SUP について
宮崎 景(Hikaru Miyazaki)
10.JAN.2018
◯ 歴史・・・
SUPとはスタンドアップパドルボード(ボーディング)の略で、国によってはスタ
ンドアップパドルサーフィンとも言われています。
基本的にはボードの上に立ち、水上をパドルを使って漕ぎ進むスポーツです。
その歴史は諸説有りますが、一般的には 1950〜60 年代初頭にワイキキのビーチボー
イ達が、体験サーフィンをする観光客の写真を撮るためカメラを濡らさない様に、大
きなボードに立ってアウトリガーのパドルで漕いだのが始まりとされています。
<写真引用:http://www.supworldmag.com/the-history-of-stand-up-paddling/>
しかしSUPの普及と共に様々な事が言われはじめており、古くは 1939 年のオース
トラリアでの写真に現在のSUPに似た遊びを楽しむ人達が写っています。
<写真引用:http://www.noosastanduppaddle.com.au/author/admin/>
また人気サイトの SUPrecer(http://www.supracer.com/)に掲載されたものには、
1878 年とされる、水夫の様な人がカタマラン形状のボードの様なものに乗り、漕いで
いる絵が残されています。この形状の物は、その後もギリシャ等の地中海では使用さ
れていた様です。
ペルーでは古くからトトラ船と言われる草で編んだ物をSUPの様に使用していた
歴史が有り、2013 年の ISA(国際サーフィン連盟)の SUP 世界選手権ではデモンスト
レーションも行なわれました。
	
日本では、1960 年代に湘南の海水浴場等で「フロート」という遊具が貸出されてお
り、形状的には現在の SUP に通ずるものです。
1970 年台半ばのウインドサーフィン普及期には、インストラクターがのボードに立
ち、パドルで漕ぎながら生徒の指導を行なっていましたし、石垣島等では漁民が古い
ウィンドサーフィンのボードに乗り、パドルで漕いで岩海苔を採取している光景が見
られています。
これらからわかる様に、人類が海上を進む手段の1つとして古代からオールを使っ
てきた歴史の延長線上に、SUPも位置付けられます。
近代SUPとしての始まりとしては、1990 年代後期にハワイから始まったと言われ
ており、マウイ島のウォーターマンとして知られる、Dave Kalama、Laird Hamilton、
オアフ島マカハの Brian Keaulana、Mel Puu 、Bruce De Soto と言った人達が、トレ
ーニングや新しいサーフィンスタイルとして試みだしたのが始まりだと言われていま
す。
このマカハでは 2004 年から「Buffalo's Big Board Surfing Classic」に於いてSU
Pを1つの競技部門として行いました。これが世界で初めて競技として行われた大会
です。
SUPのマーケットが世界的に広がったきっかけは、カリフォルニアの Rick Thomas
が 2000 年にハワイでSUPを見て、本土に持込んだと言われています。
ここ日本では 2006 年に初のSUP大会「PADOBO GRAND-PRIX」を神奈川県鎌倉市に
て開催したのを切っ掛けに、以降ジワジワとサーファーやウィンドサーファーを中心
に全国に愛好者が広がっていき、2012 年 11 月には静岡県湖西市にて、第1回目の「全
日本選手権」を開催しています。
◯ 競技や遊び方・・・
SUP競技には大きく別けてレース系のものと、サーフィン系のものが有ります。
レース系では、一斉にスタートをして順位を競う「ロングディスタンス」や「SUP レ
ース」、複数のブイを回航してトーナメント方式にて戦う「テクニカル」等があります。
サーフィン系は、ヒートに別けられた選手達の波乗り技術を、ジャッジが審査して勝
ち上がって行くトーナメント方式で、「SUPサーフィン」と言われています。
この他にも「SUP フィッシング」、「SUP ヨガ」、「リバーSUP」、「チームレース」、「ポロ」
など、様々な競技や遊び方が考案されています。
◯ 用具(エキップメント)・・・
