1
令和5年6⽉10⽇(⼟)
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
東京⼯業⼤学
森 雅⽣
ビジネス実務とIR
〜東京⼯業⼤学の情報活⽤IRの紹介〜
2
だれ︖
森 雅⽣ Mori Masao
博⼠(情報科学)
東京⼯業⼤学 企画本部 教授
情報活⽤IR室 専任教員
• ⽇本インスティテューショナル・リサーチ協会会⻑
• ORCID⽇本コンソーシアム運営委員⻑
• 国際学術会議 DSIR 創設者
• ⼤学情報・機関調査研究会(MJIR)創設者
学歴
• 九州⼤学理学研究科数学専攻(修⼠)
• 九州⼤学総合理⼯学研究科情報システム専攻(博⼠)
• 九州⼤学システム情報科学府 博⼠(情報科学)
大学の活動を定量的に測定し、
その分析に基づいた大学運営を
支援するIRの研究者・実践者
(インテリジェンス支援)
3
講演内容
1. 東京⼯業⼤学 情報活⽤IR室の紹介
2. Institutional Researchの役割
3. Data Warehouseの構成
4. 教育コストの測定
5. 教員の貢献の指標化
本⽇の講演内容は、講演者の私⾒に基づくものであり、東京⼯業⼤学の
公式⾒解ではありません。
4
東京⼯業⼤学
n 学⽣数
Ø 学⼠課程 4,731
Ø 修⼠課程 4,124
Ø 博⼠課程 1,575
Ø 研究⽣ 585
n 教職員数(⾮正規者含む)
Ø 教員 1,906
Ø 職員 2,672
n 学院(学部・研究科)
Ø 6学院
Ø 5研究機関等
n 予算規模(R3)
Ø 経常収益 50,443百万
Ø 経常費⽤ 47,729百万
n 論⽂数
Ø 15,763 (過去3年)
事務局
人事・財務・学生・研究費
等データ
データ収集
データ
提供
オープンデータ
各種大学IR情報
企画立案執行組織
教育・研究・国際・社会連携
等データ
監査室
Data
Analyzing
System
情報活用IR室
室長 佐藤 勲 統括理事・副学長
副室長 山田 明 副学長
担当教員 森 雅生 教授
担当教員 高松 邦彦 教授
担当教員 今井 匠太朗 准教授
担当教員 松本 清. 准教授
事務職員 加藤 信也
技術限定職員 田中 要江
技術支援員 井上 恵美子
研究員 稲倉 恒法
事務担当 企画・評価課
協力室員 桑名 亮一 (OFC)
運営委員会
学 長
分析結果
提供・支援
情報活用IR室の役割
部局等
教育・研究・社会貢献
等データ
T2APPs
申請
システム
財務情報
など
企画本部
分析結果の提供・支援
データ提供 兼務・連携
マスタ
データ
令和5年4⽉現在
稲倉 研究員
(科研事業)
森 教授
(IR企画・全般)
佐藤
統括理事・副学長
(室長)
⼭⽥
戦略構想担当
副学⻑
(副室⻑)
企画・評価
課長
評価グループ
科研費事業(基盤A)
• IR業務オントロジー
• IRスキルセット
• DW数理モデル
⼈材育成等
• 社会⼈アカデミー
• IRコンサル
森 教授
(IR企画・全般)
• 教育研究貢献分析
• セグメント分析可視化
財務等IR
森 教授
(IR企画・全般)
加藤事務職員
(IT担当)
• 教員⾃⼰点検評価システム(FIS)
評価⽀援
• FD資料提供
• 教育改⾰評価⽀援
• 学⽣調査分析⽀援
• 学⽣調査実施マネジメント
教育IR
髙松 マ教授
(教学IR)
松本 マ准教授
(学生調査)
• Business Process Management
• 汎⽤決裁システム実装・運⽤(T2APPs)
• マスターデータ企画
業務改⾰DX
今井 マ准教授
(業務改革)
田中
技術限定職員
(DB担当)
桑名
技術職員
