会津IT秋フォーラム2012分科会:モバイルソリューションの今


オープンソースハードウェアを活用した
プロトタイピング




2012年10月12日・会津大学
小林 茂(情報科学芸術大学院大学[IAMAS]准教授/f.Laboプロデューサー)
最初に簡単な自己紹介:情報科学芸術大学院大学[IAMAS]准教授。イノベーションを加速するスタ
ジオで公的機関によるスタートアップ「f.Labo」プロデューサー。
Make日本語版に「Prototyping Lab」という記事を連載している他、
写真撮影:萩原健一

Arduinoでプロトタイピングするための手法を紹介した書籍「Prototyping Lab」を執筆。
日本におけるハードウェアスタートアップの潮流
Hardware startup trend in Japan
日本でも、オープンソースハードウェアをビジネスモデルに組み入れた増えてきている。例えば、
Arduinoの国内での最大の販売代理店であるスイッチサイエンス。
最近では、輸入販売に加えて、積極的に自社で開発した製品をリリースしている。
また、従来であればなかなか個人では手が出せなかった部分をオープンソースハードウェアにしたも
のもある。例えば、Arduino用3GシールドはQualcommの3Gモジュールを搭載し、技適も通っている
ため、十行程度のコードを追加するだけで3Gネットワークを利用したアプリケーションを構築でき
る。
オープンソースではないものの、4月末に開催されたニコニコ超会議で先行発売され、かなり話題に
なった「necomimi」もハードウェアスタートアップによる製品の1つ。
クラウドファンディングで最も知られるサービスの1つ、Kickstarterでもガジェット系はかなり増えて
いる(ことを反映して最近ガイドラインが変更された)。日本版KickstarterであるCampfireをバック
エンドに、ハードウェアに特有な問題に取り組めるようアレンジしたサービスもある。
まだまだ数は少ないが、着実に成立するプロジェクトの数は増えてきている。こうした流れにより、
イノベーションが加速されることを個人的には期待している。
「ロングテール」「フリー」の著者、Chris Andersonの最新刊は10月末に発売される。この本の中
では、「Maker」と呼ばれる人々を中心にした「モノのロングテール」による新しい産業革命の可能
性を指摘している。MakerムーブメントのコアになっているのがO’Reilly Mediaの発行する雑誌Make
と、全世界で開催されるMaker Faire。
JSTサイエンスチャンネル:「作る」が変わる!広がるMakerムーブメント
      http://sc-smn.jst.go.jp/playprg/index/6785

Maker Faireには、電子工作、手芸、ニコニコ技術部など、さまざまなコミュニティが混在している。
ある意味でカオスだが、ものをつくり、それを人に伝え、共有するのが好きな人々が集まっている。
12月にもMaker Faire Tokyo 2012として開催予定。☞http://makezine.jp
岐阜県大垣市で2012年8月25∼26日に開催された「Make: Ogaki Meeting 2012」の様子。参加者
は140組以上、来場者は約5,000人。
オープンソースハードウェアとは?
What is Open Source Hardware?
オープンソースハードウェアとは?

    定義


    オープンソース・ハードウェア(OSHW)は、誰もが

    つくり、変更を加え、頒布し、利用できるように一般に

    対して設計図が公開されている、手に触れることのできる

    人工物ー機械、装置又はその他の実体のあるものを表す

    語である。
    Open Hardware Definition日本語訳(☞http://freedomdefined.org/OSHW/translations/ja)より




    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
オープンソースハードウェアに関する定義。
オープンソースハードウェアとは?

    オープンソースの領域
                                 表現



             オープン・コンテンツ

                                    オープン・デザイン


     情報                                              物質

               オープンソース・               オープンソース・
                ソフトウェア                 ハードウェア



                                 機能
              「FabLife」(田中浩也、2012年、オライリー・ジャパン)より引用
     会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
FabLab Japanのファウンダー、慶應義塾大学SFCの田中氏によるオープンソースの領域。オープン
ソース・ソフトウェア、オープン・コンテンツに続く領域がオープンソース・ハードウェア。
写真撮影:高尾俊介

