「今日のチューリング賞」はチューリング賞受賞者を簡単に紹介するシリーズです。 今回は、アメリカの計算機科学者であり、FORTRANなどの開発を通じて
プログラミング環境を大きく変化させたジョン・バッカスを紹介します。

1. 今日のチューリング賞
20.ジョン・バッカス(1977年受賞)

2. コンピュータ・サイエンス分野において、
大きな功績を挙げた人物に対して送られる賞。
1966年開始。
受賞者は一年に一人のみ。
2019年5月現在、53名(組)。
よって、チューリング賞受賞者を知れば
コンピュータの歴史が大体わかる。
チューリング賞とは

3. ジョン・バッカス
今日紹介するチューリング賞受賞者
1924-2007
アメリカの計算機科学者
IBM所属
1977年チューリング賞受賞

4. 1934ヴィルト
高水準言語黎明期の功労者
※青枠はチューリング賞受賞者
1924バッカス
1902ホッパー
1927マッカーシー1920アイバーソン
1924バウアー1922パリス 1928ナウア

5. FORTRANやALGOLの開発を通じて
プログラミング言語の発展に
大きく貢献した。
バッカスの主な功績

6. バッカス以前: プログラミングの登場

7. プログラミングの登場
1837: 解析機関
バベッジが発明した最初の
「プログラム可能な計算機」。
現代の機械語と同様に、
簡単な命令を備えていた。
入力はパンチカードで行う。
バベッジ
パンチカード

8. ワイヤードロジック（結線論理）
初期のコンピュータは配線によって
プログラミングを行なうものも多かった。
例：ENIAC（1946）

9. プログラム内蔵型コンピュータの登場
1946: EDVAC
ENIACのモークリー、エッカートに
ノイマンらを加えたメンバーで開発。
プログラム内蔵型の「ノイマン型」
コンピュータの最初の例とされる。
ノイマン
モークリー
エッカート

10. バッカスの仕事: FORTRAN

11. FORTRANの登場(1/4)
1950: バッカスがIBMに入社。
初期のノイマン型コンピュータ
「IBM SSBC」で天体の解析に携わる。 バッカス
IBM SSBC

12. FORTRANの登場(2/4)
1953:「Speedcoding」の開発
世界最初?の高級言語である
Speedcodingを開発し、
コーディングの労力を減らした。
しかし、処理速度は機械語の
10倍以上遅かった。
バッカス

13. FORTRANの登場(3/4)
1957: 「FORTRAN」の開発
世界で初めて普及した
高級言語。
速度を重視し、最適化コンパイラの
使用を前提とした。
バッカス

14. FORTRANの登場(4/4)
"私がこの仕事をしたのは、
面倒くさがりだったからです。
私はプログラムを書くことが
好きではなかったので、(中略)、
プログラムの開発を簡単にするために
プログラミングシステムを
作り始めました。"
バッカス

15. バッカスの仕事: その後

16. 高水準言語の普及
1958
ALGOL
1954
バッカス
COBOL
1959
ホッパー
(事務処理用)
LISP
1958
(数学的)
マッカーシー
(科学技術計算)
(アルゴリズム記述) バウアー
など

17. ALGOL
1958
1960
ALGOL60
1954
（国際会議で
提案あり） LISP
1958
ALGOL60
ALGOL60は多くの言語の規範となった。

18. FP (Function Programming)
バッカス
1977:関数型言語「FP」の開発
Haskellなどに影響を与える。

19. まとめ

20. FORTRANなどの開発を通じ、
高水準言語を一般化させて
プログラミングを
大きく変化させた。
ジョン・バッカスのまとめ