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自己紹介/普段の取り組み
Introduction
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中安 晶 | Akira Nakayasu
サービスデザイナー/インクルーシブデザイナー
慶應義塾大学 環境情報学部 環境情報学科卒業。卵巣がん患者の意思
決定を支援する情報媒体や、企業内部へのアクセシビリティ支援の浸透
など、ジェンダーや社会課題にまつわるフィールドに対してデザイン倫理
やユーザー中心の視点を用いて取り組む。またサービスデザイナーとして
企業の業務改善やコンセプト開発、サービス運用にも携わる。
自己紹介
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中安はなぜサービスデザイナー/インクルーシブデザイナーになったのか?
• 学生時代から社会課題、特にジェンダーに興味があり、学内の環境改善の活動なども実施
• 就職する際、社会課題に取り組む余地のある仕事は何か...?と考える
• ユーザー中心の視点を大事にするデザイン分野なら、サービスやプロダクト、コミュニケー
ションの改善によって誰かの役に立てる/辛い思いをする人を減らせるのでは?と気づく
そもそものモチベーションは...
…ということで、コンセントにジョイン!
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これまでに取り組んだプロジェクト(一例)
卵巣がん患者の意思決定を支援する情報媒体
株式会社コンセント コーポレートサイト 「事例紹介:コスモ・ピーアール 卵巣がん患者の意思決定を支援する情報媒体」
https://www.concentinc.jp/works/cosmopr_paper_202111/ (閲覧日:2023年10月11日)
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実際に取り組んでみて感じたこと
デザイナーという仕事って・・・
• (多くの場合において)ユーザーの持つ課題の完全な当事者にはなれない。一方でその課題
の発見・解決を請け負っている
• 外部からの介入し、デザインを通じて解決策を提供するが、それが十分な理解や洞察に基づ
いていない場合、誤った解決策の押し付けになる危険性がある
「デザイナーには特権性がある?」
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デザイナーとしての自覚
• 首を突っ込む以上、課題理解のために十分な努力をした上でデザインを行う必要がある
• ユーザーを取り巻く構造的な課題や、ステークホルダー、タイミングなどが組み合わさって
複合的に生まれるパワーバランスなどを踏まえないと、課題を正しく捉えることは難しい
デザイナーは特権性ある立場だと自覚し、
その上で誠実さをもってデザインに取り組む
それがデザイナーとして
〈インクルーシブな観点〉 をもつということ
“自分のものではない”課題の解決に取り組む存在
デザイナーは
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本日のテーマ
インクルーシブの観点をビジネスの根底に
それは、ビジネスの利益・成果のためではない
ブランディングなど、イメージアップのためでもない
デザインとはそもそも、ユーザーを思ってやること
だからインクルーシブな観点は、
デザイナーがデザインに取り組むとき
あたり前にもつべきもの
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目次 /
Part 01 業務の中でインクルーシブな観点をもつ意義とは?
Part 02 インクルーシブな観点を導入するためのヒント
Part 03 プロジェクト実践のTIPS
業務の中でインクルーシブな
観点をもつ意義とは?
Part 01
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「インクルーシブデザイン」って
最近よく聞くけど
いろいろあってはっきりしません...
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一般的なインクルーシブデザインの定義
ユーザーの特殊性から
新たな価値を創造
イノベーションに資する
インクルージョン
サービスや商品をインクルーシブに
拡張していく
ユーザーを排除しないよう
検討されたデザイン
©株式会社コンセント
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「イノベーションに資するインクルージョン」とは
キ ャット・ホームズ著、ジョ ン・マ エダ編集、大野千鶴翻訳
『MISMAT CH-見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』
(2019)ビー・エヌ・エヌ新社
*1: p. 142より引用
「チームがインクルージョンを目指せば、新しいソリューション
を見つけるだけでなく、使われていない既存のソリューションの
新しい活用法も見つかるだろう」*1
インクルーシブな観点=今までにない新しい観点
つまり、インクルージョンはイノベーションの種になる
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「イノベーションに役立つから、
インクルーシブな観点をもつ」
それ自体は画期的だが
役立たないならやらなくていい
わけではない
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「ユーザーを排除しないよう検討されたデザイン」とは
デザイナーの検討不足や構造的な見過ごしによって起こる、
排除されてきたユーザーの被害や不利益を防ぐ
ジョ ナサン・シャリアート著、 シンシア・サヴァール・ソシエ著、高崎拓哉翻訳
『悲劇的なデザイン ―あなたのデザインが誰かを傷つ けたかもしれないと考えたことはあります か? 』
(2017)ビー・エヌ・エヌ新社 *1: pp. 61-65より要約
• 急性アレルギー反応時、患者自身で打つ注射器に添付さ
れた説明書。その説明文が長く複雑だったため、患者は
何度試しても上手くできずパニック状態に *1
キ ャロライン・クリアド=ペレス著、神崎朗子翻訳
『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファク トを暴く』
(2020)河出書房新社 *2: pp. 217-219より要約
• 米国では2011年まで、車の衝突安全テストに使うダミー
人形に女性のモデルがなかった。導入後、同じテストで安
全評価が急落する結果に*2
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被害や不利益を防ぐということはもちろん、
つまりそれは
今提供しているユーザー体験を
もっと向上させられる
ということ
インクルーシブデザインとは
あらゆるサービスの開発、提供において
普遍的に実行されるべきもの
1. 人々の心理的・身体的・状況的な多様性を包摂(インクルード)し、課題解
決や機会発見につなげていくためのアプローチの実践である
2. インクルーシブデザインに取り組むことは「組織活動の利潤を最大化する
こと」を目的にするのではなく、「より多くのユーザーにサービスやプロダクト
を届けること」を目的にする
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私たちが考えるインクルーシブデザインの意義
新たな価値の創造は歓迎するが、
軸になるのはインクルーシブな観点の拡張/反映
短期的に価値が出るから取り組む、
だけではなく
「よりよいデザイン」の実践のために
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わかってはいるけれど…
それって難しくないですか?
