平成27年度地域イノベーションシンポジウム

© 2015 Learning Entrepreneur's Lab Co.,Ltd. All rights reserved.無断複写・複製・転載はご遠慮ください。
地域イノベーションに生かす
無駄のない新規事業創造手法
2015年12月
平成27年度地域イノベーションシンポジウムin東京

© 2015 Learning Entrepreneur's Lab Co.,Ltd. All rights reserved.無断複写・複製・転載はご遠慮ください。
自己紹介
 顧客開発モデルやリーンスタートアップを始めとする「本当にツカえる起業ノウハウ」
を研究紹介し、アントレプレナーとともに実践するプロセス志向アクセラレーター
 スティーブ・ブランクの直弟子として顧客開発モデルの実践的教育プログラム
『リーンローンチパッド』に精力的に取り組む。プログラム修了者は1,000名超。上場
大手企業での導入例も増加中。
 翻訳書として『スタートアップ・マニュアル』、『アントレプレナーの教科書』（共に
翔泳社）、『顧客開発のトリセツ』（自費出版）、監訳書として『リーン顧客開発』な
どがある。ブログhttp://le-lab.jpで研究成果や最新情報を発信中

3無断複写・複製・転載はご遠慮ください。
© 2015 Learning Entrepreneur's Lab Co.,Ltd. All rights reserved.
リーン・スタートアップ
新規事業創造のための効率的な仮説検証方法とそ
のノウハウからなるマネジメント理論
アイデア
製品データ
構築
計測
学習
Build（構築）Measure（計測）Learn（学習）ループを
安く早く回して誰も欲しがらないものを作る無駄を排除する

顧客開発モデル
顧客発見
（聴いて検証）
顧客実証
（売って検証）
顧客開拓
（リーチを検証）
組織構築
（本格拡大）
ピボット
（軌道修正）
コンセプト開発テスト発売
顧客開発モデルの概念図
 「ヒト・モノ・カネを投じた挙げ句、
誰も欲しがらないモノを開発する」という
新規事業にありがちな失敗を避ける方法論
 4つのステップを通じて、顧客を相手に仮説検証
を繰り返し「再現可能でスケーラブルな
ビジネスモデル」を探索する
提唱者
Steve Blank
顧客開発
製品開発

従来の新規事業創造
コンセプト開発テスト発売
ここまできて初
めて誰も欲しが
らないことに気
づく・・・
ここまでの投資が全て無駄に！
¥¥ 開発費用 ¥¥ ¥¥ 販売費用 ¥¥

コンセプト
３
ねりなおし
無駄のない新規事業創造
開発（仮）発売
小さく
開発
小さく
開発売れた！
予算を一気に投じて一発勝負するのではなく
何度もやり直せるように少額で顧客ニーズ等を
一歩一歩確かめながら失敗リスクを減らし
新規事業の成功率を高めていく手法
（仮）発売
コンセプト
２
ニーズ
あり！
小さく
開発
やっぱり
売れない
コンセプト
１
欲しがられない（仮）発売
ねりなおし
ニーズ
あり！

無駄のない新規事業創造の3原則
 仮説検証志向
 最小限主義
 一点突破戦略

①仮説検証志向
仮説構築
検証
の実行
検証方法
の検討考察
仮説検証のポイント
 明確な仮説を構築して意識的・体
系的に検証する
 低コストかつ最速で進む方法で
検証する
 ビジネスの成功≪学び
当初考える製品の顧客ニーズやビジネスモデルはあくまで仮説と割り切り、寧
ろ効率的にそれを検証・訂正する活動に重点を置く
「早く」、「安く」、「テンポよく」

KA CR
KR CH
VPKP CS
C$ R$
スポーツジム
や
エステサロン
直販
製品販売に
よる顧客獲
得
製品
販売代金
開発者
製品開発
製造委託先
開発者
人件費
エクササイ
ズや施術の
効果が示せ
ない
大学
独自の高速高精
度測定技術
物体の三次
元形状をデ
ジタルデー
タとして記
録可能
製造原価
１秒間に数
百万点の座
標データを
計測
第1段階：仮説の構築と表現
頭の中にある考えを書き出す。
高速・高精度物体計測技術による測定機器事業
出典：ビジネスモデルジェネレーション（Alex Osterwalder他著、翔泳社）を改変
Source: BusinessModelGeneration.com
効果を
その場で
実感しても
らえる

