経営分析論Ⅱ④
投下資本利益率とデュポンシステム(2)
• 重視する経営指標(2009年調査)
企業はどのような指標を経営目標としているのか?
• 公表している経営指標(2014年調査)
企業はどのような指標を経営目標としているのか?
企業が中期経営計画を公表する上で,ROE(株主資本利益率)は
重要なウェイトを占めている。
• 機関投資家による企業への要望事項(生命保険協会)
【要望1】経営目標の設定・公表
→ 中期経営計画,ROE,資本政策と手元資金,戦略的な投資
【要望2】株主還元の一層の充実
→ 内部留保や投資の必要性の説明,配当性向
【要望3】コーポレート・ガバナンスの充実
• 伊藤レポートの衝撃
① 企業と投資家の「協創」による持続的価値創造を
② 資本コストを上回るROEを,そして資本効率革命を
③ 全体最適に立ったインベストメント・チェーン変革を
④ 企業と投資家による「高質な対話」を追求する「対話先進国」へ
ROEは企業と投資家を結びつける結節点
• コマツの事例(日経新聞2011年1月5日付:会社研究)
負債に頼らず効率を追求というのはどういう意味か?
ROE=目標利益実現に向けた方策
正攻法の経営を目指すコマツ
「主要部品は国内で作る」
「顧客とともに改善する」
「借金に頼らず経営効率を高める」
→国産にこだわり,現場の改善活動を
大切にし,財務の安定性を重視する。
→自らの経営理念を変えず,日々の仕事を
変える努力を惜しまない。
こうした活動は財務数値にどのように表れるのか?
ROEの向上とどのように結びつくのか?
ROE=目標利益実現に向けた方策
• コマツの過去8ヵ年の財務業績
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
売上高
2,243,0
23
2,021,7
43
1,431,5
64
1,843,1
27
1,981,7
63
1,884,991 1,953,657 1,978,676
当期純利益
208,79
3
78,797 33,559
150,75
2
167,04
1
126,321 159,518 154,009
総資産
2,105,1
46
1,969,0
59
1,959,0
55
2,149,1
37
2,320,5
29
2,517,857 2,651,556 2,798,407
純資産
887,14
6
814,94
1
833,97
5
923,84
3
1,009,6
96
1,193,194 1,376,391 1,528,966
株主資本当期利益率(
ROE)
23.54% 9.67% 4.02% 16.32% 16.54% 10.59% 11.59% 10.07%
売上高当期利益率 9.31% 3.90% 2.34% 8.18% 8.43% 6.70% 8.17% 7.78%
総資産回転率 1.065 1.027 0.731 0.858 0.854 0.749 0.737 0.707
財務レバレッジ 2.373 2.416 2.349 2.326 2.298 2.110 1.926 1.8302011年,2012年はROEが急上昇したが,その後は10%台で推
移
→ その要因はどこにあるのだろうか?
3つの指標に分解することによって何がわかるだろうか?
• ROEを分解してコマツの経営戦略を考える。
ROE=目標利益実現に向けた方策
コマツの中期目標
2013年3月期にROE 20%へ引き上げ
→ 借金に頼らず負債依存度を据え置いたままROEを高めるには,
総資産回転率と売上高純利益率を引き上げるしかない。
ROE向上のための方策として何を行うか?
売上高利益率の向上
コストの削減
• どのような方策によってROE向上を図るのか?
→情報武装(KOMTRAX)と生産の機動力アップ
ROE=目標利益実現に向けた方策
情報武装
高精度の需要予測で設備投資の絞り込み
→ 資産効率の向上 → 総資産回転率up
生産の機動力アップ
柔軟な生産ラインで顧客の要求にあった商品を生産
→ 利益率の向上
• 製造原価の改善
ROE=目標利益実現に向けた方策
① 生産性30%向上活動:ラインの統廃合,高能率設備への切り替え実施
② 中期原価改善プロジェクト:中国・アジアを中心に原材料の現地調達
拡大,生産のロボット化・自動化の推進
③ 商品販売価格の改善:付加価値の高い商品・サービスの導入による価格
upの定着
コスト削減と付加価値の向上による利益向上を目指す。

2017経営分析論Ⅱ④