自分自身のオープンソースハードウェアに関する活動。 オープンソースのツールキット「Gainer」を
2005年にIAMASの仲間と共に開発し、2006年にキットとしてリリース。恐らく、日本で初めての
オープンソースハードウェア。
写真提供:ICC

当時、まだまだハードルの高かったPCの中と物理的な世界のギャップを埋め、画面の中とマウス、
キーボードに留まらないインタラクションをデザインするためのツールキット。
風の音楽(鈴木莉紗、鈴木太朗、飯田 誠、荒川忠一)
      ephemeral melody (Risa Suzuki, Taro Suzuki, Makoto Iida, Chuichi Arakawa)

Gainerはメディアアートの作品制作、製品のプロトタイピング、教育など、さまざまな分野で用いら
れた。
オリジナル版のGainer、SparkFun版(2種)、互換機Gainer miniとPepper


さらに、Gainerはオープンソースハードウェアであったことから、アメリカのSparkFunによってより
低価格で入手できるようになった他、日本のアールティ(昨年度はADKでも話題になった)や個人か
らも互換機がリリースされた。
Photo by SparkFun Electronics (CC: BY-NC-SA 3.0)


Gainerの開発はArduinoとほぼ同時期で、モチベーションもほぼおなじだったが、極力シンプルに利
用できるようにするためにGainerはPCをホストとするI/Oモジュールとしてデザインした。その後、
Arduinoが広く用いられて情報が蓄積し、スタンドアロンで使うための敷居が十分に低くなったた
め、用途に応じて併用しはじめた。
Arduinoとは?

    Arduinoボード
                  外部電源




                                   グラウンド

         +3.3V

         +5V

       グラウンド×2

        電源の+                      デジタル入出力×14


    アナログ入力×6


                            パワーインジケータ



    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
Arduinoはマイコンボードというハードウェアと
Arduinoとは?

    Arduino IDE


        Verify
                                  ツールバー
    スケッチがコンパイルできるか確認する
                                   タ ブ
       Upload
    スケッチを Arduino ボードにアップロードする   テキストエディタ

        New
    新しいスケッチを生成する

        Open
    サンプルや既存のスケッチを開く

        Save
    現在開いているスケッチを保存する



                                 メッセージエリア


                                 テキストエリア
    Serial Monitor
    シリアルモニタを開く



    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
統合開発環境のソフトウェアなどから構成される。
Arduinoとは?

    ArduinoでHello World!
    void setup() {
      // initialize the digital pin as an output.
      // Pin 13 has an LED connected on most Arduino boards:
      pinMode(13, OUTPUT);
    }

    void loop() {
      digitalWrite(13, HIGH);   //   set the LED on
      delay(1000);              //   wait for a second
      digitalWrite(13, LOW);    //   set the LED off
      delay(1000);              //   wait for a second
    }




    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
簡単なコードですぐに動かせるのが特徴で、一般的なマイコンボードの場合のように、長時間に渡る
セットアップや、マイコンごとの個別の細かな仕様を最初から意識する必要はない。
Arduinoとは?

    シールドによる拡張
    •   Arduinoボードの上にのせて機能を拡張するさまざまな
        「シールド」が販売されている

    •   Arduinoの名前を冠した公式なシールドの他、サードパー
        ティからのさまざまなシールドが提供されている




    SparkFun Electronicsのウェブサイトより引用(左からEthernet、MP3プレーヤ、音声認識)
    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
また、「シールド」と呼ばれる拡張ボードによる機能の拡張が可能。よくある機能満載の評価ボード
に比べるととてもシンプル。
Arduinoとは?

    チップベンダの対応とひろがり
    •   Wiznetなどのチップベンダはオープンソースハードウェアを
        構成する「部品」として自社製品が利用されることに積極的

    •   2011年夏より米国のRadioShack店頭での取扱いも開始

    •   Microchipなど、評価ボードをArduino互換にする例も

    •   TIとDigi-KeyによるBeagleBoardのような例もある




    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
オープンソースハードウェアを構成するのは、ソースとなるデジタルデータが公開された基板と、(多
くの場合には)クローズドソースの電子部品。電子部品メーカーの中でも、オープンソースハードウェ
アに積極的なところが出てきている。なぜなら、自社のハードウェアの売り上げ増につながるから。
Arduinoとは?