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推進者のモチベーションだけで
進めるのは、確かに難しい
だから、
ビジネスの目的・ユーザーのメリットとも
相反しないという認知をつくることが有効
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Patagoniaのケース
MISSION
私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む
Patagonia, Inc. 「企業の責任とパタゴニアの歩み」
https://www.patagonia.jp/our-footprint/corporate-social-responsibility-history.html (閲覧日:2023年10月11日)
• 環境再生型農業に根ざしたビール製品の発売
• サプライチェーンの検査/調達段階での労働者の人権の確保 etc.
ユーザーの
メリット
組織/企業/商品の
目的
推進者の
モチベーション
商品を選ぶことが
サステナブルな活動への
アクションにつながる
サステナブルな
事業をする
ミッションを
具現化できる
※講師による解釈です
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LUSHのケース
PR TIMES 「英国発ナチュラルコスメブランドLUSH ダイバーシティ&インクルージョンの観点から商品名の変更を実施一部商品名は顧客からの公募により決定予定」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000449.000006160.html (閲覧日:2023年10月11日)
Black Lives Matter運動をきっかけに、全ての商品名のレビューと最適化を図った
ユーザーの
メリット
組織/企業/商品の
目的
推進者の
モチベーション
抵抗感を持たず
商品を選択しやすくなる
ブランドの信念を提示し
価値を向上する
自分たちが納得して
商品を提供できる
ミスゴージャス → ゴージャス
ソーホワイト ボディースプレー → ワンス アポン ア タイム ボディースプレー
etc.
※講師による解釈です
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小林製薬株式会社「サラサーティ」のケース
小林製薬株式会社 「ニュースリリース:サラサーティ35周年。初の「おりもの」展覧会を原宿で開催!「おりもの」を通して、自分のカラダと向き合う機会を」
https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2023/20230828/ (閲覧日:2023年10月11日)
ユーザーの
メリット
組織/企業/商品の
目的
推進者の
モチベーション
自分の体について
知る・向き合う
機会にできる
商品の魅力を伝え
新規顧客との
接点をつくる
キャンペーンを
通じて
女性をエンパワーできる
※講師による解釈です
「おりもの」をとおして、自分のカラダと向き合うイベント
「My Body, My Self. -カラダの疑問展-」を開催
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推進するためのメッセージや戦略は
サービス・プロダクト・企業の状況によってさまざま
モチベーションと戦略を両立させるために
ユーザーの
メリット
組織/企業/商品の
目的
推進者の
モチベーション
・ パーパス/ミッションとの整合
・ 社会への応答・適合
・ ブランド価値の向上
etc.
・ 社会をよくしたい
・ ユーザーを排除したくない
・ 納得してサービスを提供したい
etc.
・ 社会の課題解決に関与できる
・ 利用できるサービスが増える
・ 生活の質を向上できる
etc.
だから、注力度合いや対応スピードが異なるのは当然である
理由:
1. 極論、多様性は無限であり、対応には無限の時間とコストがかかる
段階的に、優先度を設定して取り組まざるを得ない
2. サービスごとにアクセシブルである必要度合いが異なる
E.g. ライフライン関係 v.s. 嗜好品など
3. サービスのブランディング観点でフォーカスすべき顧客層を
設定する自由がある
E.g. ティーンの女性向け化粧品、など
自分たちのベストプラクティスを考えよう
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Part 01 まとめ : 明日から始めるために
p インクルーシブデザインの目的は
「より多くのユーザーにサービスやプロダクトを届けること」と心得よう
→ あらゆるサービスの開発、提供において、よりよいデザインを実践する
p ビジネスの目的、ユーザーのメリットとは相反しない、
という認知をつくって周囲を巻き込んでいこう
→ 推進者のモチベーションと、それに沿った戦略の両面で取り組む
p サービスの位置付けを踏まえて
自分たちのベストプラクティスを考えよう
→ 進めていくためのメッセージや戦略は必要なものを選ぶ
インクルーシブな観点を
導入するためのヒント
Part 02
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インクルーシブな観点を導入する際の課題
[組織を巻き込む段階]
• マイノリティのための特別対応なのでは? と言われて優先度が下がってしまう
• 今のサービスに満足してくれているユーザーがどう受け止めるのかが不安
[実際にスタートする段階]
• まずは何から着手したらいい?
• プロジェクトのどこに課題があるだろう? 私たちが今まさに
「模索している方法」を
シェアします
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[組織を巻き込む段階]
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マイノリティのための
特別対応なのでは? と言われて
優先度が下がってしまう
課題❶
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「特別」だと思えることは
本当に特別なのか
ステークホルダーと一緒に考えてみよう
解決策
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「障害の社会モデル」
バリアフルレストラン 画像提供:(公財)日本ケアフィット共育機構
https://dare-tomo.team/barrierful-restaurant/ (閲覧日:2023年10月18日)
https://www.youtube.com/watch?v=s6WzwiwKeyI&t=20s / (閲覧日:2023年10月18日)
障害や不利益・困難の原因は、障害のない人を前提に作られた社会の作りや仕組みに原因があるという考え方
公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 「障害の社会モデル(共生社会と心のバリアフリー)」 https://www.carefit.org/social_model/ (閲覧日:2023年10月18日)
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44
つまり「われわれとかれら」ではない
サービスや商品の提供者は
何が「ふつう」かを無意識にでもデザインしている
「ふつう」ではない誰かのための
特別対応ではない
©株式会社コンセント
何が「ふつう」で何がそうでないのかを、サービスや商品、コンテンツが決めており、その提供者であるわれわれは、
社会の価値観や前提をつくり出している
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普段の業務の中でも何が「ふつう」かをデザインしている
サービスや商品、コンテンツを
つくる際は、目的に沿って
注意深く配慮する姿勢を
ステークホルダーと
共有しておくことが大事
「人混みのイラストをお願いします」
スーツ姿で
働くのは男性だけ?
