清流の国ぎふ 防災・減災センター
関市武儀地域における
防災勉強会と
防災訓練計画づくり
岐阜大学流域圏科学研究センター 小山真紀
清流の国ぎふ 防災・減災センター
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2021/03/06 地区防災計画学会
清流の国ぎふ 防災・減災センター
平成30年7月豪雨被害地域
• 大きな被害が集中した地域は,
関市(上之保,武儀,富野),
下呂市(金山,萩原),
郡上市(小那比)
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清流の国ぎふ 防災・減災センター
関市内の建物被害状況
関市:平成30年7月豪雨災害検証報告書(案)より
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清流の国ぎふ 防災・減災センター
武儀地域の人口動態
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武儀地域の
高齢者人口と要支援・要介護認定率(2010年)
後期高齢者
要介護度は年齢と共に右肩上がりに上昇。
→高齢になればなるほど、身心の機能が
衰えていき、介護が必要となる。
※65歳以上75歳未満は前期高齢者、75歳以上は後期高齢者と定義される。
本研究では、避難の際に支援が必要となる要配慮者を後期高齢者、
支援をする人を15歳以上65歳未満(生産年齢人口)と仮定する。
85歳以上の人数が
突出して多くなる
2010年
2050年
武儀地域の人口ピラミッド
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武儀地域の自治会別人口(R元年5月現在)
武儀支部 男 女 計 世帯数
富之保雁曽礼 42 46 88 38
富之保武儀倉 88 89 177 69
富之保大洞町 102 128 230 105
富之保岩山崎 140 134 274 103
富之保水成 32 36 68 29
富之保祖父川 29 38 67 30
富之保粟野 105 104 209 75
中之保日根 26 25 51 20
中之保久須 18 19 37 15
中之保温井 51 40 91 44
中之保寺田 29 25 54 19
中之保多々羅 29 39 68 27
中之保間吹 40 77 117 72
武儀支部 男 女 計 世帯数
中之保乙亀 40 53 93 42
中之保若栗 104 95 199 74
中之保小宮 39 33 72 31
中之保柳瀬 57 46 103 35
下之保大門 67 74 141 51
下之保戸丁 50 51 101 35
下之保町 33 37 70 29
下之保殿村 100 119 219 72
下之保西洞 74 83 157 64
下之保上野 92 91 183 64
下之保古布 47 46 93 35
下之保轡野 32 35 67 28
下之保多良木 57 43 100 51
計 1,5231,606 3,129 1,257
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26自治会(富之保:7,中之保:10,下之保:9) 自治会長は1年交代
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これまでの経緯
• 2018年度
• 7月豪雨で被災.地域の防災を考えなければという気運高まる
• 関市自治会連合会武儀支部の役員会で検討始まる
• 2019年度
• 関市主導で「避難カード」事業が進められたものの,参加者は低迷
• 上記事業のため,武儀支部主導の地区防災計画に向けた取り組みは中
断
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課題:単位自治会が主体的に地区の防災を考える土壌ができていない
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地区防災計画策定プラン
• 2020年度
• 地区防災計画モデル事業に選定
• 地区防災計画に向けた取り組み再開
• 武儀支部主導の地区防災計画策定に向けて,「避難行動」「避難所」
「避難行動要支援者対策」について勉強会を開催
• 勉強会と同時並行で,次年度の防災訓練の企画立案
• 7月豪雨当時の武儀支部のタイムラインの整理(これが地区防災計画
のコアとなる)
• 2021年度
• 勉強会を通じて単位自治会ごとの地区防災計画策定
• 武儀支部全体の地区防災計画策定
• 2022年度
• 関市防災会議に地区防災計画を関市地域防災計画の一部として位置づ
けるよう提案する
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方針:単位自治会が主体的に地区の防災を考える土壌を作り,
具体的な計画づくりを行う
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勉強会
• 対象は単位自治会役員(自治会長,副自治会長,会計,総務部
長,交通部長,防犯防災部長,福祉部長,スポーツ部長,環境
衛生部長,女性部長)
