「ゲームの面白さ」を
言語化するために その1
比較的こなれた(呼称が収束してきた)言葉を選んでみました。




             2011/10/18
      Y.Tezuka(Twitter ID: SiFi_TZK)
ゲームの範囲を
  表わす
   言葉
          2
ゲームの
範囲を                                                           「ゲーム」と
表わす
言葉                                                          「ゲームプレイ」
            ゲーム:ゲームそのものを指す
            ゲーム:ゲームそのものを指す
            ゲームプレイ:ゲームをプレイヤーがプレイ
            ゲームプレイ:ゲームをプレイヤーがプレイ
            する瞬間を指す
            する瞬間を指す

                                                           「面白さ」が発生するのは主に
                                                           「ゲームプレイ」。
                                                           逆に、「ゲームの発売が発表されたときに感じる
                                                           ワクワク」はゲームプレイをせずとも楽しめる、
                                                           などのように使う。



 http://www.zoomxs.info/2011/07/08/what-defines-a-gamer/                            3
ゲームの
範囲を                             「プレイタイム」と
表わす
言葉                           「フィクショナルタイム」
       プレイタイム:ゲームに参加している時間
       プレイタイム:ゲームに参加している時間
       フィクショナルタイム:ゲーム世界に没入している時間
       フィクショナルタイム:ゲーム世界に没入している時間
                                                    オープニングデモなどは、フィクショナルタイム
                                                    ではあるが、プレイタイムではない。
                                                    また、ロード時のミニゲームなどは逆に
                                                    フィクショナルタイムが中断し、
                                                    プレイタイムが発生している。

                                                    フィクショナルタイムの面白さだけなら、
                                                    映画やアニメで充分。

                                                    また、「アフレコ!」のように、突き詰めれば
 http://www.j-cast.com/mono/2008/03/30018384.html
                                                    インタラクションはなくとも
                                                    プレイタイムは発生する。             4
ゲームの
範囲を             「OODAループ」と
表わす
言葉              「PDCAサイクル」
                の頭文字からなる、意志決定理論のひとつ。
                このループを回すことで、事態に対する迅速
 Observe(監視)
 Observe(監視)    な対応を実現する。
 Orient(情勢判断)
 Orient(情勢判断)
 Decide(意思決定)
 Decide(意思決定)   プレイヤーの意志決定に際し、
                • 事前にどういった情報をどう提供するか?
 Act(行動)
 Act(行動)        • どの段階で選択肢を明示するか?
                を検討する際に有用な概念。

また、
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)
を繰り返す「PDCAサイクル」もあり、
ゲームタイプによってそれぞれ応用が可能。
                                        5
ゲームの
範囲を                                             「マジックサークル
表わす
言葉                                                  (魔法円)」
  プレイタイム:ゲームに参加している時間
  プレイタイム:ゲームに参加している時間
  マジックサークル:ゲームプレイに支配される場
  マジックサークル:ゲームプレイに支配される場
                                                      プレイ時間とプレイ空間に対する定義が、
                                                      「プレイタイム」と「マジックサークル」といえる。

                                                      同じゲームを携帯電話でプレイする場合と、
                                                      ギャラリーのいるゲームセンターでプレイする
                                                      場合、マジックサークルは同じだろうか。
                                                      「プロ野球はどこまでがマジックサークル
                                                      か?」なんて問いは議論として面白い。
  http://shirakiayumi.sblo.jp/article/29354625.html

                                                                              6
ゲームの
範囲を                    「ゲームデザイン」と
表わす
言葉                      「レベルデザイン」
     ゲームデザイン:ゲーム自体を構成すること。狭義には、
     ゲームデザイン:ゲーム自体を構成すること。狭義には、
     ゲームメカニクスを決定すること
     ゲームメカニクスを決定すること
     レベルデザイン:レベル(面)を構成すること
     レベルデザイン:レベル(面)を構成すること
     ゲームメカニクス:ゲームとプレイヤー間のインタラクションを実現する仕組み
     ステージ/レベル:「面」とも呼ばれる、ゲームプレイを区切る単位


