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(01)人事管理のとらえ方
- 1. 人的資源管理論 Theme1 人事管理のとらえ方
Theme 1 人事管理のとらえ方
【構成】
1.人事管理を取り巻く環境条件
2.転換期にある人事管理
3.人事管理の機能と構成
4.日本型人事管理の特徴
1.人事管理を取り巻く環境条件
労働市場の構造変化の概観
a)労働力人口 b)労働力人口の構成
c)高学歴化の進展 d)女性の社会進出
e)働く意識の変化
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- 2. 人的資源管理論 Theme1 人事管理のとらえ方
2.転換期にある人事管理
2-1 日本企業にとっての「ヒト」の位置づけ
1980 年代までの日本企業の成功
日本企業の競争力の秘密は「日本型の人事管理」にあるのではないか?
しかし、それは
「作れば売れる」市場条件=「市場リスク」の小さな高度経済成長期に形成されたもの
日本=人件費の高い国→日本企業の経営のあり方に影響
× 安い人件費 → 標準的な製品・サービスを安く提供する戦略
○ 付加価値の高い製品・サービスを提供する「先端的な市場」での競争
↓
高付加価値な製品・サービスとは…
a)「ヒト」の知恵と工夫の産物である
競争力=優秀な人材をいかに確保し有効に活用するか
→企業内部の「ヒト」の問題を支えるのは?
→「人事システム」=企業経営上の重要な管理分野
b)これまでにないリスク(=開発・生産が困難+売れ行きの不安定さ)を有する
企業は市場の高リスクに直面 → 最良の方法とは?
〔モノについて〕
必要なときに必要なだけ生産 → 余分な在庫を抱えるリスクが減る
必要なときに必要なだけ調達
〔ヒトについて〕
長期的な視点に立つ人材の確保・育成・活用が必要
(理由)
開発をやめるわけにはいかない
開発できる人材を「必要なときに必要なだけ」確保することは困難
「いま」進みつつある人事管理の構造改革を見定める視点とは?
1 短期の課題と長期の課題のトレード・オフ(二律背反関係)
-2-
- 3. 人的資源管理論 Theme1 人事管理のとらえ方
② 拡大する市場リスク ⇔ 付加価値を作り出す人材の確保
3.人事管理の機能と構成
3-1 企業活動と「管理」の関係
企業の経営目標=利益をあげる
資源(ヒト・モノ・カネ)の調達 → 製品・サービスへの変換 → 外部への提供
管理システムの機能:経営活動が効率的・効果的に行われるように管理すること
※ 経営活動=インプット~変換~アウトプット
管理システムの主要な構成要素
財務管理
生産管理
販売管理
人事管理
3-2 企業活動と「ヒト」の管理
1 人事管理の役割
組織・部門の「ヒトの調達 「ヒトの活用」が
」
「組織・部門の目標」を達成する方向で
効率的・効果的に行われるように管理すること
1人事管理の目標
1 短期の目標
効率的・効果的な「ヒト」の調達と活用により、
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- 4. 人的資源管理論 Theme1 人事管理のとらえ方
組織・部門の「いま」の生産性の向上を図る
2 長期の目標
変化への対応力を持つために「有能な人材」を蓄積すること
↓
2つの意味
a)業務に関連する高度な知識・能力・スキルを持つ
b)労働意欲と、会社に対する帰属意識が高い
⑶ 人事管理の構成
個人の職業生活の流れ
「社外から採用される」=採用管理
↓
「仕事に配置される」=配置・異動の管理
↓
「新しい仕事につくので研修を受ける」=能力開発管理
↓
「働く条件が整備される」=就業条件の管理
↓
「生活と調和した働き方が整備される」=生活と調和した働き方の管理
↓
「働きぶりが評価される」=人事評価の管理
↓
「昇進する」=昇進管理
↓
「賃金などの報酬を得る」=賃金と福利厚生の管理
↓
「退職する」=退職・雇用調整
4つの主な機能
1 雇用管理:人材(=労働力)を確保し、仕事に配置する
2 就業条件管理:人材が能力を発揮できる就業の条件を整備する
3 報酬管理:働きに対する報酬を決める
4 人事評価:従業員の働きぶりを評価する
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- 5. 人的資源管理論 Theme1 人事管理のとらえ方
※「人事評価」=「基本システム」と「サブ・システム」をつなぐ連結環
※「基本システム」=「このような社員群には、このようなことを望んでいる」を示す
⑷ 基本システムとは何か?
