1. 部分的文脈化 partially contextualized
GRADE_CPGの利益と害の閾値利用
Using explicit thresholds for benefits and harms in partially contextualized GRADE
guidelines. Pilot experience from a living COVID-19 guideline: Journal of Clinical
Epidemiology 147, July 2022, p69-75
https://doi.org/10.1016/j.jclinepi.2022.03.017
GRADEガイドラインにおける、利益と害の明示的な閾値の使用について: living COVID-
19ガイドラインのパイロット的な経験より
解釈が不安な所は英文を併記していますが、全体的な解釈の間違いがあるかもしれません。
正しくは、原文をお読み下さい。
13. 例 Precision(精確)な判断 その他の懸念 効果の大きさ 最終的な推奨 その他文脈化の要因
コルヒチン(例1) 精確(Precise) なし 些細なこと 強い反対 有害事象の大幅な増加
ブデゾニド(例2)
低リスク 精確 リスクオブバイアス 些細なこと 条件付き反対 有害事象の有意な増加がない
高リスク 不精確(Imprecise) 中等度 条件付き賛成 安価な薬
トシリズマブ(例3)
軽症 精確(Precise) なし 些細なこと 強い反対 有害事象の有意な増加はない
中程度のリソースを要する
重症 精確(Precise) 大きい 条件付き賛成 実現可能性と公平性の懸念
Dexamethasone(例4)
Moderate patients Imprecise None Moderate Strong in favor No significant increase of adverse events
Severe patients Precise Large Strong in favor Inexpensive drug
Remdesivir(例5)
Before update Imprecise Risk of bias Moderate Conditional in favor No significant increase of adverse events
Large resources required
After update Imprecise Trivial Conditional against Feasibility and Equity concerns
今回作成した診療ガイドライン(探すも不明?)の概要
14. 実際の利用1:不精確さ・例1
明確な閾値で、判断が容易だった。
3件のランダム化試験(n=4,628)の我々のメタアナリシスでは、COVID-19患者におい
て、コルヒチン(痛風・家族性地中海熱治療剤)の使用は死亡率(RR 0.47, 95%CI
0.18-1.23) および人工呼吸の必要性(RR 0.47, 95% CI 0.24-0.94) を減少させうるこ
とが示されている 。
相対的な推定値に注目することで、特定の委員会は、信頼区間(CI)が効果なしと潜在的
な害を含むことを考えると、不精確ささによって死亡率のエビデンスの確実性をグレード
ダウンして、低く評価することを決定することができる。
この方法を用いると、人工呼吸器の必要性は精確とみなされる可能性が高い。しかし、死
亡率は、より重大なアウトカムであるため(人工呼吸器も重大だが、死亡のがさらに重
大)、エビデンスの全体的な確実性は、不精確さ、を理由に評価を下げることになるだろ
う。( However, since mortality is a critical outcome, rating it down for imprecision would lead to a lower overall
certainty of the evidence. )
31. 考察3:
本経験の限界の一つは、重大なアウトカムの効用(utilities)を評価していないことである。
賢明な方法で閾値を設定するために、パネルは、効果の大きさと相対的な重要性と大きさ
を考慮する必要があります。( To stablish thresholds in a sensible way, panels should consider the
dyad of magnitude and the relatively importance of the effect.)
これらの値を明示することで、正味の利益や正味の害を推定するような、より定量的なア
プローチにつながる可能性がある[13]。
13:B.S. Alper, P. Oettgen, I. Kunnamo, A. Iorio, M.T. Ansari, M.H. Murad, et al. Defining certainty of net benefit: a
GRADE concept paper. BMJ Open, 9 (6) (2019), p. e027445
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6561438/
もう一つの限界は,パネルが1つしかないためサンプルサイズが小さいことである。
しかし、我々の試験的な経験は、非常に肯定的なものであった。利益と害に明確な閾値を
用いることで、パネルでの議論と勧告の更新に関する意思決定が非常に容易になった。ま
た、1ヶ月間隔で作成された勧告の間の一貫性を高めることができた。