学校図書館運営マニュアルの
現状と課題
− SLiiiC マニュアルプロジェクトの活動を通して −
野口久美子(大妻女子大学)
横山寿美代(杉並区立久我山小学校)
野口武悟(専修大学)
第39回全国学校図書館研究大会(甲府大会)
M-⑧ スタッフマニュアルの作成と活用
自己紹介
 野口久美子
 大妻女子大学 非常勤講師
 横山寿美代
 杉並区立久我山小学校 学校司書
 野口武悟
 専修大学文学部 教授
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本日の発表内容
1. SLiiiCの活動について
2. 運営マニュアルプロジェクト 活動の
概要
3. これまでの研究成果
• マニュアル作成の実態調査
• マニュアルを利用するユーザに対するインタ
ビュー調査
4. 考察と今後の展望
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SLiiiC(スリック)とは?
• 2006年結成
• インターネットの活用
• 学校図書館に関わる様々な人々が
スタッフとして参加
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働き人+学び人
(大学教員)
学び人
(大学生・院生等)
働き人
(学校司書等)
SLiiiC の活動理念
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活動内容
1. 学校図書館運営に役立つWebコン
テンツの提供
2. 学校図書館員の研修機会の提供
3. 学校図書館運営マニュアルプロ
ジェクト
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http://www.sliiic.org/
学校図書館運営マニュアルプロジェクト
• 2012年12月開始
• 目的
1. 運営マニュアルを収集し、整備状況を調
査し、その内容の特徴を明らかにする
2. マニュアルを実際に活用するユーザの
ニーズを把握する
3. 各自治体や学校でマニュアルを作成する
際の指針案(ガイドライン)とマニュア
ルのモデルを提示する
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国立国会図書館「カレントアウェアネスR」
• SLiiiC、「学校図書館運営マニュアル」収
集・分析・公開プロジェクトを開始
http://current.ndl.go.jp/node/22593
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第12回情報メディア学会研究大会
•2013年6月29日
•「学校図書館運営マニュアルの内容分
析:教育委員会等を対象とした調査か
ら」
•最優秀ポスター
発表受賞!
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情報メディア学会『情報メディア研究』
• 野口久美子, 大作光子, 横山寿美代, 野口武
悟「学校図書館運営マニュアルの内容分
析:教育委員会等を対象とした調査から」
『情報メディア研究』Vol.13, No.1, 2014,
p.1-13
• https://www.jstage.jst.go.jp/browse/ji
ms/-char/ja/
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学校図書館運営マニュアルプロジェクト
•目的
1. 運営マニュアルを収集し、整備状況を
調査し、その内容の特徴を明らかにす
る
2. マニュアルを実際に活用するユーザの
ニーズを把握する
3. 各自治体や学校でマニュアルを作成す
る際の指針案(ガイドライン)とマ
ニュアルのモデルを提示する
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運営マニュアル作成の実態調査
•マニュアルの整備状況
• 都道府県レベル
•マニュアルの内容の特徴
• 全体的な特徴
• マニュアルが想定する利用者層による違
い
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学校図書館運営マニュアル
• 自治体、団体(都道府県SLA、司書会
等)、学校
• 学校図書館運営に必要な業務内容が示さ
れているもの
• 単純作業の手順書になりにくい。ガイド
ブック、手引きとしての性質。
方針
事例
指導法の紹介・解説
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研究方法①
[マニュアルの整備状況調査]
• 質問紙調査(154自治体・団体)
• 都道府県・政令指定都市教育委員会
• 東京都内自治体の教育委員会(学校司書を直接
雇用)
• 都道府県学校図書館協議会
• Web調査
• Web上でのマニュアル公開の有無について
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研究方法② [マニュアルの内容分析]
1. 内容(項目)の有無と記述量
内容
• 学校図書館運営の方針・枠組み
• 業務内容
記述量
• 3段階で評価
2. 想定される利用者層
• 司書教諭,学校司書,図書館係教諭,教員全般,
その他
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結果①
[マニュアルの整備状況調査]
•2013年2月実施
•70/154自治体・団体(回収率:45.4%)
•整備済:23自治体・団体(14.9%)
• 都道府県教委:13自治体
• 東京都内自治体:5自治体
• 都道府県SLA:5団体
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結果② [マニュアルの内容分析]
•17自治体・団体のマニュアル(18冊)
• 都道府県教委:12冊
• 東京都内教委:2冊
• 都道府県SLA:4冊
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結果② [マニュアルの内容分析]
