大学におけるオープンエデュケーショナル
リソースと著作権処理の実状と課題
重田勝介
北海道大学 情報基盤センター 准教授
高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター 副センター長
2017/08/07 2017 PC Conference セミナー5
重田勝介 (しげた かつすけ)
北海道大学 情報基盤センター 准教授
高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター
副センター長
専門分野 教育工学 オープンエデュケーション
書籍
「ネットで学ぶ世界の大学 MOOC入門」
(実業之日本社)
「オープンエデュケーション」
(東京電機大学出版局)
あらまし
• OER(オープンエデュケーショナルリソース)とは
• OERの著作権処理について
–北大オープンエデュケーションセンターにおける事例
オープンエデュケーションとは
• オープンエデュケーションとは
– 教育を「オープン」にして学習機会を促進する活動
– 社会から広い支持を集める(寄付財団の支援)
• オープンエデュケーション誕生の経緯
– 1990年代:eラーニングの普及
• 有料モデルの頓挫(大学による教材販売サイトの失敗)
– 2001年:オープンコースウェア(OCW)の開設
• オープン教材(OER)を個人や非営利団体の増加
• 国際団体の支援(ユネスコ)
• 事例
– OERやMOOCの開発と利用 「教育のオープン化」
オープンエデュケーションの意義
• 教育格差の是正
– コスト削減による機会均等の実現
– 教育制度の外における教育・能力認定(MOOC)
• Nanodegree / Global Freshman Academy
• 教育の改善
– OERの開発・再利用による「よりよい教材」の提供
– 教育機関での利活用
• ブレンド型学習・反転授業
• 「教育ナレッジ」の蓄積
– 教育データの活用・公開による「よりよい学び方」の探求
• Learning Analytics / Adaptive Learning
既存の教育システム・に対するオルタナティブ(コスト、制度、方法‥)
OER(Open Educational Resources)
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インターネット上で配布されるオープンな教材
オープンライセンスの付与(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)
権利を保持
再利用
改版・翻訳
組み合わせ
再配布
http://lumenlearning.com/wp-content/uploads/2014/11/5Rs-Graphic.jpg
オープンコースウェア
(OpenCourseWare: OCW)
• 正規講義のシラバスや教材、講義ビデオを
無償公開 単位認定なし (Publication=出版)
–世界規模の活動へ
•OEC
•JOCW
–発展途上国向けに
教材を翻訳
(国際教育協力)
オープンコンテンツの役割
• 教育情報の公開
–オープンコースウェアと大学広報(入学生獲得)
• 教育格差の是正
–オープン教科書(Open Textbook)
–Adoptionによる教育コスト削減
• Z-degree
• 教育のための利用(Open Pedagogy)
–学生による教材製作
–翻訳を通した学習(Asuka Academy)
教育コストの削減だけでなく、
オープンコンテンツならではの教育方法開発
著作権処理について
北大オープンエデュケーションセンターの事例
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• 高等教育推進機構に附属
• 学内イニシアチブの統合
• 北海道大学OCW
• 部局におけるeラーニングの継続的な取り組み
• 設置目的
• 全学的な統制のもとOpen Educational Resources
(OER)を活用した教育・学習支援
• OERに関する研究開発を推進
• 学習管理システム(LMS)の開発と運用
北大におけるOERの制作過程
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教材設計
著作権処理
映像制作
配信
講師確認
OER製作のフロー
2017/8/7 11
講師からの
教材制作依頼
講師との
打ち合わせ
著作物利用許諾書
制作受付書
講義資料の
提供
教材設計
調査
全図対応方針
連絡票
申請書類
許諾申請
スライド
試作版
映像編集
完成版
教材の制作
著
作
権
処
理
映
像
制
作
講義収録
映像編集
試作版
教材の公開
公 開
法人申請
スライド
完成版
OERの著作権処理(1)
教員から許諾を得る
• OERの元となる「教材」の提供(スライド等):教員が著作権
を保持
• 教材から製作した「教育コンテンツ」(スライドを組み入れた
講義ビデオ): 北大が著作権を有する(二次的著作物)
• 教員は「教育コンテンツ」の利用範囲を選択→全体に利用
