自動車部品業界への参入について
- 5. Japan Productivity Center
Q 品質マネジメントシステム(QMS)の構築
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メーカーである限りなんらかの品質管理が行われて
いるはず。自動車部品メーカーに求められるのは、客
先に対する品質保証体制を含めた品質マネジメントシ
ステムを構築すること。
品質マネジメントシステム:品質に関して組織
を指揮し、管理するための調整された活動
(注記)
品質に関する指揮及び管理には、通常、品質
方針及び品質目標の設定、 品質計画、品質
管理、品質保証及び品質改善が含まれる。
(ISO9000sに依る)
品質保証:消費者の要求する品質が十分に
満たされていることを保証するために、生産
者が行なう体系的活動。
(JIS Z 8101に依る)
品質管理:買手の要求に合った品質の品
物または サービスを経済的に作り出すた
めの手段の体系」。
(JIS Z 8101に依る)
- 6. Japan Productivity Center
Q 客先による品質マネジメントの確認
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完成車メーカーはTier1メーカーに対して品質マネジメントシス
テムの確認および実施状況について品質監査(QAVなどと呼
ばれる)を行う。 完成車メーカーの品質基準はTier2メーカー
以下にも適用されるので、Tier1メーカーはTier2メーカーに対
しても同様の品質要求を行う。新規参入するにはこの完成車
メーカーのQAV要求項目をクリアできる体制をアピールするこ
とが参入に際しての優位性を高める。
品質マネジメントシステムの構築なくして品質要求
は達成できない(Tier1としての要件)、Tier2もそれ
に準じる
完成車
メーカー
Tier1 Tier2 Tier3
同じ品質要求
- 9. Japan Productivity Center
C コスト競争力
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先ずはコスト競争力がないと受注は難しい(他社にで
きないような差別化の要素があれば別)
受注に際して、QCDそれぞれの領域で評価されるが、
やはりCの部分のウェイトが高い(建前ではQCD全部
重要というが、購買部門では「先ずはコスト」となって
しまうことが多い
通常Tier1メーカーでは、ML決定会議が開かれ、Q領
域(品質部門)、C領域(購買部門)、D領域(業務部
門(Tier1窓口))で、Tier2メーカーの評価を行いMLを
決定する。(あるいはML評価シートでそれぞれの部
門が点数評価してML決定)
- 10. Japan Productivity Center
C 毎年コストダウン要求が発生
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Tier2メーカー
Tier1メーカー
完成車メーカー
毎年必ずコストダウン
要求が来る
下請け法対象会社に
根拠なきコストダウン
要求はだせない
新機種立ち上げ時の受注単価がそのままモデルイヤーの
間維持できる訳ではない。 毎年コストダウン要求がある。
- 11. Japan Productivity Center
C 見積り原価構成要素
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• 固定費が占める割合大きく、なかなか
下げるのは難しい機械賃率
• 一番コストダウンのタマになり易いサイクル
• 市場動向に合わせて調整、Tier2の場
合支給がほとんど材料費
• コストダウンのタマになり易いが、利
益も取りやすい組立賃率
• コストダウンのタマになり易いが、利
益も取りやすい
組立サイクル
• Tier2の場合は無償支給がほとんど、
自給になれば旨みも
構成部品
• 一括支払いの場合もあり金型償却費
単純に単価を下げろ、という話ではなく見積り原価のどの
部分を下げるか
賃
率
設備減価償却費
動力費
直接労務費
メンテナンス費用
材
料
費
材料単価
使用重量
製品重量
秒当たりいくらになるか
単位当たりいくらになるか
+管理費
- 12. Japan Productivity Center
C ロスの削減・生産効率改善
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• ロスを出さない設計→端材部分が少
ない設計(基本的にはTier1の問題)
• 工程内不良を出さない
材料
コスト
• 工程内不良を出さない
