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第一回ナンセンスプレゼンテーションの会:生産No2

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第一回ナンセンスプレゼンテーションの会:生産No2

  1. 1. 生産政策課題レポートNo2 ◎本レポートでは日吉駅前商店街の貸本屋「ダダ書房」を分析の対象とする ダダ書房 概要 店主:岸芳子さん(84歳) 業容:貸本業(コミック・小説)・書 籍販売(新刊・古本)・DVD販売 沿革: 昭和20年頃、先代店主が貸本 業を始める 昭和44年、現在の店主の岸さ んが権利を買い取る 以降は特に変化なし 名前の由来: 先代の店主がダダイズムにちな んで命名 営業時間:AM12:00~PM11:00 定休日:水曜日
  2. 2. ダダ書房の見取り図 ◎商店街によくある小規模書店。空間を最大限利用して本を陳列している 5m程度 ガ 不 書架 ラ 明 ス ケ 書 ー 書 • 店内はほぼ上から下まで書 ス 通路 架 架 (外 架で埋め尽くされている 向 け 顧 書架 椅子 ) • 書架が多いため全体的に通 客 通 名 路は狭い 書 4m 通路 簿 机 路 架 程 • 店外にも書架、ガラスケース、 書 書架 度 架 書 ラックなどがあり、古書や書 (外 籍の販売をしている 架 向 通路 け ) ラック ラック 返却用窓 (後述) ガラス戸
  3. 3. ダダ書房の貸本オペレーションフロー ◎ダダ書房の貸本業務は以下のようなフローにそって処理されている 書 籍 関 書籍購入 陳列 連 定 常 業 務 顧 営業日 手渡しで 対 客 返却 応 関 顧客登録 貸出し 連 • 定休日の水曜日 窓から には返却用窓か ら中の箱に貸本 返却 定休日 返却なし を返す 成功 成功 問 題 欠品の 貸出し 返却なし 対 督促 回収 補充 の中止 失敗 失敗 応 • 全巻揃わないとき • 岸さんが客の家 • 紛失した本を書 • 電話か郵送で返 はそのシリーズの までとりにいく 店で買うなどする 却をうながす 貸出をやめる
  4. 4. ダダ書房の問題系の整理 ◎「利益を上げる」という目標にそった場合の問題を整理する 問題 分解 ①店に入りづらい 来店者数 × 分解 ②貸本と古本の区別が解りにくい 売上 購入率 × ③通路が通りにくい 客単価 - 利益 定常業務 ④貸出業務に無駄がある コスト + 問題対応 ⑤督促・回収コストが大きい コスト 分解 コスト + 業務以外の コスト 分解
  5. 5. 問題①店に入りづらい ◎ダダ書房の問題とその原因を分析する 商品の陳列がおかしい ①外の書架や入り口付近にエロ本があり、心理 原因 問題 的に店内に入りづらくなっている 目立つ位置にエロ本 が置いてある。普通の 人には立ち寄りにくい この部分は通常の古 本なのだが、エロ本が 近くにあるため手に取 るのに躊躇してしまう
  6. 6. 問題②貸本と古本の区別が解りにくい ◎ダダ書房の問題とその原因を分析する 商品の陳列がおかしい ②同じ棚に貸本・古本などが並べて陳列してあり、 原因 問題 一見しただけではどれがどれなのか解らない。 上 この書架の陳列イメージ 貸本 DVD 古本 新刊 古本 新刊 貸本 下
  7. 7. 問題①と②の改善案:商品陳列を変える ◎各商品をあるべき位置におくことで状況が改善できる 改善案 商品陳列を適正化することで、問題①や②は解決できる。 陳列は一度変えてしまえば継続的に効果をもたらす。 古 不 エロ本 本 明 • エロ本は目立ちにくい店の奥 貸 貸 の書架に配置 本 本 通路 顧 • 貸本は店内の貸本コーナー 貸本 椅子 客 に陳列 名 通 貸 簿 机 通路 路 本 • 古本は通行人のフックにして 貸本 貸 店内に誘導するために外向 古 本 本 けの書架、ラックに陳列 通路 古本 古本
  8. 8. 問題③通路が通りにくい 書架にあるものも含め、適当なタイミン ③狭い通路部分に在庫の古本が積まれ、 改善案 問題 グで在庫を処分する 通行や書籍検索の邪魔になっている 「仕入インフロー イメージ:赤の部分が在庫 通行の =販売アウトフロー+処分アウトフロー」 邪魔になる 継続的に行なうためには適切な在庫処分システ ムを作る必要がある。以下は一案である。 後ろの書架 のアクセスを 古 新 処 仕 塞ぐため本 分 入 が手にとれ ず売上の阻 害要因にも なっている • 常に一定方向(ここでは右)から 新しく仕入れた本を追加していく。 • 月に一度程度、左の古い本を何 在庫が溜まるのは「仕入インフロー>販売 原因 冊か処分する アウトフロー」になっているから。 • この方法なら売れない本は次第 古本は個人買取のため仕入がランダム。 に処分され、また手間も少ない コントロールできないので溜まりやすい。 参考:「超整理法」野口悠紀夫
