【卒業題目】 未来を生き抜くオタク的視点 ~技術革新の果てに人類はどう生きていくのか~ 分野名:学校外教育分野 学籍番号:142730A 氏名:喜屋武大輝 指導教員:吉田悦治 【研究動機】 技術革新が進み、生活はより快適で便利になった。しかし、その反面恐ろしい脅威も近づいてきていると私は考える。以前は一家に一台の電話が、一人一台ずつ携帯できるようになり、今ではパソコンとほぼ同等の機能を備えたスマートフォンを日本人の53.1%が所有している(総務省「27年度通信利用動向調査」)。スマホの普及によってSNSも使われるようになり、ユーザー数はFacebookだけでも全世界で18.8億人(Facebook、2016年度事業報告書、2016年12月31日時点)もいる。そして、「いいね」や「シェア」機能により、情報拡散のスピードもどんどん速くなっている。これらの機能は「社会的証明」を生みだし、SNSは流行を生み出す一大プラントになっている。ファッションや音楽などはもちろんのこと、昨年話題になった「PPAP」の動画や画像編集アプリの「SNOW」もSNSから流行した。これらは今後一層、我々の生活に大きな影響を与えるに違いない。Facebook創始者マーク・ザッカーバーグは「Facebookはこれまで作られた物の中で、一番強力な大衆操作ツールだ」と述べている。今後私たちは情報に踊らされ、知らないうちにコントロールされる時代も来るかもしれない。そして、最も革新的且つ驚異的な発明は人工知能である。以前は人間がプログラミングした枠内でしか学習できなかった機械が、人工知能の発達により自らデータを集め、分析し新しいことを学習することになった。身近で言えばiPhoneのsiriなどがそうだ。それらの知能の高さはニュースでも取り上げられた。チェスや囲碁のプロを負かし、投資の世界では人工知能が優秀な投資家に勝ち続けている。その高い知能は、近い将来我々の生活に大きな影響力を与えるだろう。オックスフォード大学でITと雇用の研究をしているマイケル・A・オズボーンの論文「雇用の未来―コンピュータ化によって仕事は失われるのか―」(2013年)では、「アメリカにおける47%の仕事がAIに奪われる」と言及している。他にもテスラモーターズCEOイーロン・マスクや宇宙物理学者スティーブン・ホーキングも「人工知能の開発は慎重に行うべきだ」と指摘している。このまま日々を過ごしていけば、一握りの権力者や人工知能に家畜化される未来が迫ってきている。 では、そのような未来ではどのようにサバイブしていけばいいのか。私なりに考えてみた。まず、常識を疑う目を持たなければならない。現代の社会では、既存の常識が通用しなくなってきている。例えば、iPhone。売れる商品はマーケティングをしっかり行い、それに基づいて開発されることが有効的だと思われている。しかし、iPhoneの開発時は、ほとんどマーケティングなどしなかったというのだ。これは、facebookの創始者マーク・ザッカーバーグもAKB48などのアイドルグループのプロデューサー秋元康も同じくマーケティングは行わない。以前の常識がビジネスの世界では変わってきつつある。これは、ビジネスだけで言えることではない。学校教育で今まで重視されてきた情報処理能力も将来はAIが担うこととなり、これからは来るべき時代における新たな力が求められることになるであろう。既存の仕事も、今後は人工知能や外国人労働者に奪われていく。絶対的な正解は影を潜め、昨日まで当たり前と思っていた常識や思い込みも通用しなくなるだろう。使い古された常識を疑うことなく鵜呑みにしていくことは、時代に取り残されるだけでなく、同時代を生き抜くことができないリスクがある。だからこそ、前時代的なモノサシを問い直す眼を持ち、様々な視点から物事をとらえ、自分自身で多様な答えを創造していく必要がある。過去のデータを集め、分析し、〇か×かの答えを出すのは今後AIがやってくれる。これからは、新しいものを生み出すクリエイティブな活動を人間が担い、正解のないことに挑んでいく力が必要になる。これらの力がオタク的な独特な視点と重なるところが多数あると私は考える。「主流」のことを信じず、独自な批判的な視点を持ち、独創的な着想や自分の意見や考えに絶対的な美学・こだわりがあり突き進む。アニメやフィギュアを偏愛するようなサブカルチャー的なオタクそのものではなくて、「オタク的なものの見方」のこと指す。このオタク的な視点は、技術革新で大きく変わる未来を生き抜く力になると私は考える。この「オタク的視点」を研究テーマに一年間探求していきたいと考えている。 □研究内容 ➀既存のオタク観との違いとオタク的視点 アニメや漫画を偏愛し、その世界だけで快楽を求め、狭い世界で生きていくようなサブカルチャー的なオタクを取り上げるのでなく、オタク的な視点に焦点を当てる。そもそも、オタクとは何なのか?オタク的視点とは何なのか?「批判的に物事を見る」「常識や当たり前のことを疑う」「独自の分析から答えを出す」「好奇心の暴走」などが挙げられる。この特徴を持って活躍している方々の事例を紹介しながら考察していく。現段階で取り上げようと考えているのは、Facebook創始者マーク・ザッカーバーグ、アップル創始者スティーブ・ジョブス、メジャーリーガーのイチロー、「マイブーム」や「ゆるキャラ」を世に生み出したイラストレーターみうらじゅん、アウトサイドの文化、音楽、アートを取り上げ、独自の記事を世に出している編集者の都築響一など。 ②未来を生き抜くオタク的視点の必要性 情報産業で活躍する者や研究者が凄まじい速さで進む技術革新に懸念を示している。我々の体や感覚器官の延長線上にあった機械の開発(工業用ロボット=手の延長、ラジオ=耳の延長、テレビ=目の延長、車=足の延長)が、今では脳の延長線上のAIになった。ソフトバンクCEOの孫正義氏も「生物最強の知能を持った人間が、AIに負ける日もそうは遠くない。」と言っている。そんな時代を切り抜けるのがオタク的視点であると考える。そして、オタク的視点がどう役立つのか。未来の我々の生活を予測し、オタク的視点の必要性を探っていく。 ③子どもから始める「オタク的視点のススメ」 次世代の子どもたちが大人になるときにはまさに③で言ったような時代になっているだろう。大人になってからオタク的視点を学んでももう手遅れだ。だからこそ、子どもの時から学ぶ必要がある。そのための実践例を提案したい。 (※引用、参考文献等についてはポスターセッションにおいて提示します。)