基本システム= a)社員区分制度+ b)社員格付け制度 すべてのサブ・システムのあり方を規
定
a)社員区分制度
社員区分制度とは、
企業が、人事管理の細部の仕組みを設計する前に
従業員を 異なる人事管理の体系が適用されるグループに、
どのような基準で区分するのかを決めること をいう。
【なぜ社員区分制度は必要なのか?】
企業=多様な従業員を雇用=仕事内容、働き方、キャリアの見通しが異なる
→ひとつの人事管理体系の全従業員への適用 →管理上の不都合
b)社員格付け制度
社員格付け制度とは、
企業は経営にとって重要であると評価した従業員に
高い地位と給与を与えるが、
この「重要さ」の尺度を決め、
それに基づいて 従業員のランクを決める仕組みのこと をいう。
【なぜ社員格付け制度は必要なのか?】
a)人事評価・賃金・昇進管理の仕組みは 社員格付け制度をベースとするため
b)従業員の能力開発システム設計の基礎となるため
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- 6. 人的資源管理論 Theme1 人事管理のとらえ方
4.日本型人事管理の特徴
4-1 人事管理の設計思想と基本システム
設計構想 →(規定)人事管理システムの骨格=基本システム
設計思想=「従業員の生活をできるかぎり保証する」
↑
前提:長期的視野に立った経営
↑
資本市場の日本的特質に基盤
株主=相互持合
短期の成果より安定的成長
基本システム
社員区分制度 社員格付け制度
世帯主の男性の雇用安定 基幹的社員 年功制度※
世帯主ではない女性 補助型社員 ―
※年功制度=生計費に見合った給与=年齢・勤続年数の重視
4-2 基本システムと人材の調達と配分
人材調達における2つの特徴
1 部からの人材調達=新規学卒者+最も下のランクの仕事に配置
② 欠員の内部調達と内部昇進
a)内部調達
市場および経営戦略の変化による仕事の減少への対応策として
例)社員の企業内での再配置=基幹的社員の雇用確保
b)内部昇進
年功制度=給与が年齢と勤続年数で上がってゆく
生産性に見合った仕事の高度化の必要
例)上位ポストに空席 → 企業内で勤続年数の長い人を優先的に配置
4-3 基本システムと賃金決定
社員区分制度(基幹的社員)+社員格付け制度(年功制度)
→職位や職種にかかわらず、すべての職員を同一の方法によって処遇
→画一的・平等主義的な報酬政策(⇔ 海外では当たり前ではない)
例)月給制(給与の支払方法)
社員食堂の利用
作業服(全社員共通)
(補)労働関連の法制度と政策
労働関連の法制度-3つの領域
1 個々の労働者と使用者との雇用関係を規制し、労働者が働く際の条件の最低基準を設定
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- 7. 人的資源管理論 Theme1 人事管理のとらえ方
例)最低賃金法:最低の賃金を定める
労働基準法:労働時間を規制する
安全衛生法:職場の安全を確保する
② 労働組合と使用者・使用者団体との集団的労使関係をめぐる領域
憲法28条による労働三権の保障
団 結 権:労働者が労働組合を結成する、あるいは労働組合に参加する権利
団体交渉権:労働者が労働組合を通して使用者と交渉する権利
団体行動権:団体交渉などで要求が通らないとき、労働者がストライキによって
使用者に抗議する権利
↓
労働三権を実現するための法
例)労働組合法
労使関係調整法
3 労働市場の枠組みを作り、労働市場が適切に機能するように支援するための法律
例)職業安定法:労働力の需給システムに関わる法
会社が行う求人活動、ハローワークや民間の職業紹介会社など
職業能力開発促進法:労働者の能力向上を支援する
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