     Arduinoを活用したプロジェクト




     http://www.slideshare.net/arduinoteam/open-source-hardware-summit-speech-2011
     会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
また、Arduinoを活用したプロジェクトとして、2011年に発表されたAndroid搭載機のための周辺機
器開発キットや、
Arduinoとは?

    Arduinoを活用したプロジェクト




    http://www.slideshare.net/arduinoteam/open-source-hardware-summit-speech-2011
    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
3Dプリンタなどがある。
KickstarterでもかなりArduinoベースのものは増えてきていて、例えば「arduino」をキーワードに検
索すると60個もある(2012年9月末現在)。
最近、特定用途のプロトタイピングによさそうだと思って、いくつか自分自身でbackした。
オープンソースハードウェアが活用された例として、最近最も話題になったのは電子ペーパーを搭載
し、iPhoneやAndoroidと連携可能な腕時計「Pebble」。その翌日に発表されたソニーのスマート腕
時計が完全に霞んでしまったくらいのインパクトがあった。
このプロトタイプの開発は、ごく低価格で購入できるArduinoボードと、SparkFunで販売されている
ブレークアウトボードなどが活用された。このようにオープンソースハードウェアを「グルー」として
使い、アイデアを形にするために利用する例は数多くある。
Photo by SparkFun Electronics (CC: BY-NC-SA 3.0)


OSHWは多様性が特徴で、用途に応じて組合わせるのがいい。Arduinoに関してはさまざまなバリエー
ションがあったが、小型で、バッテリの充電器を備え、無線モデムを搭載できるものがなかったこと
からつくったのがArduino Fio。
FIO 4 x 4 (December, 2007)
                                            Designed by Shigeru Kobayashi



                                            Funnel I/O (July, 2008)
                                            Designed by Shigeru Kobayashi


                                            FIO (December, 2008)
                                            Designed by Shigeru Kobayashi
                                            and SparkFun

                                            Arduino Fio (March, 2010)
                                            Designed by Shigeru Kobayashi
                                            and SparkFun




                FIOからArduino Fioへの変遷(2007∼2010年)


元々はGainerの無線版をつくるという話だったものをArduinoベースに変更して設計士、さらに
Gainerの時のコラボレーションの経験からSparkFunと共同で互換機として設計し直し、最終的には正
式にArduinoボードの1つになった。
Photo by SparkFun Electronics (CC: BY-NC-SA 3.0)


意外に思うかもしれないが、ベースになったのは現在MIT Media LabのHigh Low Techグループの
リーダーLeah BuckleyのLilyPad Arduino。なぜかといえば構成がシンプルで変更を加えやすかったか
ら。
U4




                                         -   +




                               F1
                     C1




                          S1




               SparkFunと共同開発している過程での変遷


SparkFunとのやり取りでは、基板の設計データをメールでやり取りしながら、できるだけ効率よく製
造できるように変更を加えていった。その過程で、組み合わせるバッテリや細かな部品なども変更し
ていった。
SparkFun Electronicsと共同開発したFIO(2008年12月発売)
             http://www.sparkfun.com/products/8957

そうして2008年12月にリリースしたのがArduino互換機「FIO」。
Funnel IO remixed by seeedstudio, January 10, 2009
       http://www.seeedstudio.com/blog/2009/01/10/funnel-io-remixed-by-seeedstudio/

しかし、そのわずか3週間後に中国のSeeed Studioから「Funnel IO remixed」がリリースされた。こ
れにはSparkFun共々驚いた。
SparkFun版(左:2008年12月)とSeeed Studio版(右:2009年1月)


これは「コピー品」ではなく、オープンソースハードウェアのライセンスに完全に従った派生物で、中
国で入手しやすい部品などを使うようにアレンジしたもので、一部改良も加えられていた。
Seeed Studioが販売したFunnel IO Remixedの背面


背面にはオリジナルの作者のクレジットもきちんとなされている。完全にリーガルで、オープンソース
ハードウェアの精神に完全に則っている。にもかかわらず、わずか3週間でリリースされたことに結構
ショックを受けた。
Fast and Malleable, Nathan Seidle, May 01, 2012
                http://www.sparkfun.com/news/858

