専門家だらけの場でのファシリテーションに関して気づいたことをメモしました。

1. 専門家だらけの場のためのファシリテーション
2019年5月6日
浅井大輔（イノベーションファシリテーター）

2. この資料で伝えたいこと 1
・専門家と普通の人の違い
・専門家だらけの場で目指すゴール
・専門家だらけの場の特徴
・専門家だらけの場のためのファシリテーション

3. １.専門家と普通の人の違い 2
●本資料における専門家の位置づけ
専門家 ：ある分野に特化した深い知識を有した人
普通の人 ：それ以外の人
専門家 普通の人
分野
知識の深さ
（有している知識の総量は同じだが特定分野に深い知識を持っている人を専門家とする）

4. １.専門家と普通の人の違い 3
特定分野に深い知識を有し、それを活かして仕事をして
いる。/専門性が特殊で活かしきれていない。
得意な分野は多少あるもの、そこまで知識は深くなく、代
わりに幅広い分野の知識を有している。
専門知識の優位性を評価されており、それに立脚した
地位を有している。/専門性が評価されておらず、変人
扱いをされている。
多様な知識を活かして会社で出世している。/多様な知
識を有していることの強みを認識していない。
自身の優位な分野の動向には敏感だが、他分野には
鈍感である。
多様な分野の動向に、均等に注意が向いている。
専門家 普通の人
・専門家は専門性が評価されている場合といない場合がある。

5. ２.目指すゴール 4
・ワークショップで目指すゴールは、それぞれの特徴を活かして設定することが望ましい
専門家 普通の人
・深い知識に立脚したアイデア
・深い知識の獲得プロセスの展開
・深い知識の獲得プロセスで
見過ごしてきた事象の掘り起こし
・多様な知識に立脚したアイデア
・複数分野の動向からヒントを得た
アイデアの展開
普通の人のワークショップで出される優良アイデアは「新結合」と「転移」だが、その“タネ”は既知
専門家の場合、普通の人には未知の“タネ”を持っているため、それを活かしたゴールを目指す

6. ３.専門家だらけの場の特徴 5
・専門家だらけの場では共通の知識が少ない→共通領域が少なく対話が弾みにくい
専門家 専門家 普通の人 普通の人
共通
領域

7. ３.専門家だらけの場の特徴 6
・専門家は深い知識に興味の重心がある→共通部分が少なく対話が弾みにくい
専門家 専門家 普通の人 普通の人
興味のある領域
興味のある領域

8. ３.専門家だらけの場の特徴 7
・専門家は深い知識を共有できる機会が少ない→専門の近い仲間うちでは非常に盛り上がる
(滅多にない経験)
専門家専門家専門家 専門家
専門家同士の知識の重なり
1%
専門の近い専門家の知識の重なり
90%

9. ３.専門家だらけの場の特徴 8
専門家だらけの場では・・・
(1)専門が違う場合は共通知識が少なく、対話が盛り上がりにくい
(2)専門分野の最先端知識に興味の中心があり、少ない共通知識に気づきにくい
(3)普段は深い知識を話す機会が少ないため、専門が近い場合は非常に盛り上がる
これらの特徴を踏まえたファシリテーションが必要となります。
そのポイントは以下の2点です。
①注目していない自身の知識に目を向けさせる
②自身の知識獲得プロセスに目を向けさせる
なお、上記の(3)のように盛り上がる場合は、、、ある程度は場に委ね、時間を見て介入しましょう。

10. ４.専門家だらけの場のためのファシリテーション 9
●注目していない自身の知識に目を向けさせるには？
Step１：知識の掘り起こし（何に興味を持っているか/持ってきたか）
Step2 ：見落としていた知識の共有（価値がないと思っていた知識が他者は知らず、
役に立つと気づいてもらう）
Step3 ：見落としていた知識を共有し、自身が気づきを得ることで対話の価値を体験させる。
専門家
興味のある領域
=知的好奇心
を満たす
専門家
自身の興味は低いが
他者の役に立つ領域
=承認欲求を満たす

11. ４.専門家だらけの場のためのファシリテーション 10
●自身の知識獲得プロセスに目を向けさせるには？
Step1 :なぜ深い知識を獲得しようとしたかを思い出す（Why）
Step2 :そのためにどのような経験をしてきたかを思い出す（What）
Step3：WhyとWhatを知識獲得プロセスのアナロジーとして共有する
専門家
きっかけ
広げる/深める
失敗
深い知識を獲得するためには、
多様な経験/失敗をしている。
そのプロセスに着目させて
分野を問わない共通項を発見する

12. ５.おわりに 11
・ワークショップや会議の場などの集団での知識創造活動を支援するファシリテーションにおいて、
参加者よりもファシリテーターが広い知識や高い視座を持っている場合は、話の流れの整理や、
参加者が気づいていない“事実”の提示による介入がしやすいですが、
専門家だらけの場では、場で話されていることをファシリテーターが理解できない場合もあります。
・そのため、話の流れを整理するつもりが、参加者同士では十分整理されていた部分にまで
整理点が及び、話の流れを阻害したり、場を冷めさせてしまう可能性もあります。
・しかし、その盛り上がっている内容が、“内輪ネタ”である場合は、
盛り上がったけどなにも生まれないというリスクもあるので、そうならないための介入は必要です。
・本資料では、専門家だらけの場の特徴とファシリテーションのポイントを整理しました。

13. 専門家だらけの場のためのファシリテーション
2019年 5月6日
浅井大輔
End