                             たとえば「プレイヤーが穴に落ちてしまう問題」が
                             あった場合、
                             それを「ジャンプできるようジャンプ曲線を変える」
                             のがゲームメカニクスの修正、
                             「穴を小さくする/ふさぐ」のがレベルの修正。
                             「レベルデザイナー」という職種が登場して以降、
                             制作現場での重要性が増している概念。

  『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂 1985)
                                                        7
ゲームの
範囲を               「ゲーム」
表わす
言葉        「ゲーム外」と「境界例」
       ゲーム以外のもの
   戦争 交通 ハイパーテキスト ルールのない遊び
                             ジェスパー・ジュールが著書『half-
                             real』(2005)で論じた分類法。
       境界にあるもの
       『シムシティ』や『シムズ』などの
          終わりのないゲーム
       確率だけのゲーム ギャンブル        『half-real』では、「ルールはあるが
         ルールが可変なTRPG

                             目的のないゲーム」などが「境界例」
                             とされるが、
           ゲーム               では『SIM CITY』のオリジナル版と、
          シューター 音ゲー
           チェス トランプ
             サッカー            目的のあるSFC版はどうか。
                             『どうぶつの森』はどうか?

                                                      8
「面白さ」を
置き換える
 言葉
         9
「面白さ」を
置き換える                                                                    「勝つ快感」と
言葉
                                                                          「知る快感」
                 勝つ快感:勝利することによって得られる快感
                 勝つ快感:勝利することによって得られる快感
                 知る快感:情報の獲得によって得られる快感
                 知る快感:情報の獲得によって得られる快感
   これらは本能的なものと考えられ、
   • 勝利=生殖に有利
   • 情報獲得=生存に有利
   のどちらも、生物の原初的な脳内報酬系を刺激すると考えられる。


                                                                                        スポーツや古典ゲームなどの
                                                                                        分析にも有効なフレームと
                                                                                        思われる。


 http://hokkaido.nikkansports.com/baseball/pr   http://takeshiquiz.img.jugem.jp/20060914_180249.JPG
 ofessional/fighters/h-bb-060928-0009-ns.jpg                                                            10
「面白さ」を
置き換える
言葉
                                      「スリル」と
                                    「サスペンス」
  電車の発車時刻が近いのに、なかなか踏切が開かないのが
  電車の発車時刻が近いのに、なかなか踏切が開かないのが
  「サスペンス」、ベルが鳴り、必死に駅の階段を駆け上がって
  「サスペンス」、ベルが鳴り、必死に駅の階段を駆け上がって
  危うく電車に滑り込むのが「スリル」、座席について一息つき、
  危うく電車に滑り込むのが「スリル」、座席について一息つき、
  電車が反対方向に走り出したことに気づくのが「ショック」(ア
  電車が反対方向に走り出したことに気づくのが「ショック」(ア
  ルフレッド・ヒッチコック)
  ルフレッド・ヒッチコック)

                           そのゲームで与えたいのは「スリル」なのか「サスペンス」
                           なのか(または「ショック」か)は、そもそもリアルタイム
                           ゲームにするかどうか、などのゲームの基本的な設計に
                           大きく関わる。


   『イースII』(日本ファルコム 1988)
                                                         11
「面白さ」を
置き換える                               「チャレンジ」と
言葉
                              「体験(エクスペリエンス)」
                  チャレンジ:プレイヤーが乗り越えるべき課題
                  チャレンジ:プレイヤーが乗り越えるべき課題
                  体験:プレイヤーがプレイタイムまたはフィクショナルタイム
                  体験:プレイヤーがプレイタイムまたはフィクショナルタイム
                  (前述)で得る体験
                  (前述)で得る体験


                                                         チャレンジがプレイヤーのスキルと均衡する
                                                         とき、プレイヤーは「フロー」(後述)状態に
                                                         導かれる。

                                                         チャレンジと体験のどちらで楽しませるか。
                                                         欧米のゲームでは後者に重きが置かれてい
                                                         る、などのように使う。

 http://formula-
 mix.up.seesaa.net/image/j_rosdfhgsiter_cockpit_l2.jpg
                                                                                 12
「面白さ」を
置き換える
言葉
                                                     「チャンク」
                      心理学者ジョージ・ミラーが提唱した概念で、「意味を
                      持った情報のまとまり」のこと。