買い物するのは
女性だけ?
街を歩いているのは
アジア人だけ?
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今のサービスに満足してくれている
ユーザーが
どう受け止めるのかが不安
課題❷
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自分たちの明確な目的があれば
仮にネガティブな反応があっても
誠実に対応できます
解決策
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具体的な取り組み方法
• まずはユーザーの立場に立って課題を見つける、自分たちが取り組む
べき部分と、そこで提案すべき価値を決める
• 私たちの商品/サービス/コンテンツは、ユーザーにとってどのような
ものであるべきか、会社としてのビジョンがあればそれと照らし合わせ
て考える
プロジェクトメンバーで
ゴールイメージを揃えておく
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[実際にスタートする段階]
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51
まずは何から
着手したらいい?
課題❸
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52
自分やプロジェクトメンバーの
「バイアスに気づくこと」からはじめよう
解決策
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53
どうやるのか
自分の
バイアスを知る
他のメンバーの
バイアスを知る
チーム全体の
バイアスを知る
1 2 3
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すると…
私たちだけだと観点が不足しそう、
あの人・あのチームに参加してもらおう!
私たちにはこういうところが
見えていなかったな…
インクルーシブな観点をもつための
準備運動ができる
実はこういうユーザーがいるかも
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具体的な取り組み方法
このワークでできること
1. 人種・ジェンダー・文化など、用意された複数のユー
ザー属性に対するバイアスを総体的に洗い出せる
2. チームメンバー全体が認識する中で欠落している情報
や想像が及ばない範囲を認識できる
3. デザインプロジェクトを推進する上で、留意する点や行
うべきタスクに気づくことができる
チームでワークショップをしてみよう
Diversity Warming Up Tool
コンセントが開発している、チームみんなのバイアスに
気づくためのグループワークキット
α版
現在開発中
後日
配布予定です
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想像を及ぼすべきユーザーの17の属性
人種/民族 文化 言語 思想信条 宗教 階級
経済状況 教育 家族 居住地域 ジェンダー
性的指向/
恋愛的指向
年齢 スキル 障害 体型 健康
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想像を及ぼすべきユーザーの17の属性
α版
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ユーザー属性の一例
α版
59
チームの課題発見:開発版のテストで実際に寄せられた気づき
なんとなくの理解に
とどまっていた概念に気づいた
「障害」というカテゴリで
思いつくものが、
想像しやすい外見的な身体機能の障害に
偏っていたことに気づいた
視点の偏りの“解像度”が上がった
他のメンバーの隠れていた
観点を知ることができた
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プロジェクトの
どこに課題があるだろう?
課題❹
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いろんなアングルから
プロジェクトを立体的に見てみよう
解決策
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どうやるのか
プロジェクトはいろんな
側面をもっているので、
それぞれのアングルから
チェックしてみる
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すると…
いくつか見直すべき観点があるけど
優先度を見極めないと…
まずはユーザーテストの内容を見直して
こういう検証をしてみよう。
このデザインを
変えたほうがいいのかも?
インパクトが大きそう。
課題の優先度や対応策を議論できる
ターゲットの掘り下げが甘い?
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具体的な取り組み方法
このツールでできること
1. プロジェクトの「体制」の評価
2. プロジェクトの「プロダクト」の評価
3. プロジェクトの「検証方法」の評価
and more…
評価基準を設けてプロジェクトを診断しよう
Inclusive Service Checklist
コンセントが開発している、インクルーシブ関連
課題に関するプロジェクト評価チェックリスト。
一定の基準に沿って、プロジェクトのどんな側
面に、どんな課題があるか診断できる
α版
現在開発中
後日
配布予定です
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チェックシートの一例
α版
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チェックシートの使い方
✔
✔
✔
サービスに使われる文章にそこま
で意識が向いてなかった。
サービスの文章表現を整理して、
確認してみようかな
α版
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この活動は、私たちもまだまだ模索中
紹介したツールの開発は、「プロジェクトでの実践が難しい」という
私たち自身の課題感をきっかけに始まりました。
「導入しやすくするための方法はどんなものだろう?」
と模索する中で生まれたアイデアの一部が、このツールです。
これらのツールは現在、一般公開に向けて準備を進めています。
公開された際には、今回参加いただいたみなさまへもメールでお知らせする予定です。
今後、さまざまな方に活用いただき、フィードバックを得て改善し、
みんなでよりよいデザインを実践できる環境をつくっていきたいと考えています。
ツール開発の背景:ツールもインクルーシブな観点でつくりたい
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Part 02 まとめ : 明日からはじめるために
p 「特別」だと思えることは本当に特別なのか考えよう
→ 「障害の社会モデル」についてステークホルダーと一緒に対話する
p 仮にネガティブな反応があっても、
誠実に対応できるように明確な目的をもとう
→ メンバー同士で取り組みの目的やゴールイメージを揃えておく
p 自分たちのバイアスに気づくことからはじめよう
→ プロジェクト開始前にメンバー同士のバイアスを共有する
p いろんなアングルからプロジェクトを立体的にみてみよう
→ 評価基準を設けてプロジェクトを診断する
プロジェクト実践のTIPS
Part 03
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中安がデザイナーとして業務にあたる中で大事だと思ったあれこれ
の Tips
アイデア検証
の Tips
リサーチ
の Tips
コミュニケーション
の Tips
改善
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調査結果に影響を与えてしまう
可能性を考慮し、
リサーチャー側が持ち込みうる
バイアスにも留意しよう
の Tips
リサーチ
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• とあるデザイナーが、ユーザーリサーチのために漁港で働く人を訪問
• そのときオフィスワーカーであるデザイナーが持っていったツールは、
