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Similar to 45分で理解する マーケティングリサーチ・トレンド入門 斉藤之雄 (20) More from Yukio Saito (20) 45分で理解する マーケティングリサーチ・トレンド入門 斉藤之雄2. インデックス
• マーケティング・リサーチ
• 基本的なマーケティング機能 4P, 4C
• ニーズ、シーズとウオンツ
• マーケティング・コミュニケーション(MC: マーコム)と広告
• 顧客満足度調査
• セグメンテーション調査
• 1-to-1 マーケティング
• ビジネス・インテリジェンス
• ソーシャル(メディア)・マーケティング
• 参考文献一覧
3. マーケティング・リサーチ
• 「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価
値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の
制度、そしてプロセスである。」 ※AMA, 2007
• 顧客との関係性(リレーション)を構築する一連のプロセスはリサーチに
よって最適のターゲットを選定し、企業収益が最大になる考え方が必要で
ある。そのために調査を行うことを、マーケティング・リサーチとよぶ。
• 情報通信技術 (ICT) が、普及した現代では、顧客志向(多様化した顧客、顧
客満足度の永続的な関係性)、社会志向(環境保護活動、社会、文化事業
を含めたステークホルダとの関係性を意識)を企業コンセプトとして採用
しているところは少なくない。これもまた合理的に企業収益が最大になる
考え方である。
※AMA American Marketing Association / 全米マーケティング協会
4. 基本的なマーケティング機能 4P, 4C
• 4P ・・・ エドモンド・ジェローム・マッカーシーが1960年に提唱。
Product(製品):製品、サービス、品質、デザイン、ブランド 等
Price(価格):価格、割引、支払条件、信用取引 等
Place(流通):チャネル、輸送、流通範囲、立地、品揃え、在庫 等
Promotion(プロモーション):広告宣伝、ダイレクトマーケティング 等
• 4C ・・・ロバート・ローターボ-ンが1993年にIMC理論と共に提唱。
Consumer(消費者のニーズとウォンツの解明こそが商品である。)
Cost(価格はコストの一部。消費者は商品の価格だけではなく購入コスト、
時間コストを費やしている。)
Convenience(場所ではなく買い易さが大切。)
Communication(広告は売り込むのではなく納得させること。)
Wikipedia 参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/マーケティングミックス
5. ニーズ、シーズとウオンツ
• 「ニーズ」顧客の求めるもののことで、現在は未だ提供されていないモノ、
サービスである。
「シーズ」メーカーなど生産者が消費者の必要に応じて提供するモノ、
技術やサービスである。
「ウォンツ」人々が生きるためには必要ないが保持したいと思うモノ。
新製品を開発提供するにあたり、シーズとニーズが市場化に必要不可欠な
条件であるが、一方で市場が成熟し顧客が求めているものがわからない状
態のことを※【知覚されないニーズ】と言われる。
顧客の欲求を絶えずリサーチして、欲求合致する製品を作る時にはニーズ
に重点を置き、新素材や新しい技術を活かして商品を開発する場合は
シーズに重点が置かれる。
※【知覚されないニーズ】を分析するには客観的洞察力と経験が必要
と言われる時代があった。
6. マーケティング・コミュニケーション
(MC: マーコム)と広告
• マーコムとは、ドン・E. シュルツ, ロバート・F. ロータボーン, スタン
レー・I. タネンバーム「広告革命 米国に吹き荒れるIMC旋風―統合型マーケ
ティングコミュニケーションの理論」で述べられた企業がマーケティング
成果を最大にするために考え出されたコミュニケーション・アイディアを
ステークホルダーの心のなかに統一されたポジションとして形成されるよ
うに、広告、SP、PR、DM、製品、パッケージ、口コミ、Webサイト、
電子メールなど、あらゆるステークホルダーとの設定(コンタクト・ポイ
ント/タッチ・ポイント)を統合して行われるコミュニケーション戦略の
略称である。
• ICTが普及した現代では双方向コミュニケーションが基本重視される。情報
発信と同時に競合社にも情報伝播は避けられないので、コンタクト・ポイ
ント決定は慎重な判断※が必要である。
• 広告には効果測定が伴う。広告の規模によるが、事前にクリエイティブ・
リサーチを通じメッセージ要素、広告コンセプトテスト、情報価値テスト、
ラダリングリサーチ、コピーリサーチを行うのが一般化している。
※客観的洞察力と経験や勘で判断したマーコムを行うのは難しくなっ
ている。実購買へ反映するといった行動的変化など事前測定が必要。
7. 顧客満足度調査
• 皆さんの中でもマーケティングを意識するかなり以前から商品購入後、
あるいは会員サービス等で顧客満足度調査を受けることがあるだろう。
ステマ紛いのようなクレームを一切受け付けない酷い調査票もなかには
存在する。誰が満足するための調査であろうか。
• 顧客満足度の調査には、「利用満足度」、「企業対応満足度」の二種に
区別できる。出典不明であるが、【不満を持つ顧客のうち企業にクレーム
を言った結果、その対処に満足した顧客のリピート率は、不満を持ってい
てもクレームを伝えない顧客のリピート率に比べて、非常に高いというこ
と。また不満を持っていてもクレームを伝えない顧客のほとんどは、その
ブランドを再購入しない】という名言がある。
• 究極のゴールとして不満度ゼロを目指すこと、不満点の詳細を見極め個別