                      人間の短期記憶は7±2つ(個人差あり)のチャンクの
                      記憶が限界であり、「いかにしてチャンクにまとめるか」
                      が、効率的な情報の取得に対して有効。


                                           プレイヤーはゲームの情報を学習、整理し、チャンクに
                                           まとめることでゲームに習熟していく。(→「知る快感」)

                                           チャンクへのまとめやすさ、要求するチャンクの数は、
                                           ゲームデザインで操作できる。
                                           格闘ゲームの「小足立ちパン昇竜」等
                                           の「コンボ」はチャンクの好例。

 http://img14.shop-
 pro.jp/PA01081/159/product/16926795.jpg
                                                                       13
「面白さ」を
置き換える
言葉
                                                                                 「フロー」
                        心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、
                        「完全にその物事に没入している精神状態」のこと。

                        ゲームにおいては、マジックサークル内のプレイヤーの
                        プレイタイムにおける没頭状態をいかにして整備する
                        か、という議論に通じる。


                                                                               日本アーケードゲームの「時間
                                                                               軸へのこだわり」は、フローを生
                                                                               み出そうとする努力と言い換え
                                                                               られる。

                                                                               のように使う。
 http://news.dengeki.com/elem/000/000/3   http://www.product-reviews.net/wp-
 02/302375/c20100917_vo4_06_cs1w1_        content/userimages/2007/11/kid-
 300x.jpg                                 playing-ddr.jpg

                                                                                                 14
「面白さ」を
置き換える
言葉
                                                     「所属欲求」と
                                                      「承認欲求」
            所属欲求:グループに所属したい、受け入れられたい、と
            所属欲求:グループに所属したい、受け入れられたい、と
            いう欲求
             いう欲求
            承認欲求:グループで尊重されたい、褒められたい、とい
            承認欲求:グループで尊重されたい、褒められたい、とい
            う欲求
             う欲求
            心理学者アブラハム・ マズローが提唱した概念。


                                                例えば小学生にとって、グループで流行っているゲー
                                                ムが欲しい、楽しい。
                                                という発言は、ゲームそのものの魅力より、これらの欲
                                                求が大きく関係していると思われる。
 http://blog-imgs-27-
 origin.fc2.com/a/m/a/amaebi491224/1227790413
 492e984d789c0.jpg
                                                                        15
ゲームを
分類する
 言葉
       16
ゲームを
分類する                                    「アクション」と
言葉
                                        「リアクション」
        アクション:自発的な行動
        アクション:自発的な行動
        リアクション:行動に対する反応
        リアクション:行動に対する反応
        どちらに主眼を置くか?                     • プレイヤーがアクション→
                                          ゲームがリアクションを返す
                                        • ゲームがアクション→
                                          プレイヤーがリアクションする

                                                 掴んで触感を楽しむ?
                                                 投げて動きを楽しむ?



 『パラッパラッパー』(ソニー・コンピュータエンタテインメント 1996)
                                                              17
ゲームを
分類する
言葉
                                       「完全情報ゲーム」と
                                       「不完全情報ゲーム」
             完全情報ゲーム:すべてのプレイヤーにすべての情報が公
             完全情報ゲーム:すべてのプレイヤーにすべての情報が公
             開されている。チェス
             開されている。チェス
             不完全情報ゲーム:公開されていない情報がある。ポーカー
             不完全情報ゲーム:公開されていない情報がある。ポーカー

             いわゆる「ゲーム理論」で用いられる言葉。
                                                                  ボードゲームの『スコットランドヤー
                                                                  ド』『ブラフ』などは、情報の公開/
                                                                  非公開を操作するゲームデザイン
                                                                  となっている。

                                                                  また、三次元空間のゲームは
                                                                  その性質上、ほぼすべてが
http://www6.tok2.com/home/fukurokouji/rei   『賭博黙示録カイジ 』1巻(福本伸行)
                                                                  不完全情報ゲームになる。
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                                                                                  18
ゲームを
分類する
言葉
                                               「ゼロサムゲーム」と
                                               「プラスサムゲーム」
       ゼロサムゲーム:参加者の損得を合計すると0になる
       ゼロサムゲーム:参加者の損得を合計すると0になる
       プラスサムゲーム:参加者の損得を合計するとプラスになる
       プラスサムゲーム:参加者の損得を合計するとプラスになる
       「ゲーム理論」の用語。

