岩木川、馬淵川を対象にNHK青森が企画、実施した防災フィールドワークに参加した体験に基づき、「若者と高齢者と災害・防災」の関連性にアプローチした。そして、若者の率先避難、スマートフォンを介した高齢者との交流が有効であるとの結論に至った。

1. 災害時に若者の避難がもたらす効果
～岩木川と馬淵川、青大生の調査から～
2118002 安養寺 航希

2. 目次
・研究目的
・調査方法
・過去の災害の傾向
・青森県の高齢化の現状
・防災フィールドワークの結果
・災害時のコミュニケーションの重要性
・考察
・まとめ

3. 研究目的
・若者が避難訓練に参加することの意義、
および周囲が享受するメリットを明らか
にする。

4. 調査方法
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・主催 NHK青森放送局
・日時 2020年7月10日・2021年5月31日
・場所 岩木川流域・馬淵川流域
岩木川フィールドワーク」「岩木川防災意
見交換会」「馬淵川フィールドワーク」
「馬淵川防災意見交換会」参加と参与観察、
文献やデータの検討などを行った。

5. 過去の災害の被害傾向
(左)平成30年7月豪雨 死者数の年齢別 (朝日新聞の記事より筆者作成)
(右)平成24年3月11日現在 東日本大震災 3県の年齢別死者数〈岩手県、宮城県、
福島県〉 (警視庁より筆者作成)

6. 過去の災害の被害傾向
・世界保健機関(WHO)が定める高齢者が65
歳以上とされている層が、平成30年
7月豪雨では71%・東日本大震災で
は65.8%と全体の半数以上占める
結果となった。

7. 青森県の高齢化の現状
・青森県の高齢化率は33.42%
（2021年2月現在)
・全国平均は29.1%と比べ高齢化率が
高い
・青森県で一番高いところでは、今別町の
54.94%と、1人で1人以上を支援
する必要が出てくる。

8. 防災フィールドワークの結果
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・町内会長が若者の連絡手段は確立していない
とわかった
・アパートに住む若者はその土地の避難所を理
解していないのではないかと推察した
・若者が率先して避難すれば高齢者も避難する
可能性が高まることが推測された

9. 災害時のコミュニケーションの重要性
・先行研究である「情報格差をきっか
けとした災害時の避難所コミュニテ
ィ支援の枠組み検討」では、避難訓
練にスマートフォンと若者を取り入
れた実験を行った。

10. 災害時のコミュニケーションの重要性
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先行研究からわかったこと
・近所付き合いを大切にしている人でも青年層との接点のある住民は
すくないことが確認された。
・参加者全体のうち、自力でスマートフォンを利用した人が１７名で
あり、多くの参加者が支援を必要とした。
・実験から青年層への印象が変化する回答や、スマートフォンの操作
支援に関して、青年層の活躍を期待する回答が得られた。
・スマートフォンの操作支援の場が青年層と高齢層の世代間交流とし
て役割を果たす可能性が示唆された。

11. 考察
・災害時に停電の可能性があり、その際に役に立つのが
インターネットである。そのため若者が高齢者にイン
ターネットの使い方を教えることができる。
・先行研究では、若者が参加することによって、高齢者
と若者のコミュニケーションの場を生むことができた。
そのことから災害時にもスムーズなコミュニティケー
ションができるのではないかと考察した。

12. まとめ
・過去の災害の傾向として高齢者の死者割合が多い
・先行研究の若者とスマートフォンを交えた防災訓練で
は、若者への期待、若者への印象の向上、コミュニケー
ションの場が生まれたことがわかった。
・若者が避難においてのメリットは、情報支援、災害時
の活躍などが挙げられる。
・課題として、若者の防災訓練の参加率、インターネッ
トのリテラシーなどがある。

13. 参考文献
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・朝日新聞 豪雨犠牲者、7割超が60歳以上 「災害弱者」浮き彫り
https：//www.asahi.com/articles/ASL7D7FSZL7DPTIL01N.html
・警察庁 特‐4 東日本大震災による死者の死因等について
https://www.npa.go.jp/hakusyo/h24/toukei/00/0-04.xls
・Web東奥 青森県高齢化率、過去最高33.42%/2月現在
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/578064
・柴田貴史、富永登夢、土方嘉徳、酒田信親、伊藤京子(2018)「情報格
差をきっかけとした災害時の避難所コミュニティ支援の枠組み検討」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/iscie/31/3/31_101/_pdf