普段通りタブレットひとつ…
• 対象者の方はタブレット操作に慣れておらず、
プロトタイプを見せてもそもそも感想を抱く前に手が止まってしまう
• 「タブレットより紙」「漁港へは動きやすい服装で」「繁忙時間を避ける」
など、生活実態・業務実態に沿った方法を選択しないと、そもそも調査
の「入り口」に立てない
リサーチ時のバイアス:コンセントでのケース ※事実に基づくフィクションです
外部からリサーチフィールドに介入する以上
デザイナーが持ち込むバイアスは0にはならない
自身の存在や行動が、どんな影響を与えるかに留意
P h o t o b y L u a n a D e M a r c o o n U n s p l a s h
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自由に発想したアイデアは
その後にインクルーシブな
観点をもって検証しよう
の Tips
アイデア検証
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• インド人女性の経済的自立支援プロジェクトで、お釣りを貯金するため
の封筒を提案。しかし、男性関係者から「以前胸ポケットに入れるプラス
チック製のケースを作ったが、使われなかった」と反論された
• しかし、インド人女性の多くが着用しているクルタやサリーには胸ポケッ
トが存在しない。女性たちはブラウスや下着などの隙間に小銭を挟んで
いる実態があった
• 以前の施策で効果がでなかったのは、プラスチック素材が硬くて挟み
込めず、そもそも使うことができないことが原因だった
検証の不足:Unconform Studio|Mansi Gupta氏が経験したケース
Medium 「Where’s my breast pocket? It’s not about the pocket.」
https://medium.com/unconform-stories/unconforming-14-wheres-my-breast-pocket-it-s-not-about-the-pocket-3eb5b5450f4a
(閲覧日:2023年10月13日)
発想は自由でOK
ユーザーの実態と丁寧に照らし合わせて検証する
バイアスをもったままアイデアを実装しない
P h o t o b y S a n j e e v N a g a r a j o n U n s p l a s h
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75
最終アウトプットで、表現の細部まで
インクルーシブな観点が行き届いているか
注意をはらおう
の Tips
コミュニケーション
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言語表現の配慮:コンセントでのケース
• コンセントでは、撮影を担当する外部パートナーを
「カメラマン」 と呼称することが多かった
• あるとき、ジェンダーニュートラルな表現に
するべきではないか? という議論に
• 議論の上、以下のように整理
スチル写真を撮る方 → フォトグラファー
映像も撮る方 → フォト・ビデオグラファー
目的やポリシーに沿って、
どのような表現が適切かや表現による影響を考慮し、
適した表現を検討することが大事
P h o t o b y O l i v i a S p i n k o n U n s p l a s h P h o t o b y Z a n e L e e o n U n s p l a s h
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ツール・クリエイティブ開発での配慮:コンセントによるプロジェクト実践例
株式会社コンセント コーポレートサイト 「事例紹介:文部科学省『読書バリアフリー法』啓発用リーフレット」
https://www.concentinc.jp/works/mext_leaflet_202106/ (閲覧日:2023年10月11日)
目的やポリシーに沿って、
どのような表現が適切かや表現による影響を考慮し、
適した表現を検討することが大事
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78
つくって終わりではない
ユーザーの状況を丁寧に観察し
最適化を図ろう
の Tips
改善
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空間のリデザイン:コンセントでのケース
• コンセントでは、ワークショップや
撮影などを行うための多目的スペースのトイレの、
「男女共用」「女性用」 の位置を逆にした
※女性の従業員が多いため、共用に加えて女性用もある
入口に近いほう → 男女共用
ホールに近いほう → 女性用
• これは、ホールで映像収録・生配信などをしている際、
勤務中の男性従業員がトイレの利用を
遠慮してしまうということがわかったから
※コロナ渦以前はワークショップで使用することが多く、配信で使うことがなかった
考慮するのは立ち上げのとき、だけではない
ユーザーの声を聞き、利用状況に合わせて
柔軟に最適化していくことが大事
入口
ホール
男女共用 女性用
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Part 03 まとめ : 明日からはじめるために
p リサーチャー側が持ち込みうるバイアスにも留意しよう
→ 準備内容や状況、リサーチャーのふるまいがリサーチ結果に影響を及ぼす場合がある
p 自由に発想したアイデアは、後から実態に沿って検証しよう
→ 自由に発想した後で、実装前にユーザーの実態と丁寧に照らし合わせる
p インクルーシブな観点が行き届いているか
表現の細部まで注意をはらおう
→どのような表現が適切かや表現による影響を考慮し、適した表現を検討する
p その時々のユーザー状況を丁寧に観察し最適化を図ろう
→立ち上げのときだけ考慮するのではなく、利用状況に合わせて柔軟に変える
最後に : 私のマインドセット
Message
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82
マインドセット①
排除していることを自覚する
アイデアを発想して、そこから案を絞り込んだり、
ターゲットとなるユーザーを決定したりする中で、
検討段階での排除は必ず生じます。
最初から「誰も取り残さない」ことを意識するのではなく、
「今誰を取り残しているのか」を自覚しておき、
後の補完や改善に繋げることを重視しています。
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83
マインドセット②
完了しないプロセスとして理解する
インクルーシブデザインの取り組みに
「銀の弾丸」や「完璧な理解」はありません。
さらに、サービスやプロダクトを開発・運用するプロセス全体で
「常に改善し続けること」は
デザインの考え方としても非常に重要です。
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84
マインドセット③
「想像→理解」は目指すが
感情による「共感」は目指さない
当事者性を帯びた課題や、構造的な背景理解が必要な課題に対して
「共感できた」状態を目指すことは、
時にユーザーに当事者性を盗まれている感覚を与えたり、
安易な理解に当てはめられたような戸惑いを生むこともあります。
「気持ちがわかった」と思った時ほど要注意です。
本当にはその気持ちはわからないからこそ
想像を尽くすという姿勢を重視しています。
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85
ツールは後日公式に公開予定
みなさまにはメールで配布いたします
現在、配布に向けて準備を進めています。
ぜひ活用いただき、フィードバックをお寄せください。
みなさんと一緒に、よりよいデザインに取り組める環境をつくっていきたいです。
Diversity Warming Up Tool
チームみんなのバイアスに
気づくためのグループワークキット
Inclusive Service Checklist
プロジェクトにインクルーシブに関連する
課題があるかを診断するチェックリスト
ビジネスにインクルーシブの観点を 明日からはじめる、多様性時代のデザイン

ビジネスにインクルーシブの観点を 明日からはじめる、多様性時代のデザイン

  • 2.