                                                               たとえば競馬は、徴収したリソースを勝者で分
                                                               配する構造のため、(ほぼ)ゼロサムゲームとい
                                                               える。

                                                               TVゲームの場合は無限のリソース供給が可能で
                                                               あるためか、プラスサムゲームが多い。

 http://www.jra.go.jp/datafile/jrasho/img/jrasho_2010_01.jpg

                                                                                    19
ゲームを
分類する
言葉
                                                  「確定ゲーム」と
                                                  「不確定ゲーム」
        確定ゲーム:状況がルールとプレイヤーの選択でのみ規定さ
        確定ゲーム:状況がルールとプレイヤーの選択でのみ規定さ
        れ、偶然性の入る余地のないゲーム
        れ、偶然性の入る余地のないゲーム
        不確定ゲーム:偶然によって状況が異なってくるゲーム
        不確定ゲーム:偶然によって状況が異なってくるゲーム

        「ゲーム理論」の用語。

                                                囲碁や将棋、オセロなどは確定ゲームであり、野球や
                                                サッカーなどのスポーツは、風や芝の状態、選手の体
                                                調など偶然の要素が多く、不確定ゲームといえる。

                                                パズルは確定ゲーム、ギャンブルは不確定ゲーム、
                                                という分類も可能。
 http://blog-imgs-
 18.fc2.com/o/s/a/osakapon/20090320182435.jpg
                                                                           20
ゲームを
分類する
言葉
                                      「創発型ゲーム」と
                                       「進行型ゲーム」
      創発型ゲーム:ゲーム内の要素が絡み合い、プレイ毎に違っ
      創発型ゲーム:ゲーム内の要素が絡み合い、プレイ毎に違っ
      た展開が生み出されるゲーム
      た展開が生み出されるゲーム
      進行型ゲーム:ゲーム内の要素が逐次的に提示され、毎回同
      進行型ゲーム:ゲーム内の要素が逐次的に提示され、毎回同
      じ展開になるゲーム
      じ展開になるゲーム

                                      進行型ゲームは、TVゲーム誕生以降にあらわれた
                                      比較的新しい形式。

                                      創発型ゲームはチャンクの絶え間ない獲得により、
                                      また進行型ゲームは厳密に時間管理された展開に
                                      よるフロー体験などで、それぞれリプレイ性を獲得し
                                      ている、と考えられる。
 『Left 4 Dead』(Valve Software 2008)                              21
とりあえず今回は
  ここまで。
    ご意見、ご感想、間違いのご指摘、
   「その2」ではこの言葉を入れるべき、等
       以下にお寄せください。

      Y.Tezuka(Twitter ID: SiFi_TZK)
ゲームデザイン、プロジェクト運営等のお仕事も募集中です。
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Game001

