Unityを使用した授業の活用事例と結果
Unity道場教育スペシャル2
日本電子専門学校 伊藤靖彦
◆本日のお話
1.Unityを使用した学生作品
   ●学生作品の一部をご紹介
2.当学科・対象学生の環境と直面していた課題
   ●学習量の多さ、挫折する学生の多さ、時代の変化の対応。
3.Unity導入後の授業運用
   ●ゲーム制作を優先する運用。
4.Unity採用後の結果
   ●Unityの採用後、どの様な変化があったか。
Unityを使用した学生作品
ゲーム制作研究科(3年制の作品)
◆Unityで開発したゲーム(一部)
【ゲーム作品】
 Unityを利用して、学生はどこまでゲームが作れるのか。
 当学科の学生が、Unityで制作した作品を紹介します。
学科・対象学生の環境と直面していた課題
なぜUnityを採用したのか
◆学科の説明
【学科】
 日本電子専門学校 ゲーム制作研究科(3年課程)
 プログラム / デザイン / プランニングを学習する学科。
 コース分けではなく、すべての項目を学習する。
 2015年から1年生が100名を超える状況に変化(現在も)
 入学者は「意欲的な学生」ばかりではない事が現状。
 
【従来の学習の流れ(大まかな流れ)】
学年 学習内容
1年生
C言語、2DCG、デッサン、Officeなど基礎学習。ゲーム
はDirectXによる2Dゲーム作成。
2年生
C++言語、3DCGなど1年次の応用が中心。
ゲームはDirectXによる3Dゲーム作成。
3年生 ゼミ形式のゲーム開発。
◆1年生 前期授業の一部
【プログラム授業】
 C言語 授業回数15回 1回270分(実習180分 / 講義90分)
 ゲーム開発 授業回数15回 1回270分(実習180分 / 講義90分)
【デザイン授業】
 CGデザイン 授業回数15回 1回270分(実習180分 / 講義90分)
 デッサン 授業回数15回 1回90分 (実技90分)
 この他にも、ハードウェア学習やOffice学習など、様々な授業があります。
◆学科の環境と直面していた課題
【当時の課題 / 対象は1年生】
 学習量の多さ、挫折する学生の多さ etc...
 C言語 + DirectXの開発環境では、形にするのに時間が掛かる。
 デザインやプランニングの学習もあるため、学習量も多い。
 コンピュータを触った事のない学生も多くなり、
 結果が出る前に、挫折してしまう学生が一定数いた。
◆Unity採用の理由
【採用の理由】
 ゲームエンジンを採用して「 ゲームを作る楽しさ / 面白さ 」の
 「経験 = 成功体験」を優先する授業内容へ変更。
◆Unityを利用した授業運用 - 前期 -
【対象科目と実施期間】
 ゲームプログラミングという授業で実施。
 4月 ~ 9月 授業回数15回 1回270分(実習180分 / 講義90分)
【前期の目標】
 全員がゲームを完成させる = 成功体験をしてもらう。
 ※ちなみにUnityを学習する授業は、1年生だけです。
◆Unityを利用した授業運用 - 前期 -
【前期の課題】
 Unityを使用してゲームを2本制作
 ・シューティングゲーム 第1週 ~ 第8週
 ・アクションゲーム 第9週 ~ 第15週
  両課題ともに、
  オリジナルゲームの制作まで行う。
◆Unityを利用した授業運用 - 前期 -
【課題のポイント1】
 ColliderやRigidbody、Triggerなど、Unityで用意されている
 コンポーネントを利用してゲームを完成させる(完成しちゃう)
 本来、開発に必要な難しい処理や計算式等は置いておく。
「 ゲームを作る / 作りこむ 」ことに集中させる。
◆Unityを利用した授業運用 - 前期 -
【課題のポイント2】
 UnityEditorの操作は、ハンズオン形式で一緒に行い
 操作で遅れる学生を減らす(0にはなりません)
 
