我が国の現在の学習指導要領では、理科における「音の性質」に関しては小学校では扱われておらず、中学校からの学習とされている。今回、低周波発振器とマイクを内蔵し、身の回りにある音を常に波形で可視化することができる、携帯ゲーム機向け簡易オシロスコープソフト『e-Oscillo（イーオシロ）』を開発した。現時点における本ソフトの機能と活用例を提示し、小中学校の児童生徒をはじめ幅広い人々に向けた「音の性質」に関する学習環境を提案する。

1. 携帯ゲーム機による
「音の性質」の学習向け
簡易オシロスコープ開発の試み
眞壁豊（東北文教大学）
makabe@t-bunkyo.ac.jp
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• 本研究の背景と目的
• 主な仕様と特徴
• 活用法の提案
• 今後の課題

2. 発表者について
• 東北文教大学 人間科学部
子ども教育学科
▫ 山形県山形市（山形蔵王）
 四大…１学部１学科
 幼保小の養成
 短期大学部…３学科
▫ 元「山形短期大学」
 もともと
「山形女子短期大学」
• 専門
▫ 教育工学
▫ 情報教育
▫ 教育の情報化
• 最近のスタンス
▫ 予防としての（延々なる）情報モ
ラル教育を行う時間があれば、
それを創造的な活動へ。
▫ 学校教育＋音楽＋ICT
▫ シンセサイザーと学校音楽教
育との接点
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3. X
Y A
B
まず試して下さい
3
• マイクの入力が上画面に
波形として出ます。
• 操作方法は、
下画面の上部にあります。
（タップで言語切替）
• START/SELECT/HOME
は、押さないで下さい。

4. 4
X
Y A
B
RL
波形の表示範囲調節
表示範囲
横幅全体のミリ秒とHz
（カッコ内は画面幅1/4）
発振音on/off
トリガ切替
上画面の
波形を止める
上画面の波形を
下画面にメモ
タップでメモ時の音を再生

5. 5
X
Y A
B
RL
波形の表示範囲調節
表示範囲
横幅全体のミリ秒とHz
（カッコ内は画面幅1/4）
発振器の周波数(左・右) 発振させる音
タップでメモ時の音を再生
[∞]タップで、左右の発振
周波数の独立設定切替
発振音on/off
トリガ切替
上画面の
波形を止める
上画面の波形を
下画面にメモ
発振音の種類切替(X/Y)
上下ドラッグで
発振周波数を変更

6. 研究の動機
• 小学校～高等学校では「1人1台」環境の整備が進められている。
▫ 「3.6人に1台の教育用コンピュータ」（第２次教育振興基本計画）
• 小中学生におけるゲーム機の普及率が高い。
▫ 小学生93.9％、中学生93.3％
 内閣府（2011）『青少年のゲーム機等の利用環境実態調査』
▫ 小学生55.7％、中学生42.6％（但しインターネット接続機器として）
 内閣府（2015）『平成26年度青少年のインターネット利用環境実態調査』
• 理科の「音の性質」の学習が小学校では行われていない
▫ 1998年改訂以降は中学校からの内容に。
過去には小学生から音の学習が行われてきた。
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7. 研究の目的
• 誰でもいつでも「音の性質」に触れることがで
きる、携帯ゲーム機向け簡易型オシロスコープ
の開発（将来的には学校教育での活用）
▫ 開発環境『プチコン3号 SmileBASIC』
• 開発した簡易型オシロスコープの学習活用法の
提案
• 「１人１台オシロスコープ」の実現
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8. 『プチコン3号 SmileBASIC』について
• ニンテンドー3DS上の
BASIC開発環境
• 自作プログラムを動かせる
• ダウンロード専用ソフト、
価格1,000円
• 開発したソフトの配布は、
インターネット上の専用
サーバを介し、｢公開キー｣
を指定することで可能。
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http://smileboom.com/special/ptcm3/
「プチコン」は株式会社スマイルブームの登録商標です

9. 主な仕様と特徴
• 実行環境
▫ 3DS + プチコン3号
• 入力
▫ 32,730Hz、16bit、1ch
• プローブ無し
▫ 『iRig2』を用いてライン入力可
• 低周波発信器
▫ 2音同時、27.5Hz～15,084Hz
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10. 10

11. 活用例
• 本稿掲載
▫ うなりの観測 ★
▫ 平均律と純正律の響きの違い
の観測
▫ 音速の測定（１台使用）
▫ おもしろい波形を集める ★
• その他
▫ 音源(振動物)の周波数測定
▫ 周波数の当てっこゲーム ★
▫ 音速の測定（２台使用）
▫ 音が伝わる時間差を目視観測
 ★…小学生でも取り組み可能
と思われる。
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12. 開発してみて気付いたこと
• 3DSのマイク入力の入力レンジ
は案外広かった。
▫ 但し、マイクの感度には若干
の個体差がある模様。
• 3DSの液晶のリフレッシュレー
トは約59.82～59.87Hzだった。
▫ ノコギリ波の発振が便利。
• 3DSから発する音の波形は、サ
イン波以外は綺麗な波形ではな
い。
• 平均律と純正律の違いは、波形
の観測ではサイン波、音の響き
ではノコギリ波が良い。
• 3DSのヘッドフォンをマイク
（ライン）入力としてなかなか
認識してくれない。（iRig2で解
決）
• 電子音の周波数は例えば
4,000Hzなど切りが良い。
• 研究室の肩たたき機は最高で
約25Hz
▫ 工事用ドリルは50Hzだった。
▫ 60Hzの地域では？
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13. 今後に向けた課題
• 教育現場における授業実践を行い
たい。
▫ 指導案の提案
• 「音の性質」をはじめとした学習
の効果を検証したい。
▫ 理科…「音の性質」
▫ 理科・音楽・数学…「調律」
• さまざまな立場（小学生を含む）
の人々が、本ソフトに興味を持ち、
また使ってもらえるか。
• 周波数スペクトル表示への対応を
したい。
▫ 各発振波形ごとのスペクトラム表
示の比較が容易。
• 音速の測定が現状では面倒。
▫ 2台の3DS間の無線通信でタイミ
ングを合わせたあと、距離を離し
て音を受け取るタイミングを測
定？
• ご感想やご意見を頂ければ幸いで
す。
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