  • 1.
  • 2.
  • 3.
    ゲームの 範囲を 「ゲーム」と 表わす 言葉 「ゲームプレイ」 ゲーム:ゲームそのものを指す ゲーム:ゲームそのものを指す ゲームプレイ:ゲームをプレイヤーがプレイ ゲームプレイ:ゲームをプレイヤーがプレイ する瞬間を指す する瞬間を指す 「面白さ」が発生するのは主に 「ゲームプレイ」。 逆に、「ゲームの発売が発表されたときに感じる ワクワク」はゲームプレイをせずとも楽しめる、 などのように使う。 http://www.zoomxs.info/2011/07/08/what-defines-a-gamer/ 3
  • 4.
    ゲームの 範囲を 「プレイタイム」と 表わす 言葉 「フィクショナルタイム」 プレイタイム:ゲームに参加している時間 プレイタイム:ゲームに参加している時間 フィクショナルタイム:ゲーム世界に没入している時間 フィクショナルタイム:ゲーム世界に没入している時間 オープニングデモなどは、フィクショナルタイム ではあるが、プレイタイムではない。 また、ロード時のミニゲームなどは逆に フィクショナルタイムが中断し、 プレイタイムが発生している。 フィクショナルタイムの面白さだけなら、 映画やアニメで充分。 また、「アフレコ!」のように、突き詰めれば http://www.j-cast.com/mono/2008/03/30018384.html インタラクションはなくとも プレイタイムは発生する。 4
  • 5.
    ゲームの 範囲を 「OODAループ」と 表わす 言葉 「PDCAサイクル」 の頭文字からなる、意志決定理論のひとつ。 このループを回すことで、事態に対する迅速 Observe(監視) Observe(監視) な対応を実現する。 Orient(情勢判断) Orient(情勢判断) Decide(意思決定) Decide(意思決定) プレイヤーの意志決定に際し、 • 事前にどういった情報をどう提供するか? Act(行動) Act(行動) • どの段階で選択肢を明示するか? を検討する際に有用な概念。 また、 Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善) を繰り返す「PDCAサイクル」もあり、 ゲームタイプによってそれぞれ応用が可能。 5
  • 6.
    ゲームの 範囲を 「マジックサークル 表わす 言葉 (魔法円)」 プレイタイム:ゲームに参加している時間 プレイタイム:ゲームに参加している時間 マジックサークル:ゲームプレイに支配される場 マジックサークル:ゲームプレイに支配される場 プレイ時間とプレイ空間に対する定義が、 「プレイタイム」と「マジックサークル」といえる。 同じゲームを携帯電話でプレイする場合と、 ギャラリーのいるゲームセンターでプレイする 場合、マジックサークルは同じだろうか。 「プロ野球はどこまでがマジックサークル か?」なんて問いは議論として面白い。 http://shirakiayumi.sblo.jp/article/29354625.html 6
  • 7.
    ゲームの 範囲を 「ゲームデザイン」と 表わす 言葉 「レベルデザイン」 ゲームデザイン:ゲーム自体を構成すること。狭義には、 ゲームデザイン:ゲーム自体を構成すること。狭義には、 ゲームメカニクスを決定すること ゲームメカニクスを決定すること レベルデザイン:レベル(面)を構成すること レベルデザイン:レベル(面)を構成すること ゲームメカニクス:ゲームとプレイヤー間のインタラクションを実現する仕組み ステージ/レベル:「面」とも呼ばれる、ゲームプレイを区切る単位 たとえば「プレイヤーが穴に落ちてしまう問題」が あった場合、 それを「ジャンプできるようジャンプ曲線を変える」 のがゲームメカニクスの修正、 「穴を小さくする/ふさぐ」のがレベルの修正。 「レベルデザイナー」という職種が登場して以降、 制作現場での重要性が増している概念。 『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂 1985) 7
  • 8.
    ゲームの 範囲を 「ゲーム」 表わす 言葉 「ゲーム外」と「境界例」 ゲーム以外のもの 戦争 交通 ハイパーテキスト ルールのない遊び ジェスパー・ジュールが著書『half- real』(2005)で論じた分類法。 境界にあるもの 『シムシティ』や『シムズ』などの 終わりのないゲーム 確率だけのゲーム ギャンブル 『half-real』では、「ルールはあるが ルールが可変なTRPG 目的のないゲーム」などが「境界例」 とされるが、 ゲーム では『SIM CITY』のオリジナル版と、 シューター 音ゲー チェス トランプ サッカー 目的のあるSFC版はどうか。 『どうぶつの森』はどうか? 8
