「伝統食品企業の海外進出戦略 ～組織風土との関係～」

1. 伝統食品の海外進出
における組織風土との関係
～日本酒と日本茶を事例として～
飯田
皿井
鈴木

2. 目次
１．背景
２．目的
３. 仮説
４．手法
５．検証
６．まとめ
７．提案

3. 背景

4. 背景
伝統食品とは
「日本で古くから歴史的に形成・蓄積され、
世代をこえて受け継がれてきた食品」

5. 背景
「 日本の伝統食品は、その栄養価の高さ
と食材の種類の豊富さで、健康的で本
質的な食生活を送るために最も適して
いると海外で注目されている。」

6. 背景
「 日本の伝統的な食文化が、代表的な
”世界の健康食”として定着するのも、
そう遠い未来ではないかも...」
「海外から注目される日本の伝統食品」http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20160718/zuuonline_114089.html

7. 背景
日本酒と日本茶に着目した理由

8. 背景
日本酒の現状
日本酒の出荷量 日本酒の輸出量

9. 背景
日本茶の現状
日本茶の生産量 日本茶の輸出量

10. 背景
両
者
に
共
通
し
て
言
え
る
こ
と
・・

11. 背景
生産量は減少しているが、輸出量は増加している
グローバル化が進んでいる

12. 背景
さらに

13. 背景
Ex）従業員規模（日本酒）
6人
30人
＜
輸出あり 輸出なし

14. 背景
Ex）従業員規模（日本茶）
8人
100人
＜
輸出あり 輸出なし

15. 背景
どのような特徴があるのだろうか？

16. 目的

17. 伝統食品企業の新たなグローバル戦略の提案
目的

18. 目的
研究の位置づけ①
企
画
進
出
先
選
定
販
売
戦
略
本研究 多くの先行研究

19. 目的
研究の位置づけ②
• 「竜王鮒ずし工房」
「麻伝統産業会館」でのヒアリング
• RECROIT
「企業の組織風土と業績の関連をデータで探る（2006）」
組織風土に着目

20. 目的
本研究
組織風土進出先選定
伝統食品

21. 仮説

22. 仮説
組織風土は海外進出するかしないかに影響を与える
組織風土はどこに進出するかに影響を与える
組織風土は進出先の決定要因に影響を与える
仮説①
仮説②
仮説③

23. 組織風土①
オフィサー風土
まじめで誠実さをもち、堅実に課題に取り組む風土。
社会のルールに従いつつ、余裕をもって事業を進め
ていく守りの強さのイメージがある。
キーワード：「堅実」 「誠実」 「慎重」

24. 組織風土②
コーディネーター風土
キーワード：「寛容」 「保守的」 「安定的」
温かくアットホームな雰囲気のなかで、現状を安定的に
維持していこうとする風土。コミュニケーションを親密に
とりながら仕事を進めていく家族的なイメージがある。

25. 組織風土③
パイオニア風土
キーワード：「情熱的」 「創造」 「開拓」
開放的で、意志と理想をもってポジティブに変化を
生み出していく風土。情熱的に新たな市場を開拓して
いくイメージがある。

26. 組織風土④
チャレンジャー風土
キーワード：「競争」 「自立」 「変化」
厳しい競争環境のなかで互いに切磋琢磨しながら、
迅速にかつ大胆に決断していく風土。競争に挑み、
ハングリーに理想を追い求めていくイメージがある。

27. 手法

28. 手法
アンケート
ヒアリング

29. 手法
対象：全国の日本酒・日本茶の製造・販売企業
実施期間：2017年1月11日～1月25日
実施数：180社
有効サンプル数：70社
回収率：39%
アンケート

30. 手法
アンケート内容 ※すべて選択式
❶組織風土について教えてください。
❷海外進出の状況を教えてください。
❸現在の海外進出先を教えてください。
❹海外に進出する際に、進出先選定のポイントとなった点
を教えてください。

31. 検証

32. 検証
カイ2乗検定
対象から得られたデータ数の偏りに差があるか否か を判断する
２つの回答間に関連性があるかどうかが分かる
分析方法

33. 検証
組織風土は海外進出するかしないかに影響を与える
仮説①

34. 検証
「海外進出しているか否か」 と
「どのタイプの組織風土か」 の回答数
組織風土は海外進出と関連性があるか
カイ２乗検定
１
対象

35. 検証
＜分析結果＞ 関連性がある
５％有意水準

36. 検証
コーディネーター風土は
海外進出しない傾向が強い

37. ヒアリングに行って確認

38. 検証
マル信緑香園 伊藤典明様 <1月25日 9時30分>
【会社概要】
業務内容：お茶の製造，販売，商品開発，普及活動
所在地：三重県いなべ市大安町石榑南2225-2
創立：明治6年
従業員：5人+繁忙期にアルバイト
ヒアリング

