Successfully reported this slideshow.
We use your LinkedIn profile and activity data to personalize ads and to show you more relevant ads. You can change your ad preferences anytime.

WordPress利用者のための、オープンソースライセンス基礎と実務

5,630 views

Published on

WordCampTokyo 2018
https://2018.tokyo.wordcamp.org/

Published in: Business
  • Be the first to comment

WordPress利用者のための、オープンソースライセンス基礎と実務

  1. 1. 自己紹介 ● 名前:可知 豊 Kachi Yutaka Twitter:@y_catch ● 職業:フリーのテクニカルライター(マニュアル、研修教材、広告) ● 最近の興味:Scratch ● その他: – Blog オープンソース・ライセンスの談話室 – ときどき、オープンソースのボランティア – 法律の専門家ではありません – 職業プログラマーでもありません 達人出版会
  2. 2. はじめに  本スライドの内容は、筆者の独自調査によるものです。正確であるよう、 できる限り努力していますが、間違いが含まれる可能性があります。  正確性より分かりやすさを優先した表現を採用しています。 注意 このページ以降のスライドは クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 2.1 日 本 ) の下でライセンスされています。
  3. 3. 本日の主題 ● オープンソースライセンスの基本と実務について解説 ● 著作権の考え方:再利用の制限と促進の2本柱 制限 促進 著作権者の利益保護 文化の貢献と発展 オープンソースライセンスは、ソフトウェアの再利用を促進する手段。 自分の権利を守って欲しいなら、相手の権利を守って利用しましょう。
  4. 4. 本日の参加者は? ● エンジニア ● デザイナー ● マネジメント・経営者 ● その他
  5. 5. アジェンダ ● 著作権とライセンスの関係 ● オープンソースとは何なのか ● 代表的なオープンソースライセンス ● WordPressのライセンスは? ● 「WordPressによるビジネス」のヒント
  6. 6. 著作権とライセンスの関係 権利(著作権)を持っているから、 権利者は利用を許可(ライセンシング)できる
  7. 7. 著作権とは ● 著作権は、作品の利用(主に複製)をコントロールする権利 利用と 使用を区別
  8. 8. 著作権を理解するポイント ● 著作権は、作品の利用(主に複製)をコントロールする権利 ● 利用と使用を区別する ● 著作権は、「利用」を許可する権利 ● 著作物は、誰でも自由に「使用」できる ● 保護されるのは「表現」。「アイデア」は保護しない。 ● 著作者人格権と著作財産権を分けて考える ● 作品の著作権は、媒体から独立している ● 著作権の条件は、媒体の種類よって違う ● 著作権は、創作時に自動的に発生する ● 著作権の保護期間は、限られている ● 著作権法違反は、親告罪 ● 職務著作は、企業に帰属
  9. 9. ライセンスとは ● 著作物などの利用許可 ● 所有権ではない 紙の書籍を買うと、紙を所有できる。でも利用権ではない。 電子書籍は、電子データの利用許可。 サービスが停止すると、データが消える(ことがある) 契約とは限らない
  10. 10. 権利を持っているから、利用を許可できる 権利を 持っている
  11. 11. ソースコードとは 一般的な ソフトウェアビジネスでは、 バイナリーコードの実行だけ許可。 ソースコードは入手できない。
  12. 12. ソフトウェアライセンスビジネスの基本形 ソフトウェアライセンスは、ソフトウェアの利用(複製・配布・改 変)に対する、著作権者による許可。パッケージソフトの購入は、 利用権にお金を払っているだけ。 制限例: リバースエンジニアリングの禁止 ベンチマーク測定の禁止
  13. 13. オープンソースとは何なのか よくある誤解: ● ソースコードを公開したら、すべてOSS ● OSSは、必ず無料で配布しなければならない ● OSSを改良したら、OSSとして公開 しなければならない
  14. 14. オープンソースとは 「誰でも自由に利用できる」 という条件でソースコードの 利用を許可する行為。 条件は、オープンソースの定 義に準拠している。 ソースコードを公開するだけ では、オープンソースとは言 えない。
  15. 15. オープンソースの定義 オープンソースの権利 ● 利用者が、ソフトウェアのコピーを作り、それを配布できる ● 利用者が、ソースコードを入手できる ● 利用者は、ソースコードを改変できる ● 元と同じ条件での配布を許可できる オープンソースライセンスが備える条件 ● 作者のソースコードの完全性を維持すること ● 個人もしくは団体に対する差別をしないこと ● 使用分野に対する差別をしないこと ● 再配布時には追加ライセンスを必要としないこと ● 特定の製品に固有なライセンスを使用しないこと ● 他のソフトウェアに対する干渉をしないこと ● 特定の技術に依存しないこと 利用者は、再配布しても良いし、 しなくてもいい。 この条件を持つライセンスもあるし、 無いライセンスもある 開発コミュニティが備えるべき自由は 何なのか。Debianのディスカッション から生まれた。
