二回目では日本の政治体系を知るとともに、その長短を考察した。

1. 日本政治へのアプローチ
日本政治の長所と短所について、その原因を構造的に論ぜよ
渡辺涼太
本文の要約
日本は政府・与党二元主義で官僚と政治家が政策形成を行っている。政党の基盤が弱いため凝
集力が弱く民意の代弁ができていない。そこは省庁代表制による社会利益の吸い上げにより補完
した。この制度は政治的実績があり評価されるべきだったが、時代の変化によって機能不全が起
こった。
日本政治の制度的問題点（短所）は大きく 3 つある。「権力核」「民主的統制」「首尾一貫
性」の欠如である。日本の政党には安定した基盤がなく、議員は当選するために個人政治活動に
勤しむため政策の体系性が失われ、多様な民意を集約し実現可能な政策に変換したり、大規模な
変革をする権力核が存在しない。民主的統制があってこそ権力核は民意を効果的に集約できるが、
内閣を形成する首相は総裁選によって決まり国民が直接選択できない。政策課題は多くの場面で
検討されているが、政府全体の方向性が不明確である。管轄局が増えるほど利害の調整は難儀と
なり本来の目的や意気込みは失われる。
論点に対する見解
日本政治の長所は複雑かつ特異な体制にありつつも一定の政治的実績を残してきた点である。
だがこの制度がいつまでも実績を挙げることができるかどうかは別の問題となる。
時代の変化とともに政治制度も適応していかねばならない。しかし日本政治にそれはできない。
強い基盤を持たない政党の下、議員は個別に政治運動をし、アピールして集票せねばならない。
その結果議員は大きな改革に目を向けることができず、政治制度の改革にまで手を回せないから
だ。日本政治にはリーダーシップが欠けている。
議員にリーダーシップを求めるには政党の基盤を強める必要があり、政党の基盤を強めるには
支持母体を増やす必要がある。支持母体は所属団体の利益を最大化するために動く。だから制度
を変えることで特定政党に支持を集めることはできない。そうなると別のアクターに主導権を握
らせるほうが現実的だ。
そこで私は首相が権力核となりうると考える。現行の政治制度は国民による首相への委任が議
会を通さないと為されないため、民主的正当性が確保できているとはいえない。だから許容され
る権力も弱くなる。一党優位制である以上、首相を国民投票によって選任する制度に変えるべき
だ。派閥や当選回数によってリスト化され総裁選で決められるといった慣習には国民が入る隙が
ない。直接国民から選ばれれば正当性は十分確保できるし、それを元にリーダーシップを取れる。
更には元々首相の権力が強いはずの議員内閣制にもなじむ。一人に権力を集中させることへの不
安はあるかもしれないが、それを抑止するための議会・法曹がある。首相がリーダーシップをと
れば、権力核が生まれ、直接選挙によって選ばれた長による民主的統制があり、長による全体的
方針が決められるので政策に首尾一貫性が生まれると考えられる。