しかし、後にSparkFunのCEOであるNathan Seidleが書いているように、オープンソースにして競争
することで、常に先端を走り続ける、イノベーションを創出し続けるという緊張感を保てるし、相手
の改良をリーガルに取り込むこともできる。
また、Seeed Studioはオープンソースハードウェアの生態系を良く理解し、その上で積極的にビジネ
スをするスマートなチーム。オシロスコープなど、他にはないオープンソースハードウェアをリリース
したり、
Makerにとって利用しやすい価格の(実際にほぼnon profitらしい)基板製造サービスも提供してい
る。
http://arduino.cc/blog/2010/03/19/arduino-fio-presented-at-uno-punto-zero-2/


なにはともあれ、そうしてリリースしたFIOにいくつかの改良を加え、2010年3月にArduinoの正式な
ラインナップの1つ、Arduino Fioとしてリリースした。Arduinoを名乗るにはチームによる承認とラ
イセンス料が必要だが、Arduinoのブランドによって売り上げが増えるのと、Arduinoの開発にライセ
ンス料で貢献するのが目的だった。
http://store.makerbot.com/replicator-404.html


もちろん、オープンソースハードウェアはいい面ばかりではない。例えば、3Dプリンタのベンチャー
MakerBotの例。MakerBotは2012年のCES(Consumer Electronics Show)でReplicatorを発表し
た。
これがソフトウェア、ハードウェア共にオープンソースであったことから、ほぼ同じものを中国で製造
して30%安く販売する、というプロジェクトがKickstarterに出てきたり(これは結果的にはさまざま
な非難もあって不成立)
http://www.kickstarter.com/projects/mattstrong/the-tangibot-3d-printer-the-affordable-
makerbot-re
半額近くで販売するようなところも現れた。オープンソースハードウェアとしては、何らかの改変/改
良が加えられた「派生物」を期待しているが、こうした「コピー品」も許されてしまうのが現状での
弱点。
http://www.alibaba.com/product-free/128598616/MakerBot_Replicator_Dual_Extruder_.html
それでも、オープンソースになっていることで、このように改良が加えられた部品が出てきたり、
http://www.kickstarter.com/projects/qu-bd/open-source-universal-3d-printer-extruder-
dual-ext?ref=live
外装などを大きく変更したものが出てくるなどの展開もある。こうした展開は、MakerBotでも歓迎し
ている。
http://www.kickstarter.com/projects/wjsteele/ultra-bot-3d-printer?ref=live
http://store.makerbot.com/replicator2.html


現時点(2012年10月12日)では、MakerBotは最新機種であるReplicator 2に関して、一部はオープ
ン、その他はクローズドという方針をとっている。元々、オープンソースハードウェアのヒーローとし
て評価されてきたこともあり、非難もかなりあったが、これは現時点での現実的な判断といえるかも
しれない。どこをオープンにし、どこをクローズドにするのが効果的なのかは、会社の規模や分野に
よって異なり、原理主義的にオープンソースにしてしまうのではなく、ポートフォリオ的にとらえるの
オープンソースハードウェアとは?

    オープンソースハードウェアに関する資料
    •   Maker Conference Tokyo 2012分科会「オープンソース
        ハードウェアの理想と現実」(に関するメモ)
        https://docs.google.com/document/d/



    •
        1tmu7A2PrQVXvLlJEdH_oqQ4k8SZczqU2AH2j1MShm9o/edit


        オープンソースのヒーローはクローズドソースに走るのか?
        http://jp.makezine.com/blog/2012/09/is-one-of-our-open-source-heroes-going-



    •
        closed-source.html


        MakerBotのオープンソースと未来に関する種々のメッセージ
        http://jp.makezine.com/blog/2012/10/makerbots-mixed-messages-about-open-



    •
        source-their-future.html


        Bre Pettis講演 -「オープンソース消費家電の挑戦」OHSにて
        http://jp.makezine.com/blog/2012/10/bre-pettis-ohs-challenges-of-open-source-
        consumer-products.html