 どうしても遅れてしまう学生は、サブ教員がフォロー。
 PC操作に慣れていない学生が複数いる場合は、
 座席を近くにして対応。
◆Unityを利用した授業運用 - 前期 -
【課題のポイント3】
 プログラムは、ほぼ写経。
 入力すれば動作するモノを教科書で配布(コピペ防止)
 ※自分で考える課題もあります。
 理解度向上のため、ソースコードには大量のコメント。
 (ほとんど説明文)
◆Unityを利用した授業運用 - 前期 -
【課題のポイント3】
 馬鹿げていますが、授業に追いつけない学生には効果的。
 欠席した学生でも、コメントを読めば
 授業に追いつけるため、フォローが減ります(0にはなりません)
 もちろん別ページに、処理の説明を記載。かなり効果的です。
 何よりフォローが減ります(残念ですが、0にはなりません)
◆Unityを利用した授業運用 - 前期 -
【課題のポイント3】
 プログラムの入力は時間で管理 / 調整。
 入力および動作確認が終わった学生は、処理内容や動作状況を
 テキストに図や絵・自分の言葉で書き込む。これも課題です。
 後でチェックします。これが地獄です、ご注意を。
 ※時間内にできない学生は、放課後は居残り。
◆以上の運用で・・・
【前期の結果】
 9割以上の学生が、課題だけではなく、
 カスタマイズしたオリジナルゲームを提出できた。
 また、グラフィックスも自作をした学生が8割以上だった。
 ※CGデザインの授業と一部連携。
◆後期の授業運用
【期間】
 10月 ~ 2月 授業回数15回 1回270分(実習180分 / 講義90分)
【後期の目標】
 前期に利用したUnityのコンポーネントの一部を作成していく。
 オリジナルゲームの作成。
◆後期の授業運用
【後期の課題】
 ゲームを2本作成(ドットイートゲーム / アクションゲーム)
【課題のポイント】
 前期に利用したColliderやRigidbody、Triggerなど、
 Unityで用意されているコンポーネントを使用せず、
 同様の機能を作成していく。
◆授業内容を一部抜粋
Bool IsHitRect( Rect a, Rect b )
{
  return Mathf.Abs( a.x – b.x ) < ( a.width / 2 + b.width / 2 )
&&
      Mathf.Abs( a.y – b.y ) < ( a.height / 2 + b.height / 2 );
}
ba
幅
width
高さ
height
X
Y
AB間の距離 < (Aの幅の半分) + (Bの幅の半分)
◆後期の授業運用
【後期の結果】
 前期の復習になるため、ある程度イメージができている状況。
 学生の理解度は、従来よりも高いものになった。
 オリジナルゲームも従来以上に、出来上がる学生が多かった。
 特にプログラムが苦手なデザイン志望の学生も形にできた事は
 非常に大きい(従来はプログラムに苦戦して完成が難しい)
◆以上の学習内容を踏まえ・・・
【ゲームエンジンの利用による効果】
 本来ゲーム開発に必要な知識を有していなくても、
 ゲームを作成 / 完成させる経験ができる = 成功体験
 成功体験による「やればできる」という学習のキッカケができる。
◆以上の学習内容を踏まえ・・・
【ゲームエンジンの利用による効果】
 キッカケができた学生は、学習に対しても向き合いやすい。
 授業だけではなく「独習」をする様になる。
 ここまで意識付けができれば、授業理解度も向上。
 より高度なことまで意欲的に勉強するようになってくれる。
◆授業運用の考え方
【今まで優先していた項目】【後回しになっていた項目】
必要な知識
ゲーム制作経験
作る楽しさを知る
イメージを持つ
◆授業運用の考え方
【現在の優先している項目】【その上で必須・教えたい項目】
必要な知識
ゲーム制作経験
作る楽しさを知る
イメージを持つ
◆授業運用の考え方
【ゲームエンジンの利用による効果】
 何より「諦めさせてしまう要素」を減らせている。
 現状、1年次の導入としては「及第点」
 学習の導入としては、非常に最適だと感じる。
 ただし、他の科目との連携が重要です。 
Unity採用後の結果
就職状況や作品状況
◆ Unity採用後の結果
【今までの状況】
 ・成績が良い学生  = 大半がゲーム会社に採用。
 ・成績が普通の学生 = 採用されたり / されなかったり。
 ・成績が悪い学生  = ほぼ採用されない。
◆ Unity採用後の結果
【ここ3年間の状況】
 ・成績が良い学生  = 大半がゲーム会社に採用。
 ・成績が普通の学生 = 採用される割合が増えた。
 ・成績が悪い学生  = 採用されたり / されなかったり。
 ※中間層の採用される数が、非常に増えた。
  成績の悪い学生でも、ゲームを形にできる状況が増えたため
  採用に繋がっている。
◆ 成績の悪い子たちでも・・・。
・東京ゲームショウ2018で出展「”面白くない”の雨あられ」
 技術不足による「涙と嗚咽の4日間」
 しかし、形にしたからこそ「得られた評価」
 成績が悪い子達でも「経験できる環境」になった。
 ここから奮起にして、コンテスト受賞まで頑張れた事は大きい。
 「想いが技術を越えた瞬間」非常に面白い結果が出ました。
◆まとめ
 今後は、より一層、時代に合わせた教育を検討する必要がある。
 ただし「時代の流れは理解はするが、すべてを容認はしない」
 必須項目を「どの様に伝えていくか」を改めて検討しなければ
 ならないと感じた4年間でした。
 その最初の導入として、Unityを用いた
 「成功体験を優先する教育」は、概ね成功だったと思います。 
ご清聴ありがとうございました

Unityを活用した授業の活用事例と結果