  16. 16. オープンソースライセンスの特徴 ● 無保証 ● 配布時には、著作権表示と免責条項・ライセンス文書を含める (ただし、どこに含めるかは、ライセンスの種類によって異なる) ● コピーレフト方式を採用していることがある(ないこともある) ● デュアルライセンスで運用されることがある ● オープンソースライセンスの相互運用性(互換性、両立性) ● 広告条項 を持つ場合もある(新:名称を勝手に使うな/旧:名称を必ず掲載) ● 特許条項を持つ場合もある ● ソースコードとバイナリーコードの配布条件は異なる場合がある ● 商標 ⇒ ライセンス以外の条件で制約される場合がある
  17. 17. コピーレフトとは ソースコードを下記条件で提供: ・ソースコードを入手可能に、複製・配布・修正を許可する ・派生ソフトウェアも同じ条件で提供する ソースを入手可能にし、利用を許可。同じ条件で提供 派生ソフトウェアを提供 ソースを入手可能にし、利用を許可。同じ条件で提供 派生ソフトウェアを提供
  18. 18. コピーレフトの対象とみなす範囲 ライセンスの種類 修正 追加 静的リンク 動的リンク - - - - - - - - - - MPL ○ ○ - - - LGPL ○ ○ - - - GPL ○ ○ ○ ○ - AGPL ○ ○ ○ ○ ○ Webサービス MITライセンス Apacheライセンス *1 *2 *1:ライブラリと結合・リンクして配布する場合、リバースエンジニアリングを禁止せず、    結合・リンクしたコードは、ソースコードまたはオブジェクトコードの提供が必要。 *2:GPLでは、社内利用や自社Webサービスでの利用であれば、改変版を公開しなくてもよい。 -:コピーレフトの対象とみなさない ○:コピーレフトの対象とみなす
  19. 19. 何を派生ソフトウェアと見なすか オープンソースライセンスやプロダクトによって違っている ● ソースコードの修正 ● ソースコードを追加 ● 静的リンク:コンパイル時にモジュールを同梱 ● 動的リンク:実行時にモジュールをロード ● Webサービス:AGPL WordPressのテーマでは、 これを派生ソフトウェアと見なす
  20. 20. 代表的なオープンソースライセンス ● MITライセンス ● Apacheライセンス 2.0 ● GPL ● (クリエイティブ・コモンズ)
  21. 21. MITライセンス(概要) Copyright (c) <year> <copyright holders> ● 以下の条件を満たす限り、自由な複製・配布・修正を無制限に許可する。 ➢ 上記の著作権表示と本許諾書を、 ソフトウェアの複製または重要な部分に記載する。 ● 本ソフトウェアは無保証である。自己責任で使用する。 ✗ コピーレフトなし ✗ 特許条項なし ✗ 修正版を、オープンソースでない別のソフトウェアに組み込んでも ソースコードは公開不要
  22. 22. Apacheライセンス 2.0(概要) ● MITライセンスと、ほぼ同内容 ● 配布時には、著作権表示と免責条項を含める ● 本ライセンスのコピーも渡すこと ● 「NOTICE」に相当するテキストファイルが含まれている場合は、 そこに含まれている帰属告知のコピーを残すこと ● コピーレフト方式、採用せず ● Apacheの名称を広告やソフトウェア名として許可なく使用しない ● 特許条項:対象ソフトウェアを利用する場合に限り、含まれる特許も自 由に利用できる。特許訴訟を起こしたら、ライセンス停止。 GPL2と互換性がない。
  23. 23. GPLとは ● 正式名称:GNU General Public License ● MITライセンス、Apacheライセンスより強 力 コピーレフトあり ● 多数のバリエーション – GPL2.0 – GPL3.0 – AGPL3.0 - LGPL2.1 - LGPL3.0
  24. 24. GPL2.0の特長 ● バイナリーコードを提供したら、ソースコードを入手可能にする ● ソースコードの提供時には、著作権表示と免責条項を含める ● コピーレフト方式を採用。派生ソフトウェアを受け取った人が ソースコードを入手し、利用(改変・複製・配布)できるようにしなけ ればならない。 ● 特許条項:ソフトウェア特許の受け入れを認めるものではなく、 問題がおきたらソフトウェアの利用許諾を停止する。 ApacheライセンスやGPL3.0と互換性がない。 ● 既存の条件と矛盾する条件追加はダメ
  25. 25. クリエイティブ・コモンズ ● プログラム以外の、テキスト・音楽・映像・画像が対象 ● ライセンス条件を細かく選択できる ➢ 著作権表示 ➢ コピーレフト(あり/なし) ➢ 商用利用(許可/不許可) ➢ 改変禁止 条件によっては、 オープンソースと呼べない
  26. 26. WordPressのライセンスは? WordPressの利用許可条件は、GPL ver2 あなたは、派生ソフトウェアを 「GPL ver2またはそれ以降のバージョン」で提供できる