    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
オープンソースハードウェア、およびMakerBotに関するディスカッションの詳細はこれらの記事が参
考になる。
オープンソース化されたHWはどう活用されているか?
How open-sourced hardware utilized?
オープンソースハードウェアのスタートアップ

    Adafruit Industries
    •   オープンソースハードウェアの主要プレーヤの1つ


    •
        http://adafruit.com/


        さまざまなキットを販売するほか、レーザー加工サービスも

    •   オフィス内部にチップマウンタを備えリフローオーブンとの
        組合わせで製造

    •   単に販売するだけでなく、Arduinoなどのコミュニティに
        積極的に貢献

    •   2011年秋に新しい製品ラインとしてウェアラブル製品を発売




    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
以下は2011年9月に取材した記事。現在、Adafruitはさらに規模を拡大し、新しいオフィスに移転し
つつある。
撮影:2010年3月
Adafruit Industries

ウェアラブルな製品の開発
•   開発は2011年1月(実質的には3月)に開始、アイデアから
    製品出荷まで8ヶ月

•   例え失敗しても、数千ドルを失うだけで済む

•   多くの需要があるとわかった時点で大量生産に切替えることも
    可能

•   今後は新しい製品ラインやバリエーションを予定




会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
iNecklace - v1.0




http://www.adafruit.com/products/440
iNecklace - v1.0




http://www.adafruit.com/products/440
iCufflinks - v1.0




http://www.adafruit.com/products/379
iCufflinks - v1.0




http://www.adafruit.com/products/379
.15
                                                                                                      .066          2-56 THREAD


                                                                                                            .140




                                        .008 COUNTER BORE DEPTH

                                                                                             .625
                                               .170                                                                              .30




                                                                                                                              .03
                 .09 THREAD DEPTH
                                                                                                                            .03
50 THREADS PER INCH .01969 PITCH
                                 SECTION A-A
                                                                                          LOGO DIMS AND POSITION
                                                                                          IDENTICAL TO iCUFFLINK
     NOTE:
     MATERIAL: ALUMINUM
     NO SECONDARY OPERATIONS FOR FINISHING        DRAWING NAME                                         SCALE        SIZE         PAGE              DATE
                                                                       iNecklace                          1:1           A                               21/06/11
                                                  DRAWING No.                   DRAWN BY:
                                                                                                        Drawings are for industrial design control use only and are not
                                                                                MD                      intended for tool making purposes. Engineering drawings/models
                                                                                                        must be made for tooling. All specifications for tolerances, tools
                                                                                                        and manufacturing are the responsibilty of the manufacturer. The
                                                        ROSS + DOELL INC. / 479 SAMMON AVE, TORONTO     designer(s) assumes no product liability for the product.
                                                        CANADA M4J 2B3 / WWW.ROSSDOELL.COM




https://github.com/adafruit/iNecklace
Adafruit Industries

ウェアラブルな製品を開発した理由
•   ウェアラブルなオープンソースハードウェアは数多く提案
    されてきたが、多くがプリント基板そのままだった

•   大規模のメーカーがカスタム部品を使った製品を提案して
    きたが、ビジネス的にはほとんど失敗している

•   大規模のメーカーでは全く採算の取れない1,000個オーダー
    でも小規模のメーカーにとっては十分にビジネスになる

•   アクセサリの場合には、少数限定生産は相性が良い

•   オープンソースハードウェアにして公開することにより、
    コミュニティによる改良(電池駆動時間の延長など)も実現
    できた



会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
オープンソースハードウェアを活用したプロジェクト

     Safecast/Tokyo Hackerspace



                          http://safecast.org
                          http://tokyohackerspace.org




      会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
もう1つの例はSafecastとTokyo Hackerspaceによるプロジェクト。
Safecast/Tokyo Hackerspace

       概要
       •   市民の安全に関する活動としてモニタリング、マッピング、
           視覚化に取り組んでいる10∼12名のボランティアグループ

       •   東京電力福島第一原発事故の2∼3週間後から活動が始まった

       •   最初のアイデアは公のウェブサイトからデータを集めて1カ所
           に集めるということだった

       •   その後Tokyo Hackerspaceが参加して、活動の対象はクラ
           ウドソースの放射線モニタリング、モバイルデータ収集、固
           定のセンサネットワークに拡張された

