GTFS‐JP勉強会
2019‐4‐20
県主導によるGTFS‐JPの整備事例(富山県)
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標準的なバス情報フォーマット作成ツール
2019年4月20日
東京大学空間情報科学研究センター
(富山県「標準的なバス情報フォーマット」データ作成ワーキンググループアドバイザー)
西沢 明
nishizawa@csis.u‐tokyo.ac.jp
https://home.csis.u‐tokyo.ac.jp/~nishizawa/gtfs/
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富山県におけるGTFS‐JP作成の特徴
 県の公共交通政策の一環としていること
 Code for などの地域のIT技術者などが支援していること
 バス事業者や市町村が(原則)自分たちでデータを作成
していること
 作成したGTFS‐JPデータはオープンデータ公開をしている
こと
 全県版のバスロケ整備とセットになっていること
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28路線
6路線
18路線
11路線
7路線
6路線
10路線
11路線
22路線
6路線
6路線
5路線
11路線(3路線)
富山県内の路線バスの状況
 民営バス
富山地方鉄道 43路線
(北斗バスを含む)
加越能バス 39路線
西日本JRバス 1路線
 コミュニティバス
県内15市町村(10市4町1村)のうち
舟橋村はコミュニティバスなし
氷見市のバスは乗客が地域住民
限定のため、今回、データ作成なし
13市町でデータ作成
 GTFS‐JPデータ作成の対象
230路線、591系統
バス停数4007
 コミュニティバスは全市町分で
GTFS‐JPデータの作成が完了し、
オープンデータ公開されている。
数字はコミュニティバスの路線数
(数値は富山県資料による)
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県の公共交通政策の一環としていること
 交通ビジョン
 基本理念
・つかいやすい ・わかりやすい ・持続可能な
 基本目標
・利便性向上による県民等の地域交通の利用促進
・国内外の来訪者の円滑な移動の実現
・持続可能で多様な地域交通サービスの実現
 富山県地域交通活性化推進会議(2017年1月~)
 「公共交通相互の乗継利便性の向上」小委員会(2017年6月~)
「公共交通機関相互の乗継利便性の向上のための具体的な取組み」(2018年1月)
 改善の取組み② 十分な交通情報の提供
1)経路検索の充実
・・・国が策定した「標準的なバス情報フォーマット」により県内全てのバス情報を
オープンデータ化し、大手検索サイトを活用した情報提供を進める。
2)バス位置情報の提供
・・・県内全域の民営バスと公営バスを網羅したバスロケーションシステムの整備
を進める。
県の事業として、GTFS‐JPの整備、バスロケの構築を実施している4
Code for 、大学などの地域のIT技術者等が支援していること
※県の指向とCode for コミュニティの指向が一致
県のオープンデータ施策の開始(2017年)
Code for コミュニティからの公共交通データのオープンデー
タ要望
標準的なバス情報フォーマットによるバスデータ整備の検討
開始(県+Code for)
Code for がGTFS‐JPやその作成ツール(その筋屋)を独自に
勉強
2018年からのバス事業者、市町によるGTFS‐JP作成を支援
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バス事業者や市町村が(原則)自分たちでGTFS‐JPデータを
作成していること
 なぜ、データを自作するのか(県資料から)
 フリーの専用ツールの利用で難易度が高くなく、自作可能
※地理院地図からバス停の緯度経度を取得可能
 自ら作成できるので、事業者や市町村でデータ整備費の予算
要求をしなくてよい
 臨時便、臨時バス停、迂回ルートの情報をタイムラグなく作成
可能
 使用したデータ作成ツール、データチェックツール
 ダイヤ編成支援システム「その筋屋」(高野さん)[6市町・3事業者]
 GTFS‐JP作成ツール(西沢ツール)[7市町]
 feedvalidator
 GTFS Viewer(旭川高専嶋田先生) 6
 データ作成セミナー(勉強会)の開
催(2018年6~10月 計9回)
 県が、市町村、バス事業者、学生を
集めて、ツールの使い方などの実
習形式のセミナー(勉強会)を開催
 講師はCode for メンバー、西沢など
 学習した学生は市町村、バス事業
者のデータ作成を支援
 仲間意識の醸成
 メーリングリストによる問合せ対応などの支援
 勉強会+自作作業だけだと、作業に詰まったときに先に進めない
 県が、市町村、バス事業者、Code for メンバー、西沢、学生などを
含むメーリングリストを作成
 データ作成ツールで詰まったところなどを質問し、Code for や西沢
が回答
 ツール自体に問題があるときは、作者にヘルプ要請して、ツールを
改良してもらったことも
結構、手厚い
サポートあり
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 データ作成支援
 バス停位置座標を学生が作成代行
 ダイヤ管理システム出力データをその筋屋に取り込めるよう変換
→「その筋屋」読込形式
 オフラインで地理院地図が使えるよう、市町ごとの地図データ提供
→国土地理院の地図タイルデータをダウンロードして提供
 国交省が過去に作成したバス停位置情報を入手・提供
→国交省交通支援課のコミュニティバスのバス停位置調査成果
交通とICTをつなぐ翻
訳家が重要
 データ作成の進捗状況の見える化
 データ作成者のモチベーション向上
 県が、データ作成進捗状況表を作成
→データ作成~チェック~CP掲載~OD公開
 GTFS Viewerに掲載(他市町のデー
タも見られる)
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作成したGTFS‐JPデータはオープンデータ公開していること
 富山県によるオープンデータ公開支
援
富山県のオープンデータサイトに
GTFS‐JPのリストページを作成
市町のサイトですぐに公開できない
ときは、県サイトで先行公開
 経路検索事業者がデータを入手し
やすいよう、また、動的データを併用
するときに自動でGTFS‐JPを取得でき
るよう、固定URLでの公開を推奨