マニュアルの内容の差
大部分の
マニュアルに
記載あり
• 読書指導
• 調べ学習・探究学習
• 広報
• 図書館の環境づくり(掲示・展
示)
ほとんどの
マニュアルに
記載なし
• 予算の編成と執行・決算
• 学校図書館評価
• 校内研修会の企画立案及び実施
• 教員サポート
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結果② [マニュアルの内容分析]
方針・枠組みに関する記述
•数ページを割いて学校図書館機能やあ
り方について詳述しているもの
•一般的な考えを紹介するもの
•まったく触れていないもの
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結果② [マニュアルの内容分析]
想定利用者別の分析
•司書教諭・図書館係教諭向けマニュア
ル(7冊(5自治体、1団体))
•広範な対象を想定したマニュアル(10
冊(7自治体、3団体))
• 司書教諭・図書館係教諭+学校司書
• 上記に加え、一般教員、ボランティア等
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結果② [マニュアルの内容分析]
想定利用者による内容の差
司書教諭・
図書館係教諭
向け
• 運営方針・枠組みを詳述
• 調べ学習・探究学習の項目が
充実
• 閲覧,貸出,レファレンスな
どはほとんど記載なし
広範な対象を
想定
• 読書指導,図書委員会,選書,
環境づくりを重視
• 調べ学習・探究学習はガイダ
ンス的な内容にとどまる
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考察①マニュアルの内容
• 「調べ学習・探究学習」「読書指導」を
重視
• ただし、調べ学習は記述量に差あり
• 実践の蓄積の有無
• 想定利用者
• 司書教諭向け:運営方針,調べ学習を重視
• 広範な対象向け:学校図書館を活性化する
第一歩として,読書指導,選書,環境づく
りに関心
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考察②自治体が作るマニュアルの方針
どのような利用者を想定するか?
学校図書館スタッフに役立つもの
初任者向け、ベテランも想定etc.
管理職や一般教員の理解を促すもの
ねらいは?
滞りなく業務を開始できること
最低ラインの確認
学校図書館への理解浸透
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学校図書館運営マニュアルプロジェクト
•目的
1. 運営マニュアルを収集し、整備状況を
調査し、その内容の特徴を明らかにす
る
2. マニュアルを実際に活用するユーザの
ニーズを把握する
3. 各自治体や学校でマニュアルを作成す
る際の指針案(ガイドライン)とマ
ニュアルのモデルを提示する
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ユーザが求めるマニュアルとは
•グループインタビュー調査
•目的
1. マニュアルを作成するときに最低限ど
のような項目や内容を押さえるべきか
を洗い出す
2. 今後、指針案や理想のマニュアルを提
案するための参考にする
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インタビューの概要(1)
•対象
• 公立学校に勤務する学校図書館関係者
(主に学校司書)
• 経験5年以上を目安に
•校種別(小学校、中学校、高校)
•各2時間程度
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インタビューの概要(2)
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小学校
グループ
2013年12月14日(土)
東京大学教育学部 にて
参加者 6名(*うち1名 元司書教諭)
中学校
グループ
2014年3月2日(日)
杉並区立久我山小学校図書館 にて
参加者 5名
高等学校
グループ
2014年3月9日(日)
杉並区立久我山小学校図書館 にて
参加者 4名
小学校 グループインタビュー
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経験
A 9年
B 9年
C 8年
D 24年
E 9年
F 26年
注目された項目(小学校)①
•【方針・枠組み】
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…誰が見てもこの学校の学校図書館の
作り方、運営の仕方はこうなんだよっ
ていうのがわかるものじゃなくちゃ、
意味がないと思います。
…方針とか枠組みっていうの、多分絶
対必要になりますよね
注目された項目(小学校)②
• 5. ボランティア
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運用も学校によって違うけど。…でも
これは絶対入れたほうがいいと思いま
すね。
注目された項目(小学校)③
• 1. 予算の作成・執行
• 11. 蔵書管理
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蔵書構築に関する部分は、これは絶対必
須じゃないかと思う。
蔵書構築は蔵書構築でいいと思うんです
よね。それよりもお金の出し入れが…。
一番大事なのは、それに関わるお金の出
し入れの仕方ですよね。
予算決定までの流れみたいな項目で。
小学校グループの話し合いから
•各項目の必要性・不必要性については
意見が分かれた
•「ローカル・ルール」という言葉が
キーワード
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中学校 グループインタビュー
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経験
A 12年
B 9年
C 11年
D 8年
E 8年
注目された項目(中学校)①
• 【方針・枠組み】