第2段階：検証方法の検討
 検証すべき仮説と検証方法を検討する
 仮説の中で最も重要な不確定要素から検証してい
く（「挑戦の要」となる仮説）
 多くの場合、挑戦の要となる仮説は顧客ニーズ
 安く早くできる検証方法は「顧客との対話」

出典：Fredrik Malm, Flicker
第3段階：検証の実行
顧客と対話し製品へのニーズを検証する
エクササイズの効果が実感できない顧客が退会して
しまい困っていませんか？
特に困ってません。というか、そんなモノで正確に測定され
たら寧ろ逆効果です
エクササイズしたからってすぐには効果も出ないし、続けて
も変わらない人だって多いんですよ
えっ。。。。（汗）
でも、ECや通販で服を買う時に、それで計ったデータが
あるとよいですね
ECや通販では試着ができないので体へのフィット感が確
かめられずよく返品したりして面倒なのです

第4段階：考察
 インタビューの結果を整理し、
仮説が検証できたかどうかを検討し、
「軌道修正する」か「そのまま進むか」の結論を出す
 顧客自身の言葉から「裏付け材料」を得る

KA CR
KR CH
VPKP CS
C$ R$
スポーツジム
や
エステサロン
直販
製品販売に
よる顧客獲
得
製品
販売代金
開発者
製品開発
製造委託先
開発者
人件費
エクササイ
ズや施術の
効果が示せ
ない
大学
人体の三次
元形状をデ
ジタルデー
タとして記
録可能
製造原価
１秒間に数
百万点の座
標データを
計測
出典：ビジネスモデルジェネレーション（Alex Osterwalder他著、翔泳社）を改変
Source: BusinessModelGeneration.com
2周目第1段階仮説を再構築
衣料品の
EC・通販
試着できない効果を
その場で
実感しても
らえる
体へのフィッ
ト感をオンラ
インで確かめ
られる
独自の高速高精
度測定技術

②最小限主義
 最小限主義により製品開発等の期間を短縮し、予算消費
を抑制することで試行錯誤できる回数を増やす
 必要最小限の製品（Minimum Viable Product、MVP）
 初期顧客のニーズを過不足なく満たす必要最小限の製品
 仮説検証のための必要最小限の意味もあり
 初期は製品開発を極力避ける姿勢が重要

③一点突破戦略
 一人を満足させることに集中。万人受け狙いは悪
 切実なニーズにより不完全製品でさえ欲しがる初期顧客
（アーリーアダプター）を狙う
 一点に集中することが蟻の一穴につながる
 尖らせると刺さる
 「何でもできる」は何もできない
 顧客を絞り込むと市場規模は小さくなるが足掛かりと割
り切る

無駄のない新規事業創造手法の適用例
 大学発技術シーズによるベンチャーへの適用
 地域経済活性政策への適用
 自治体のインキュベーション施設への適用

大学発ベンチャーへの適用
 大学発技術による蛍光試薬の開発製造ベンチャー
 必要最小限の製品でニーズを検証。真の顧客価値を特定
してから事業拡大

島根県パートナー型ビジネス創出支援事業
 顧客との対話等でニーズを検証してから
大きく補助する事業創出補助金制度
典型的な新規事業創出支援事業パートナー型ビジネス支援事業
経済効果
無し
聞く検証事業
売る検証事業開発費用補助
開発できたが
誰も欲しがらない
ニーズ有り！売れた！事業拡大
経済効果
島根県パートナー型ビジネス創出支援事業に関する論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2015s/0/2015s_25/_pdf

自治体インキュベーション施設
 顧客開発モデルの教育講座『リーンローンチパッド』を
入居企業の事業進捗を加速させるために活用
施設へ入居
事業
計画書
審査
家賃優遇による支援
安住
期間満了時
殆ど事業進捗
してない
施設へ入居
事業
計画書
審査
家賃優遇による支援
典型的な施設
リーンローンチパッドの導入施設
2週間 2週間 … ゴール
初期顧客特定
製品仕様確定
ビジネスモデル
検証済み
2週間
期間満了時
仮説検証状況の確認と教育・アドバイスを複数社まとめて実施
➡共通言語による相互学習と健全な競争意識の醸成

