旅と場所と移動の新展開
東京大学 生産技術研究所
伊藤昌毅 mito@iis.u-tokyo.ac.jp
伊藤 昌毅 (Twitter	@niyalist)
東京大学 生産技術研究所 助教
◦ ユビキタスコンピューティング
◦ 地理情報システム技術
◦ ヒューマン・コンピュータ・インタラクション
静岡県掛川市出身
経歴
◦ 2008-2010	慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科
特別研究助教
◦ 2010-2013	鳥取大学 大学院工学研究科 助教
◦ 2013- 東京大学 生産技術研究所 助教
鳥取藩6代藩主 池田治道公は薩摩藩島津斉彬公の祖父
鳥取市内に墓所があります
GPSを用いたモバイルアプリの研究
mPATH Framework:	移動履歴や地図データをどう活かしてアプリを構築するか
10年以上のGPS行動履歴収集実験
2003年6月から13年以上GPSを携帯
◦ 移動軌跡の収集実験
現在は,だれもがGPSを持つように
位置情報サービスはほんとうに必要?
多くのサービスがWebを通して「どこでも」利用できるように
若者の旅行離れ?
朝日新聞2008年7月7日号
ITが生み出す
新しい移動への欲求
ITは「ナビ」「乗換案内」などの形で、移動を支援していた
ITによって人が移動するという状況が生まれつつある
「位置ゲー」の登場
2000年:	携帯電話位置情報の登場に伴い登場
2001年:	GPS携帯電話登場(KDDI)
2002-3年:	主要なゲームが続々登場
2007年: DOCOMO携帯がGPSを搭載
2007-8年:	続々サービス登場
http://web.archive.org/web/20120530061214/http://kokogiko.net/m/archives/002274.html
コロニーな生活
2003年〜 個人運営
2005年〜コロニーな生活☆PLUS
2008年〜株式会社コロプラ設立
移動に伴って獲得する仮想通貨を使って、ゲーム内の土地や施
設を整備し、自分の「コロニー」を育ててゆく
全国200件程度のスポンサー商店で買い物を行うとカード(コロ
カ)を取得、ゲーム内でも特別なお土産を購入可能になる
http://gamebiz.jp/?p=18753
ケータイ国盗り合戦
2005年〜 Mapionが提供
◦ 2008年から正式リリース
全国を600地域に分割し、その地域にいると
きに「国盗り」し、全国統一を目指す
旧国名の範囲を統一すると国司の称号が
得られる
◦ 但し、親王任国である常陸国・上野国・上総
国は「守」ではなく「介」、蝦夷地は「○○二司
馬」、琉球は「琉球王」)の称号が与えられる。
(wikipediaより)
http://k-tai.watch.impress.co.jp/cda/article/interview/41153.html
小笠原村で「蓬莱洞主」の称号が
小笠原ツアーまで!
ポケモンGO
http://www4.nhk.or.jp/72hours/x/2016-10-07/21/30836/1199150/
ああ
ポケモンGOで被災地振興
ああ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB10H1E_Q6A810C1000000/
Ingress:	ポケモンGOの前身
Google	Earth/Mapsの開発者が開発した位置情報ゲーム
◦ 青/緑に分かれて世界規模で陣取り合戦を行う
ポータル(チェックポイント)に歴史的な場所を選定
◦ 寺社仏閣、石碑、街のシンボル看板など
◦ 「街中にある美しいもの、新しいものを見つける、さらには地域にあ
るコミュニティにも出会える」のが目的のひとつ
http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/647793.html
場所の記憶を残すための位置ゲーム
石巻にて、震災で失われた場所を登録する試み
◦ Ingress、ポケモンGoでチェックポイントとして確認出来る
http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/647793.html
情報提供に留まらない
公共交通利用支援へ
現実は現実・ITはITと言い切れない時代
ITと現実世界が相互侵食する中で、移動の支援はどうあるべきか?
なぜ人は移動するの?
従来:
◦ ほとんどの移動は派生需要
◦ 別に目的を持っている人がそのために移動する
◦ 移動は、短く、近いほうがいい
◦ 必要な移動はITによって減少
これから
◦ ITサービスが画面の中から飛び出し人を動かす
◦ ゲームなどがモチベーションを与える
◦ カーナビ、乗換案内などが移動手段を決めさせる
ここでは特に公共交通に関して議論
地方公共交通の壊滅的状況
人口減、高齢化、モータリゼーションによる
利用者減少
運転手の担い手の減少
◦ 鉄道、バス、タクシーのネットワークの弱体化
http://www.nnn.co.jp/news/160722/20160722006.html
交通に関わる情報を循環させることで
サービスを磨く環境作り
利用者交通
サービス
良い情報を届けることが、利用者の利便性を高めるだけでなく、より良い交
通サービスを生み出すための情報として返ってくる
この循環をいかにリアルタイムに行うかが今後の鍵となる
情報
情報
l アプリ
l 掲示物
l 様々なサービスと
の連携
l 路線
l ダイヤ
l 車両
l 運行など
取り組み1:	オープンデータの推進
オープンデータ: 自由な利用が出来るデータ(商用含む)
◦ 行政のデータのオープンデータ化が進められている
◦ 産業振興や行政の監視など
OpenTrans.it の開発・運用
路線図・時刻表
などをWeb閲覧
Webに時刻表
を登録
世界標準GTFS形式でのデータ配信
世界中で400以上の提供
中身はCSVファイル
• 事業者データ
• バス停データ
• 路線データ
• 時刻表データ
• 路線図(緯度経度)データ
CC-BY	4.0	のオープンデータ
• 出典の明記で、再利用可能
• 書式の変更や商用利用も問題なし
• (でも情報提供の信頼性には配慮してね)
http://opentrans.it/feed/gtfs/5707702298738688/gtfs.zip誰でもDL可能→
静岡県で実証実験
統一したフォーマットによるデータ配信を実現
◦ 配信システムを構築
◦ 静岡県の3市で実証実験
◦ 掛川、御前崎、裾野
スケジュール
◦ 2014年1月: プロジェクト始動
◦ 2014年2月: インターナショナル オープンデータ デイで
プロトタイプ披露
◦ 2014年8月〜: 本格開発
◦ 2015年1月〜3月: 試験サービス
バスロケ・乗降カウンターをリアルタイム配信
スマートフォン(GPS機能) 乗降客数カウンター
現在地と乗客数をリアルタイムに
オープンデータ配信
GTFS	Realtime形式,	JSON
形式でアクセス可能
蓄積データ
• これまでの走行
GPSデータ、バス
停ごとの乗降客
数を蓄積
• オープンデータと
してアクセス可能
に(予定)
• 地域交通の分析
や計画のための
基礎データとして
活用を検討
乗降データのリアルタイム
オープンデータ配信は世界初?
