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4.5薬剤性 肝炎(≒薬剤性肝障害)
- 3. アレルギー反応
• 薬は肝臓で分解・代謝される
• 薬が肝臓で代謝された後の分子が、高分子のたんぱくと結合して
抗原性を獲得し、肝細胞を標的に細胞性免疫異常がおこって肝細
胞が障害されると考えられる
• 自分の体内にはない異物と認識されて抗原となり、アレルギー反
応を引き起こす
• 抗原になるかどうかは遺伝的要因による
• 予想がつかない服用するまでわからない
• 少量の摂取でも起こる
• 経口<注射剤の方が重篤
- 6. どのような薬剤で
• 抗生剤
• 抗がん剤
• 精神科用剤
• 鎮痛解熱剤
• また、単独では肝障害を引き起こさなくても、複
数の薬を一緒に飲むと肝障害が出る場合がある
- 7. 薬剤性肝障害の臨床的分類
肝細胞障害型胆汁うっ滞型
トランスアミナーゼ
(AST,ALT)
↑ →
胆道系酵素
(ALP、γーGTP)
→ ↑
症状
(発熱、発疹、皮膚掻痒感、
黄疸)
軽度中~高度
血液検査白血球↑ 好酸球↑ (アレルギー反応を示唆)
薬物感受性試験リンパ球幼若化試験(+) 皮膚試験(+)
主な原因薬剤アセトアミノフェン
イソジアニド
リファンピシン
抗甲状腺薬
- 9. 発生機序による分類
薬剤特異体質性中毒性
アレルギー性異常代謝性
頻度高中低
機序過敏反応薬物代謝酵素の遺
伝子多型
薬物自体or 中間
代謝物による
用量依存性なしあり
主な原因薬剤全ての薬剤で起こ
る
イソジアニド
シクロスポリン
アセトアミノフェン
メトトレキサート
など
中毒性肝障害は肝臓の代謝能力を上回る量
の薬を服用することで起きる
- 10. 治療
• 原因薬剤の中止が基本であり大部分は軽快
する
• 黄疸を認める場合には、入院治療が必要
• 一般にグリチルリチンの静脈注射が有効
• 。黄疸に対しては胆汁酸製剤ウルソデオキシ
コール酸を内服し、黄疸の治りが悪いときに
は副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(コルチ
コステロイド)を使用
- 11. 注意点
• 肝障害の原因となった薬物を再度服用した場合、
より重篤な肝障害が発現する可能性があること
を十分に患者へ説明し、薬物性肝障害の既往
の有無について、詳細に聴取することが肝要で
ある。
• 薬物性肝障害の重篤化を予防するには、その徴
候をいかに早く把握するかが重要である。
• 早期発見のためには、投与薬物が初回投与の
場合、投与後定期的に肝機能検査を実施し、肝
障害の早期発見に努める