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5.5胆石による膵臓への影響
- 2. 胆石→膵臓
影響といえば・・・
• ≒急性膵炎
• 機序
Start : 胆石陥頓総胆管共通管結石ファーター乳頭付近
→胆汁膵液膵管内逆流
内圧亢進代謝不全
→膵腺房細胞障害
→膵酵素の活性化
→自己消化= 膵炎
→血中逸脱酵素アミラーゼ等上昇
他
- 4. 急性膵炎診断基準
• 1) 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。
• 2) 血中、または尿中に膵酵素の上昇がある。
• 3) 超音波、CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見がある。
•
• 上記3項目中2項目以上を満たし、他の膵疾患および急性腹症を除外し
たものを急性膵炎と診断します。ただし、慢性膵炎の急性発症は急性膵
炎に含めます。膵酵素は膵特異性の高いもの(膵アミラーゼ、リパーゼな
ど)を測定することが望ましいとされています。
•
- 5. 血清アミラーゼ上昇機序
• 膵由来の血清アミラーゼ値が上昇するのは通常再吸収による
• すなわち膵炎にて膵組織は破壊され周囲に流出したアミラーゼが再吸収
される。
• あるいは膵管の閉鎖(胆石膵炎等)があり膵管および腺細胞に高圧がか
かり再吸収される。(このタイプは通常著明な高度のアミラーゼ値となる)
• したがって、「腸液が再吸収される状況」か「膵管出口がふさがれるような
状況」にあれば膵炎でなくとも上昇する。
• 腸壊死では粘膜が機能しなくなることによる壁からの再吸収が、腸穿孔
では腹膜からの再吸収があり得る。
• また腸閉塞では膵液の行き場が無く圧がかかる。
• 腎不全ではアミラーゼのクリアランスが下がることによって血清値が上昇
する可能性があり、家族性高アミラーゼ血症ではanomarous なIgGにア
ミラーゼがくっついて糸球体濾過可能な分子量を超えたため尿中の排泄
が低下する(治療の必要無)。
- 7. 血中アミラーゼ(血中総アミラーゼ)
• 急性膵炎の診断に対する血中アミラーゼの測定:推奨度A
• 通常は血中アミラーゼ値の上昇を認めることにより診断が可能であるが,いくつ
かの限界も報告され,特に特異度が低い点が問題で,併存疾患の有無などに注
意を要する。
• (1) 急性膵炎の診断に用いられる膵酵素として最も普及。迅速、簡便。
• (2) 膵炎以外の疾患でも異常高値を示す場合が多く(本編表12)、特異度が低い。
• (3) アルコール性急性膵炎、特に慢性膵炎を背景とする症例、高脂血症を原因
とする急性膵炎では上昇しない場合がある。
• (4) 膵炎発症後速やかに血中濃度が低下するため、発症から来院までの期間が
長い場合は正常化していることがある。
- 8. リパーゼ
• 急性膵炎の診断に測定が推奨される膵酵素
• 血中アミラーゼの限界を補うための血中リパーゼの測定:推奨度A
•
• 急性膵炎の診断で他疾患との鑑別が問題となる場合、血中リ
パーゼが血中アミラーゼを含めた他の膵酵素に比べて最も優れ
ている。
• 各種膵酵素の急性膵炎の診断能について比較検討した報告(レベ
ル2a)12)からは、血中リパーゼは血中アミラーゼと比較すると感度
ではほぼ同等、特異度で優るとされ(表13、14)、急性膵炎の診断
には血中アミラーゼよりも血中リパーゼの測定が推奨されている。
さらに、血中リパーゼに血中アミラーゼの測定を加えても診断能
は改善されなかったとされている。
- 9. ガイドラインのお言葉
要するに推奨度A
• Q: 急性胆嚢炎の診療において、血中のアミラーゼ値
を測定することはどのような意義があるのでしょう
か?
• 血清アミラーゼ値の上昇は、総胆管結石など膵障害
を惹起する、他合併病態の把握に有用である。[推奨
度A]
• ガイドライン作成委員より患者さんへ
• 急性胆嚢炎は胆嚢の病気ですが、急性膵炎が同時
に発生している場合があります。これを判定するため
に、血清リパーゼや血清アミラーゼを測定する血液検
査が有効とされています。
- 11. 膵酵素と膵炎注意事項
血清アミラーゼの限界①
• 膵炎の場合、アミラーゼ値と膵炎の重症度は必ずしも一致しない
• 血清アミラーゼ値は発症後6~12時間で上昇し、半減期は10時間
程度である。したがって発症早期や、発症から時間が経っている
場合には正常値もあり得る。また膵萎縮がありそもそものアミラー
ゼ分泌量が少ない場合は変化がわかりにくい場合もある。
・数値そのものは重症度に比例しないが、3〜5日たっても下がりが
悪いときは重症化あるいは合併症(仮性嚢胞など)を反映しているこ
とがある。
エスタラーゼで補足:
エスタラーゼは臨床症状とよく一致する
膵炎のフォローアップ(経過観察)に使える