• 稼働率を高めてゆく生産管理(目標
管理)→設備総合効率・ライン編成効
率等で管理・改善をしてゆく
加工
コスト
見積りは理論値。 実際の製造コストをどうやって見積り以
下にしてゆくかの努力が必要→見積り以下で作れれば差
額は利益となる
ロスの削減・生産効率の改善が最重要
- 14. Japan Productivity Center
D 定時・定点・定量搬入
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完成車のメーカーの生産スケジュールに合わせて、要求数
量を指定場所に指定数量を搬入する
Tier 2 メー
カー
Tier 1 メー
カー
完成車
メーカー
直送・ミルクランの場合
あり
指定場所
・デポ
・ライン1 ○○○
・ライン2 ×××
- 15. Japan Productivity Center
D 部品発注・搬入の基本
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完成車メーカーからの発注
はEDI(JNX)で出される。
Tier2は直接JNXデータは取
れない場合、Tier1メーカー
のネットーワークから受注
情報をもらう。
電子データで受注情報をもらえる体制を整えないとサプライ
チェーンを構成できない→Tier2メーカーにとっても受注データ
は同時受信の必要あり
情報の流れ
物の流れ
Tier3 Tier2 Tier1 完成車メー
カー
発注・搬入指示 発注・搬入指示 発注・搬入指示
搬入 搬入 搬入
JNX(EDI)
Tier1のシステム or
JNX
- 17. Japan Productivity Center
営業戦略 顧客へのアプローチ
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どこにアプローチするか
• 購買部門
• 研究開発部門
完成車
メーカー
• 購買部門
• 研究開発部門
• 技術部門
Tier1
メーカー
外注加工
メーカー
素材メー
カー
金型メー
カー
部材・装置
メーカー
部材・素材・構成部品は自給、支給により購
買窓口が変わる・・・購買決定権はどこにあ
るか(完成車メーカー・研究開発部門での承
認は不可欠)
構成部品
メーカー
Tier1の外注加工の受注先は同業種だ
けとは限らない。 例えばTier1シート
メーカーへ樹脂小物部品、プレス小物
部品等の納入もあり得る。
モジュール
化の流れも
あり
- 19. Japan Productivity Center
営業戦略 自社の強みを活かした提案営業へ
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例 内装部品の表皮加工をどうするか?
顧客の
ニーズは
何か
提案のキーワード: コストダウン、軽量化、グリーン購買等
表皮材貼合一体成形(インモールド成型)
真空圧着(オーバーレイ)粘着加工
シート粘着加工
顧客の困りごと・要望が商
品化のヒントに→顧客と
ざっくばらんに話せる環境
づくり
きっかけは日常の商談
の中から
新規参入者ならではの
業界の常識にとらわれ
ない工法の提案をする
ことが効果的
- 20. Japan Productivity Center
自動車部品業界 PEST+外部環境分析
機会 O 脅威 T
Politics
(政治)
パリ協定による世界的な低炭素化の
流れ
TTP累積原産地規則(但しTTPそのも
のが期待薄)
トランプ新大統領誕生に依る保護
貿易主義の流れ(TPP絶望的?)
産油国の減産に依る原油価格の
高値誘導
Economy
(経済)
円安による輸出増期待
新興国市場の急成長
借入金利の低下
部品メーカー系列解体加速の流れ
(日産によるCK売却等)
完成車メーカー統合の流れ(日産
の三菱買収等)
長期的には原油高?
Society
(社会)
消費者の環境志向・安全志向
グリーン購買
長期的に国内人口減少に依る市
場縮小、労働力不足
コンプライアンス強化の要求
JAMAシート(有害物質調査)
Technology
(技術)
自動運転車開発の流れ
ガソリン車から環境対応車への転換
の流れ(HV、EV、PHEV、バイオディー
ゼルなど)
車載ネットワーク機器需要の高まり
燃費向上の為の軽量化要求
部品のモジュール納入の流れ
完成車メーカーの海外での設計・
開発
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+貴社独自の強みと
弱みを考えて
機会
(OPPORTUNITY)
SWOT分析
脅威
(THREAT)
強み
(STRENGTH)
弱み
(WEAKNESS)