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全県版のバスロケ整備とセットになっていること
 県が2019年度に全県のバスロケシステムを構築する
 バスロケの基礎データとして、今回作成したGTFS‐JPを使用する。
 このため、GTFS‐JPができないと、バスロケに加われない。
 ダイヤ改正時には、GTFS‐JPデータも更新する必要がある
 GTFS‐JPデータを更新するインセンティブとなる
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GTFS‐JP作成における課題
 市町職員の作業環境の整備
 ネットにつながるPC
→バス停の座標取得、バス経路データ作成のためには、地理院地図を
利用できることが必要
 バスデータ作業専用のPCがあるとよい(スペックは問わない)
 バス停の座標データがない
(当初の懸念材料→ 解決)
 地理院地図を使って自作可能
 国交省交通支援課が作成した
コミュニティバスのバス停座標
データ
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 既存のダイヤ管理システムからの出力ファイルを直接使えない
 既存のダイヤ管理システムから直接GTFS‐JPを出力できない
 次善の策として、システムからの出力ファイル(今回はCSV)を「その
筋屋」で読み込める形式に変換(独自プログラム作成)
→バスデータを理解したCode forなどの支援が必要
 経路形状データの作成が困難
(→解決)
 当初は不要と考えていたが、
経路検索結果の表示を見て、
作成したほうがよいとなった
 「その筋屋」の機能、経路形状
作成ツールで作成。
(市町の方でも作成可能)
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 作成したデータのチェックがなかなか十分にされない
 FeedValidatorなどのチェックツールが省略されている可能性
 読み合わせ不足、FeedValidatorでチェックできない内容の誤り
→時刻、行先表示、よみがな 等
 GTFS‐JP作成の基本のルールの不徹底
 違うバス停並びの経路には異なる経路IDを付ける(第2版で緩和)
 GTFS‐JPの.txtファイルを全選択してzip圧縮する(フォルダごと圧縮し
てはいけない)
 現状では、経路検索事業者(CP)のチェックに依存して
いる
 一回で完成品ができないので、手戻りが生じる
 データ作成の段階で信頼性のあるデータができないと
オープンデータ化されても、信用ある使い方がされない
 初回は要チェックとしても、改正時にはノーチェックでも
使えるようにしたい。 13
 データ作成を継続していくこと
 多くの市町では2018年12月~2019年2月に最初のデータが完成
 すぐに、3月、4月のダイヤ改正による修正データを作成
 ここまでは、うまくいったが、時間が空く次のダイヤ改正時にデータ
修正を自らでできるかが課題
これからGTFS‐JPを作成する方に向けて
 GTFS‐JPを作成するツールを的確に選ぶこと
 既に使用しているバスダイヤシステムから出力できればベスト
 「その筋屋」、「GTFS‐JP作成ツール(西沢ツール)」、「見える化
フォーマット」のツールがあるが、適切なものを選ぶ。
→ 自分で使ってみて、ツールの機能や使いやすさで判断
→ 基本的に「その筋屋」はバスデータ全般を作成・管理する
「西沢ツール」はGTFS‐JPを作成するのに特化したもの
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標準的なバス情報フォーマット作成ツール
(西沢ツール)
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事業者
運行曜日
運行日
運賃1
運賃2
データ提供
路線
時刻表
バス停
便
営業所
経路(道路)
乗換
 標準的なバス情報フォーマットで作成したファイルの中身の例
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標準的なバス情報フォーマット作成ツール
(西沢ツール)とは何か
GTFS‐JPはCSV(テキストファイル)
エクセルやテキストエディタで直接入力できなくはな
いが、IDの整合をとったり、誤りなく入力するのは、
データ量がごく少量の場合を除き、事実上困難
このため、エクセルに分かりやすく入力し、GTFS‐JPと
して出力するツールとして開発したもの
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出力フォルダなど 事業者情報
各情報を各シートに入力
停留所・標柱情報
経路情報
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時刻表情報
運行日情報
運行日情報
翻訳情報
(よみがな、英字)
運賃情報
IDやバス停名
等の入力支援
ツール付き
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入力したデータの
不足・整合チェック
入力したデータのチェック ~ GTFS-JPファイルの出力
ワンクリックで
GTFS‐JPファイルを出力
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ツールの入手方法 ~ サイトからダウンロードしてください
西沢ツール 検索
 2019年3月に公表された、「標準的なバ
ス情報フォーマット」第2版対応済です
 標準的なバス情報フォーマット作成ツール
shapes.txt 以外のGTFS‐JPファイル作成
 経路形状データ作成ツール
shapes.txt を作成。GTFS‐JPに組込む
 GTFS‐JP差分抽出ツール
ダイヤ改正前後のGTFS‐JPファイルを比較
ファイルの修正ミスの検出
GTFS‐JPツール3部作
https://home.csis.u‐tokyo.ac.jp/~nishizawa/gtfs/
※本ツールは、商用利用も含めて
自由にお使いいただけます。
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問合せ先
東京大学空間情報科学研究センター
西沢 明
nishizawa@csis.u‐tokyo.ac.jp
https://home.csis.u‐tokyo.ac.jp/~nishizawa/gtfs/

20190420 gtfs jp-nishizawa