難しい」
• 生産設備、シェルフスペースを、他社よりも積極的に増やす
• 自社のブランドに対する選好を獲得
3-1. 成熟期
• 製品(サービス)が市場に行き渡り、顧客の増大が鈍化する時期
• 顧客はマスの中の慎重な人達
• 後期大衆、追随者
• 売上高はゆっくりと増加もしくは下降
• 利益は下降気味
• 企業数は多い
• 成長期に参入した企業が残るため
• 次第に撤退する企業も現れ、減少基調
3-2. 成熟期の競争
• 成熟期には市場が拡大しない
• 限られたパイを奪い合う競争 (ゼロサムの状況)
1. 激しい競争が展開される場合
• 自社の顧客を離さない、他社の顧客を奪う
• 自社に対するブランド・ロイヤリティを確立
• 競争ポジションに応じた競争戦略 (後述)
2. お互いに競争を避けあう場合
• 利益を確保するために差別化をして棲み分ける
• 企業活動の目標はシェアではなく利益
3-3. 成熟期の戦略定石
• 競争パターン、自社のポジションによって戦略定石は異なる
• 多くの産業が「成熟期」の中で競争
• 自動車
• ビール系飲料
• 日用雑貨品
• ファーストフード
• コンビニエンスストア
• 限られた需要(顧客)をいかに奪うかという点で戦略的思考法が
試される
4-1. 衰退期
• 製品(サービス)が十分に行き渡
り、一部では使用されなくなる
時期
• 顧客は取り残された一部の顧客
• 遅期追随者 (ラガード)
• 売上高は下降
• 利益は、低水準もしくはゼロ
• 利益が見込めないため退出する
企業が現れる
• 競争状態が緩和
• 製品サービスのコモディティ化
が進む
• コモディティとは、単に価格のみ
で選ばれる製品(サービス)群
• 衰退期の戦略的課題
• コモディティ化にいかに対処する
か
• 需要に比べて過剰な生産能力をい
かに活用するか
4-2. 衰退期のオプション
1. 撤退
• タイミングを見計らって、製品サービスの提供を停止
2. 継続
• 残存者利益を確保
• M&Aなどによって業界再編を仕掛ける
• 他社の撤退を促す
3. 用途開発、技術革新
• 需要が伸びる余地(新しいニーズ)を見いだす、創り出す
4-3-1. 撤退
―難しい撤退のタイミング―
• 撤退の難しさ
• それまで投入したヒト、モノ、カネ、情報を切り捨てる必要
• ステークホルダーとの関係性
• 顧客、取引先への配慮
• 市場縮小の予測が困難
• 「我が社なら大丈夫」「まだ事業が成立する」
• 「できれば下したくない意思決定」だが必要な場合もある
4-3-2. 継続
• 競争が緩和される分野で利益を上げる
• 「残存者利益は待っていれば手に入るものではない」
• 生産や流通コストを見直して利益を確保
• 他社の撤退の可能性を推し測る
• M&Aや業務提携などを仕掛けて業界再編
• 残存者利益以外の継続への「想い」
• 富士フイルムの事例
4-3-3. 用途開発、技術革新
• 成長の余地があるターゲット・セグメントに再焦点化
• 特殊なニーズを持つ小規模市場(ニッチ市場)を見出し、ポジショ
ンを移す
• ポジション変更の例
• 電球の間接照明への転用、給食サービスの介護メニューへの
転用
• 新しい技術や既存技術の転用でライフサイクルを「やり直す」
• 脱成熟
• 技術革新による脱成熟の例
• 銀塩カメラからデジタルカメラへ、ブラウン管TVから液晶テ
レビへ、蛍光灯からLED電灯へ
5-1. まとめ
• ライフサイクルを見極め、適切な競争戦略を打つ(理解する)
• ライフサイクルを念頭に置いた競争戦略のポイント
• 他社との関係性をいかに変えるか
• 自社の行動は変えられても、他社はそう簡単には変わっ
てくれない
• 製品ライフサイクルの見極めの難しさ
• いつから成長期か、いま衰退期なのか、など
5-2. 若干の注意事項
• 実際の製品ライフサイクルは「美しくない」
• 社会状況、顧客の行動などによってライフサイクルは変わりうる
