http://kulibrarians.g.hatena.ne.jp/kulibrarians/20041216

1. 電子図書館の新たな潮流
第４回 デジタル・レファレンス
京都大学人間・環境学研究科
総合人間学部図書館
辰野直子

2. デジタル・レファレンスとは
インターネットを利用した質問回答サービス
・非同期型レファレンス
電子メール、ウェブフォーム
・同期型レファレンス
（リアルタイム・レファレンス、
ライブ・レファレンス）
チャット、ウェブ仲介ソフトウェア

3. 実施状況
米国
・1990年代より実施（非同期型）
2000年代より急速に広まる（非同期型 + 同期型）
・99%の図書館が電子メールによるレファレンスを実
施、うち29%がリアルタイム・レファレンスを実施
（2001年、米国研究図書館協会（Association of
Research Libraries：ARL） による調査）
54%がチャットレファレンスを実施
（2002年、ARLによる調査）

4. リアルタイム・レファレンス
（利用者）
いつでも、どこでも、質問が可能に
（図書館）
即時に多数のレファレンスに対応する必要性
システムを維持する必要性
⇒共同リアルタイム・レファレンスが有効
サービス時間の延長が可能
多くの知識・事例の蓄積が可能（事例DB)

5. QuestionPoint (1)
・米国議会図書館(Library of Congress)とOCLCが
主導
・図書館員の為のレファレンス・サービス
・オーストラリア、カナダ、中国、ドイツ、オランダ等
15カ国以上の300以上の図書館が参加
（2002年12月時点）

6. QuestionPoint (2)
機能１（対ユーザ機能）
・ウェブ上の質問・回答フォーム
・チャット・レファレンスを行うフォーム
・複数図書館による協力レファレンス
機能２（ハンドリング機能）
・参加館プロファイルに基づき、参加館に質問をふ
りわける機能

7. QuestionPoint (3)
機能３（マネージング機能）
・Knowledge Base（過去の質問のアーカイブ）
・Profile Database（参加館のプロファイル）
・QuestionPoint-L（意見交換の為のML）
・ニュース、イベント情報、参加の為のガイド
・利用統計
・管理モジュールのカスタマイズ

8. VRD (Virtual Reference Desk)(1)
・米国教育省の支援を受けたプロジェクト
・デジタル・レファレンス(AskA)の発展と人間を
介したインターネットベースの情報サービスの
構築をめざす
サービス１（AskAサービスと利用者の結びつけ）
・協力AskAサービス
・ラーニング・センター
・AskA +Locator

9. VRD (Virtual Reference Desk)(2)
サービス２（サービス開発のサポート）
・インキュベータソフトウェア
・インストラクションとサポート
・調査と開発
サービス３（協力と議論の促進）
・デジタル・レファレンス・カンファレンス
・出版
・AskAコンソーシアム

10. Internet Public Library(1)
・インターネット上の初の図書館
・ミシガン大学School of Information(SI)による
プロジェクトとして開始
・ミッション：奉仕、教育、構築、学習、共有、発展
・サービス：ディレクトリの提供、レファレンス資料の
リンク集、オンライン書籍のカタログ、
キッズスペース、検索ツールの提供、
デジタル・レファレンスサービス

11. Internet Public Library(2)
デジタル・レファレンスサービス(Ask a Question)
・Web上のフォームを用いて質問
・SIの学生やボランティアの図書館員による回答
・回答の蓄積・公開

12. 日本の現状(1)
電子メールによる非同期型レファレンスが中心
レファレンス事例データベース構築の試み
・九州地区国立大学図書館協議会 によるレファ
レンス事例DB
・2000年4月より試験運用
・キーワード検索とNDCによるディレクトリ検索
・私立大学図書館協会東海地区協議会によるレ
ファレンス事例集

13. 日本の現状(2)
レファンレンス事例データベース構築の試み
・国立国会図書館によるレファレンス協同データ
ベース実験事業
・レファレンスサービスの記録をデータベースと
して構築し、図書館の業務や国民の情報検
索に役立てることを目的とする事業
・第１期参加館：147館

14. リアルタイム・レファレンスに
必要な機能(1)
・チャット
・同期ブラウジング
・ファイル等の送信
・新規質問の到着通知
・新規質問の適切な担当割り当て
・質問の転送
・レファレンス過程の記録

15. リアルタイム・レファレンスに
必要な機能(2)
・質問の整理・保存
・参加図書館プロファイルの管理
・レファレンス担当者の支援（ML、トレーニングプ
ログラム）
・利用統計の作成
・質問事例の相互交換

16. 課題と展望(1)
（チャット・レファレンス）
・利用状況（2002年、ARLによる調査）
受付件数 - 1日10件未満
コストに見合わない利用状況
・質問内容の種類（カーネギーメロン大学のチャット・レファ
レンスの記録分析調査）
利用案内的な質問 34％
特定の資料の所在 28％
事実調査 19％
調査の必要な質問 19％

17. 課題と展望(2)
・商業ベースの質問回答サービスの存在
Google Answers
人力検索サイトはてな OK Web
（レファレンス回答の質とコストの比較調査）
質 ：「Google Answers」 ＜ 図書館レファレンス
コスト： 「Google Answers」 ＜＜図書館レファレンス
(「Google Answers」とコーネル大学図書館の電子
メールレファレンスとの比較）