(業務改革)
加藤事務職員
(IT担当)
森 教授
(IR企画・全般)
• ランキング対応
• 論⽂業績分析、T2R2ログ分析
• 競争的資⾦データ
研究IR
加藤事務職員
(IT担当)
情報活⽤IR室の業務と分担
森 教授
(IR企画・全般)
髙松 マ教授
(教学IR)
令和5年4⽉現在
森 教授
(IR企画・全般)
田中
技術限定職員
(DB担当)
井上
技術支援員
(庶務)
7
Institutional Research の役割
IRとは
機関の意思決定や計画策定での「判断」を⽀援するために準備される調査分析
(Saupe 1990)
→ 課題は何で、何を判断するのか、そのためにはどのような情報に注⽬し、ど
のような分析を⾏えば良いかを、具体的に明確化することが重要。
IRの歴史
• 統計的⼿法を使った⼊学者数の分析(1866・ハーバード⼤学)
• ⽶国における⼤学サービスの多様化とIRの発展(1960年代〜70年代)
• AIR設⽴(1965)
• パーソナルコンピュータの普及とIRにおける統計の⼀般化(1990年代〜)
• 世界各国でAIRが設⽴(2000 年代)
• ⽇本IR協会は2019年10⽉に設⽴
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
8
Howard-McLaughlinの
情報支援サイクル
⼤学執⾏部 事務局
Ins$tu$onal Research
R.D Howard著, ⼤学評価・学位授与機構IR研究会訳
「IR実践ハンドブック」2012
IRの業務はどんな⾵に「回ってるの」︖
Institutional Research の役割
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
9
IR
Skills
IT
テクノロジー
統計学
高等教育
(文脈)
データサイエンス(Davenport 2012)
文脈的知性
contextual
問題解決知性
issue
分析と技術の
知性
technical
IRのIntelligence3つの層
(Terenzini 1993)
Institutional Research の役割
IRにはどんなスキルが要るの︖
例)組織のどこを動
かせば改善につなが
るか
例)課題を具体化し
分析レポートを作成
例)分析に必要な情報
を整理してデータ化
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
10
Institutional Research の役割
1. 解明したい課題・問題とResearch
Question(必要因)は⼀対⼀に対応して
いるわけではない。
2. 解明したい課題・問題に対する各必要因
の寄与が明確にできるわけでもない。
3. RQとするには数値化・指標化できるも
のでなければならない。
4. RQを⽰す指標を導くIR情報を同定しなけ
ればならない、コンテンツ(データの内
容)だけでなく、メタデータ(データを
解説する情報)も含まれる。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
学⼒
低下
学⽣のモチ
ベーション
教員の成績
評価基準
必要因
学習環境の質
11
Institutional Research の役割
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
改善
必要因 現実の状態
s
理想状態
s’
このギャップ
が意識すべき
「問題」の
⼀部
改善コスト
c
現状分析
予測
「問題」とは何?