• 製品ライフサイクルを信奉してはならない
• 「自己成就的予言」
• 予言を出さなければ実現しなかった事柄が予言を出すことに
よって実現する現象
• 「衰退期に入った」という予言(認識)が必要な投資を手控
えさせ、顧客にとって魅力のない製品サービスになること
で、衰退期を将来してしまう場合
• 製品ライフサイクルを信奉せず、背後にある「顧客のリアルな動
き」に思考を巡らす

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  • 2. 0. 製品サービスのライフサイクルとは • 製品サービスにも「一生」があり、時間の経過と共に変化 • いつでも「一本調子」というわけにはいかない • 一定の予測できるパターンの存在 • 予測に基づく競争戦略の策定(カスタマイズ) • 製品ライフサイクルの典型 • 導入期、成長期、成熟期、衰退期 • ステージにあわせた競争戦略策定、実施
  • 3. 1-1. 導入期 • 新製品(サービス)を市場に導入し始めた時期 • 顧客は限定的 • 新しいもの、珍しいもの、自分のライフスタイルをかえるこ とに積極的な「イノベーター」 • 売上高は小さい • 利益もマイナスか小さい • 競争はほとんどない
  • 4. 1-2. 導入期の目標と施策 • 競争戦略の目標は「市場の拡大」 • 他社とも共同して市場を大きくする • 市場が拡大しない理由とは?? • 製品(サービス)の存在を顧客が認知していない • 顧客に供給する体制が整っていない • 生産およびサービス提供体制の不足 • 不良品の多さ (歩留まりの低さ) • 流通経路の整備不足 • 製品(サービス)の価格が高い
  • 5. 1-3. 導入期、ネットワーク外部性 • ネットワーク外部性 • 「製品(サービス)の価値が使用 している顧客の数によって決ま る」現象 • 「普及していないことが普及を妨 げる」現象の発生 • 直接的ネットワーク外部性 • ユーザ数が影響を及ぼす場合 • 間接的ネットワーク外部性 • 補完財が影響を及ぼす場合 • 家庭用ゲーム機の事例 • 顧客を積極的に増やす施策例 • 非常に低い価格設定 • イノベーターに限定した「特価」 の提示 • 無償の試供品、β版、テスター などの配布 • 補完財を充実させる施策 • 補完財企業への資金的援助 • 補完財企業に対する「未来のシナ リオ」の提示 • 補完財企業の先行投資の促進 • 自社による補完財の提供
  • 6. 2-1. 成長期 • 製品(サービス)が認知され、顧客が急速に増える時期 • 顧客は一部の顧客から大衆へ • 早期大衆 • 比較的新しいものを好む大衆(マス) • オピニオンリーダー • 社交性があって、周囲の人達に影響を及ぼす顧客 • 売上高、利益共に急速に増加 • 売上と利益を目指して多くの企業が参入し、競争が激化
  • 7. 2-2. 成長期の施策 • 急速に増える売上と利益を狙って、多数の企業が参入 • 市場拡大の「仲間」だった企業も「ライバル」に変化 • 競合企業への対応が重要 • 主要な競合企業よりも速く成長することを目指す • 市場の成長と自社(ブランド)の成長を区別 • 成熟期を見越したポジション取り (布石を打つ) • 成長期は生産設備、シェルフスペースが自然に増える • 「成熟期に入ってからのシェア争いは難しい」 • 生産設備、シェルフスペースを、他社よりも積極的に増やす • 自社のブランドに対する選好を獲得
  • 8. 3-1. 成熟期 • 製品(サービス)が市場に行き渡り、顧客の増大が鈍化する時期 • 顧客はマスの中の慎重な人達 • 後期大衆、追随者 • 売上高はゆっくりと増加もしくは下降 • 利益は下降気味 • 企業数は多い • 成長期に参入した企業が残るため • 次第に撤退する企業も現れ、減少基調