       •   アイデアをKickstarter.comで提案し資金を得ることに成功

       •   慶應大学やさまざまな通信キャリアも参加しつつある


       会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
SafecastのコアメンバーはJoichi Ito、Ray Ozzie、Sean BonnerとPieter Franken。
Safecast/Tokyo Hackerspace

     地図




     会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
これは2011年当時のSafecastによる放射線量地図。
Safecast/Tokyo Hackerspace

ハードウェア
•   最初の固定センサネットワークの設計はArduinoをベースに
    したものだった

•   ハードウェアはArduino互換機(Freakduino)とカスタムの
    シールド(ネットワークチップとガイガー管の高電圧ドライ
    バ)

•   ソフトウェアはgithubで公開されていたガイガーカウンタの
    Arduinoスケッチをベースに開発




会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
これは最初のもの。
NetRad PCBを用いたプロトタイプ。
Wi-Fiを内蔵したプロトタイプ。
最終的なプロトタイプ。
これを配布した。
Safecast/Tokyo Hackerspace

ハードウェア
•   モバイルノードも、Ardinoとカスタムシールド
    (GPSモジュール、SDカードスロット、ガイガーカウンタ
    入力コネクタ)がベース

•   デバイスは車にマウントして移動しながら5秒ごとにデータを
    収集、SDカードに保存し、アップロードしてマップした

•   既に百万近くのデータ点がある




会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
最初のプロトタイプ。
外装。
車にマウントした移動ノードの様子。
最近(2012年10月)のSafecastのウェブサイト。
Safecastのデータは、福島県による放射線量地図にも採用されている。
また、放射線量計をオープンソースハードウェアとしても公開していて、ソフトウェア開発でよく用い
られるgithubにソフトウェアとハードウェアのデータが公開されている。☞https://github.com/
bidouilles/bGeigieNano/tree/bGeigieNanoKit
放射線量を計測するセンサはInternational Medcomが提供し、それ以外はオープンソースハードウェ
アで構成される。
これがキットを組み立て、ケースに入れたものの様子。
さまざまな部品をまとめる部分にはArduino Fioが用いられている。
先ほど紹介した3Gシールドとの組み合わせにより、3Gに接続できるような放射線量も簡単につくれ
る。3Gシールドの試作品を評価した際、放射線量の計測をしてデータ共有サービスにアップロードす
るものを試しにつくってみた。
使用したのはArduino用3Gシールド。
センサ部分に使用したのはRadiation-Watch.orgが開発、販売するスマートフォン用放射線セン
サー。
最近になって、最近発売されたモデルに関してArduinoなどを接続するための情報が公開されたた
め、それを参考にArduinoに接続した。☞http://www.radiation-watch.org/2012/08/type4-
technical-documents-for.html
#include "a3gs.h"

    void setup() {
      // 3Gシールド上のモジュールを起動
      a3gs.start();
      a3gs.begin();
    }

    void updateDataStream(float countsPerMinute) {
      // COSMにアクセスしてデータを投稿
      a3gs.httpPOST(server, port, path, header, body, res, &len);
    }




3Gシールドを使うために数行程度を追加すれば
cosm.com/feeds/70743

データ共有サービスに3Gネットワークがある限りどこからでもアクセスできる。ここまでで半日程
度。勿論、長期間安定動作させるのにはまた別のつくり込みが必要だが、通信キャリアなどと面倒な
開発に関する契約などを結ぶ必要もなく、すぐにアイデアを形にでき、経験しながら深めていくこと
ができる。
以下はIAMASでのオープンソースハードウェアを用いたプロトタイピングの例。これはエスパードミ
ノ。☞https://vimeo.com/17150420
アイデアスケッチ / The idea sketch

エスパードミノのアイデアスケッチ。
最初のプロトタイプ / The first prototype

最初のプロトタイプ。3Dプリンタを活用して短時間で作られた。
最初のプロトタイプの外装 / The shell of the 1st prototype (built with 3d printing)
Miga NanoMuscle purchased from SparkFun