条件を付与
• 制限資料(北大の教育利用に限定)
• 二次利用可(CC-BY-NC)
※第三者著作物は利用範囲を別途明記する
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OERの著作権処理(2)
第三者から許諾を得る
• 第三者の素材に含まれる図版の利用(写真、表、グラフ)
• 引用の範囲を超えると解釈し、素材の出典をリストアップ
し利用規約を調査
• 個別に連絡
• 第三者は図版の利用範囲を選択→個別に利用条件を付与
• 無料利用を許諾しない(この場合差し替えまたは削除)
• 制限資料(北大の教育利用に限定)
• 二次利用可(CC-BY-NC)
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講義ビデオへのクレジット記載例(CC-BY-NC)
教員からの
許諾状況
(教材全体)
第三者からの
許諾状況
(個別の素材)
講義ビデオへのクレジット記載例(制限資料)
教員からの
許諾状況
(教材全体)
第三者からの
許諾状況
(個別の素材)
閲覧
教員 北大OEセンター
二次利
用
翻訳
再配布
制作
学習
学習
閲覧
CCライセンス
提供
非商用の場合、出典を明記し、
二次利用ができます。
制限資料
このマークがついた教材は、
二次利用できません。
‡
著作権処理(1)教員から許諾を得る
21講義
73講義
※2015年度実績 94講義
著作権処理(2)第三者から許諾を得る
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著作物抽出
利用
規約
差替え等
処理完了
講義資料
受領
第三者
著作物
資料整形
無料で
許諾
申請/
差替え
OK
OK
申請
Yes
NG
No
NG
(Unknown)
差替え
2017/8/7 18
著作物抽出
利用
規約
差替え等
処理完了
講義資料
受領
第三者
著作物
資料整形
無料で
許諾
申請/
差替え
OK
OK
申請
Yes
NG
No
NG
(Unknown)
差替え
※2015年度制作の69講義 2,264の素材
自作
著作
物
56%
第三
者
著作
物…
996
(44%)
1268
(56%)
2017/8/7 19
著作物抽出
利用
規約
差替え等
処理完了
講義資料
受領
第三者
著作物
資料整形
無料で
許諾
申請/
差替え
OK
NG
(Unknown)
OK
申請
Yes
NG
No
差替え
996
OK
25%
OK
(CC/PD
)
7%
差替等
42%
申請
26% 421
(42%)
253
(26%)
322
(32%)
・251 (25%):制作・配信OK
・71 (7%):二次利用もOK(CC/PD)
※2015年度制作の69講義 2,264の素材
2017/8/7 20
著作物抽出
利用
規約
差替え等
処理完了
講義資料
受領
第三者
著作物
資料整形
無料で
許諾
申請/
差替え
OK
OK
申請
Yes
NG
No
NG
(Unknown)
差替え
253
OK
85%
OK
(CC)
7%
NG
8%
233
(92%)
20
(8%)
・214 (85%):制作・配信OK
・19 (7%):二次利用もOK(CC)
※2015年度制作の69講義 2,264の素材
北大の経験から
著作権者は教育利用に比較的寛容
• 第三者著作物の32%は利用許諾の定めにより利用可
• 申請の結果92%が無償利用できた
• ただし、申請が通りそうなものを選択して申請していることに
注意
同時送信と異時送信
• 同時送信:遠隔授業など(教室空間の共有) 必要なし
• 異時送信:オンデマンド配信(LMSでの配布)
対象が認証システムで制限されていても公衆送信に
あたるという解釈 OCWやMOOC等も同様の扱い
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大学におけるオープンエデュケーショナル リソースと著作権処理の実状と課題

Editor's Notes

  • #7 ここで、OERについてですが、OERとは、Open Educational Resourcesの略で、 ・無料 ・オープンアクセス ・オープンライセンス のデジタル教材、つまり無料でインターネット上で公開されるデジタル教材を意味しています。
  • #10 北海道大学オープンエデュケーションセンターは、2014年度に新たに高等教育推進機構に設置されました。 北海道大学では、それまでにもeラーニング、オープンコースウェア(OCW)を継続的に推進することで、 OER制作に関するノウハウを蓄積してきました。 オープンエデュケーションセンターは、それらの活動を統合し、全学的な統制のもと ・OERを活用した教育・学習支援を行うこと ・OERに関する研究開発を推進すること を目的として設置されました。
  • #11 オープンエデュケーションセンターでは、総合的な教育学習支援ということで、OER制作における 教材設計・著作権処理・映像制作・LMSなどからの配信といった業務を教員と協働で実施しています。
  • #17 著作権処理説明