大阪大学大学院経済学研究科
中川功一
Allegro_assai@hotmail.com
国際経営
(2)
企業国際化の基本理論
今回の狙い
「企業がいかなるときに国際化を行うのか」という、
企業国際化の基礎理論を理解する
国際的な企業活動
●輸出・輸入
●海外直接投資
製品を海外出荷・入荷したり、部材を
海外から調達する。工場単位で輸出
するという「プラント輸出」というバリ
エーションもある。
資本を当該国に投入して現地法人を設
立し、現地にて自ら事業を行う。輸出に
くらべて、自らが現地で事業を行う点で、
いっそう踏み込んだ国際化に位置づけ
られる。
製品の海外移転 経営資源の海外移転✓
製品の海外移転 経営資源の海外移転✓ ✓
輸出の基本理論:なぜ輸出が起こるか
(輸入はその反対)
• ある企業・ある国でしか作れない製品があり、かつ海外にその製
品の潜在的市場が存在するとき
• 複数国で生産されているが、当該企業/国で開発・生産された場
合に、とりわけその製品の性能・品質・価格が優れているとき
=ある国に国際競争力の高い製品があり、それを欲する
(潜在的)海外市場が揃うと、輸出が起こる
ある製品の国際競争力=
企業固有の競争力「企業優位性」
Organizatoinal (Ownership) Advantage
+
本国固有の「立地優位性」
本国の法制度・政策等の「促進条件」
Location Advantage
海外直接投資の基本理論 「OLIパラダイム」
企業優位性(O)を海外の立地優位性(L)と結び付ける(I)
直接投資の国際競争力=
企業固有の競争力「企業優位性」
Organizational Advantage
+
進出先国に固有の「立地優位性」
進出先国の法制度・政策等の「促進条件」
Location Advantage
+
複数国の事業活動を結合する仕組みがある=「内部化優位性」
Internalization Advantage
直接投資
マザー工場
管理システム
生産・開発協業
企業
優位性
立地
優位性
内部化優位性
企業優位性の分析:
ポーターの「バリュー・チェーン分析」
バリュー・チェーンとは、原材料が加工され、製品として販売されて顧客
の手元に渡るまでの一連のプロセスのことである。
バリュー・チェーン分析では、上記の各活動のうち、どこに強みがある
のか、どこに弱みがあるのかを調べていく。
財務&全般管理
人事
技術開発
調達 生産 物流
販売
マーケ
サービス
(
支
援
活
動
)(
主
活
動
)
利益
立地優位性:国・地域に固有の優位性
M.ポーターによる国の優位性「ダイヤモンド・モデル」
産業システム
適度かつ建設的な競
争関係
豊かな戦略多様性
要素条件
労働・資本・技術・
天然資源
需要条件
顧客の質・量
関連産業
川上・川下産業、支
援産業の発展度
政策・制度
(促進条件)
+
これらの条件の充実度合いや相互関連状況によって、国ごとの立地優位性が決まってくる
内部化優位性の例
国際的に活動を「つなぐ仕組み」における優位性。「つなぐ仕
組み」を作り込まなければ、直接投資のメリットを最大化したと
は言えない。
マザー工場システム
日本のものづくり技術を継続的に海外工場へ移転する仕組み
グローバル共通の情報システム
各国状況を本社が即座に把握し、指示を出す
価値観・理念の共有
各国法人が価値観を共有することで、あうんの呼吸で
連携行動を取れる
技能大会・研修の開催
各国法人が切磋琢磨・相互学習しながら技能を強化する
内部化優位の工夫の余地は非常に大きい!
まとめ
企業優位性はある
か
まずは
競争力構築!
No
Yes
本国の立地優位性
を活用
輸出による
海外事業
海外の立地優位性
を活用
内部化優位の活用
直接投資による
海外事業
補論:ライセンシングの理論
やや特殊形態であるライセンシングは、技術(特許)やブランドなど移転が容易な企業
の経営資源の一部に優位性があり、かつ潜在的な海外市場が存在するときに、その経
営資源を単独で海外企業に有料供与するという形で実行される。
ライセンシング発生の条件 = 潜在的海外市場 + 技術・ブランドの優位性

「国際経営」2