  9. 9. 問題④貸出業務に無駄がある 不明だが、あまり考えずに業務フローを ④貸出時のオペレーションは以下の通り 問題 原因 作ってしまったのではないか 1.貸本の裏表紙 より簡便な処理法を考えた 改善案 にあるシート (左)に月日と 1.受付シート(下参照)に必要事項を書く 会員番号を書く 2.シートにある基本料金をもらう 2.顧客名簿に月 日と貸した本の 受付シートイメージ 名前を書く 月日 会員番号 書籍名 3.シートにある基 10月9日 348 パタリロ! 12巻 本料金をもらう • しかし、実は貸本のシートには何も書く必 要はない。なぜなら貸している間はその情 報は借りている人しか見れないし、返却さ • 貸本のシートへの記入はなくすので手間 後はもう必要ない。無駄である。 が省ける • また、現在貸し出している本を把握するた • 貸出中の会員のリストがあるので、情報 めには全ての顧客名簿を調べないといけ の検索に手間がかからない ない。手間がかかる。 • 督促もしやすくなる
  10. 10. 問題⑤督促・回収のコストが大きい 遅延・紛失に対する防衛策がない ⑤貸本を返さない会員に対する督促、回 問題 原因 収に時間や費用がかかっている • 問題の前提として、ダダ書房の貸本には期限 • 貸本が返却されない場合、電話や郵送で督 がない。基本料金を払い、返却時に1日ごと 促する の追加料金を払えばいつまでも借りられる。 • それでも返却されない場合や連絡がつかない • このような仕組み自体が返却の遅延を招いて 場合店主の岸さんが直接会員の家まで行く いると考えられる。会員は「いつまでに返す」 • 追加金はいらないから返却してほしい、という という明確な意識がないまま本を借り、そのま ケースもあるし、紛失してしまっていた、という ま忘れてしまう ケースもある • こうした結果返却が遅れると、超過金を払う • 紛失の場合、欠品が出るので、再入手の手 のが心理的に苦痛になる。漫画であれば単 配をとる 価は数百円であるため、負担が大きく感じる • 再入手もできないとき、コミックスなどで全巻 からである。 揃わないようになったらそのシリーズは全て • また、貸出の料金は貸本購入時の定価で決 貸し出しをやめ、しまいこむ まるが古い漫画などは絶版になっているもの • 以上のように、遅れに伴う督促、回収などに が多い。入手が困難・高額だったりする。 多大な時間と費用がかかっている • 古い漫画ほど定価は安いが、回収費用は高 い。つまり、簿価と時価の差が問題化してい る。
  11. 11. 問題⑤の改善案:貸出期限と料金の時価管理 貸本の料金を時価で算出する 改善案 貸出期限を原則1週間とする 原因 • 古い貸本の場合、貸出料金は安いのに紛失 • 貸出期限を設定することで会員の返却の意 時の出費は大きい。 識が高まる • 新しい貸本の場合、貸出料金は高いのに、紛 失時の出費は小さい。 • 期限を決めることで督促のタイミングも一定に • こうしたアンバランスを防ぐために、貸出金額 定まるため、一律に対応しやすい。 を「購入時の価格(=定価)×○○%」で決め るのではなく、「紛失時の再購入費用(=時 • 早いタイミングで連絡することで、紛失の可能 価)× ○○% 」で決める必要がある。 性も減る • 年に1回程度、料金を再設定し紛失時のリス クをヘッジするべきである • 会員にとっても追加料金の余計な支出がなく • 時価の調査が面倒であれば、経過年数から なる 一律に係数を決めて定価にかけてもよい。 (例)10年ごとに係数を2倍するとき 30年前の360円のコミックス ⇒2の三乗×360円×10%=288円
  12. 12. 以上、問題・原因・解決策を分析してきた。 しかし…
  13. 13. ダダ書房の問題は本当に解決すべきなのか? ◎利益を目標としてダダ書房のオペレーションを改善することは適切でない ダダ書房はすでに営利企業ではない 理由1 • 岸さんへのインタビュー 「最近は儲かっているんですか?」 「儲かってないわよー。おばあちゃん仕事だもん。もう子供も育ちあがったし、ただ漫画が好 きでやっているのよ。漫画は素晴らしい文化なのよ。平成の時代にこういう店があっても いいでしょう。」 ダダ書房は多分もうすぐなくなってしまう 理由2 岸さんは現在84歳。現状はお元気のようだが、いつまでダダ書房を続けられるかは解らな い。オペレーションを変えるより、長くなじんだやり方で続ける方がメリットが大きい ダダ書房は存在そのものが貴重な「文化事業」であり、 今のままの姿でいるだけで十分な価値がある
  14. 14. まとめ ◎以下、いくつか感じたことを… • 授業でもよく教わることであるが、何のためのオペレーションなのか、深く目的を考える必 要がある。ダダ書房の場合、顧客は別に主人公ではないし、利益は目的ではない。主人 公は店主の岸さんであり、目的はダダ書房そのものである • 日本にはこれまでダダ書房のような「文化事業」の店・会社がたくさんあったのではないだ ろうか。そのような店や企業が利益を第一に考えず社会に貢献してきたことの意義は高く 評価すべきであると思う。 • 一見問題に見えるものは本当に問題なのだろうか。それは何か、目に見えにくい価値に 寄与しているのではないだろうか。問題に見えるものが残り続けているのにはそれなりの 理由があり、問題ではないのかもしれない。

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