成績評価分布に偏りがある
成績評価分布に偏りがない
教員の成績評価に関する
統制の課題
FDによる成績評価
の統制:⽅策M
𝑀 𝑠, 𝑐 ≥ 𝑠′
現状 s を理想状態 s’ 以上に
改善する⽅策Mと最⼩の
改善コスト c を⾒つける。
13
Data Warehouseの構成
Data Warehouseにおける構成要素とプロセス
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
①データソース ③ETL
④データウェア
ハウス
④データマート
②メタデータ
⑤分析ツール
14
ER図の例:
成績情報⼀覧ビュー
データベースの技術情報には
テーブル間の関係が記載され
ており場合によっては、ER図
として記録されていることも
ある。この情報からDWに搭
載するデータテーブルを作成
する。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
Data Warehouseの構成
15
成績情報⼀覧ビューのほかにも
ビューが定義されていれば、
それを参考にStar Schemaを構成する。
これがDWのテーブルデータの設計図となる。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
Data Warehouseの構成
16
16
次元表
Dimension Table
次元表
Dimension Table
次元表
Dimension Table
事実表
Fact Table
Star Schema
DWで分析を⾏う数値などが含まれるテーブルをFact Table、
Fact Tableに含まれるキーとなる情報を持つテーブルをDimension Tableと呼ぶ。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
17
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
学科
科
⽬
国
籍
属性値の組み合わせにより
レコードの集合が決まる
それに対して基本統計量と
その組み合わせの式で分析
多
次
元
モ
デ
ル
多
次
元
キ
(
)
ブ
Data Warehouseの構成
18
次元の値ごとに絞り込ま
れた各ブロックがレコー
ドの集合となっている。
• 基本統計量
ü 平均、標準偏差
ü 最⼤、最⼩
• ⼀変量変数グラフ
ü ヒストグラム
ü 箱ひげ図
更に、ドリルダウンでき
る次元を持ち、値が多変
量なら、散布図や複合グ
ラフも各々のブロックご
とに構成できる。
多次元分析
学科
科
⽬
国
籍
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
Data Warehouseの構成
19
• DWの設計図 “TESM情報”
次の4つのメタ情報はDWを運営するにあたって重要。
① テーブル定義・・・業務システムの技術情報(Table definition)
② ER図・・・業務システムの技術情報、他の形式もありうる。
③ Star Schema ・・・DWに渡すデータテーブルの概要。
④ 多次元分析・・・集計の設計図(Multi-dimensional analysis)。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
Data Warehouseの構成
20
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
21
22
教育コストの測定
問題:
教員の⼈件費、および、学⽣からの学費収⼊を
考慮して、教員の担当する講義(これは所与)
において、合計でどれくらいの学⽣を担当する
のが経済的に妥当であるかを検討せよ。
ポイント
1. 教員の⼈件費
2. 1単位あたりの教育収⼊
3. 科⽬あたりの教員が担う教育の従事時間
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
正解は出せないが
指標を開発することは
IRではしばしばある。
23
教育コストの測定
1. 教員の1年間の勤労時間は何時間か?
2. 年収(⽀払額)1,000万円の教員の1時間あた
りの⼈件費はいくらか?
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
答え
24
教育コストの測定
3. 卒業要件128単位(医学系200単位)の学⽣が
⽀払う1単位あたりの⾦額はいくらか?
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
答え
25
教育コストの測定
4. ⼀⼈の教員が通年で5科⽬担当し、各科⽬は2
単位であるとする。このとき、この教員は講
義に1年でどれくらいの時間を割いているか。
5. 1⼈の教員が講義の準備に講義の2倍の時間を
使いっているとすると、教育に割いている時
間はどれくらいか。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
答え
26
教育コストの測定
問題:CVP(cost-volume-profit)分析を適⽤
教員の⼈件費、および、学⽣からの学費収⼊を考慮して、教員の担当する
講義(5科⽬)において、合計でどれくらいの学⽣を担当するのが経済的
に妥当であるかを検討せよ。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
答え
27
教育コストの測定
⽬的
教員ごとに教育活動と研究活動における⼤学へ
の貢献を数値化して⽐較する ← ⼈件費との⽐較
で⾒える化。
注意点
平均⼈件費と⽐較しているが、それを超える貢
献を期待しているわけではない。差額の部分は
別の活動での貢献がある可能性を⽰唆している。
また、平均⼈件費と対⽐することにより、活動
に対するコスト意識を醸成する⽬的。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
28
教員の貢献
教育・学部
各教員による認定単位数から算出される獲得学費
を,次のような⽅法で算出する.
• 重み付担当単位数 = 単位数 × 分担率(1/担当教員数)
• 獲得学費 = 重み付担当単位数 × 1単位あたりの学費 × 単位習得者数
• 1単位あたりの学費は,22,770円(改訂した⾦額).
• (⼊学料282,000円 + 授業料635,400円/年 × 4年)/ 124単位.