SUPを楽しむ為に必要なものは、ボード、パドル、リーシュコード、ウェットス
ーツ、ライフジャケット等です。ボードは用途に合わせて様々な物があり、大きさや
材質、競技性などにより選ばれます。
レース系では長さによりクラスが「アンリミッテッド」、「14 フィート以下」、「12.6
フィート以下」、「サーフボードタイプ」に別けられています。
また空気を注入する「インフレータブル」も国内のレースでは1つのクラスとされ
ています。
サーフィン系では波乗りのスタイルに合わせて7フィート代〜11 フェート位まで
のボードが使用され、フィンも1〜5本と色々なタイプがあります。
ハードボードの製造方法としては、大量生産されるモールドタイプのプロダクショ
ンと、1本づつオーダーされるカスタムとがあります。
材質的にはサーフボード、ウインドサーフィン、カヌー等を作っていたノウハウが生
かされているため様々な物が使用されており、ポリウレタン、発砲ポリスチレンとい
ったコア材を、ポリエチレン、ポリエステル、エポキシといった樹脂に、グラスやケ
ブラー、カーボンといったガラス繊維とで強化した外皮で構成されており、ウッドや
ココヤシ等のエコ素材を使用しているものも有ります。
また運搬が楽なインフレータブル(強化ゴムやナイロンステッチの中に空気を注入
する)タイプもあります。
ボードは大まかに以下の 5 種類に分類されます。
① レース ②オールラウンド ③サーフ ④インフレータブル ⑤ソフトタイプ
	 	 	 	
パドルはブレード、シャフト、ハンドルで構成されており、グラスファイバーやカ
ーボン、ウッド等の材質により作られています。
シャフトは円形または楕円形で、手に合わせた太さや、身長に合わせた長さで選ばれ
ますが、伸び縮みが出来るタイプも有ります。ブレードは種目や遊び方によって様々
な形状を、体力や好みで選ぶ事が可能です。
①グリップ、②シャフト、③アジャスタブルシステム、④ブレード
◯ 発展・・・
今後SUPは海、湖、川といった自然の場所だけで無く、プールを使用したエクサ
サイズやヨガといった「全水上スポーツ」として、益々の広がりが予想されています。
マーケットとしても、サーフィン、ウインドサーフィン、カイトボード、カヌー、
ボート、ウェイクボード、フィッシング、ライフガード、フィットネス、キャンプと
いった競技や遊びのジャンルからの参入が有り、愛好者の増加と共にマーケットも急
激に拡大されており、今後これらの広がりをどう纏めていくのかも重要な課題となり
ます。
既に世界的に人気が高まっている SUP ですが、その流行を牽引してきたのは間違い
無くアメリカです。2013 年にはアメリカを代表するニューヨークタイムズ誌にも
「STANDUP PADDLE BOARD ブームは間違い無く起きている」と掲載されています。
1)傾向
アメリカでの SUP 人気は当初、サーフィンやウィンドサーフィンが築いてきた基盤
を上手く使った事は事実ですが、日本食ブームにも現れている様に健康志向が大きく
影響したと言われています。
図1では、SUP 愛好家はジムトレーニングやランニングといった健康スポーツ系を
同時に行っている人が多い事を表しており、図 2 では 3 日に 1 回または毎日漕ぐ人が
多い事が判ります。
また図 3 ではフラットウォーターで漕いでいる人の率が高い事が解り、サーフィン
等をするよりも、身体トレーニングの一環として取入れている傾向が判ります。
図1
図2
図3
これらのデータから、我国でもサーフィンやレースといった競技性よりも、今後は
健康やフィットネスの為に SUP を取入れる傾向になると予想されます。
2)人口推移
アメリカの Outdoor Foundation(アウトドア財団)は、サーフィンは 50 年以上の
年月を掛けて愛好者 300 万人に対して、SUP 人口は僅か 10 年程で 150 万人以上に達し
ていると発表しています。
では、ここ日本での SUP 人口はどうでしょうか・・・あくまでボード販売数からの
推測となりますが、2017 年度国内全体で約 20000 本と言われており、2007 年位から右
肩で販売数を伸ばしてきた事を考慮すると累計で約 50000 本以上が販売されており、