に社会通念かつ妥当な範囲で適切な対応をとること、企業内クレーム担当
者の対応能力を向上させること、物言わぬ不満者の声を拾い上げる努力を
怠らないために、実施する調査目的である。
メモ:CRMツールだけに依存するのではなく、Webであればサイト内
検索文言とコンテンツマッチ精度の向上、直帰ページをなくすことも、
顧客満足度が向上する一因である。
8. セグメンテーション調査
• 2005年3月までのセグメンテーション調査は氏名・性別・年齢・職業・地
域・家族構成・職業・年収・学歴・生活や趣味といった個人情報データ
ベース(名簿屋)をもとに対象者調査を実施していたが、2005年4月に施行
された個人情報保護法により個人を特定しないように情報管理することが
義務化された。件数が5,000件未満であっても情報取得時、その運用も厳格
化されている。
• 現在インターネットを使用した調査が行われているが、本人を特定しなく
ても因子分析によりデータの集約を行った上でクラスター分析を実行する
手法が一般的となった。
• 因子分析では主因子法で直接解を、条件によっては回転解を求め、共通性
の確定には重相関係数の二乗を用いる。クラスター分析では再配置法によ
るクラスタリングを行なうことがあるため、人口統計情報といった二次
データを用いる際には、妥当性を持った分析手法であるのかを判断できる
思考力が必要である。
メモ:貴方の職場で何か新しいキャンペーンで事前調査としてセグメ
ンテーション調査が必要となったとき、データの集約だけで判断して
いないだろうか?マーケティングマジックにご用心あれ。
9. 1-TO-1 マーケティング
• ワン・トゥ・ワン・マーケティングの歴史は古くて新しい。
ドン ペパーズ, マーサ ロジャーズ「ONE to ONEマーケティング―顧客リレー
ションシップ戦略(原書 1993)」で述べられたマーケティング手法が基礎
になっているが、江戸時代後半、上方の呉服問屋等が規模を拡大する際に
顧客を上得意様、常連客、一見客と分類したり、顧客の特性に応じて提供
商品を個別対応したのと同じ構造である。現代は企業が顧客と1対1対応
してCRMを実現している。
• ワン・トゥ・ワン・マーケティングの導入企業例 (北米事例)
1. Amazon :商品の検索あるいは購入履歴から顧客が欲す商品を提案する。
2. DELL : BTO (ビルド・トゥ・オーダー) で仕様カスタマイズを受付ける。
3. NIKE :直営店とネットを融合し顧客へあらゆるスポーツ商品を提案する。
これら企業に共通しているのは、オンリーワン・ワンストップである。
10. ビジネス・インテリジェンス
• ビジネス・インテリジェンス(英: Business Intelligence、BI)は、企業に蓄積
されたデータを集約・整理・分析し、経営上の意思決定に役立てる手法の
こと。ビジネスにおける意思決定の高度化と迅速化を支援するため、情報
システムによって実現されることが多い。企業内に散在する情報を※ETLプ
ロセスを経てデータウェアハウスに蓄積、OLAP(多次元データベース)を
通じて、リレーショナルレポーティングしたり、データマイニングするこ
とを通じて、高度に活用することを目的とする。エンタープライズサーチ
との融合もすでに始まっている。 - Wikipedia より。
• 本当にビジネス・インテリジェンスが優れたツールであるのだろうか?
企業規模や営業内容によっては逆に経営判断に迷いを与えかねないことも
ある。また ※KPI を設定してから導入するのが一般的であるため、特定の
部署が予実管理のためにビジネス・インテリジェンスを導入することは稀
である。視認性に優れたレポート生成が目的であるならば、無償の Microsoft
SQL Server 2012 Express や レポートビルダー等を使用することで解決する
企業も少なくない。OSS では Open OLAP 等の多次元DB も存在する。
※ETL Extract/Transform/Load
KPI Key Performance Indicators (重要業績評価指標)
11. ソーシャル(メディア)・マーケティング
• インターネットもしくはWebを新メディアとして捉えた場合、従来のテレビ、新
聞、雑誌等のリアルメディアは 1 way であり、地デジによって一部 2 way 対応で
あっても、読み手と書き手、作り手のコミュニケーション性能は新メディアに
は叶わない。
• 従来のホームページのように専門知識やFTP等でコンテンツ更新が要求される時
代は情報発信に一定の敷居があったが、blog / ※CMS 普及で敷居が下がり、さら
に閲覧専門であったユーザが twitter や ※SNS を利用した情報の発信者に変貌し
た。
• ソーシャル(メディア)マーケティングの代表的な活用モデル
1. 販売促進用
2. イベント・キャンペーン用
3. CRM (カスタマーリレーション)用
4. 広報・PR 用
5. マスメディア補完用
※CMS Contents Management System (コンテンツ管理システム)
SNS Social Network System (ソーシャル・ネットワーク・システム)
12. 参考文献一覧
:コメント入り
• マーケティングリサーチの論理と技法「第4版」
上田拓治著 ¥3,300
:ゼミ生、大学院生、実務者向けの教科書、良書である
• 顧客の声マネジメント
三室 克哉, 鈴村 賢治, 神田 晴彦共著 ¥2,200
:NRI TRUE TELLER 導入時に参考となった良書であり、懐かしく手にした
• ソーシャルメディアマーケティング
オガワ カズヒロ(小川 浩・小川 和也) ¥1,600
:藤子不二雄同様に二人一組による文献である
• ブランド戦略シナリオ コンテクスト・ブランディング
阿久津 聡, 石田 茂共著 ¥1,800
:ブランド展開の方法論であり、事例を可視化したものである
メモ:上記いずれも公立産業技術大学院大学図書館 蔵書