ソフトウェアの権利とOSS,Creative Commons株式会社ケイエルエス研究所紀 信邦(@Nikoriks)2011年4月22日@LBI講演会http://www.lbi.gr.jp/modules/eguide/event.php?eid=36
本日の話の構成ソフトウェア受託の契約について自社開発製品のライセンスについてOSSライセンスについてCreative Commonsについて1
問題提起顧問先がソフトウェアの開発受託の契約を見て欲しいとLAMP自社ライブラリありソース納品自社ライブラリの部分を契約上分離では,ソースを客先で保守しなければならないときどうする?ソース渡しているから大丈夫でしょう?自社ライブラリ部分の著作権は弊社で保有と書いてあるがえ?2
続き自社ライブラリの部分を契約条文上分離改変権を渡さないと著作権法上先方が書き換えられないさらに,書き換えた後のライブラリは再配布可能?面倒だから著作権を共有と書くことにします!共有著作にすると,共有者全員の同意がないと書き換えられなくなるよ.....ということで,知識がないと変な契約をしてしまっているかも知れません3
ソフトウェアの契約情報サービス産業協会 ソフトウェア開発委託基本モデル契約書http://www.jisa.or.jp/legal/download/contract_model2008.pdfセミナー資料として配布及び使用することは禁止いたします経済産業省 情報システム・モデル取引・契約書http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/keiyaku/model_keiyakusyo.pdfこっちだ.え?200頁「共通に利用することが可能であるプログラムに関する権利及びベンダが従前から保有していたプログラムに関する権利は、ベンダに留保されるものとする」ことに留意と書いてあるが...4
ソフトウェアの契約(続き)情報処理推進機構 アジャイル型開発モデル契約書(2011/4/7)http://sec.ipa.go.jp/reports/20110407.html請負型契約書案に,著作権処理の3類型【A案 ベンダ帰属案】【B案 ユーザ帰属案】【C案 共有案】IPA GJ! だが5
ソフトウェアの契約(続き)下請け型のモデル契約書は見つかったOSSを改変する必要があった場合について書いてないし例えばGPLの場合,発注側が公開するのか,受注側がするのか,コスト負担は?そもそも今時の開発は運用後逐次改良型が多いね納品・検収モデルとは摺りあわない->IPA版参照モデル契約書には特許などの知財権の処理はきちんと書いてあるようだIPAの著作権処理3類型はかなりきちんと書いてあり,特に共有型の条文は使える.他の類型も少し補充すればOK6
考慮すべきことは契約交渉上の著作権の帰属問題受注者が{すでに持っていた,新たに開発した}プログラムの著作権法上のどの権利を渡すのか,留保するのか可能なかぎりすべての権利を渡すという,下請け型をベースに考えられているものが多い保守の要件7
開発成果物の権利/義務発注者の専有とする場合受注者のプログラムを含む場合,OSSを含む場合OSSにする場合開発業者は,開発成果の権利をなるべく手元に残そうエンドユーザはソースコードの全部の権利など求めていない旧態の悪い商習慣に嵌っている人は早く脱出を自社製の再利用可能なソフトウェアを持つことで,その後の契約が有利に交渉できるようになる8
保守の要件OSS部分の瑕疵担保は「OSSだから受注者は責任持ちません」という変な業者がまだ存在する近年はOSSの仕組みが理解されてきているので,適切な保守契約条件を提示することができるOSSに限らず,保守条件の交渉はきちんと9
本日の話の構成ソフトウェア受託の契約について自社開発製品のライセンスについてOSSライセンスについてCreative Commonsについて10
自社開発製品のライセンス自社開発製品のライセンスについてそもそも,その製品の何を外にだすのですか?結構答えてくれない質問です->ユーザが「使用する」権利の範囲について  実は考えたことがないOSSですかはい->ではどのライセンス?なぜ?専有型ですか専有を確保するための方策は?->ソース秘匿,まぁ良いでしょう.外注とはどんな契約に11
権利を主張する方法契約による権利を与える相手と契約する契約に違反したら->最終的には訴訟ライセンスによるライセンスに合意する人に権利を与えるライセンスに違反したら->最終的には訴訟コードによる難読化DRMなど12
ライセンスによる権利の保護ライセンスに違反したら->最終的には訴訟と書きました.
ライセンス方式ですから,相手方の文書はありません.ではどういう方法で?
訴訟の前に行うべき手順は必要∵訴訟はコストが大きい
訴訟はどうやって勝つことができるのでしょうか?法律による(著作権法,特許法)親告罪->刑事事件,民事訴訟13
サービスによる事業ソフトウェアの事業環境はどんどん変わってきているLBI創設の時から主張したとおりに事業環境は変化ソフトウェアを書くことで収益を得る会社のうち,大きく伸びてきたのは,インターネット上のサービスサービス提供の場合は,コードを公開しないことによりプログラム資産を守ることができるただし,他人のソフトウェアのライセンスには注意14
本日の話の構成ソフトウェア受託の契約について自社開発製品のライセンスについてOSSライセンスについてCreative Commonsについて15
さて,OSSライセンスについて主なライセンスGPL V2, LGPL V2GPL V3, LGPL V3, Affero GPLApache, 修正BSD,MITこれらの違いがどれくらいわかりますか?ライセンスの種類が多すぎるという問題(OSI認定70種近く)ライセンスの記述が難しすぎるという問題(解説本すらない)これらのライセンスを持つソフトたちと自社の専有型製品と合わせて提供する場合に,注意するべきことは?16
そんなときWikipediaGNU Affero General Public License作者フリーソフトウェア財団バージョン	3著作権者	Free Software Foundation, Inc.リリース日	2007年11月19日DFSGコンパチブル	Yesフリーソフトウェア	YesOSIの承認		YesGPLコンパチブル	Yes (GPLv3 とリンク可能)コピーレフト		Yes他のライセンスのコードとのリンク	No (GNU GPLv3 のみ Yes)17
Mobile Apps Violating OSS Licenseshttp://www.techeye.net/software/android-app-writers-ignore-open-sauce-licensing March 9, 2011 の記事から引用71 percent of Apple iOS and Google Android apps are not in compliance. OpenLogic scanned 635 apps, including both free and paid on the Apple App store and Google Android Marketplace. Of those 635 scanned apps, 52 apps include Apache licensed code while 16 included GPL/LGPL licensed code.主にライセンス表示の欠落18
ライセンスの比較(専有ソフトから見て)19
GPL から見たCompatibilityGPL V2 Incompatible
Academic Free
Apache
AGPL
Mozilla

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