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地区 第1回目 第2回目 第3回目
富之保 2020/10/25 2020/01/12 2020/12/04
中之保 2020/10/25 2020/11/19 2020/12/10
下之保 2020/10/25 2020/11/26 2020/12/17
地区 対象人数
富之保 36 62% 28 48% 29 50% 58
中之保 22 30% 23 32% 18 25% 73
下之保 21 29% 22 30% 14 19% 73
合計 79 39% 73 36% 61 30% 204
第1回目 第2回目 第3回目
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勉強会
• 第一回
• コロナ禍における避難行動の考え方
• 第二回
• 第一部:避難所環境
第二部:実効的な防災訓練
• 第三回
• 第一部:避難行動要支援者対策
第二部:防災訓練計画の発表
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平成30年7月豪雨武儀支部タイムライン
2020/07/08 関市 自治会 消防団 社協 水位
新若栗橋水位 約2.5m
am0:50 市内全域 大雨特別警報 ・電話にて各班長に避難情報を伝達 武儀地域3分団招集
am1:15 記録的短時間大雨情報 ・班長と住民で浸水の恐れのある人
・津保川の水位が上昇 を避難誘導した。 武儀倉川道路冠水情報を伝達
・上之保、武儀、富野地域が氾濫 ・自治会長が各戸に避難の呼びかけ
・避難の恐れがある家に自治会長が直
接連絡した。
第3分団 津保クリ前 土嚢作り開始
am1:30 1軒1軒回り避難呼びかけ
am1:47 多良木避難勧告発令 ・岩山崎地区一部住民集会所避難 新若栗橋水位 約3.5m
am2:00
武儀事務所より、武儀倉、岩の冠水情
報
・多良木地区富野ふれセン避難
小宮・祖父川合流地点の危険情報 ・武儀倉地区一部住民集会所避難
am2:10 上之保事務所 サイレン吹鳴
am2:35 避難指示発令(武儀・上之保) 新若栗橋水位 約5.0m
・命を守る行動を指示
若栗 まねき寿司浸水
am3:00 ・武儀事務所2Fを避難所に開放 関市より災害ボラセン設置要請
・武儀東小学校体育館避難所として開
放
・武儀東体育館第1分団対応 ・主任主査以上の職員を招集
・武儀生涯学習センター避難所解放 ・主任主査以上の職員で現地を調査
am4:00 ・職員武儀東小体育館到着 関市災害ボラセン開設
・道路の土砂除去
・粟野地区住民救助要請 ・粟野地区避難第1分団対応 水位下がり始める
・大門地区住民救助要請 ・大門地区避難第2分団対応
am9:00 避難指示等解除
am10:30
・床上浸水宅へゴミ袋、パンバナナ見
舞金の配布
・1名を事務局を残し職員を招集した
・消防団への炊き出し
・道路の流木撤去
・地域内の巡回
pm 職員による現地支援活動
pm1:10 大雨特別警報解除
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おわりに
• まとめ
• 地区防災計画を作りたいが,単位自治会が主体的に地区の防災を考え
る土壌ができていないという課題があった
• 2020年度は,勉強会を通じて,単位自治会が主体的に地区の防災を考
えるための土壌づくりと,具体的な計画策定に向けて平成30年7月豪
雨時の武儀支部を中心としたタイムラインの整理を行った
• 2021年度に単位自治会の地区防災計画作成予定
• 3/12に開催予定の自治会長会で今年度の取り組みの振り返りと
次年度の計画の共有を行う予定.また,勉強会のDVDを単位自
治会に配布予定
• 当初予定では,武儀支部としての計画のみ作成予定であったが,
単位自治会主体で考えることが大事であるという地域の思いを
受けて,単位自治会ごとの地区防災計画も作成することに予定
を変更している
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清流の国ぎふ 防災・減災センター
本事業は地区防災計画学会の「地区防災計画モ
デル事業」の支援を受けて実施しました.地区
防災計画学会ならびにYahoo!基金の関係者の皆様
に厚くお礼申し上げます.
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20210306 地区防災計画学会 関市武儀地域における防災勉強会と防災訓練計画づくり

Editor's Notes

  • #5 武儀地域の人口動態を示したグラフです。 左の図は武儀地域の高齢者数と要支援・要介護認定率を示しています。高齢者の中でも65歳から75歳までの前期高齢者の要介護認定率は低い一方、認定率は年齢と共に2次曲線的に上昇していることが分かります。病気をしなくとも年をとればとるほど身心の機能が衰えていくためです。真備の例でも70代以上の人が多く亡くなっていることから、避難時に特に配慮すべきなのは主に後期高齢者であると言えます。 そこで、本研究ではハザードに曝されている後期高齢者を避難時要配慮者、地域の15歳から64歳までの生産年齢人口に属する人を支援者と仮定します。 なお、武儀地域の人口ピラミッドを見ると、2050年になると突出して85歳以上の人口が多くなる傾向があります。