  27. 27. テーマ/プラグインのライセンス WordPress本体 GPL2.0 WordPressテーマ ●PHPコード ●画像 ●HTMLコード ●CSS ●Javascript 本体の関数やフックを呼び出すなら WordPressの派生ソフトウェアになる。 「GPL2またはそれ以降」で提供 ● 導入作業などを有償にしてもいい ● 画像や文書の利用条件は別途指定可 ● 自社Webサイトに設置しただけなら、 テーマの公開義務なし 本体の関数を呼び出す のは、コードの追加 「GPL2またはそれ以降」で提供
  28. 28. 100%GPLとスプリットライセンス WordPress本体 GPL2.0 WordPressテーマ ●PHPコード ●画像 ●HTMLコード ●CSS ●Javascript 本体の関数を呼び出す 100%GPL ● この全てを「GPL2またはそれ以降」で提供 ● 独自の利用契約もダメ ● MITライセンスやApacheライセンスもダメ スプリットライセンス 本体の関数やフックを呼び出さない部分を 別ライセンスで提供 コミュニティは、 こちらを奨励 https://ja.wordpress.org/about/license/100-percent-gpl/
  29. 29. 注意:コミュニティによって用語が違う GPL互換ライセンス ● GPLと両立するライセンス GPL下位互換ライセンス 例:MITライセンス、BSDライセンス、LGPL2.1 ● GPLver2.0またはそれ以降 GPL上位互換ライセンス 例:GPL2.0、GPL3.0、AGPL3.0 (MITライセンスやApacheライセンスは含まない) WordPressコミュニティでは こちらの意味 一般的なオープンソースやGPLの解説を読むときには注意しましょう。
  30. 30. 「WordPressによるビジネス」のヒント
  31. 31. どこで儲けるか WordPressによる システム構築・運用 HW/ネットワーク提供 AWS、ホスティング 手続き代行 ミドルウェア提供 Linux,Apache,MySQL システム構築 WordPress提供 導入・構築・設定 テーマ・プラグイン開発 コンテンツ開発 運用・設定変更 著作権者が 利用許可する 開発作業の委託 納入物はGPLv2.0 メンテも委託 サービス提供 10.99cm
  32. 32. ビジネス利用のための参考資料 経済産業省:オープンソースソフトウエアの利用状況調査 導入検討ガイドラインの公表について 専門家によるGPL解説 経済産業省:情報システム・モデル取引・契約書 受託開発企業が、発注先・外注先と交わす契約書の雛形 OSSの採用について言及 ただし、ソースコードの改変は考慮していない
  33. 33. コミュニティの規範をどう捉えるか ● 活動を制約する4つの力 ※ローレンス・レッシグ「CODE」を元に作成
  34. 34. コミュニティとは何なのか オープンソースコミュニティ(バザールモデル) ソースコードやソフトウェア開発者を核とした共同体。 ● インターネットを介した分散化された共同作業 ● 高速な品質向上 ● 継続的な開発体制 ソースコード ● コミュニティでの評判が ビジネスに影響を与える ● コミュニティの強化が ビジネス基盤の強化につながる
  35. 35. WordPressのライセンスに関する、ありがちな質問1 ● 著作権とライセンスの関係は? > 著作権を持つ人が、利用を許可(ライセンス)できる ● WordPressのライセンスは? > 「GPL2.0またはそれ以降」に従う ● WordPressのコントリビュータになったら、ライセンスを変えてもいい? > だめ。著作権者全員の同意が必要 ● 自社サーバーに設置した場合、派生ソフトウェア(本体、テーマ、プラグイン)を公開? > 不要。誰にもコードを提供していないから ● お客様サーバーに設置した場合、派生ソフトウェアを公開? >お客様に、「GPL2.0またはそれ以降」で提供しなければいけない >ネットで公開する必要はない
  36. 36. WordPressのライセンスに関する、ありがちな質問2 ● テーマ・プラグインを作ったら、その利用条件は? > 関数やフックを呼び出すなら、「GPL2.0またはそれ以降」で提供 > 画像やテキストなどを、スプリットライセンスで提供可能 ● WordPressの名称を広告・宣伝に使っていい? > 使える場合と使えない場合がある。 > OK:「いろはウェブサービス 〜中小企業向け WordPress コンサルティングサービス〜」 > https://ja.wordpress.org/trademark-policy/
  37. 37. WordPressのライセンスに関する、ありがちな質問3 ● どうやってビジネスすればいいの? > 開発作業や運用作業の作業料を請求 > テーマやプラグイン公開・事例公開で  知名度向上やブランディングにつなげる > テーマをGPL2.0で有償提供。  サポートやサブスクリプションを有償提供  バージョンアップ版も有償提供 ● テーマを、有償ライセンスとGPLのデュアルライセンスで提供できますか > WordPressの関数やフックを呼び出すなら、ダメ。 ● 自社サイトでWordPressをSaaS提供した場合、独自プラグインの公開は必要ですか > 不要です。 ライセンスビジネスは 難しいかも セッション後に 教えてもらった話。
  38. 38. ご清聴ありがとうございました  オープンソースライセンスは、 ソフトウェアの再利用を促進する手段  自分の権利を守って欲しいなら、 相手の権利を守って利用しましょう 達人出版会

×