    最初のプロトタイプの基板 / The PCB of the 1st prototype

最初のプロトタイプの中身。これは電池での動作時間が1∼2時間で、大きさも通常のドミノパイと比
較して大きなものだったが、プロトタイピングを重ねる中で次々と改良されていった。
Comparison between prototypes from 1st (right) to 4th (left) and official domino piece

右から第1∼第4プロトタイピングと、国際競技で用いられる公式なドミノパイ。最終的には、丸一日
の展示でもバッテリ交換が必要なく、数万人が来場した展覧会でも故障することなく動作するものに
なった。
a derivative                 a derivative




    LilyPad Arduino                  Arduino Fio                  Esper Domino (4th)




第4プロトタイプの基板部分(右)は、オープンソースハードウェアであるArduino Fioを用いてい
る。Arduino Fioの派生元であるLilyPad Arduinoと比較すると、同じ系列とは思えないかもしれな
い。しかし、さまざまな改変を行えるデジタルデータを活用することで、短時間で柔軟な派生物をつ
くれるのがオープンソースハードウェアをプロトタイピングに用いるメリット。
http://www.diginfo.tv/v/12-0047-r-en.php



川畑博理+古山善将。IAMASユビキタスウェアプロジェクト(2011年)。手でフレームを作る動作で
自分が見ている空間を切り取るカメラ。先行例としてはMIT Media LabのSixth Sense(の機能の一
部)があるが、こちらはかなりシンプルに実現。
DigiInfo.tvで取材された後、キー局のテレビ放送も含め、さまざまなメディアに取り上げられた。
http://www.diginfo.tv/v/12-0047-r-en.php
http://www.engadget.com/2012/03/28/ubi-camera-frames-photos-with-fingers-fails-to-
call-you-fabulou
http://www.core77.com/blog/photography/ubi-
camera_in_the_future_will_we_take_photos_with_our_fingers_22108.asp
最初のアイデアスケッチ。多分このアイデアは世界で百万人くらいが考えたかもしれない。しかし、
どうやって実現するか?はかなり大きな課題。
実際にどんな大きさでどう装着するのかを試してみたもの。テープと発泡剤などのすぐに手に入る材
料で試している。
最初のハードウェアスケッチ。この段階では指先になんらかの接触を検出するセンサーというアイデ
アだった。IAMASでは、ハードウェアでスケッチしていくこのプロセスを重視している。
なぜなら、「試作」というとアイデアを十分に固めてから確認するように感じられてしまうが、ス
ケッチと呼ぶことで、紙とペンでスケッチするように、さまざまな材料と電子回路、ソフトウェアを
組合せて、ハードウェアでもスケッチする。
何度もハードウェアスケッチを繰り返し、実際に自分たちで試していく中で、人差し指側の指先にい
ちいちセンサをつけるのは現実的ではないということに気付き、逆にカメラのボディである親指側で
トリガーできるようにした。
十分なハードウェアスケッチによって方向が決まったら、3Dプリンタで筐体を出力し、
それを仕上げて
電子回路やセンサを内蔵し、
最終的なプロトタイプに仕上げていった。
このバージョンではまだワイヤードで実際の撮影などの処理は外部で行っているが、ここまで実際に
試せるプロトタイプができれば、後は現在ある技術を持ってすれば想定している大きさに収めること
はできる。このように、アイデアを短時間で経験しながら発展させ、かたちにしていく過程でオープ
ンソースハードウェアの果たす役割は大きい。
おわりに / Conclusion

    オープンソースハードウェアの可能性
    •   イノベーションの創出を加速する共通言語でありグルー
        A common language and a glue to accelerate creating
        innovations

    •   概念から実際の生態系を築けるかどうかの転換点にある
        Stands at a tipping point in transforming from a concept to
        a real ecosystem

    •   ポートフォリオをつくることが鍵
        Making a portfolio might be the key




    会津IT秋フォーラム2012 ¦ 小林 茂
原理主義的に全てをオープン、またはクローズドにするのではなく、また、個別の製品だけで戦略を考
えるのではなく、ポートフォリオで考え、公開することでメリットがある部分は積極的に公開するの
が効果的だと考える。
会津IT秋フォーラム2012での講演資料

会津IT秋フォーラム2012での講演資料