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  • 3.
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  • 4.
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  • 5.
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  • 6.
  • 7.
    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 14 中安 晶 | Akira Nakayasu サービスデザイナー/インクルーシブデザイナー 慶應義塾大学 環境情報学部 環境情報学科卒業。卵巣がん患者の意思 決定を支援する情報媒体や、企業内部へのアクセシビリティ支援の浸透 など、ジェンダーや社会課題にまつわるフィールドに対してデザイン倫理 やユーザー中心の視点を用いて取り組む。またサービスデザイナーとして 企業の業務改善やコンセプト開発、サービス運用にも携わる。 自己紹介
  • 8.
    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 15 中安はなぜサービスデザイナー/インクルーシブデザイナーになったのか? • 学生時代から社会課題、特にジェンダーに興味があり、学内の環境改善の活動なども実施 • 就職する際、社会課題に取り組む余地のある仕事は何か...?と考える • ユーザー中心の視点を大事にするデザイン分野なら、サービスやプロダクト、コミュニケー ションの改善によって誰かの役に立てる/辛い思いをする人を減らせるのでは?と気づく そもそものモチベーションは... …ということで、コンセントにジョイン!
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 16 これまでに取り組んだプロジェクト(一例) 卵巣がん患者の意思決定を支援する情報媒体 株式会社コンセント コーポレートサイト 「事例紹介:コスモ・ピーアール 卵巣がん患者の意思決定を支援する情報媒体」 https://www.concentinc.jp/works/cosmopr_paper_202111/ (閲覧日:2023年10月11日)
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 17 実際に取り組んでみて感じたこと デザイナーという仕事って・・・ • (多くの場合において)ユーザーの持つ課題の完全な当事者にはなれない。一方でその課題 の発見・解決を請け負っている • 外部からの介入し、デザインを通じて解決策を提供するが、それが十分な理解や洞察に基づ いていない場合、誤った解決策の押し付けになる危険性がある 「デザイナーには特権性がある?」
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 18 デザイナーとしての自覚 • 首を突っ込む以上、課題理解のために十分な努力をした上でデザインを行う必要がある • ユーザーを取り巻く構造的な課題や、ステークホルダー、タイミングなどが組み合わさって 複合的に生まれるパワーバランスなどを踏まえないと、課題を正しく捉えることは難しい デザイナーは特権性ある立場だと自覚し、 その上で誠実さをもってデザインに取り組む それがデザイナーとして 〈インクルーシブな観点〉 をもつということ “自分のものではない”課題の解決に取り組む存在 デザイナーは
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 19 本日のテーマ インクルーシブの観点をビジネスの根底に それは、ビジネスの利益・成果のためではない ブランディングなど、イメージアップのためでもない デザインとはそもそも、ユーザーを思ってやること だからインクルーシブな観点は、 デザイナーがデザインに取り組むとき あたり前にもつべきもの
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 20 目次 / Part 01 業務の中でインクルーシブな観点をもつ意義とは? Part 02 インクルーシブな観点を導入するためのヒント Part 03 プロジェクト実践のTIPS
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 22 「インクルーシブデザイン」って 最近よく聞くけど いろいろあってはっきりしません...
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 23 一般的なインクルーシブデザインの定義 ユーザーの特殊性から 新たな価値を創造 イノベーションに資する インクルージョン サービスや商品をインクルーシブに 拡張していく ユーザーを排除しないよう 検討されたデザイン ©株式会社コンセント
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 24 「イノベーションに資するインクルージョン」とは キ ャット・ホームズ著、ジョ ン・マ エダ編集、大野千鶴翻訳 『MISMAT CH-見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』 (2019)ビー・エヌ・エヌ新社 *1: p. 142より引用 「チームがインクルージョンを目指せば、新しいソリューション を見つけるだけでなく、使われていない既存のソリューションの 新しい活用法も見つかるだろう」*1 インクルーシブな観点=今までにない新しい観点 つまり、インクルージョンはイノベーションの種になる
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 25 「イノベーションに役立つから、 インクルーシブな観点をもつ」 それ自体は画期的だが 役立たないならやらなくていい わけではない
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 26 「ユーザーを排除しないよう検討されたデザイン」とは デザイナーの検討不足や構造的な見過ごしによって起こる、 排除されてきたユーザーの被害や不利益を防ぐ ジョ ナサン・シャリアート著、 シンシア・サヴァール・ソシエ著、高崎拓哉翻訳 『悲劇的なデザイン ―あなたのデザインが誰かを傷つ けたかもしれないと考えたことはあります か? 』 (2017)ビー・エヌ・エヌ新社 *1: pp. 61-65より要約 • 急性アレルギー反応時、患者自身で打つ注射器に添付さ れた説明書。その説明文が長く複雑だったため、患者は 何度試しても上手くできずパニック状態に *1 キ ャロライン・クリアド=ペレス著、神崎朗子翻訳 『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファク トを暴く』 (2020)河出書房新社 *2: pp. 217-219より要約 • 米国では2011年まで、車の衝突安全テストに使うダミー 人形に女性のモデルがなかった。導入後、同じテストで安 全評価が急落する結果に*2
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 27 被害や不利益を防ぐということはもちろん、 つまりそれは 今提供しているユーザー体験を もっと向上させられる ということ
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 29 私たちが考えるインクルーシブデザインの意義 新たな価値の創造は歓迎するが、 軸になるのはインクルーシブな観点の拡張/反映 短期的に価値が出るから取り組む、 だけではなく 「よりよいデザイン」の実践のために
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 30 わかってはいるけれど… それって難しくないですか?
