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(12)人事評価
- 1. 人的資源管理論 Theme 12 人事評価
Theme12 人事評価
【構成】
1 人事評価の機能と構成
2 評価の理論:評価要素のとらえ方
3 人事考課制度の実際
4 人事考課の日本的特質
1 人事評価の機能と構成
1-1 人事評価の目的と役割
※ 中小企業
経営規模が中以下の企業。
中小企業基本法によれば、
鉱工業・運送業などでは
資本金 1 億円以下並びに従業員数 3 百人以下、
小売業・サービス業では
資本金千万円以下並びに従業員数 50 人以下、
卸売業では
資本金 3 千万円以下並びに従業員数が百人以下のもの。
(問)企業は何のために「従業員を評価する制度」を導入するのか?
(答)従業員の「今の状態」を「知り、評価」することで…
① 人材の「適正な配置 「有効活用 「公正な処遇」に役立てる
」 」
∥
人事管理の目的
② 従業員の行動を変える
経営の長期目標 「こうした会社を作りたい」
↓
「期待する人物像」=「従業員への期待」=評価者の評価基準を支える「憲法」
↓
従業員は「こうなってほしい」方向へ向かって努力
1-2 人事考課制度の基本原則
(問)従業員の「いまの状態」を「知り、評価する」うえで、最も中核をなす方法とは?
(答)「上司が日常の業務遂行を通して部下を評価する」こと
∥
人事考課制度
配置・能力開発・処遇に大きな影響力を持つため、
-1-
- 2. 人的資源管理論 Theme 12 人事評価
従業員にとって納得できない制度は 労働意欲の定価を招く
↓
回避するための4つの基本原則
① 公平性の原則
人事考課=企業の経営目標を実現するための評価
↓
× 従業員個人の性格で評価する(基準の不公平)
× 評価者の個人的な好みで評価する(基準の不公平)
× 人脈重視で評価する(運用の不公平)
○ 経営目標の実現に関連する基準にもとづいた、
同じ評価制度のもとで
すべての従業員が「公平」に評価される
② 客観性の原則
評価基準を適用する場合
↓
× 評価者の主観により判断が左右される
○ 客観的に表現された基準と手続きにより判断する
③ 透明性の原則
人事管理の変化の方向
実績と能力を厳しく評価 → 処遇面での個人格差の拡大 → キャリアの多様化
↓
評価に対する従業員の不満(↑)の恐れ
↓
人事考課の基準や結果などを被評価者に公開し、
評価に対する従業員の納得性を高める
∥
「透明性」のねらい
④ 加点主義の原則
企業戦略の変化
厳しい経営環境への対応 → 挑戦的で革新的な組織の形成
これまで:年功的な人事管理=減点主義(失敗を評価)
↓
× 従業員の姿勢「失敗しないように無難に働こう」
↓
これから:○「失敗を恐れずに革新的なことに挑戦する」
↓
加点主義の重視
2 評価の理論:評価要素のとらえ方
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- 3. 人的資源管理論 Theme 12 人事評価
適切な人事考課制度を作りあげる際の留意点
(1)4つの原則の遵守 (☞ 1-2)
(2)評価要素の構成と特質を十分に理解する
↓
理由:従業員の「何」を評価するのかを明らかにするため
↓
手がかり=「業務遂行プロセス」の要因分析
経営目標への直接の貢献・間接の貢献
2-1 業務遂行プロセスと評価対象の構成
2-2 評価要素の特質と相互関係
(1)評価要素の特質
能力やモチベーションを重視 仕事そのものを重視 仕事のいまの結果を重視
∥ ∥ ∥
潜在能力と労働意欲 職務行動と仕事 業績
インプット スループット アウトプット
安 定 評価の安定性 不安定
従業員自らのコントロール可能 従業員自らのコントロール不可能
業績を左右する環境条件 業績を左右する環境条件
・潜在能力 ・組織内の事情
これまでの仕事や教育訓練により ・市場
蓄積された知識やスキルにより構成
(2)評価要素間の相互関係
想定される相互関係
より高い潜在能力 より適切な職務行動 高い業績
より高い労働意欲 より重要な仕事の担当
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- 4. 人的資源管理論 Theme 12 人事評価
↓
評価要素の代替制:業績=潜在能力 or 労働意欲 or 職務行動 or 仕事
企業の最終目標は〝業績を高めること〟だが〝業績〟だけが業績の評価要素ではない
3つの問題点
① 個人の裁量を超えた環境条件の変化
→ 業績の変動 → 評価結果が不安定 → 評価に対する納得性(↓)・労働意欲(↓)
② 業績=短期で評価
→ 長期的変化〔市場・技術・経営戦略〕への適応力(↓)
③ 業績偏重による短期の目標達成
→ 配置と能力開発の「いまの状態」に歪み → 雇用のミスマッチの拡大
長期的な観点に立つ「人材を育成する人事管理」の必要性
3 人事考課制度の実際
3-1 人事評価の仕組み
① 評価要素:何を評価するのか
対象となりうる評価領域 能力評価:a)潜在能力 b)労働意欲 c)職務行動
職務評価:仕事
業績評価:業績
実際に評価されている要素
〔これまで〕
○能力評価 → a)
○業績評価
○情意評価 → b) c)
×職務評定
↓
〔これから〕
新たな動向
顕在化した職務行動の性格を体系的に評価
∥
コンピテンシー評価
② 評価の方法:どのように、いつ評価するのか
どのように
課題:評価の客観性と公平性を確保し、
評価者の過誤と評価者間の不均衡を回避する
人事考課の代表的な過誤
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- 5. 人的資源管理論 Theme 12 人事評価
エラー 内 容
ハロー効果 とくに優れた点、劣った点があると、
それによってそれ以外の評価が影響されてしまうエラー
寛大化傾向 (S)や(A)など評価を甘くつけてしまうエラー
中心化傾向 評価が平均に集中してしまうエラー
↓
回避のための仕組み
ⅰ)評価基準の客観的
例:「評価基準の細項目」
↓
評価する管理者が十分な評価能力をもっておらず、
管理者間で判断の基準が統一化されていないと、
客観的基準があっても、絵に描いた餅
↓
ⅱ)考課者訓練
ⅲ)評価者の多層化:直接の上司評価に加え、何段階かにわたって複数の人が評価を行う
いつ
考慮すべき点:評価基準の性格
短期に変動しやすい評価要素の場合 評価の Time Table
① 情意考課 → 半年に 1 回 事業年度の前半期終了
② 業績評価 → ①+②
変動の少ない評価要素の場合 事業年度の後半期終了
③能力考課 → 1年に1回 ①+②+③
③ 評価結果の活用:評価の結果をどのように活用するのか
目的が、適正な配置と部下育成の場合 → 能力評価
目的が、昇進・昇格・昇給・ボーナスの処遇の場合
ボーナス=短期的な成果に支払う給与 → 情意考課
業績考課
昇進・昇格・昇給 → 長期的な視野が必要 → 業績評価+能力評価
4 人事考課の日本的特質
何を評価するのか
①能力評価 → 長期評価 → 職能資格制度=従業員の潜在能力を重視=日本
② 職務評価 → 長期評価 → 職務分類制度=職務そのものを重視=欧米
③ 業績評価 → 短期評価
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- 6. 人的資源管理論 Theme 12 人事評価
↓
日米の人事考課の最大の相違点
〔まとめ〕
日本:全従業員=能力重視の長期評価と短期評価の組み合わせ
欧米:ホワイトカラー=仕事重視の長期評価と短期評価の組み合わせ
ブルーカラー =仕事重視の長期評価
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