リーンローンチパッド
 ゼロからの事業化手法を学ぶ教育研修プログラム
 事業化理論を学ぶとともに自身の研究成果や商品アイデアに適用し、想定顧客
や提携候補先との対話を通じてビジネスモデルを実際に構築していく内容
 リーンスタートアップ・顧客開発モデル
 ビジネスモデル記述ツール（ビジネスモデルキャンバス）
 アジャイル開発
 米国のThe Lean Launchpad・NSF I-Corpsを参考に我が国の環境に適合化し
たもの
• 純粋起業家だけでなく、既存企業の新規事業開発に
とっても有効なノウハウとして普及進む
学習
（2～3週間間隔）
1. 無駄のない事業創
造手法の学習
2 . 仮説検証結果の
発表と助言提供
実践
（2～3週間）
顧客ヒアリング等による
ビジネスモデルの
仮説検証・修正
「事業計画書の作成」「戦略・マーケティング・財務経理等の学習」のような
な従来型ではなく、事業創造の手法を身に付けながら事業創っていく講座

総括
 ノンリニアモデルの一例としてのリーンスタートアップ
・顧客開発モデル
 「仮説検証志向」「最小限主義」「一点突破戦略」によ
る無駄のない新規事業創造
 地域イノベーション（大学発ベンチャー、地域経済活性
化政策、自治体インキュベーション施設）への適用例の
紹介
無駄のない新規事業創造手法の適用により
地域イノベーションが活発化することを祈念しております
御質問等はtakashi.tsutsumi@le-lab.jpまで
本資料内の「The Lean Startup」はEric Ries氏の登録商標です。

参考情報
＜顧客開発モデル、リーンローンチパッド＞
日立Executive Foresight
http://www.hitachi.co.jp/products/foresight/strategy/015/
浸透する顧客開発、実践者が続々
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20121205/442166/
新事業の成功確率を上げる「リーンローンチパッド」
http://enterprisezine.jp/bizgene/detail/4772
＜リーンローンチパッド関連（自治体主催）＞
リーン・ローンチパッド静岡
https://www.b-nest.jp/marketing/sem_h27_02.html
http://bnest.eshizuoka.jp/e1351166.html
リーンローンチパッド大阪
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=20341
リーンローンチパッド＠ベンチャー神田
http://www.tokyo-kosha.or.jp/incubator/kanda/seminar/llp/index.html
リーンローンチパッド短縮版＠Tokyo Startup Gateway
http://tokyo-startup.jp/about
ビジネスモデル創造塾@島根県浜田市
http://www3.pref.shimane.jp/houdou/files/B6BC5FFA-6320-4305-9E43-FC9F22B11CE0.pdf
リーン・ローンチパッド@信州ベンチャーコンテスト
http://www.svbl.jp/2014/06/2014.html
＜顧客開発モデルの地域イノベーション活用＞
島根県パートナー型ビジネス創出支援事業に関する論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2015s/0/2015s_25/_pdf
＜リーンローンチパッド関連（大学・研究機関）＞
リーン・ローンチパッド＠筑波大学アントレプレナー育成プログラム
http://www.sanrenhonbu.tsukuba.ac.jp/ikusei/
早稲田大学EDGEプログラムビジネスモデル仮説検証プログラム
http://waseda-edge.jp/business.php
リーン・ローンチパッド東京工業大学
http://www.agl.titech.ac.jp/dojo/yamada/facilitato.html
リーン・ローンチパッド大阪大学
http://www.uic.osaka-u.ac.jp/EDGE/tec4.html
JSTさきがけ研究者向けScience For Society
http://www.jst.go.jp/presto/struct-lifesci/doc/h25_report.pdf
http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/research/scifos26.pdf
名古屋大学ビジネスモデル仮説構築プログラム
http://www.aip.nagoya-
u.ac.jp/extramural/event/detail/0001796.html

平成27年度地域イノベーションシンポジウム

Recommended

Recommended

More Related Content

What's hot

What's hot (20)

Viewers also liked

Viewers also liked (20)

Similar to 平成27年度地域イノベーションシンポジウム

Similar to 平成27年度地域イノベーションシンポジウム (20)

平成27年度地域イノベーションシンポジウム