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 31 推進者のモチベーションだけで 進めるのは、確かに難しい だから、 ビジネスの目的・ユーザーのメリットとも 相反しないという認知をつくることが有効
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 32 Patagoniaのケース MISSION 私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む Patagonia, Inc. 「企業の責任とパタゴニアの歩み」 https://www.patagonia.jp/our-footprint/corporate-social-responsibility-history.html (閲覧日:2023年10月11日) • 環境再生型農業に根ざしたビール製品の発売 • サプライチェーンの検査/調達段階での労働者の人権の確保 etc. ユーザーの メリット 組織/企業/商品の 目的 推進者の モチベーション 商品を選ぶことが サステナブルな活動への アクションにつながる サステナブルな 事業をする ミッションを 具現化できる ※講師による解釈です
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 33 LUSHのケース PR TIMES 「英国発ナチュラルコスメブランドLUSH ダイバーシティ&インクルージョンの観点から商品名の変更を実施一部商品名は顧客からの公募により決定予定」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000449.000006160.html (閲覧日:2023年10月11日) Black Lives Matter運動をきっかけに、全ての商品名のレビューと最適化を図った ユーザーの メリット 組織/企業/商品の 目的 推進者の モチベーション 抵抗感を持たず 商品を選択しやすくなる ブランドの信念を提示し 価値を向上する 自分たちが納得して 商品を提供できる ミスゴージャス → ゴージャス ソーホワイト ボディースプレー → ワンス アポン ア タイム ボディースプレー etc. ※講師による解釈です
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 34 小林製薬株式会社「サラサーティ」のケース 小林製薬株式会社 「ニュースリリース:サラサーティ35周年。初の「おりもの」展覧会を原宿で開催!「おりもの」を通して、自分のカラダと向き合う機会を」 https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2023/20230828/ (閲覧日:2023年10月11日) ユーザーの メリット 組織/企業/商品の 目的 推進者の モチベーション 自分の体について 知る・向き合う 機会にできる 商品の魅力を伝え 新規顧客との 接点をつくる キャンペーンを 通じて 女性をエンパワーできる ※講師による解釈です 「おりもの」をとおして、自分のカラダと向き合うイベント 「My Body, My Self. -カラダの疑問展-」を開催
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 35 推進するためのメッセージや戦略は サービス・プロダクト・企業の状況によってさまざま モチベーションと戦略を両立させるために ユーザーの メリット 組織/企業/商品の 目的 推進者の モチベーション ・ パーパス/ミッションとの整合 ・ 社会への応答・適合 ・ ブランド価値の向上 etc. ・ 社会をよくしたい ・ ユーザーを排除したくない ・ 納得してサービスを提供したい etc. ・ 社会の課題解決に関与できる ・ 利用できるサービスが増える ・ 生活の質を向上できる etc.
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    だから、注力度合いや対応スピードが異なるのは当然である 理由: 1. 極論、多様性は無限であり、対応には無限の時間とコストがかかる 段階的に、優先度を設定して取り組まざるを得ない 2. サービスごとにアクセシブルである必要度合いが異なる E.g.ライフライン関係 v.s. 嗜好品など 3. サービスのブランディング観点でフォーカスすべき顧客層を 設定する自由がある E.g. ティーンの女性向け化粧品、など 自分たちのベストプラクティスを考えよう
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 37 Part 01 まとめ : 明日から始めるために p インクルーシブデザインの目的は 「より多くのユーザーにサービスやプロダクトを届けること」と心得よう → あらゆるサービスの開発、提供において、よりよいデザインを実践する p ビジネスの目的、ユーザーのメリットとは相反しない、 という認知をつくって周囲を巻き込んでいこう → 推進者のモチベーションと、それに沿った戦略の両面で取り組む p サービスの位置付けを踏まえて 自分たちのベストプラクティスを考えよう → 進めていくためのメッセージや戦略は必要なものを選ぶ
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 39 インクルーシブな観点を導入する際の課題 [組織を巻き込む段階] • マイノリティのための特別対応なのでは? と言われて優先度が下がってしまう • 今のサービスに満足してくれているユーザーがどう受け止めるのかが不安 [実際にスタートする段階] • まずは何から着手したらいい? • プロジェクトのどこに課題があるだろう? 私たちが今まさに 「模索している方法」を シェアします
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 40 [組織を巻き込む段階]
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 41 マイノリティのための 特別対応なのでは? と言われて 優先度が下がってしまう 課題❶
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 42 「特別」だと思えることは 本当に特別なのか ステークホルダーと一緒に考えてみよう 解決策
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 43 「障害の社会モデル」 バリアフルレストラン 画像提供:(公財)日本ケアフィット共育機構 https://dare-tomo.team/barrierful-restaurant/ (閲覧日:2023年10月18日) https://www.youtube.com/watch?v=s6WzwiwKeyI&t=20s / (閲覧日:2023年10月18日) 障害や不利益・困難の原因は、障害のない人を前提に作られた社会の作りや仕組みに原因があるという考え方 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 「障害の社会モデル(共生社会と心のバリアフリー)」 https://www.carefit.org/social_model/ (閲覧日:2023年10月18日)
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 44 つまり「われわれとかれら」ではない サービスや商品の提供者は 何が「ふつう」かを無意識にでもデザインしている 「ふつう」ではない誰かのための 特別対応ではない ©株式会社コンセント 何が「ふつう」で何がそうでないのかを、サービスや商品、コンテンツが決めており、その提供者であるわれわれは、 社会の価値観や前提をつくり出している
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 45 普段の業務の中でも何が「ふつう」かをデザインしている サービスや商品、コンテンツを つくる際は、目的に沿って 注意深く配慮する姿勢を ステークホルダーと 共有しておくことが大事 「人混みのイラストをお願いします」 スーツ姿で 働くのは男性だけ? 買い物するのは 女性だけ? 街を歩いているのは アジア人だけ?
