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(06)雇用調整と退職の管理
- 1. 人的資源管理論 Theme 6 雇用調整と退職の管理(雇用管理④)
Theme 6 雇用調整と退職の管理(雇用管理④)
【構成】
1 雇用の調整とは何か
2 雇用調整の体系
3 解雇
4 退職とセカンドキャリアの管理
1 雇用の調整とは何か
人材の確保と雇用調整の関係
① 新たに調達する 社外から調達=採用
社内から調達=配置転換
② 会社内で調整する=雇用調整
∥
広義:事業活動に要する適性雇用量を確保するために既存雇用量を調整すること
狭義:経営活動の縮小に合わせて従業員数を調整すること ex)解雇
2 雇用調整の体系
2-1 企業の雇用調整策
数量調整 人数調整 採用抑制
定年制、早期
退職優遇制
度
配置転換、
応援、出向
労働時間調整 残業調整政策
賃金調整
【用語確認】
※ 内製化率調整策:余剰人員が発生した際、外注していた仕事を短期的に内部に
取り込む=社内の仕事量を増やして余剰人員を吸収する方策
※ 入口政策:採用抑制によって流入してくる人数を抑制する
出口政策:流出(退職)する人数を増やす
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- 2. 人的資源管理論 Theme 6 雇用調整と退職の管理(雇用管理④)
内部調整策:余剰部門から不足部門に人員を異動させる
※ 一時帰休:雇用関係を継続したままで就業を一時停止すること。
労働基準法に従い、一時帰休の間は平均賃金の 60%以上の休業手
当が保障される。
※ 残業構造化策
(難)所定労働時間の変更(就業規則等で定められている)
(易)所定外労働時間の変更 → 残業時間の調整
↓
残業構造化策=人員少なめ+残業の常態化
2-2 雇用調整の手順
第1段階 残業時間削減(労働時間調整)← 背景:解雇をできるだけ回避
しかし
限界:調整時間が限られる
残業時間 =7%
総労働時間
↓
残業ゼロでも調整は1割弱
現実に残業ゼロは無理
↓
効果はさらに限られる
第2段階 自然減(人員の段階的な減少):採用抑制、欠員非補充、雇止め
内部調整:配置転換、応援、出向
最終段階 一時帰休 → 希望退職募集 → 指名解雇
2-3 雇用調整策の内容と希望退職
日本の企業はどの雇用調整策をどの程度の頻度で実施しているのか
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- 3. 人的資源管理論 Theme 6 雇用調整と退職の管理(雇用管理④)
〔順位〕 → 〔傾向〕 →〔役割〕
①残業調整(バブル崩壊後の不況期 38%) ①労働時間調整 終身雇用制保持
②中途採用の削減・停止(同 24%) ②自然減
③配置転換(同 17%) ③内部調整
④出向(同 12%) ↓
最後の雇用調整策:解雇・希望退職
希望退職制度
雇用調整の必要から退職者を募集する制度
参考)早期退職優遇制度
恒常的に退職者を募集する制度
希望退職制度の骨格
「誰を募集するのか」
→〔年齢 45 歳以上〕
「どのような条件で退職を促すのか」
→〔有利な退職一時金+特別加算金〕
※支給率=勤続年数+退職事由
↑
×自己都合退職
○定年・会社都合退職
3 解雇
3-1 解雇の日本的な特徴
日本の特徴:a) 解雇による失業は少ないが、
b) いったん解雇されると失業は深刻化する
理由
a)労使関係と人事政策への配慮および法的規制により、解雇に極めて慎重であるため
b)経営の決定を制約するルール・慣行に乏しく、高齢者を中心に解雇する傾向があるため
⇔ これに対し、アメリカには先任権ルールがある
3-2 解雇の法的規制
制定法:民法・労働基準法=企業の解雇権を容認
「企業の解雇自由の原則」
解雇に正当な事由は必要とせず一定の解雇期間をおけば自由に解雇できる
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- 4. 人的資源管理論 Theme 6 雇用調整と退職の管理(雇用管理④)