  • 9.
  • 10.
    「面白さ」を 置き換える 「勝つ快感」と 言葉 「知る快感」 勝つ快感:勝利することによって得られる快感 勝つ快感:勝利することによって得られる快感 知る快感:情報の獲得によって得られる快感 知る快感:情報の獲得によって得られる快感 これらは本能的なものと考えられ、 • 勝利=生殖に有利 • 情報獲得=生存に有利 のどちらも、生物の原初的な脳内報酬系を刺激すると考えられる。 スポーツや古典ゲームなどの 分析にも有効なフレームと 思われる。 http://hokkaido.nikkansports.com/baseball/pr http://takeshiquiz.img.jugem.jp/20060914_180249.JPG ofessional/fighters/h-bb-060928-0009-ns.jpg 10
  • 11.
    「面白さ」を 置き換える 言葉 「スリル」と 「サスペンス」 電車の発車時刻が近いのに、なかなか踏切が開かないのが 電車の発車時刻が近いのに、なかなか踏切が開かないのが 「サスペンス」、ベルが鳴り、必死に駅の階段を駆け上がって 「サスペンス」、ベルが鳴り、必死に駅の階段を駆け上がって 危うく電車に滑り込むのが「スリル」、座席について一息つき、 危うく電車に滑り込むのが「スリル」、座席について一息つき、 電車が反対方向に走り出したことに気づくのが「ショック」(ア 電車が反対方向に走り出したことに気づくのが「ショック」(ア ルフレッド・ヒッチコック) ルフレッド・ヒッチコック) そのゲームで与えたいのは「スリル」なのか「サスペンス」 なのか(または「ショック」か)は、そもそもリアルタイム ゲームにするかどうか、などのゲームの基本的な設計に 大きく関わる。 『イースII』(日本ファルコム 1988) 11
  • 12.
    「面白さ」を 置き換える 「チャレンジ」と 言葉 「体験(エクスペリエンス)」 チャレンジ:プレイヤーが乗り越えるべき課題 チャレンジ:プレイヤーが乗り越えるべき課題 体験:プレイヤーがプレイタイムまたはフィクショナルタイム 体験:プレイヤーがプレイタイムまたはフィクショナルタイム (前述)で得る体験 (前述)で得る体験 チャレンジがプレイヤーのスキルと均衡する とき、プレイヤーは「フロー」(後述)状態に 導かれる。 チャレンジと体験のどちらで楽しませるか。 欧米のゲームでは後者に重きが置かれてい る、などのように使う。 http://formula- mix.up.seesaa.net/image/j_rosdfhgsiter_cockpit_l2.jpg 12
  • 13.
    「面白さ」を 置き換える 言葉 「チャンク」 心理学者ジョージ・ミラーが提唱した概念で、「意味を 持った情報のまとまり」のこと。 人間の短期記憶は7±2つ(個人差あり)のチャンクの 記憶が限界であり、「いかにしてチャンクにまとめるか」 が、効率的な情報の取得に対して有効。 プレイヤーはゲームの情報を学習、整理し、チャンクに まとめることでゲームに習熟していく。(→「知る快感」) チャンクへのまとめやすさ、要求するチャンクの数は、 ゲームデザインで操作できる。 格闘ゲームの「小足立ちパン昇竜」等 の「コンボ」はチャンクの好例。 http://img14.shop- pro.jp/PA01081/159/product/16926795.jpg 13
  • 14.
    「面白さ」を 置き換える 言葉 「フロー」 心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、 「完全にその物事に没入している精神状態」のこと。 ゲームにおいては、マジックサークル内のプレイヤーの プレイタイムにおける没頭状態をいかにして整備する か、という議論に通じる。 日本アーケードゲームの「時間 軸へのこだわり」は、フローを生 み出そうとする努力と言い換え られる。 のように使う。 http://news.dengeki.com/elem/000/000/3 http://www.product-reviews.net/wp- 02/302375/c20100917_vo4_06_cs1w1_ content/userimages/2007/11/kid- 300x.jpg playing-ddr.jpg 14
  • 15.
