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メビウスの帯とトーラス
- 1. 集合N={(x,y)∈R2:−1/2≤x≤1/2,0≤y≤1}にR2の通常の位相から誘導される 相対位相を与える.
|x| ≤ 1/2 となる各実数 x に対して N の点 (x, 0) と (−x, 1) を同一視するこ とによって N の商
空間 A を定める. (x,y) ∈ N の同値類を [x,y] ∈ A と表す.
(1) A の整係数ホモロジー群を求めよ.
(2) 任意の y ∈ [0,1] に対して, 積空間 A×{0,1} の点 ([1/2,y],0) と ([1/2,y],1) を同一視し,
さ らに ([−1/2, y], 0) と ([−1/2, y], 1) を同一視することによって得られる位相空間を B とす
る. ただし集合 { 0, 1 } には離散位相を与える. B の整係数ホモロジー群を求めよ.
- 2. 集合N={(x,y)∈R2:−1/2≤x≤1/2,0≤y≤1}にR2の通常の位相から誘導される 相対位相を与える. |x| ≤ 1/2 となる各実数 x に対して N の点
(x, 0) と (−x, 1) を同一視するこ とによって N の商空間 C を定める. (x,y) ∈ N の同値類を [x,y] ∈ C と表す.
(1) C の整係数ホモロジー群を求めよ.
メビウスの帯である。A={(x,y)∈R2:−1/2≤x≤1/2,0≤y≤1/2} B={(x,y)∈R2:−1/2≤x≤1/2,1/2≤y≤1}とする。
A∩Bが2つの長方形であることに気をつけるとC=Xとして
H2(A∩B)→H2(A)+H2(B)→H2(X)→H1(A∩B)→H1(A)+H1(B)→H1(X)→H0(A∩B)→H0(A)+H0(B)→H0(X)→0
0 0 0 0 0 0 Z +Z Z Z
H1(X)→H0(A∩B)は単射であり、 H1(X)の元xはx+xへ移される。
よってH2(C)=0 H1(C)=Z H0(C)=Z
(2) 任意の y ∈ [0,1]=I に対して, 積空間 C×{0,1} の点 ([1/2,y],0) と ([1/2,y],1) を同一視し, さ らに ([−1/2, y], 0) と ([−1/2, y],
1) を同一視することによって得られる位相空間を D とする. ただし集合 { 0, 1 } には離散位相を与える. D の整係数ホモロジー群を求め
よ.
これはメビウスの帯に厚みを持たせ、さらに縁に1つのトーラスを巻きつけたものと同相である。
A={(x,y)∈R2:−1/2≤x≤1/2,0≤y≤1/2}×I B={(x,y)∈R2:-1/2≤x≤1/2,1/2≤y≤1}×I とする。
これらはドーナッツに2つの筒が巻きついた状態であるから2つの筒のホモロジーと同型。
またA∩B=連結でない2つの月美型の円 X=Dとすると
H2(A∩B)→H2(A)+H2(B)→H2(X)→H1(A∩B)→H1(A)+H1(B)→H1(X)→H0(A∩B)→H0(A)+H0(B)→H0(X)→0
0 0 0 Z+Z Z+Z Z+Z Z+Z Z Z
H2(X)→H1(A∩B)は単射である。
H2(X)が0であるとH1(A∩B)→H1(A)+H1(B)が単射になるが、 H1(A∩B)の元(i,j)は(i+j,i+j)へ行くので矛盾。
H2(X)がZ+ZだったとするとH2(X)→H1(A∩B)→H1(A)+H1(B)の完全系列性に矛盾。よってH2(X)
厚みのあるメビウスの帯の淵に巻きついているトーラスについて着目すると、トーラスのホモロジーはZ+Zだが、
H1(A)+H1(B)→H1(X) (i,j)+(i’,j’)→(i-i’-j+j’,0)
H1(X)→H0(A∩B)→H0(A)+H0(B)は完全系列でありメビウスのおびに巻きついている元jは(0,j)→(2j,2j)→(2j-2j,-2j+2j)=0となり