専門家だらけの場のためのファシリテーションについて、その2を作成しました。 その①：https://www.slideshare.net/ssuser7734ba/facilitation-forexparts

1. 専門家だらけの場のためのファシリテーション 2
2019年6月10
浅井大輔（イノベーションファシリテーター）

2. この資料で伝えたいこと 1
※本資料は、下記資料の続きとなります。
https://www.slideshare.net/ssuser7734ba/facilitation-forexparts
・専門家にもいろいろなタイプがある
・企業内の優秀な専門家がおちいりがちなこと
・専門家だらけの場で注意することの仮説

3. １.専門家にもいろいろなタイプがある 2
●専門家といわれている人のタイプ
問題を解くことが得意
問題を見つけることが得意
知識が広い
(鷲の目)
知識が深い
(蟻の目)
普通
の人
企業研究者・技術者
学術研究者
コンサルタント
NPOなど

4. １.専門家にもいろいろなタイプがある 3
●各領域の特徴（仮説）
問題を解くことが得意
問題を見つけることが得意
知識が広い
(鷲の目)
知識が深い
(蟻の目)
普通
の人
Good：解決力がある
Poor：解ける問題のみ注力
Good：新たな価値を生み出す
Poor：短期的に役に立たないことも多い
Good：実行力がある
Poor：短期的成果を重視
Good：見過ごされていた価値に気づく
Poor：ライフワークとして取り組み
問題を解く時間がかかる

5. ２.企業内の優秀な専門家がおちいりがちなこと 4
●企業内の優秀な専門家は右上の領域の人
・問題を解くのが得意→問題の質は関係なく、与えられた問題を解く。
結果、細かい問題や本質ではない問題を解いている。
・知識が深い→自身の深い知識で捉えられる問題にのみ注力して解く。
結果、細かい問題や本質ではない問題を解いている。
専門性を活かして“問題を解く”ことが重要とされてきたため
与えられた問題を解くことは得意だが、
細かい問題や本質でない問題から、問題の質を高めることで
真に解くべき問題に自分で気づくことに慣れていない。

6. ２.企業内の優秀な専門家がおちいりがちなこと 5
●企業内の優秀な専門家は右上の領域の人
・企業内で優秀→これまでは、自身の知識の深い領域の問題を解くことが評価されてきた。
結果、自身の領域“のみ”興味を持ち、それが自身の役目と考えている。
→同様な専門家が企業内に複数いる。問題に応じて役割が与えられていた。
結果、自身の領域“のみ”深め、そらが自身の役目と考えている
他の優秀な専門家と“棲み分ける”ことが重要で、他の領域に踏み出さない。
自分の領域で解けるように問題を読み替えて、総論的、または部分的に
問題を解こうとする。

7. ３.専門家だらけの場で注意することの仮説 6
●問題を解くことは得意だが見つけることは苦手
→ブレストをやっても、問題の質が悪くてもそのまま解いてしまう。
(出されたアイデアから問題をメタ化して本質的問題を見つけることができない)
→ブレストのアイデアを親和図でまとめる場合、単なる分類で終わってしまう。
問題の解を出すブレストではなく、問題の質を高めるプロセスを追加する
●自分の領域で解けるように問題を読み替えて解く
→一般論として問題を再定義し、メタ化した状態で具体性のない解を出す
→狭い領域にのみ注力し、専門性は高いが効果の狭い/小さい解を出す
解が問題をどのようにカバーするかを可視化して、
解の質を共有するプロセスを追加する

8. ５.おわりに 7
・ワークショップや会議の場などの集団での知識創造活動を支援するファシリテーションにおいて、
参加者よりもファシリテーターが広い知識や高い視座を持っている場合は、話の流れの整理や、
参加者が気づいていない“事実”の提示による介入がしやすいですが、
専門家だらけの場では、場で話されていることをファシリテーターが理解できない場合もあります。
・そのため、話の流れを整理するつもりが、参加者同士では十分整理されていた部分にまで
整理点が及び、話の流れを阻害したり、場を冷めさせてしまう可能性もあります。
・本資料では、“企業内で優秀とされている専門家”だらけの場でおちいりがちなことについて
整理しました。
・問題の質を高めるプロセスと、出された解の質を共有するプロセスが有効ではないか、
という仮説を立てました。この仮説にのっとり、検討を継続していきます。

9. 専門家だらけの場のためのファシリテーション 2
2019年 6月10日
浅井大輔
End