    「面白さ」を 置き換える 言葉 「所属欲求」と 「承認欲求」 所属欲求:グループに所属したい、受け入れられたい、と 所属欲求:グループに所属したい、受け入れられたい、と いう欲求 いう欲求 承認欲求:グループで尊重されたい、褒められたい、とい 承認欲求:グループで尊重されたい、褒められたい、とい う欲求 う欲求 心理学者アブラハム・ マズローが提唱した概念。 例えば小学生にとって、グループで流行っているゲー ムが欲しい、楽しい。 という発言は、ゲームそのものの魅力より、これらの欲 求が大きく関係していると思われる。 http://blog-imgs-27- origin.fc2.com/a/m/a/amaebi491224/1227790413 492e984d789c0.jpg 15
  • 16.
  • 17.
    ゲームを 分類する 「アクション」と 言葉 「リアクション」 アクション:自発的な行動 アクション:自発的な行動 リアクション:行動に対する反応 リアクション:行動に対する反応 どちらに主眼を置くか? • プレイヤーがアクション→ ゲームがリアクションを返す • ゲームがアクション→ プレイヤーがリアクションする 掴んで触感を楽しむ? 投げて動きを楽しむ? 『パラッパラッパー』(ソニー・コンピュータエンタテインメント 1996) 17
  • 18.
    ゲームを 分類する 言葉 「完全情報ゲーム」と 「不完全情報ゲーム」 完全情報ゲーム:すべてのプレイヤーにすべての情報が公 完全情報ゲーム:すべてのプレイヤーにすべての情報が公 開されている。チェス 開されている。チェス 不完全情報ゲーム:公開されていない情報がある。ポーカー 不完全情報ゲーム:公開されていない情報がある。ポーカー いわゆる「ゲーム理論」で用いられる言葉。 ボードゲームの『スコットランドヤー ド』『ブラフ』などは、情報の公開/ 非公開を操作するゲームデザイン となっている。 また、三次元空間のゲームは その性質上、ほぼすべてが http://www6.tok2.com/home/fukurokouji/rei 『賭博黙示録カイジ 』1巻(福本伸行) 不完全情報ゲームになる。 kai_19/taiiku%20055.jpg 18
  • 19.
    ゲームを 分類する 言葉 「ゼロサムゲーム」と 「プラスサムゲーム」 ゼロサムゲーム:参加者の損得を合計すると0になる ゼロサムゲーム:参加者の損得を合計すると0になる プラスサムゲーム:参加者の損得を合計するとプラスになる プラスサムゲーム:参加者の損得を合計するとプラスになる 「ゲーム理論」の用語。 たとえば競馬は、徴収したリソースを勝者で分 配する構造のため、(ほぼ)ゼロサムゲームとい える。 TVゲームの場合は無限のリソース供給が可能で あるためか、プラスサムゲームが多い。 http://www.jra.go.jp/datafile/jrasho/img/jrasho_2010_01.jpg 19
  • 20.
    ゲームを 分類する 言葉 「確定ゲーム」と 「不確定ゲーム」 確定ゲーム:状況がルールとプレイヤーの選択でのみ規定さ 確定ゲーム:状況がルールとプレイヤーの選択でのみ規定さ れ、偶然性の入る余地のないゲーム れ、偶然性の入る余地のないゲーム 不確定ゲーム:偶然によって状況が異なってくるゲーム 不確定ゲーム:偶然によって状況が異なってくるゲーム 「ゲーム理論」の用語。 囲碁や将棋、オセロなどは確定ゲームであり、野球や サッカーなどのスポーツは、風や芝の状態、選手の体 調など偶然の要素が多く、不確定ゲームといえる。 パズルは確定ゲーム、ギャンブルは不確定ゲーム、 という分類も可能。 http://blog-imgs- 18.fc2.com/o/s/a/osakapon/20090320182435.jpg 20
  • 21.
    ゲームを 分類する 言葉 「創発型ゲーム」と 「進行型ゲーム」 創発型ゲーム:ゲーム内の要素が絡み合い、プレイ毎に違っ 創発型ゲーム:ゲーム内の要素が絡み合い、プレイ毎に違っ た展開が生み出されるゲーム た展開が生み出されるゲーム 進行型ゲーム:ゲーム内の要素が逐次的に提示され、毎回同 進行型ゲーム:ゲーム内の要素が逐次的に提示され、毎回同 じ展開になるゲーム じ展開になるゲーム 進行型ゲームは、TVゲーム誕生以降にあらわれた 比較的新しい形式。 創発型ゲームはチャンクの絶え間ない獲得により、 また進行型ゲームは厳密に時間管理された展開に よるフロー体験などで、それぞれリプレイ性を獲得し ている、と考えられる。 『Left 4 Dead』(Valve Software 2008) 21
  • 22.
    とりあえず今回は ここまで。 ご意見、ご感想、間違いのご指摘、 「その2」ではこの言葉を入れるべき、等 以下にお寄せください。 Y.Tezuka(Twitter ID: SiFi_TZK) ゲームデザイン、プロジェクト運営等のお仕事も募集中です。 22