判 例:解雇濫用の法理の確立
「正当な理由のない解雇」は解雇権の濫用にあたり認められない
4つの条件
① 経済的必要性の存在(倒産の恐れがある)
② 解雇回避義務(残業規制、配置転換、希望退職募集など回避努力を尽くす)
③ 客観的・合理的な選定基準(被解雇者の選定は客観的、合理的である)
④ 説明・協議の必要性(労働組合・従業員への解雇の必要性・実施方法の説明)
現 実:企業の解雇行動に対する規制は厳しい
↓
長所:雇用が安定する
=〔労使関係が安定する+労働意欲の高い労働者を獲得できる〕
短所:特定部門の余剰人員程度では解雇できず、
会社全体の経営状態が悪化して、はじめて解雇が可能となる
3-3 解雇の国際比較
アメリカの特徴
経済的理由による解雇を 労働組合と協議・交渉することなく 会社が自由に決定できる
※ 工場閉鎖・部門の縮小など
ただし “先任権ルール”が存在する
内容 勤続年数の短い労働者から※解雇され、
勤続年数の長い労働者から再雇用される
※再雇用契約付き解雇:新たに従業員を採用する場合、
解雇した労働者を優先的に採用する解雇方法
条件 労働組合のある会社
目的 解雇の順位につき、使用者の恣意的な決定がなされないようにする
現状 労働組合の組織率 20%を下回る → 解雇の簡易化・迅速化が進んでいる
4 退職とセカンドキャリア(従業員の高齢期のキャリア)の管理
4-1 退職
① 自己都合退職:自主的な転職、家庭都合による退職、希望退職募集退職、早期退職
② 会社都合退職:定年退職、早期退職優遇制度、整理解雇
※ 年齢を理由に一律に従業員を退職させる定年制度に基づく退職
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- 5. 人的資源管理論 Theme 6 雇用調整と退職の管理(雇用管理④)
退職に関わる諸制度の体系
4-2 定年退職と役職定年
1970 年代まで 55 歳定年
1980 年代 60 歳定年が急増
↓
役職定年制度導入(↑)
年齢などを理由に役職者を
一律に解任する制度
理由
定年延長の伸び
=役職者の在任期間の伸び
=人事の停滞
(若手の昇進の遅れ)
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- 6. 人的資源管理論 Theme 6 雇用調整と退職の管理(雇用管理④)
従業員規模 5000 人以上のほぼ半数が導入(役職定年制度と早期退職優遇制度)
一般的な運用例:解任年齢=課長以上の 55 歳+解任後の賃金(↓)
運用上の課題:解任後の配置
「知識・技能・経験」
「人脈・人間関係」
↓
元の職場への配属
↓
「モチベーションの低下」
「部下が以前の上司」
↓
他の職場への配置
4-3 定年退職後の継続雇用制度
定年後の高齢者の労働力率
60~64 歳 56.9%
65 歳以上 23.8% 総務庁(現総務省)『労働力調査』(1998 年)
↓
定年退職者の継続就労希望への企業の対応
① 再就職の斡旋・相談
② 同じ企業・企業グループでの継続的な雇用
a)勤務延長制度 b)再雇用制度
約 7 割の企業が継続雇用支援策を採用
再雇用制度が主
課題
ⅰ)×希望者全員の再雇用
ⅱ)公的年金の支給開始年齢 65 歳へ
↓
60 代前半層従業員への働く場の提供は?
4-4 早期退職制度と転職・独立開業支援制度
従業員 5000 人以上
早期退職優遇制度 58.2%
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- 7. 人的資源管理論 Theme 6 雇用調整と退職の管理(雇用管理④)
転職援助斡旋制度 26.4% 高齢者の処遇に悩む大企業
独立開業支援制度 17.3%
早期退職優遇制度
誰を対象にする制度なのか=40 代後半以降 ※大企業では早期化の傾向
どのような優遇条件なのか=退職金の優遇
会社都合扱いの退職金を適用
退職金に割増金をつける
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