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この方針・枠組みっていうのが入って
いるのがすごくいいなと思った。
方針・枠組みを管理職、司書教諭、
図書担当、司書が全員同じ理解で
ないと運営はできませんよね
ここのABCDはすごく理解してい
ないと、その次の実際の業務はすご
くやりづらいですよね
注目された項目(中学校)②
•8. 教員サポート
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…調べ学習とかそういうところの中
に入ってくるっていうか、当然の話
なので、わざわざこれ項目としては
特に要らないような気もしますね。
注目された項目(中学校)③
•10. 図書委員会
39
やっぱり重要項目に図書委員会………
図書委員会ってやっぱりどの学校も重
要なんじゃないかなと思いますね。
小学校よりやっぱり中学校のほうが図書委
員会が大きくて…特に中学校なんかはこの
委員会をどのようにやってきたかとか、ど
うやっていきたいかっていうのは、大きな
ところかなと思います。
中学校グループの話し合いから
• 引き継ぎ資料=マニュアルではないか
• 利用案内にもマニュアル的なことが書いて
ある
• マニュアルだけあっても活用できないので
はないか。バックアップ体制・サポート体
制が必要
• 長期的な視点が必要
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高等学校 グループインタビュー
41
経験
A 29年
B 16年
C 23年
D 14年
注目された項目(高校)①
• 【方針・枠組み】
42
運営方針?これはあるなら。…運営方針が必
要ですよね。
注目された項目(高校)②
• 5. ボランティア
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高校に限っては、ボランティアは要ら
ないかなという気はします。…多分あ
んまり当てはまらないことのほうが多
そうな気がします。
注目された項目(高校)③
• 6. 調べ学習
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「高校って年間通して何々の教科の中で使うって
いうのはあんまりなくて…やった実績としては何
か記録に残っているといいけど…」
「…誰々先生のこの授業でこういうふうに使われ
たみたいなのが分かってると、アプローチはしや
すいのかなっていう気がします。ただ、マニュア
ルに書く感じでもないのかも。」
「…マニュアルとしては必ずやるものとはまた
ちょっと違うのかなと思うので…」
注目された項目(高校)④
• 7. 読書指導
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「読書指導って多分ないですね」
「項目的にない」
「読書案内っていうことでは、項目とし
てイメージは湧くと思うんですよ」
「あらゆる仕事が読書案内っていう」
注目された項目(高校)⑤
• 9. 図書館行事
• 10. 図書委員会
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(図書館行事について)「…これ、図書
委員会と連動してるんですよね、高校っ
て」
「9.と10.がリンクしているっていう
か?…項目的には一緒って」
高校グループの話し合いから
•融通の利く懐の深いマニュアルがほ
しい
•「図書館サービス」「利用者に対し
てのサービス」
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3グループの話し合いから①
• 対象は?初心者向けか。誰が関わっても役
立つものか
• 経営マニュアル(理念・計画)とスタッフ
マニュアル(業務)を分けるべきか
• 引き継ぎ資料、または事例を集めたもの、
メモなどの記録がマニュアル(の母体)と
なりうる
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3グループの話し合いから②
• 校種を問わず必要とされたもの
 蔵書管理 予算
• 校種によって要らないとされたもの
 ボランティア 調べ学習 読書指導など
• 利用指導(オリエンテーション等)の重要さ
• 委託の仕様書について(中高は論議される)
• ローカル・ルールをどう組み込むか
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これまでの研究成果から見えてきたこと①
• マニュアルで取り扱う内容項目の範囲
• 運営だけでなく、活用も
• 校種による違い
• 共通編と校種別編が必要か?
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これまでの研究成果から見えてきたこと②
• マニュアルの利用者層
• 活用を含むのであれば、広範な利用者を想定す
る必要あり
• スタッフ向け or すべての教職員向け
• 新任(初任)者向け or ベテランも
• どの利用者層を想定して、指針案(ガイドライ
ン)とマニュアルのモデルを作成すべきか?
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今後のプロジェクトの展望①
• マニュアル作成の実態調査の実施(継続)
• 市町村単位
• 学校単位
• ユーザへの聞き取り調査(継続)
• おおよそ経験3年未満の学校図書館担当者
• 司書教諭(教員)
• 教育委員会(担当指導主事など)
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今後のプロジェクトの展望②
• 自治体との共同研究
• 某市の教育委員会とマニュアル作成に関する共
同研究を実施予定
• 以上を踏まえて、SLiiiCとしての指針案
(ガイドライン)とマニュアルのモデルを
提案したい
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ご清聴ありがとう
ございました。
ご意見・ご感想
お待ちしています。

140808_SLA甲府大会_manual