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
29
教育・院
⼤学院⽣の研究指導費(年あたり)を次のよう
に算出する.
• 研究指導費 =
(院⽣学費 – 院⽣認定単位数にあたる学費)/ 標準修了年
限
• 修⼠学費:1,552,800円,博⼠学費:2,188,200円
• 修⼠研究指導 =
(1,552,800円 - 30×22,770円)/2 = 434,850円
• 博⼠研究指導=
(2,188,200円 - 24×22,770円)/3 = 547,240円
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
教員の貢献︓指標の定義
30
指標の定義:研究
研究(間接経費)
• 競争的外部資⾦(科研費,受託研究・共同研究など)
の間接経費を研究活動としての貢献値とする.
• その他補助⾦は除外する(⼤学で獲得したものは排
除).
• 奨学寄附⾦について,共通経費(間接経費)は,規則
にあるように⼀律15%として計算した(⼤学ごとに異
なる).
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
31
指標の定義:貢献度の2指標
• 対象教員数 1000⼈
• 教育貢献=獲得学費+研究指導費
• 研究貢献=科研費+受託研究・共同研究+受託
事業+奨学寄附⾦ (全て間接経費)
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
33
さらに進んだ分析
問題
先の教育研究貢献分析を考える。各教員が⾃分のパフォーマンスを最⼤限
に引き出すためには、他の教員と⽐べ、どのレベルが⽬標値とするのが妥
当であるか。
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
教育収益/⼈件費
𝑦
研究費獲得額/⼈件費
𝑥
A
B
C
D
X
Y
Z
包絡分析法
こたえ
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
教育コストの測定
1. 教員の1年間の勤労時間は何時間か︖
(365⽇ー125⽇)× 8時間=1920時間
2. 年収(⽀払額)1,000万円の教員の1時間あた
りの⼈件費はいくらか︖
10,000,000円 ÷ 1,920時間 ≒ 5210円/時間
戻る
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
教育コストの測定
3. 卒業要件128単位(医学系200単位)の学部
学⽣が⽀払う1単位あたりの⾦額はいくらか︖
国公⽴ 2,425,200円 ÷ 128単位 ≒ 18,947円/単位
私⽴⽂ 3,965,807円
私⽴理 5,398,765円
国公医 3,496,800円
私⽴医 23,374,212円
1科⽬2単位であれば、その科⽬に対し学⽣は37,894円
⽀払っていることになる
=担当教員は1名の受講で37,894円収益を上げている。
戻る
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
教育コストの測定
4. ⼀⼈の教員が通年で5科⽬担当し、各科⽬は2単位
であるとする。このとき、この教員は講義に1年でどれく
らいの時間を割いているか。
5科⽬×2単位×0.75時間×15回=112.5時間
5. 1⼈の教員が講義の準備に講義の2倍の時間を使
いっているとすると、教育に割いている時間はどれくらい
か。
112.5時間 × 3 = 337.5時間(講義︓準備=1︓2)
337.5時間 × 5,210円/時間(時給)= 1,758,375円
戻る
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会
教育コストの測定
問題︓CVP(cost-volume-profit)分析を適⽤
教員の⼈件費、および、学⽣からの学費収⼊を考慮して、教員の担当する講義(5
科⽬)において、合計でどれくらいの学⽣を担当するのが経済的に妥当であるかを検
討せよ。
損失:教員⼈件費
約175.8万円
講義に
かかる
⼈件費
𝑦 = 7,815𝑥 +1,758,375
利益:学費収⼊
𝑦 = 𝟑𝟕, 𝟖𝟗𝟒𝑥
学⽣⼀⼈の成績評価等でかかる
教育負担を0.5時間とする
収益・損失
𝑦
学⽣数
𝑥
1.5時間×5,210円/時間(⼈件費)
=7,815円
約58.5⼈
戻る
⽇本ビジネス実務学会第42回全国⼤会

20230610ビジネス実務学会_基調講演.pdf