友人から教わったり、スクールに入ったりという体験人口は約 20 万人だと思われます。
ボード販売数が右肩下がりに増えている事を考慮すると、アメリカの様な本格的なブ
ームが始まっていると考えられます。
3)指導
図 4 は誰に指導を受けたかのアメリカのデーターですが、国土的な事やシステムの
違いからも我国では最初スクール等で指導を受ける割合が圧倒的に高く、アメリカで
の自分自身で始めたと、インストラクターの指導とは逆転した割合になっています。
図 4
我が国では各地の SUP ショップ(スクール)や、旅行がてらでの SUP 体験から始め
る人が多い傾向にありますが、全く海の知識の無い人がネットや量販店で購入して、
いきなり海上に出て行くケースも増加しており、安全やマナーといったものを今後ど
う指導して行くのかが課題となっています。
よくアウトドアスポーツの隆盛判断に、ウィンドサーフィンやローラーブレードが
語られます。この2つのスポーツは一時期もの凄く流行しました。
ウィンドサーフィンはオリンピックのセーリング競技として現在も各国でスポーツ
として強化されていますが、愛好者数は減少傾向にあります。
ローラーブレードは 1990 年代半ばにアメリカだけでも数千万人の愛好者が居たと
いわれていますが、今では一部の子供の遊びになっています。
この2つの種目が衰退した理由の1つは、周辺産業を巻込んだ文化を作る事が出来
なかった事だとも言われています。
サーフィンやヨット、カヌーといった長年に渡り続いているマリンスポーツは、ウ
ェアや用品、キャンプ等の周辺産業を巻込んだ特有の文化を構築しています。
今後 SUP が周辺文化を構成していけるかは非常に大切です。
SUP は今までマリンスポーツに縁の無かった人が、海(水)に接する機会を作るの
に最適ですし、既に様々なマリンスポーツを経験している人達にとっても、違う角度
視点から海(水)に接する事で新しい爽快感や経験をもたらせます。
今後の数年間は日本でもアメリカの様に SUP ブームが予想されますが、ただの「流
行」から「定着」へは直接的に影響力の有る指導者の存在が鍵となり、周辺業界とも
力を合わせた SUP 文化の創造が必要です。
4)今後
SUP は他のマリンスポーツは勿論、ランや自転車といったエンデュランス系スポー
ツ、ヨガや体操といったインナーマッスル系、その他にも、美容、ダイエット、健康
といった様々なジャンルに幅広く普及していく可能性がありますし、既に業界的には
参入が始まっています。
またフィールド的にも、海、湖、川といった区分でなく、海だけでも波が大きい、
小さい、平水面、外洋といった様に差別化が必要となります。場合によってはプール
や池という小さなフィールドもテリトリーになってきます。
現在、国際サーフィン連盟と国際カヌー連盟とで、自分達が行う競技と主張しあい、
国際スポーツ仲裁裁判所で係争中ですが、いずれにしろ早ければ 2024 年のパリでのオ
リンピックに採用される可能性が高く、スポーツとしても益々発展していくと思われ
ます。
今の状況は、1年後には古い状況になっていくと予想されるので関係者は常に最新
の知識、技術等を身に付けていく必要があると考えられます。
※データー引用
<2017 Outdoor Recreation Participation Topline Report/Outdoor Foundation>
◯ 安全・・・
<問題点>
※ SUP は、風や潮に流されやすい!!
※	 他の船舶等からの視認性が悪い!!
※	 知識や段階を踏まなくても、容易に漕ぎ出していける!!
※	 ネット販売等で、誰でも手軽に購入可能!!
※	 サーフポイントや釣り場等への安易な侵入!!
等々…
<行われている対策>
※ 始める際は、公認指導者へ教わる!!
※ 浮力体、リーシュコード、の着用!!
※ 携帯電話の所持!!
※ ウォーターサーバーの着用!!
※ その日の気圧配置を知り、観天望気を心がける
※ 目立つ色の服装!!
※ 常に道具を点検する
等々…
準備運動 目立つ服装
ライフジャケット リーシュコード 携帯電話

(JBWSS2018)SUPについて