NEJMのclinical problem solvingを用いた院内抄読会資料です。問題ありましたらご連絡いただけると幸いです。

1. A Headache of a Diagnosis
第6回

2. これまで
• 慢性下痢、腹痛:ガストリノーマ
• 難治性気管支喘息:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
• 高Ca血症、貧血、腎障害、骨病変:サルコイドーシス
• 疲労感、遂行障害：PRES
• 不明熱：血管内リンパ腫

3. 24歳男性
6日前から突然の頭痛が持続
非拍動性 右眼の奥
イブプロフェンで改善しない
前駆症状なし、光過敏・音過敏なし、神経症状なし、悪心嘔吐な
し、頭痛の既往もない
前日に体熱感があった
診断は？治療は？

4. 24歳男性
6日前から突然の頭痛が持続
非拍動性 右眼の奥
イブプロフェンで改善しない
前駆症状なし、光過敏・音過敏なし、神経症状なし、悪心嘔吐な
し、頭痛の既往もない
前日に体熱感があった
副鼻腔炎としてアモキシシリンが投与された

5. 24歳男性
2日後、項部硬直と筋痛、不安、倦怠感、食思不振を自覚したた
め再診
上気道症状なし、発疹なし、関節痛なし、悪心なし

6. 24歳男性
既往なし、アレルギーなし
大学院生
機会飲酒、タバコ月に２本
最近テキサスの農場に旅行した
旅行最終日に頭痛を発症
周囲流行なし

7. 24歳男性
BT39.4, PR74, BP118/65, RR16, SpO2 98%(RA)
眼球結膜黄染なし、口渇なし、咽頭発赤なし
項部硬直なし、頸部リンパ節腫脹なし
肺音清、心雑音なし、腹部所見異常なし
四肢異常所見なし
皮膚所見なし
ケルニッヒ、ブルジンスキ兆候なし、そのほか神経学的な異常な
し

8. 24歳男性
WBC5100
(67% neutro, 17% lympho, 7% mono, 7% band)
Hb12.9, plt132000, MCV86, Na134
AST95, ALT102, ALP66, TBil0.8
尿検査異常なし

9. 24歳男性
胸部Xp、頭部CT異常なし
EBV抗体陰性
アセトアミノフェン投与で解熱

10. 24歳男性
2日後再診
体幹に淡い発赤
発熱、頭痛、皮疹
治療は？
診断は？

11. 正解：ドキシサイクリン
診断は？

12. 正解：ドキシサイクリン
診断は？
ロッキー山紅斑熱、日本紅斑熱、ツツガムシ病
発疹チフス
ライム病
エーリキア症
アナプラズマ病
サイトメガロウイルス
EBウイルス
単純ヘルペスウイルス

13. ロッキー山紅斑熱
媒介：マダニ 病原菌：Rickettsia richettsii
北米に多い（日本での発症数不明）
頭痛、全身倦怠感、高熱
刺し口なし
末梢から求心性に広がる多発紅色丘疹
テトラサイクリンが有効

14. 日本紅斑熱
媒介：マダニ 病原菌： Rickettsia japonica
200例/年程度
発熱・発疹・刺し口が三徴
（紅斑・紅色の斑丘疹）
テトラサイクリンが有効

15. ツツガムシ病
媒介：ツツガムシ 病原菌： ６種のリケッチア
(Gilliam, Karp, Kato, Kawasaki, Kuroki, Shimokoshi)
新潟・山形・秋田に多いが最近は全国で見られる
500例/年程度
発熱・発疹・刺し口が三徴
日本紅斑熱に似てる
刺し口近くor全身のリンパ節腫脹
テトラサイクリンが有効

16. 発疹チフス
媒介：シラミ 病原菌： Rickettsia prowazaekii
アフリカ（日本では1955年以降なし）
発熱、頭痛、悪寒
後半が体幹から末梢に広がり、
手掌足底にはでない
テトラサイクリンが有効

17. ライム病
媒介：マダニ 病原菌：ボレリア（スピロヘータの一種）
北米（NYに多い アヴリルラヴィーン）
北海道や長野
第一期：遊走性紅斑、インフル様症状
第二期：皮膚、神経、心疾患などなど多彩
第三期：慢性萎縮性肢端皮膚炎など
テトラサイクリンが有効

18. エーリヒア症
媒介：マダニ 病原菌：エーリヒア
風邪と似た症状
テトラサイクリンが有効

19. アナプラズマ病
媒介：マダニ 病原菌：アナプラズマ
牛の感染症
テトラサイクリンが有効

20. 日本では
• 名古屋の２０代女性がはしか感染、再流行を警戒
朝日新聞 2018年9月28日00時53分
• 風疹流行続き、患者累計７７０人…５都県に妊婦への対策要望
関東地方を中心に風疹の流行が続いていることを受け、厚生労
働省は２日、東京、千葉、神奈川、埼玉、愛知の５都県に、妊婦
の感染防止策の徹底を求めた。
2018年10月3日

21. 麻疹
発熱や咳で発症
38℃前後の発熱が2～4日間続く
倦怠感、上気道炎症状、結膜炎症状
発疹は耳後部、頚部、前額部から出始め
翌日には顔面、体幹部、上腕
2日後には四肢末端にまでおよぶ
発疹が全身に広がるまで、高熱が続く
発疹出現後3～4日で解熱し、発疹は黒ずんだ色素沈着となり残る
小児以外だと、１０代から２０代に多い 反ワクチン派の動向・・・

22. 風疹
感染から14～21日の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹
（ことに耳介後部、後頭部、頚部）が出現する
成人では男性の30ー50代で風疹抗体保有率が低い

23. 正解：発疹チフス
日本では50年発症なし
アメリカでも稀だが最近増えているらしい