  • 9. 3-2. 成熟期の競争 • 成熟期には市場が拡大しない • 限られたパイを奪い合う競争 (ゼロサムの状況) 1. 激しい競争が展開される場合 • 自社の顧客を離さない、他社の顧客を奪う • 自社に対するブランド・ロイヤリティを確立 • 競争ポジションに応じた競争戦略 (後述) 2. お互いに競争を避けあう場合 • 利益を確保するために差別化をして棲み分ける • 企業活動の目標はシェアではなく利益
  • 10. 3-3. 成熟期の戦略定石 • 競争パターン、自社のポジションによって戦略定石は異なる • 多くの産業が「成熟期」の中で競争 • 自動車 • ビール系飲料 • 日用雑貨品 • ファーストフード • コンビニエンスストア • 限られた需要(顧客)をいかに奪うかという点で戦略的思考法が 試される
  • 11. 4-1. 衰退期 • 製品(サービス)が十分に行き渡 り、一部では使用されなくなる 時期 • 顧客は取り残された一部の顧客 • 遅期追随者 (ラガード) • 売上高は下降 • 利益は、低水準もしくはゼロ • 利益が見込めないため退出する 企業が現れる • 競争状態が緩和 • 製品サービスのコモディティ化 が進む • コモディティとは、単に価格のみ で選ばれる製品(サービス)群 • 衰退期の戦略的課題 • コモディティ化にいかに対処する か • 需要に比べて過剰な生産能力をい かに活用するか
  • 12. 4-2. 衰退期のオプション 1. 撤退 • タイミングを見計らって、製品サービスの提供を停止 2. 継続 • 残存者利益を確保 • M&Aなどによって業界再編を仕掛ける • 他社の撤退を促す 3. 用途開発、技術革新 • 需要が伸びる余地(新しいニーズ)を見いだす、創り出す
  • 13. 4-3-1. 撤退 ―難しい撤退のタイミング― • 撤退の難しさ • それまで投入したヒト、モノ、カネ、情報を切り捨てる必要 • ステークホルダーとの関係性 • 顧客、取引先への配慮 • 市場縮小の予測が困難 • 「我が社なら大丈夫」「まだ事業が成立する」 • 「できれば下したくない意思決定」だが必要な場合もある
  • 14. 4-3-2. 継続 • 競争が緩和される分野で利益を上げる • 「残存者利益は待っていれば手に入るものではない」 • 生産や流通コストを見直して利益を確保 • 他社の撤退の可能性を推し測る • M&Aや業務提携などを仕掛けて業界再編 • 残存者利益以外の継続への「想い」 • 富士フイルムの事例
  • 15. 4-3-3. 用途開発、技術革新 • 成長の余地があるターゲット・セグメントに再焦点化 • 特殊なニーズを持つ小規模市場(ニッチ市場)を見出し、ポジショ ンを移す • ポジション変更の例 • 電球の間接照明への転用、給食サービスの介護メニューへの 転用 • 新しい技術や既存技術の転用でライフサイクルを「やり直す」 • 脱成熟 • 技術革新による脱成熟の例 • 銀塩カメラからデジタルカメラへ、ブラウン管TVから液晶テ レビへ、蛍光灯からLED電灯へ
  • 16. 5-1. まとめ • ライフサイクルを見極め、適切な競争戦略を打つ(理解する) • ライフサイクルを念頭に置いた競争戦略のポイント • 他社との関係性をいかに変えるか • 自社の行動は変えられても、他社はそう簡単には変わっ てくれない • 製品ライフサイクルの見極めの難しさ • いつから成長期か、いま衰退期なのか、など
  • 17. 5-2. 若干の注意事項 • 実際の製品ライフサイクルは「美しくない」 • 社会状況、顧客の行動などによってライフサイクルは変わりうる • 製品ライフサイクルを信奉してはならない • 「自己成就的予言」 • 予言を出さなければ実現しなかった事柄が予言を出すことに よって実現する現象 • 「衰退期に入った」という予言(認識)が必要な投資を手控 えさせ、顧客にとって魅力のない製品サービスになること で、衰退期を将来してしまう場合 • 製品ライフサイクルを信奉せず、背後にある「顧客のリアルな動 き」に思考を巡らす