  • 39.
    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 46 今のサービスに満足してくれている ユーザーが どう受け止めるのかが不安 課題❷
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 47 自分たちの明確な目的があれば 仮にネガティブな反応があっても 誠実に対応できます 解決策
  • 41.
    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 49 具体的な取り組み方法 • まずはユーザーの立場に立って課題を見つける、自分たちが取り組む べき部分と、そこで提案すべき価値を決める • 私たちの商品/サービス/コンテンツは、ユーザーにとってどのような ものであるべきか、会社としてのビジョンがあればそれと照らし合わせ て考える プロジェクトメンバーで ゴールイメージを揃えておく
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 50 [実際にスタートする段階]
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 51 まずは何から 着手したらいい? 課題❸
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 52 自分やプロジェクトメンバーの 「バイアスに気づくこと」からはじめよう 解決策
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 53 どうやるのか 自分の バイアスを知る 他のメンバーの バイアスを知る チーム全体の バイアスを知る 1 2 3
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 54 すると… 私たちだけだと観点が不足しそう、 あの人・あのチームに参加してもらおう! 私たちにはこういうところが 見えていなかったな… インクルーシブな観点をもつための 準備運動ができる 実はこういうユーザーがいるかも
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 55 具体的な取り組み方法 このワークでできること 1. 人種・ジェンダー・文化など、用意された複数のユー ザー属性に対するバイアスを総体的に洗い出せる 2. チームメンバー全体が認識する中で欠落している情報 や想像が及ばない範囲を認識できる 3. デザインプロジェクトを推進する上で、留意する点や行 うべきタスクに気づくことができる チームでワークショップをしてみよう Diversity Warming Up Tool コンセントが開発している、チームみんなのバイアスに 気づくためのグループワークキット α版 現在開発中 後日 配布予定です
  • 48.
    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 56 想像を及ぼすべきユーザーの17の属性 人種/民族 文化 言語 思想信条 宗教 階級 経済状況 教育 家族 居住地域 ジェンダー 性的指向/ 恋愛的指向 年齢 スキル 障害 体型 健康
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 58 ユーザー属性の一例 α版
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 60 プロジェクトの どこに課題があるだろう? 課題❹
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 61 いろんなアングルから プロジェクトを立体的に見てみよう 解決策
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 62 どうやるのか プロジェクトはいろんな 側面をもっているので、 それぞれのアングルから チェックしてみる
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 63 すると… いくつか見直すべき観点があるけど 優先度を見極めないと… まずはユーザーテストの内容を見直して こういう検証をしてみよう。 このデザインを 変えたほうがいいのかも? インパクトが大きそう。 課題の優先度や対応策を議論できる ターゲットの掘り下げが甘い?
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 64 具体的な取り組み方法 このツールでできること 1. プロジェクトの「体制」の評価 2. プロジェクトの「プロダクト」の評価 3. プロジェクトの「検証方法」の評価 and more… 評価基準を設けてプロジェクトを診断しよう Inclusive Service Checklist コンセントが開発している、インクルーシブ関連 課題に関するプロジェクト評価チェックリスト。 一定の基準に沿って、プロジェクトのどんな側 面に、どんな課題があるか診断できる α版 現在開発中 後日 配布予定です
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 65 チェックシートの一例 α版
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 66 チェックシートの使い方 ✔ ✔ ✔ サービスに使われる文章にそこま で意識が向いてなかった。 サービスの文章表現を整理して、 確認してみようかな α版
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 67 この活動は、私たちもまだまだ模索中 紹介したツールの開発は、「プロジェクトでの実践が難しい」という 私たち自身の課題感をきっかけに始まりました。 「導入しやすくするための方法はどんなものだろう?」 と模索する中で生まれたアイデアの一部が、このツールです。 これらのツールは現在、一般公開に向けて準備を進めています。 公開された際には、今回参加いただいたみなさまへもメールでお知らせする予定です。 今後、さまざまな方に活用いただき、フィードバックを得て改善し、 みんなでよりよいデザインを実践できる環境をつくっていきたいと考えています。 ツール開発の背景:ツールもインクルーシブな観点でつくりたい
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 68 Part 02 まとめ : 明日からはじめるために p 「特別」だと思えることは本当に特別なのか考えよう → 「障害の社会モデル」についてステークホルダーと一緒に対話する p 仮にネガティブな反応があっても、 誠実に対応できるように明確な目的をもとう → メンバー同士で取り組みの目的やゴールイメージを揃えておく p 自分たちのバイアスに気づくことからはじめよう → プロジェクト開始前にメンバー同士のバイアスを共有する p いろんなアングルからプロジェクトを立体的にみてみよう → 評価基準を設けてプロジェクトを診断する
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 70 中安がデザイナーとして業務にあたる中で大事だと思ったあれこれ の Tips アイデア検証 の Tips リサーチ の Tips コミュニケーション の Tips 改善
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 71 調査結果に影響を与えてしまう 可能性を考慮し、 リサーチャー側が持ち込みうる バイアスにも留意しよう の Tips リサーチ
