大阪大学大学院経済学研究科
中川功一
Allegro_assai@hotmail.com
国際経営
(8)
国際マーケティング
マーケティングとは
顧客のハートをつかみ、
モノ・サービスが売れていく仕組みを作ること
企業の目的が顧客の創造であることから、企業には2
つの基本的な機能が存在することになる。すなわち、
マーケティングとイノベーションである。
(P.F.ドラッカー,1996「新訳 現代の経営(上)」)
企業の目的:社会に貢献する価値を提供すること
マーケティング:顧客にその価値を知ってもらい、それにアクセスできるようにすること
イノベーション:新たな価値を創造すること
マーケティングの基本サイクル(必修)
R
Research
リサーチ
STP
Segmentation, Targeting, &
Positioning
セグメンテーション、ターゲ
ティング、ポジショニング
セグメンテーション:市場のグループ分け
ターゲティング:どのセグメントを狙うか
ポジショニング:ターゲットに対して自社
ブランドをどういう位置づけにするか
MM
Marketing Mix or 4Ps
Product:製品設計
Price:価格
Place:流通経路
Promotion:販売促進
Implementation & Control
実施と制御
マーケティングが国際化するとき
Product
ニーズはこんなに違ってくる
日本 中国 アメリカ
Price
Promotion
Place
安全性エコをプッシュ バーゲン情報
の定期供給
安いほどよい高級品から低価格品まで高級品
ポイント:標準化or適応化
国の違いにきめ細やかに対応するか、「あえて」標準化するか
全世界共通化
グローバルブランドを構築
コストも安い
各国ニーズには対応できない
各セグメントニーズに対応しない
国別共通化
各国でナショナルブランド構築
コスト効率は落ちる
各国ニーズには一定レベル対応
各セグメントニーズには対応しない
全世界差別化
グローバルブランド構築
コスト効率は落ちる
各国ニーズに対応できない
各セグメントには一定レベルの対応
各国差別化
ブランドは世界&国内でばらばら
コスト効率は悪い
各国ニーズ、各セグメントニーズに
詳細対応
国対応
標準化 適応化
市場
セグメント
対応
標準化
適応化
※各国の違いを理解し、それに対応していけばいくほどグローバルでの業務効率が悪化する。違いを理解
したうえで、どの程度共通化できるかを考えていく。
違いに対応する:現地ニーズに対応する製品開発
原理・原則で言えば、その国のニーズに対応した製品・マーケティングを行うべき。
その際のポイントは、①現地が主導する、②ニーズを深く読み取る、③本社が技術・ノウハウ面で支援する。
Acecook’s “Hao Hao”
>50% share in Vietnam
Changed tastes, packaging, and way of
sales to adapt to local market
現地が開発を主導
ニーズの読み取り
本社の技術・ノウハウ支援
制御(Check → Action)の大切さ
現実の海外マーケティングは、「失敗からの学習」がポイントとなることが多い
エースコック・ベトナム 最初は日本の味、業績不振から現地流に修正して成功
日本コカ・コーラ 最初はコーラ押し、業績不振から缶コーヒーやスポーツ飲料にシフトして成功
ホンダ・USA 大型バイクで進出も全く売れず、スーパーカブを主力にして成功
したがって、継続的にCheck→Actionのサイクルを回すことこそが、成功のポイントとなる。
トピック
日本企業は、新興国でそのマーケティング策を変えるべきか?
たしかに日本流は受け入れられてもいそうだが…
いくつかの目覚ましい成功例が逆に本質を見失わせているのではないか?
Pictures
Yakult Indonesia
Toyota way
Otsuka Indonesia
日本の国際展開の特徴
• 1.日本流の移転
• 2.本社サイドで強い権限を維持する
• 3.文化で統制する
• 4.既存の日本の関係性を海外に持ち込む
分析
所在地
国 サンプル数
マレーシア 31
タイ 21
インドネシア 18
中国 18
ブラジル 20
インド 11
ベトナム 11
フィリピン 8
チリ 4
コロンビア 4
パキスタン 2
アルゼンチン、バング
ラデシュ、ケニア、モ
ロッコ、ナイジェリア、
パナマ、ベネズエラ、
ウガンダ、ザンビア
1 each
(9 total)
10
産業 サンプル数
消費財、食品、飲料 24
耐久消費財 29
部品 (電子・機械・自動車) 44
素材 (化学・金属) 31
設備・工場 20
その他 14
Min. Max. Avg. S.D.
従業員数 3 7800 533 959
資本金 (M.US$) 0.05 487 19.53 53.71
創業年数 3 79 19.9 14.7
株式所有割合(%) 9.0 100.0 79.5 29.5
産業
サンプルの概要
• 日系企業の新興国海外子会社を対象 (1人あたりGDP < $12,746)
• トップマネジャーへの質問票調査。 東洋経済データベース記載の1017海外子会社に配布
• 有効回答173 (17.2%)
分析結果!
子会社の
経営業績
日本型
マーケティング策の
適用
マーケティング策の
改革
現地パートナー
集権化
文化統制
0.15*
0.37**
-0.38**
0.32**
0.13**
0.03
0.29**
新文化の創造
-0.10
CMIN/DF=1.382, CFI=0.937, RMSEA=0.047
N = 173.
結論
日本企業にとっては、概して、新興国で有効なのは「現地に合わせた新しい
マーケティング策の構築」。ただし、ヤクルトなど例外もある。
ここで大切なことは、その「例外」に引きずられすぎないこと。
こうした目覚ましい例外が、「日本製品や日本のやり方が、海外でウケるん
だ」という誤解を生む。
マーケティングの基本は顧客を知ること、顧客志向であること。
まずはよく現地をみて、そこに「ハマる」のが、日本式なのか、修正が必要
であるのか、あくまで現地起点で考える。
Reconsider marketing strategy
機能性と「無難さ」
ショッピングモール
伝統技術で作られた
ラグジュアリー
百貨店の正規販売店
安価、使い潰すもの
デジタル好き
ハイパーマーケット

「国際経営」8