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実数xに対して[x]はxを超えない最大の整数を表すものとする。例えば[3.14]=3
(1)任意の実数xに対して lim
𝑥→∞
2 𝑛 𝑥
2 𝑛 を証明せよ。
(2)任意の自然数nに対しf 𝑛 𝑥 =
2 𝑛 𝑥
2 𝑛 𝑥 ∈ 0,1 と定義する。この時全てのxに対して
f 𝑛 𝑥 ≦ 𝑓𝑛+1(𝑥)となることを示せ。
(3) lim
𝑛→∞ 0
1
f 𝑛 𝑥 𝑑𝑥=1/2を示せ。
実数xに対して[x]はxを超えない最大の整数を表すものとする。例えば[3.14]=3
(1)任意の実数xに対して lim
𝑥→∞
2 𝑛 𝑥
2 𝑛 を証明せよ。
証明
任意の実数xに対してx-1<[x]≦xが成り立つ。
2 𝑛
𝑥 − 1 < 2 𝑛
𝑥 ≦ 2n
x → 𝑥 −
1
2 𝑛
<
2 𝑛
𝑥
2 𝑛
≦ 𝑥
lim
𝑥→∞
1
2 𝑛=0であるからはさみ打ちの原理によって
2 𝑛 𝑥
2 𝑛 →x
(2)任意の自然数nに対しf 𝑛 𝑥 =
2 𝑛 𝑥
2 𝑛 𝑥 ∈ 0,1 と定義する。この時全てのxに対して
証明
f 𝑛 𝑥 ≦ 𝑓𝑛+1(𝑥)となることを示せ。
任意のk=0,1,…, 2 𝑛
に対してx∈[k2−𝑛
,(k+1) 2−𝑛
)→f 𝑛 𝑥 =
2 𝑛 𝑥
2 𝑛 =
1
2 𝑛
この時f 𝑛+1 𝑥 =
2 𝑛+1 𝑥
2 𝑛+1 =
𝑘
2 𝑛 𝑥 ∈ [𝑘2−𝑛
, 𝑘2−𝑛
+ 2− 𝑛+1
)
𝑘
2 𝑛 +
1
2 𝑛+1 𝑥 ∈ [𝑘2−𝑛
+ 2− 𝑛+1
, 𝑘 + 1 2−𝑛
)
なので任意のx∈[0,1]とnに対してf 𝑛 𝑥 ≦ 𝑓𝑛+1(𝑥)
(3) lim
𝑛→∞ 0
1
f 𝑛 𝑥 𝑑𝑥=1/2を示せ。
証明
(1),(3)より{fn}は単調増加でxに収束する。よって単調収束定理によって
lim
𝑛→∞ 0
1
f 𝑛 𝑥 𝑑𝑥 = 0
1
lim
𝑥→∞
f 𝑛 𝑥 𝑑𝑥= 0
1
𝑥𝑑𝑥 =1/2

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  • 2. 実数xに対して[x]はxを超えない最大の整数を表すものとする。例えば[3.14]=3 (1)任意の実数xに対して lim 𝑥→∞ 2 𝑛 𝑥 2 𝑛 を証明せよ。 証明 任意の実数xに対してx-1<[x]≦xが成り立つ。 2 𝑛 𝑥 − 1 < 2 𝑛 𝑥 ≦ 2n x → 𝑥 − 1 2 𝑛 < 2 𝑛 𝑥 2 𝑛 ≦ 𝑥 lim 𝑥→∞ 1 2 𝑛=0であるからはさみ打ちの原理によって 2 𝑛 𝑥 2 𝑛 →x (2)任意の自然数nに対しf 𝑛 𝑥 = 2 𝑛 𝑥 2 𝑛 𝑥 ∈ 0,1 と定義する。この時全てのxに対して 証明 f 𝑛 𝑥 ≦ 𝑓𝑛+1(𝑥)となることを示せ。 任意のk=0,1,…, 2 𝑛 に対してx∈[k2−𝑛 ,(k+1) 2−𝑛 )→f 𝑛 𝑥 = 2 𝑛 𝑥 2 𝑛 = 1 2 𝑛 この時f 𝑛+1 𝑥 = 2 𝑛+1 𝑥 2 𝑛+1 = 𝑘 2 𝑛 𝑥 ∈ [𝑘2−𝑛 , 𝑘2−𝑛 + 2− 𝑛+1 ) 𝑘 2 𝑛 + 1 2 𝑛+1 𝑥 ∈ [𝑘2−𝑛 + 2− 𝑛+1 , 𝑘 + 1 2−𝑛 ) なので任意のx∈[0,1]とnに対してf 𝑛 𝑥 ≦ 𝑓𝑛+1(𝑥) (3) lim 𝑛→∞ 0 1 f 𝑛 𝑥 𝑑𝑥=1/2を示せ。 証明 (1),(3)より{fn}は単調増加でxに収束する。よって単調収束定理によって lim 𝑛→∞ 0 1 f 𝑛 𝑥 𝑑𝑥 = 0 1 lim 𝑥→∞ f 𝑛 𝑥 𝑑𝑥= 0 1 𝑥𝑑𝑥 =1/2