MGH GIM カンファレンス

1. プロブレムリスト
＃１ 精神発達遅滞症
＃２ 腹部膨満
＃３ 低栄養症

2. 腹部膨満の診断プロセス
腹部膨満⊃腹腔外膨隆
⊃腹腔内膨隆⊃腹腔内個体膨隆
⊃腹腔内液体膨隆
⊃腹腔内気体膨隆⊃腸管外ガス貯留
⊃腸管内ガス貯留

3. 腹部膨満の診断プロセス
腸管内ガス貯留⊃腸管内でのガス産生増加
⊃外部からの気体侵入

4. ①消化管の消化吸収運動機能は正常である。
・学童期から続く腸管内ガス貯留症で、十数年に及び増悪も寛解もなく持続
。
・体重減少を呈したが、経管栄養を行えば体重は増加しているので消化管の
消化吸収機能は正常。
・腸蠕動もあり排便もあって、腸管運動機能も正常。
②腹部CTで腸管の炎症を示唆する所見がない。便塊もない。
・腹部CTで腸管内に液貯留・腸管壁の肥厚がない、つまり腸管壁の炎症を示
唆するような、腸管内の浸出液なし、腸管浮腫なし。
・腸管内にはガス産生の材料になる便もない。
③胃も拡張している。
・胃捻転の既往がある。虚脱した胃が捻転は起こしにくいだろう。既にこの
時点では胃拡張もあった。
・腹部単純X線写真でも左上腹部でハウストラの無い大きなガス像がある、
つまり胃にもガス貯留がある。腸管で大量発生したガスが胃まで拡張させる
とは考えにくい。

5. 腹部膨満の診断プロセス
腸管内ガス貯留⊃腸管内でのガス産生増加
⊃外部からの気体侵入

6. 腹部膨満の診断プロセス
腸管内気体侵入⊃経肛門的気体侵入
⊃経口的気体侵入⊃医原性
⊃呑気症

7. 腹部膨満の診断プロセス
腹部膨満⊃腹腔外
⊃腹腔内⊃個体
⊃液体
⊃気体⊃腸管外
⊃腸管内⊃気体産生増加
⊃気体侵入⊃経肛門
⊃経口⊃医原性
⊃呑気症

8. 低栄養症の診断プロセス
低栄養症⊃特殊栄養欠乏症⊃ビタミン欠乏症
⊃ミネラル欠乏症
⊃脂肪酸欠乏症
⊃アミノ酸欠乏症
⊃蛋白エネルギー欠乏症⊃マラスムス
⊃クワシオルコル

9. プロブレムリスト
＃１ 精神発達遅滞症
＃２ 腹部膨満→呑気症
＃３ 低栄養症→マラスムス低栄養症

10. 嚥下造影施行。
下顎はV字形に尖って突き出る形状で上顎もそれに沿って前へ突出。
下顎歯は噛み締めで磨耗。
硬口蓋上縁はドーム状の円弧で舌との間に隙間があり、特に唾液を呑む時に
空気を嚥下してしまう。
処置１；噛み締めに顎歯に”足下駄”（2.5mmスプリント）→呑気改善なし
処置２；硬口蓋に隙間埋めの装具（PAP）を装置 →旨く嚥下できない
処置３；軟口蓋口挙上装置（PLA）→嘔吐反射で装着不能
胃瘻造設し適宜脱気及び高カロリー経腸栄養（1800kcal/日）を行った。
腹満は改善し、自力で食事摂取量増加。茶色普通便（週3回）あり。
体重は24kgまで増加し退院。