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2011fall guidance12
- 1. 平成23年度後学期
生徒指導論(理農工)
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不登校+生徒理解
富田英司
愛媛大学教育学部
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- 3. 不登校への対応にあたって(5つの視点)
(文部科学省,2003)
(『生徒指導提要』ではP188-189に対応)
1. 将来の社会的自立に向けた支援の視点
– 不登校解決の最終目標は社会的自立
2. 連携ネットワークによる支援
– 不登校を見極め適切に対応するために必要な連携ネットワーク
3. 将来の社会的自立のための学校教育の意義・役割
– すべての児童生徒にとって居場所となる学校を目指して
4. 働きかけることや関わりを持つことの重要性
– 関係を構築しつつ,適切な働きかけやかかわることの大切さ
5. 保護者の役割と家庭への支援
– 保護者を支え,家庭の教育力を充実させる
例)相談相手になる.専門家の紹介.適宜必要な対応をとる.
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- 4. 不登校への一般的な対応指針(鈴木, 2002)
• 早期発見・早期対応を心がける
– 兆候がみられたら,個別面接や情報収集
• 校内での協力体制の確立
– 担任一人で解決しようと思わない
• 先入観を捨て毎回を初めてのケースと認識する
• 学校復帰・再登校を最終目標としない
• 登校刺激は無理強いしないが,徐々に根気強く
• 家庭訪問は午後や休日に短時間で
• 保護者への共感的理解・協力
• 専門機関との連携
• 登校を誘ってくれるクラスメイトの負担に気をつけ
る,そのことについて本人の意向を聞く
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- 5. 滋賀県教育委員会
スクールソーシャルワーク的学校不適応支援事業
1. アセスメントとプランニングを重要視
2. ケース会議の定期的開催
3. B-PDCAサイクルの採用
– “B”:ベーシックアセスメント
4. ベースシートの活用
– 支援の共通認識や情報収集,記録作成,SSW概念の
意識化に役立つ
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- 7. 滋賀県の不登校に関する統計
学校不適応支援事業対象の
40小学校における不登校児童の変化
H18 H19
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対象校の不登校児童数 157名 128名
- 8. アセスメントのポイント(伊部, 2008
)
• 家庭環境:家族構成,保護者の性格・教育方針,親
子関係,夫婦関係,経済状況,きょうだい関係,力
のあるところ,援助を必要とするところ
• 学校環境:友人関係,教師との関係,学習状況,学
校生活全般(休み時間,保健室,給食,各授業中,
部活,登下校等)
• 地域環境:家族,本人を支える資源の有無
• 本人自身:学力・体力・運動能力,性格,好き嫌い
,こだわり,得意・不得意等,発育状況,日常生活
(睡眠時間,起床,就寝時間,食事,入浴等),発
達障害,虐待の有無,自尊感情,人への信頼感
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- 9. スクール・ソーシャルワークの導入
スクール・ソーシャルワーカー
(SSW)とは
– 学校に関する問題を解決す
るために,学校,児童生徒
,家族,地域,行政などの
間を取りもつ役割
– SSW自体は資格制度ではな
いが,各自治体によって採
用資格が決まっている
– 非常勤として地方自治体な
どから雇われることが多い
– 指導主事などの教員がその 典拠:日本スクールソーシャルワーク
役割を担うこともある 協会
http://www.sswaj.org/w_ssw.html
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- 10. SSWの活動のレベル(鵜飼, 2008)
レベル 視点 具体例
ミクロ 個別事例の改善 子ども・保護者・教職員等に対す
レベル る相談・支援・情報提供
メゾ 校内システムの構築 学校内におけるチーム体制の構築、
レベル 支援
ケース会議の実施
教職員等への研修
マクロ 学校を含めた教育行政 関係機関とのネットワークの構築、
レベル システムの構築 連携・調整
関係機関連携ケース会議の実施
自治体の相談体制作りへの関与
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- 11. 不登校への対応4:
「学校」へ行かないという選択肢
• ホームスクーリング
• フリースクール
– サポート型,適応指導教室,通信制,全寮制等
• 適応指導教室の活用
– 市町村の教育委員会が設置,教員が実務担当
– 松山市「松山わかあゆ教室」など
– 登校日数としてカウントされる
– 1992年から小中では校長の判断により出席扱い
• 「保護者と学校の連携が十分に取れていること」や「訪問で対
面指導ができること」など
– 2010年から高校でも一部出席扱いに
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- 12. 教育基本法
(平成十八年十二月二十二日法律第百二十号)
(義務教育)
第五条 国民は、その保護する子に、別に法律で定めると
ころにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する
能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い
、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的
な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、そ
の水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の
下、その実施に責任を負う。
4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育
については、授業料を徴収しない。
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- 13. 学校教育法
(昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号)
第二章 義務教育
第十七条 保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後
における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の
属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学
校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満
十二歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校又
は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満
十五歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間
において当該課程を修了したときは、その修了した日の
属する学年の終わり)までとする。
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- 16. 広汎性発達障害(自閉症)
自閉症ってどんな症状?
• 社会性の障害:
– 他者とのやりとりが苦手.
– 他者の意図や感情が読み取りにくい.
– 目が合わない.
• 言語の障害:
– ことばの発達が遅れる.
– オウム返し.
– 会話が一方的.
• こだわり行動:
– 興味の偏りと決まりきったパターンへの固執
- 18. よくある誤解
• 家庭教育が原因 →×
• お母さんが悪い →×
• 他人に興味がない →×
• 治ることもある →×
• 自分の殻に閉じこもっている →×
• 仕事に就くことはできない →×
- 19. サヴァン症候群
• キム・ピーク
– レインマンの主人公,レイモンドのモデル
– ダスティン・ホフマンが彼と出会って衝撃を受け,
「レインマン」という映画を制作した
• 数千冊の本を丸暗記していて,全米の幹線道路
,都市の市外局番,郵便番号も記憶している。
• どの年であっても,どの日が何曜日が当てられ
る。
• 古い曲であっても,題名,作曲された年月日,
初演日,作曲者の生誕地,誕生日,死亡日まで
覚えている。
- 20. その他の特徴:
自閉症の発症率など
• 一万人に4-5人と言われていた(自閉症)
• 最近では自閉症とその関連障害は1万人に
121人、その7割は知的障害を伴わない(ア
スペルガー障害)と報告されている
• 男児に多く、女児の4~5倍
• 3歳以前に発症
- 21. 高機能自閉症
(アスペルガー症候群)
• オーストリアの精神科医アスペルガーが報告(1944)
• 言語の障害や知的障害が軽い(IQが70以上)
• 対人行動の障害と、行動、興味及び活動の制限が見られる
• 言葉の背景にある情緒やニュアンスを理解しにくい
• 二次的な自尊感情の傷つき、集団不適応が起こりやすく、
いじめの被害者になりやすい
- 22. 高機能自閉症も含めた
自閉症の子への対応
• 個人の持つ認知の特性を理解し,それにあわせ
た教育方法を常に開発していく
• 基本にある認知障害、知覚障害に合わせた対応
– 例:絵カードを用いる、手順書を用意する、聴覚過
敏に対応して耳栓を使う、など.
• 一次障害と二次障害:早期からの対応で二次的
な発達障害・適応障害を予防
• 養育者、保育士、教師等へのガイダンスによっ
て、周囲の理解を得る