インスティテューショナル・リサーチ(以下、IR)には、高等教育に関連する広範なデータが必要である。それらを操作するためのデータベース(以下、DB)およびデータウェアハウスは、様々な部署から集められた多様なデータで構成されている。高等教育の現場では、日々の教務に柔軟に対応するべく、データベースの拡張・改変が繰り返されている。その結果、データベースが肥大化や、データの整合性を保証できなくなる問題が生じてしまうなどの困難が生じている。データ整合性を保証・保持することが肝要であり、そのようなデータベースを作る簡便な方法が求められている。 数学の一分野である圏論をDBに適用した圏論的DB理論[1,2]が、仕様との整合性を保証したDB構築に良い見通しを与えている。本稿では、圏論を簡単に解説し、圏論的DB理論に則ったDBの仕様記述法(オントロジーログ)を紹介する。