39. 検証
コーディネーター風土の企業が
海外進出しない理由…
輸出する必要がないから
“できない”のではなく“あえてしない”

40. 検証
コーディネーター風土は
海外進出しない傾向が強い
新たな知見

41. 検証
組織風土は海外進出するかしないかに影響を与える
仮説①

42. 検証
組織風土はどこに進出するかに影響を与える
仮説②

43. 検証
「どのタイプの組織風土か」 と
「どこに進出しているか」 の回答数
組織風土は海外進出先と関連性があるか
カイ２乗検定
２
対象

44. 検証
１０％有意水準
オフィサー風土は
アメリカに進出しない傾向が強い

45. 検証
１０％有意水準
オフィサー風土は
ヨーロッパに進出しない傾向が強い

46. 検証
１０％有意水準
パイオニア風土は
アメリカに進出する傾向が強い

47. 検証
① オフィサー風土は
アメリカ・ヨーロッパに
進出しない傾向が強い
② パイオニア風土は
アメリカに進出する傾向が強い
新たな知見

48. 検証
組織風土はどこに進出するかに影響を与える
仮説②

49. 検証
組織風土は進出先の決定要因に影響を与える
仮説③

50. 検証
要素Ａ 外部からのアプローチ
☑国や自治体からの支援や誘いがあったから
☑他社からの誘いや、共同での事業展開の話があったから
要素Ｂ 現地の環境
☑現地の人々の味覚と自社製品の相性がよい
☑人件費や労働者の質、労働法規の面で優位性があった
☑物流事情が良かった
☑現地の気候が、自社製品の製造に適していた
☑現地の宗教・習慣などの文化が製品に適していた
要素Ｃ 競合他社の海外進出状況
☑競合他社がすでに進出していた
☑競合他社がまだ進出していなかった
要素Ｄ 経営者のマインド
☑経営者(社長)の一声
要素Ｅ 現地パートナーの信頼度
☑信頼できる現地パートナーの存在があった

51. 検証
「どのタイプの組織風土か」 と
「海外進出の要因は何か」 の回答数
組織風土は海外進出の要因と関連性があるか
カイ２乗検定
３
対象

52. 検証
１０％有意水準
オフィサー風土は
外部からのアプローチにより
進出先を決定する傾向が強い

53. 検証
１０％有意水準
パイオニア風土は
競合他社の海外進出状況により
進出先を決定する傾向が強い

54. 検証
５％有意水準
チャレンジャー風土は
経営者の一声（マインド）により
進出先を決定する傾向が強い

55. 検証
① オフィサー風土は
外部からのアプローチ
② パイオニア風土は
競合他社の海外進出状況
③ チャレンジャー風土は
経営者の一声（マインド）
により、進出先を決定する傾向が強い
新たな知見

56. 検証
組織風土は進出先の決定要因に影響を与える
仮説③

57. アンケートを
さらに分析すると…

58. ５％有意水準
１０％有意水準
どの風土の企業も
信頼できる現地パートナーの存在により
進出先を決定する傾向が強い
カイ２乗検定 ４

59. ５％有意水準
１０％有意水準
どの地域に進出している企業も
信頼できる現地パートナーの存在を
最重要視している傾向が強い
カイ２乗検定 ４

60. 分析α
① どの風土の企業も
信頼できる現地パートナーの存在により
進出先を決定する傾向が強い
② どの地域に進出している企業も
信頼できる現地パートナーの存在を
重要視している傾向が強い
新たな知見

61. 各企業が、信頼できる現地パートナーの存在を
海外進出のポイントに挙げている理由…
輸出のために欠かせないから
現地パートナーの存在は必要不可欠
分析α

62. まとめ

63. まとめ
① オフィサー風土は
アメリカ・ヨーロッパに
進出しない傾向が強い
② パイオニア風土は
アメリカに進出する傾向が強い
① オフィサー風土は
外部からのアプローチ
② パイオニア風土は
競合他社の海外進出状況
③ チャレンジャー風土は
経営者の一声（マインド）
により、進出先を決定する傾向が強い
コーディネーター風土は
海外進出しない傾向が強い
２
１ ３
信頼できる現地パートナーの存在は
伝統食品の海外進出には欠かせない
４

64. 提案

65. 提案
信頼できる現地パートナーの存在
オフィサー
風土
チャレンジャー
風土
パイオニア
風土
コーディ
ネーター風土
外
部
か
ら
の
ア
プ
ロ
ー
チ
で
安
易
に
意
思
決
定
し
な
い
競
合
の
進
出
状
況
以
外
の
要
素
に
も
目
を
向
け
る
経
営
者
の
マ
イ
ン
ド
だ
け
で
方
針
を
決
定
し
な
い
あ
え
て
海
外
進
出
し
な
い
と
い
う
選
択
を
再
確
認
す
る

66. 伝統食品企業の新たなグローバル戦略の提案
研究の目的

67. 参考文献