「今日のドレイパー賞」はチャールズ・スターク・ドレイパー賞受賞者を簡単に紹介するシリーズです。 今回は、デンマーク出身の計算機科学者であり、C++の設計者として知られるビャーネ・ストルヴストルップを紹介します。

1. 今日のドレイパー賞
1.ビャーネ・ストルヴストルップ(2018年受賞)

2. 工学分野において、
大きな功績を挙げた人物に対して送られる賞。
1989年開始。
「工学のノーベル賞」とも呼ばれ、
「ジェットエンジンの開発(1991)」「光ファイバーの
開発(1999)」など、工学全般への広い射程を持つ。
アポロ計画の中心的な研究者であった
ドレイパー(1901-1987)に因む。
チャールズ・スターク・ドレイパー賞とは

3. チューリング賞とけっこう被っている。
チャールズ・スターク・ドレイパー賞とは
リー
TSDP:2007
TA:2018
カーン
TSDP:2001
TA:2004
ケイ
TSDP:2004
TA:2003
バッカス
TSDP:1993
TA:1977
...etc

4. ビャーネ・ストルヴストルップ
今日紹介するドレイパー賞受賞者
1950-
デンマーク出身の計算機科学者
ケンブリッジ大学
AT&Tベル研究所 所属
2018年チャールズ・スターク・
ドレイパー賞受賞

5. Ｃ++の開発
ストルヴストルップの主な功績

6. 言語設計者たちの生まれ年
1930 19701950
※青枠はチューリング賞受賞者※橙枠はドレイパー賞受賞者
1940ケイ1924バッカス
1941リッチー1927マッカーシー 1961アイク
1955ゴスリン 1965まつもと
1954ウォール
1950ストルヴストルップ
1920アイバーソン

7. ストルヴストラップ登場以前の言語
1960s:構造化プログラミング
・処理をただ上から順番に書くだけ
でなく、切り分けて構造化する。
1963:SketchPad
・GUIインタフェースの先駆。
・「オブジェクト」を組み合わせて
グラフィックを作成する。
ダイクストラ
サザランド

8. ストルヴストラップ登場以前の言語
1967:Simula
・オブジェクトの概念を持つ
初のプログラミング言語。
1980:Smalltalk
・初の「オブジェクト指向言語」
ニガードダール
ゴールドバーグインガルスケイ

9. 当時の問題
・大規模開発に堪えうるほど
構造化された汎用言語は無かった。
・Simulaは高機能だが遅く、実用性が低かった。

10. ストルヴストラップのＣ++
1979:Ｃ with Classes
ベル研究所でストルブストルップを
中心に開発。
・Simulaの特徴を、すでに広く流通
していたＣ言語に取り込む。
※Ｃは1972年の登場
・1983年にはＣ++に改称。
ストルヴ
ストルップ

11. Ｃ++の思想
• Ｃと同等の実行効率と移植性を持つ、
静的に型付けされた汎用言語である。
• 複数のプログラミングスタイルをサポートする。
• 間違っている可能性があったとしても選択の余地を与
える。
• Ｃ言語からスムーズに移行できる。
• 汎用的でない機能の実装を避ける。
• ゼロオーバーヘッドの原則。
• 高級な実行環境を必要としない。

12. Ｃ++以後
・オブジェクトをサポートした初期の言語であり、
多重継承やテンプレートなど、
オブジェクトの機能を普及させた。
・Java、PHP、C#など後続の言語に
大きな影響を与えた。
・github言語ランキング4位(2018年)であり、
現在も広く使われている。

13. まとめ

14. Ｃ++の開発を通じ、
オブジェクト指向に基づく
汎用言語を一般化させた。
ストルヴストルップまとめ