トランジスタ技術2012年6月号(220ページ)

1. モデル作成編 連 載
無償ツールでモデル作成＆チューニング入門
第 11 回 部品：DC モータ
応用：絶縁型ドライブ回路
堀米 毅
IL というパラメータで，DC モータに加わる負荷を入
DC モータの SPICE モデルを作成して 力できます．DC モータに負荷がある場合とない場合
モータ・ドライブ回路の動作を再現 の 2 通りの電子回路シミュレーションを行います．
今回は，モータ・ドライブ回路に採用される DC モ LTspice の標準ライブラリには DC モータの SPICE
ータの SPICE モデル作成方法を紹介します．ブラシ モデルがありません．DC モータの SPICE モデルを作
付き DC モータもブラシレス DC モータもパラメータ 成し，図 1 に SPICE モデルを組み込みます．再現する
値が違うだけで同様に扱えます．また，フォトカプラ 波形は 2 通りあります．DC モータの電流波形および
の SPICE モデル作成方法も解説します． 電圧波形を確認します．
（1）DC モータに負荷がない場合：負荷設定パラメー
● 回路と再現する波形 タI L ＝ 1
対象となる回路は，ブラシ付き DC モータ駆動回路 DC モータの実測波形を図 2，再現した LTspice で
です．DC モータをゲート駆動回路，フォトカプラを のシミュレーション波形を図 3 に示します．
経由して，IGBT でドライブします．ゲート駆動回路 （2）DC モータに負荷がある場合：負荷設定パラメー
部分は，ドライバ IC 自体をモデリングすることも可 タI L ＝ 2.3
能ですが，今回は観察したい波形が出力側ですので， DC モータの実測波形を図 4，再現した LTspice で
パルス電圧源に置換します． のシミュレーション波形を図 5 に示します．
前回は，IGBT の SPICE モデルを作成しました．今 回路図の構成部品は下記のとおりです．
回は，DC モータとフォトカプラの SPICE モデルの解
電流計
（0Vの電圧源）
説をします．回路図を図 1 前回も掲載）（ に示します．
U1 の RS−540SH は DC モータの回路図シンボルです． V2
12V Vsense
Rser＝500m
実際は，ゲート・ドライバ制御ICか D1
マイコンから制御信号が出力される． D1N5822
この動作を，パルス電源で置き換え m＋ U1
ている RS-540SH
IL＝1
m−
.tran 0 0.9s 0 10μ startup フォトカプラの
.lib rs-540sh.lib モデル
.lib tlp350.lib U2 DCモータRS-540
C
.lib gt8q101_p.lib TLP350 （東芝） VCC SHのモデル．
電流計
.lib 1n5822_s.lib 15V IL パラメータで負
VCC
NC0 荷を設定できる
pls R1 C
A
NC2
300Ω Rg
K VO tlp g U3
V1 120Ω GT8Q101
GND
NC1
ゲート抵抗 IGBTモデル
PULSE 3.3 0 5n 5n 200μ 400μ）
（0
（前回作成）
図 1 LTspice で DC モータの駆動回路を再現する
LTspice の使い方については本誌 2011 年 6 月号特集「超入門！ 電子回路シミュレーション」
で紹介しています．LTspice 関連情報はウェブ・サイト「超入門！ 電子回路シミュレーシ
220 ョンLTspiceの部屋」http：//toragi.cqpub.co.jp/tabid/470/Default.aspx）
（ から入手できます． 2012 年 6 月号