ハッカソンで地域の開発者に
「インターナショナルオープンデータデイ(IODD)2015
プレイベント in	掛川市竹の丸」(1月31日)
• 静岡県や全国から10名以上の開発者が集合
• 地域の課題を解決するアプリケーションを提案
• GTFS,	GTFS	realtimeを使ったアプリ
• 様々な観点からバスの不便を解消する提案
GTFSだから地域から世界へ/Googleへ
世界の公共交通データを視覚化する
「TRAVIC」に情報提供
身近なアプリにコミュニティバス情報が
◦ 島田市/焼津市のデータが検索可能に
朝日新聞 静岡版
2015年1月29日 朝刊
静岡新聞Web
2015年1月17日
NHK静岡県のニュース
2015年1月31日
取り組み2:	ビッグデータの推進
公共交通の利用状況がリアルタイムで正確に取得可能に
地方におけるビッグデータ取得可能性
公共交通の利用状況がリアルタイムで正確に取得可能に
◦ 鉄道ICカード
◦ 地方の鉄道のICカード採用も進んでいる
◦ 経路検索
◦ 乗換案内サービスの利用履歴から利用者の需要が取得可能に
◦ 携帯電話利用データ
◦ NTT	docomo モバイル空間統計など、携帯電話の利用状況から交通利用を推定
乗換案内利用者の行動解析@鳥取
ログデータ
中間データ
D3.jsを利用したWebインタフェースにより、
地図やグラフを対話的に操作しながら
データの理解を実現
Hadoopを利用し膨大なログデー
タを整理した中間データを生成。
様々な検索要求に対し素早い応
答を実現
約10GB	/	2年分を記
録。検索条件や結果、
ユーザ識別IDなどを
含む
データから明らかになる交通の実体
順位 出発地 目的地
1
鳥取駅
(バス停)
イオン鳥取北
(バス停)
2
イオン鳥取北
(バス停)
鳥取駅
(バス停)
3
鳥取駅
(バス停)
県庁日赤前
(バス停)
4
鳥商前
(バス停)
イオン鳥取北
(バス停)
5
鳥取駅
(バス停)
鳥取砂丘
(バス停)
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
出発地設定 目的地設定
時間帯 h
利用数
バス停ごとの乗降パターン地域別の需要分布区間ごとの需要
鳥取大学 工学研究科 情報エレクトロニクス専攻 計算機工学 (A|B) 研究室
● 市街地に集中
● 特に中心部の駅
● イオン鳥取北
●
鳥商前
鳥鳥取取大大学学
イイオオンン鳥鳥取取北北
鳥鳥取取県県庁庁
鳥鳥取取駅駅
鳥取駅バス停
現在、自家用車の未来
像と公共交通の未来像
とが重なりつつある
自動車: 所有から利用へ
自動運転のインパクト
環境負荷
都市への不適合
「シェアリング」技術の発展
◦ ライドシェア
カーシェアリングの発展
世界的にはcar2goが大手
◦ ダイムラーの子会社
◦ 8ヶ国30都市でサービス提供中
◦ 乗り捨て型のカーシェアリング
◦ 駐車可能な場所ならどこでも駐車可能
◦ 予約なしオンデマンドの利用、分単位の課金
日本では乗り捨て型カーシェアリングは発展途上※
◦ 乗り捨て先の保管場所確保が必要なため
※ カーシェア「乗り捨て」、撤退相次ぐワケ 規制緩和から1年、実現に行政裁量の壁
日経ビジネスオンライン 2015年10月
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/102600116/
2009年 設立
2011年 サービス開始(SF)
2013年 東京でタクシー配車
開始
2015年 CMUの研究者40名を
引き抜き
2015年 福岡で実験中止
2016年 トヨタと提携
2016年 京丹後市で「ささえ合
い交通」
ITを活かした新しい交通を作ることで
歴史の積み重ねのある地方での
自由な移動を実現し、
地域を輝かせてゆきましょう

第4回リプロ東京電機大シンポジウム「旅と場所と移動の新展開」