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 72 • とあるデザイナーが、ユーザーリサーチのために漁港で働く人を訪問 • そのときオフィスワーカーであるデザイナーが持っていったツールは、 普段通りタブレットひとつ… • 対象者の方はタブレット操作に慣れておらず、 プロトタイプを見せてもそもそも感想を抱く前に手が止まってしまう • 「タブレットより紙」「漁港へは動きやすい服装で」「繁忙時間を避ける」 など、生活実態・業務実態に沿った方法を選択しないと、そもそも調査 の「入り口」に立てない リサーチ時のバイアス:コンセントでのケース ※事実に基づくフィクションです 外部からリサーチフィールドに介入する以上 デザイナーが持ち込むバイアスは0にはならない 自身の存在や行動が、どんな影響を与えるかに留意 P h o t o b y L u a n a D e M a r c o o n U n s p l a s h
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 73 自由に発想したアイデアは その後にインクルーシブな 観点をもって検証しよう の Tips アイデア検証
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 74 • インド人女性の経済的自立支援プロジェクトで、お釣りを貯金するため の封筒を提案。しかし、男性関係者から「以前胸ポケットに入れるプラス チック製のケースを作ったが、使われなかった」と反論された • しかし、インド人女性の多くが着用しているクルタやサリーには胸ポケッ トが存在しない。女性たちはブラウスや下着などの隙間に小銭を挟んで いる実態があった • 以前の施策で効果がでなかったのは、プラスチック素材が硬くて挟み 込めず、そもそも使うことができないことが原因だった 検証の不足:Unconform Studio|Mansi Gupta氏が経験したケース Medium 「Where’s my breast pocket? It’s not about the pocket.」 https://medium.com/unconform-stories/unconforming-14-wheres-my-breast-pocket-it-s-not-about-the-pocket-3eb5b5450f4a (閲覧日:2023年10月13日) 発想は自由でOK ユーザーの実態と丁寧に照らし合わせて検証する バイアスをもったままアイデアを実装しない P h o t o b y S a n j e e v N a g a r a j o n U n s p l a s h
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 75 最終アウトプットで、表現の細部まで インクルーシブな観点が行き届いているか 注意をはらおう の Tips コミュニケーション
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 76 言語表現の配慮:コンセントでのケース • コンセントでは、撮影を担当する外部パートナーを 「カメラマン」 と呼称することが多かった • あるとき、ジェンダーニュートラルな表現に するべきではないか? という議論に • 議論の上、以下のように整理 スチル写真を撮る方 → フォトグラファー 映像も撮る方 → フォト・ビデオグラファー 目的やポリシーに沿って、 どのような表現が適切かや表現による影響を考慮し、 適した表現を検討することが大事 P h o t o b y O l i v i a S p i n k o n U n s p l a s h P h o t o b y Z a n e L e e o n U n s p l a s h
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 77 ツール・クリエイティブ開発での配慮:コンセントによるプロジェクト実践例 株式会社コンセント コーポレートサイト 「事例紹介:文部科学省『読書バリアフリー法』啓発用リーフレット」 https://www.concentinc.jp/works/mext_leaflet_202106/ (閲覧日:2023年10月11日) 目的やポリシーに沿って、 どのような表現が適切かや表現による影響を考慮し、 適した表現を検討することが大事
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 78 つくって終わりではない ユーザーの状況を丁寧に観察し 最適化を図ろう の Tips 改善
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 79 空間のリデザイン:コンセントでのケース • コンセントでは、ワークショップや 撮影などを行うための多目的スペースのトイレの、 「男女共用」「女性用」 の位置を逆にした ※女性の従業員が多いため、共用に加えて女性用もある 入口に近いほう → 男女共用 ホールに近いほう → 女性用 • これは、ホールで映像収録・生配信などをしている際、 勤務中の男性従業員がトイレの利用を 遠慮してしまうということがわかったから ※コロナ渦以前はワークショップで使用することが多く、配信で使うことがなかった 考慮するのは立ち上げのとき、だけではない ユーザーの声を聞き、利用状況に合わせて 柔軟に最適化していくことが大事 入口 ホール 男女共用 女性用
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 80 Part 03 まとめ : 明日からはじめるために p リサーチャー側が持ち込みうるバイアスにも留意しよう → 準備内容や状況、リサーチャーのふるまいがリサーチ結果に影響を及ぼす場合がある p 自由に発想したアイデアは、後から実態に沿って検証しよう → 自由に発想した後で、実装前にユーザーの実態と丁寧に照らし合わせる p インクルーシブな観点が行き届いているか 表現の細部まで注意をはらおう →どのような表現が適切かや表現による影響を考慮し、適した表現を検討する p その時々のユーザー状況を丁寧に観察し最適化を図ろう →立ち上げのときだけ考慮するのではなく、利用状況に合わせて柔軟に変える
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 82 マインドセット① 排除していることを自覚する アイデアを発想して、そこから案を絞り込んだり、 ターゲットとなるユーザーを決定したりする中で、 検討段階での排除は必ず生じます。 最初から「誰も取り残さない」ことを意識するのではなく、 「今誰を取り残しているのか」を自覚しておき、 後の補完や改善に繋げることを重視しています。
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 83 マインドセット② 完了しないプロセスとして理解する インクルーシブデザインの取り組みに 「銀の弾丸」や「完璧な理解」はありません。 さらに、サービスやプロダクトを開発・運用するプロセス全体で 「常に改善し続けること」は デザインの考え方としても非常に重要です。
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 84 マインドセット③ 「想像→理解」は目指すが 感情による「共感」は目指さない 当事者性を帯びた課題や、構造的な背景理解が必要な課題に対して 「共感できた」状態を目指すことは、 時にユーザーに当事者性を盗まれている感覚を与えたり、 安易な理解に当てはめられたような戸惑いを生むこともあります。 「気持ちがわかった」と思った時ほど要注意です。 本当にはその気持ちはわからないからこそ 想像を尽くすという姿勢を重視しています。
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    © Concent, Inc.All Rights Reserved. 85 ツールは後日公式に公開予定 みなさまにはメールで配布いたします 現在、配布に向けて準備を進めています。 ぜひ活用いただき、フィードバックをお寄せください。 みなさんと一緒に、よりよいデザインに取り組める環境をつくっていきたいです。 Diversity Warming Up Tool チームみんなのバイアスに 気づくためのグループワークキット Inclusive Service Checklist プロジェクトにインクルーシブに関連する 課題があるかを診断するチェックリスト