第三回までの考察を踏まえて、自分が理想だと考える政治制度をエビデンスを持って主張した。

1. 現状の政治制度上の問題点と理想の政治制度（その導入方法）
渡辺涼太
現状の政治制度上の問題点は選挙制度上にある。衆参どちらも小選挙と比例代表の比率が 6:4 程度
となっている。1
小選挙区選挙は選挙区の第一位の候補者が当選するため地盤、知名度、資金を持つ大
政党が建てる候補者が有利である。大政党が議席を集めやすいため、責任の所在が明確になる。政治
家の裁量が認められ、自由委任的である。一方で比例代表制は政党に投票するため相対的に死票は少
なく、小政党も議席獲得が期待できる。政党乱立の恐れがあり、責任の所在が不明確になる。政治家
は有権者の意思を忠実に反映する命令的委任を強いられる傾向にある。2
2014 年の衆議院選挙では死
票は小選挙区選挙において全体の約 48％にも昇った。このため与党の得票率は選挙制度によらず 50％
を切っている。つまり有権者から選挙で選ばれることによって正当性を確保するはずの政治家が、過半
数の信任すら得ずに政策を実施しているという見方ができる。つまり政治に民主主義的要素が欠けて
いる。しかしこれは多数派プレミアム方式（ほぼ自動的に多数派政党を作る）や最低得票率条項（極
端な少数派は切り捨てる）といった制度から見ると大した問題に成り得ない。代議制民主主義におい
て政治家は民意を政治に反映させる事ことも、国民の民意を集約することや多数者の専制を抑止する
自由主義的な機能も同時に望まれているからだ。
では現行の選挙制度の何が問題なのか。それは固定されているという点である。選挙制度は流動的
であるべきだ。というのも恒久的に理想的な選挙制度など存在し得ない。政治は自由主義的要素と民
主主義的要素のバランスで成り立っており、またそれを確保するのが選挙制度である。小選挙区制に
偏れば政党間競争は激化し、固定化した既得権益保持者を退けることができる。比例代表制に偏れば
少数派の意見も議題に上がりやすくなり、マジョリティとの対立を減らすことができる。このように、
その時空のマイノリティの数や既得権益保持者を考慮に入れたバランスをとることが最重要である。に
もかかわらず 1996 年以降 20 年間変わっていない。これが問題である。この問題を解決するためには
国内の情勢を確実かつ早急に明確なものとし、そこから最適なバランスを考え選挙制度に反映させる
ことだ。これを自発的にやるのは忙しい一議員には難しいので、国内情勢の把握は官僚に任せ最適な
選挙制度の比率を練るのは政治家が担うなど、分担が必要不可欠である。
1 待鳥聡史(2015). 代議制民主主義 「民意」と「政治家」を問い直す 中公新書 237 頁
2 ”第 47 回衆議院議員総選挙”.Wikipedia.2016. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC47%E5%9B%9E
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